ハンド・ログ
そして、より正確に速力をはかる道具としてイギリス人の発明で「ハンド・ログ」が砂時計と一緒に使われ始めた。1時間で1マイルの長さに結び目をつくり、測定した船速を報告する時に「1ノット、2ノット、3ノット・・・」と使われ、速度の呼び名として「ノット」が一般的になってきたという。
GPSやレイマリンのスピード/ログ計などデンキモノはヨットの電力システムが故障すると全く使えない。予備を充分用意する手もあるが、速力計測の原理を理解して、付近にある材料で電気不要の「ハンド・ログ」を作ってしまおう。どの航海術の解説書にも載っているし、簡単な仕組みなので↑画像のように自作も出来る。
1.まず、扇状板(ログシップ)を作る。
ベニヤ板に一辺130mmの三角形を切り出す。
上部にかまぼこ板厚の浮力体を取り付ける。
下部に水中で直立する位の錘を付ける。
2.ログラインと糸巻き
適当な太さの道糸を31m用意する。
糸巻を糸車風にし、ラインがスムースに繰り出せるようにする。
3.ログシップとログラインを繋ぎバランスよく流れる様に調整する。
使い方
デッキに立ち、ログシップを1m出し艇側にたらす。
ストップウオッチをリセットし用意する。
合図と同時にログシップを流し、計測をはじめる。
ログラインが31m全部出たところで計測をおわる。
60秒掛かれば、艇速は1ノット
30秒では 2ノット
10秒では 6ノット
(注)1マイルは1852m、1マイルは→1時間→1ノット→1分間では約30mログシップが流れる。
航海技術の歴史をみればハンド・ログの次に出てくるのが曳航ログだ。これは今でも使っているヨットマンはキットいるだろう。故野本先生も宝物として持っていると書かれていたし、大分前にボクのフネがKAZI誌の新艇紹介で載った時もレポーターのヨットデザイナー氏が新艇の航海計器は信用してないといって船尾から曳航ログを流していたからね。
こうしてみると古い航海器具を試してみるなんてことは暇(研究熱心)なヨット乗り特有の資質なんでしょうか。本職のセーラーは勿論、魚釣りに熱中するボートマンも多分しないでしょうね。
でも、寒い冬の日、暖かくした艇内でシーズン中に懸案だった製作モノをこつこつとつ作り上げるのも長い冬の楽しみではありますね。
by pac3jp | 2007-12-07 08:44 | シーマンシップ