ハイテクロープの「ダイニーマ」
先日神戸港でダグボートを見学する機会がありバウデッキにあるウインチに巻かれた曳航索がダイニーマであることがわかった。ダグもハイテクロープを使っているんだとちょっと驚いた。
東京製綱ロープ会社のWebによると、ここ数年、タグラインは従来のロープから高機能繊維ロープ(ダイニーマ)へと劇的な変化を遂げつつあるという。
以下にそのダイニーマの特徴をあげると、
●高強力、低伸度
品種によりワイヤロープ6×37 B種、あるいはワイヤロープ6×WS(36)IWRC B種と同等の引張強さを持ち、いずれも破断時の伸び率が3~4%でワイヤロープと同等です。
●軽量
比重が0.97と軽量で、ダイニーマのみで使用した場合は水に浮きます。同じ太さのワイヤーロープにくらべ、約1/4の軽さです。
●引張疲労性に強い
安全率=3の繰り返し引張疲労試験で100万回の回数を与えても強度低下はありません。
●耐摩性、耐候性、耐食性が良い
合成繊維ロープの中では最も良好な性能を持ちます。
●キンク、型くずれ
ブレード型で非自転構造ですので、キンクや型くずれが起こりにくくなっています。
ダグのデッキにいたクルーにお聞きすると今まで使っていた曳航ロープは直径が10cmもあった。強度は同じだがこれは6.5cmで大分細くなって扱いやすいとのこと。
本船が係留に使っているホーサーとよく似ているので、ただのナイロンロープだろうと思っていたが、同じように見えるエイトロープでもその用途によって材質も大いに違うことがあるのだ。
画像は日本丸のメインマストの基部である。静索はワイヤーだが動索はすべて三つ打ちロープだ。昔はサイザルやマニラロープが使われていたのだろうが今はどんな材質の三つ打ちロープだろうか。ポリエチレンかポリエステルかそれともクレモナだろうか。
普通のヨットが使うマッド打ちポリエステルダブルブレードなんて手に優しいロープなどはどこにも見当たらない。
ボクのクルージングヨットには長さ10m、太さ6mmのダイニーマロープをたった2本だけだが持っている。破断強度は1,600kgもある。もし非常の場合はワイヤーの代わりになるだろうと期待している。でもいつもは日よけシートの支線に使っているが伸びなくて具合がいい。
陸置きされたレーサーの黒いバックスティ端末が金属ソケット処理されているのを見てどうするのだろうと、前から思っていたがロープ会社では普通のアイスプライスから接着やロック加工など各種のロープ端末処理をオプションで用意しているようだ。
右の画像をご参照ください。
また、黒く光ったバックスティはハイテクロープの上からUV対策で外層にウレタン樹脂を被覆したものだった。
【関連記事】:ハイテクロープのバックステイ
【参考資料】:東京製綱繊維ロープ株式会社
【参考資料】:ヨットロープ
by pac3jp | 2008-08-08 10:08 | 特殊船