ロングクルージング中の「STOM BAY」を見学する
キャビンで奥様が地球儀を指でなぞって丁寧に辿ったコースを説明してくれる。そしてふとギャレーを見ると美味しそうな焼きたてのパンが2つオーブンのトレイにのっかって冷ましてあった。そうだこのフネは彼らの「ハウス」なのだと実感した。
ボクはデッキでクリスに船体や艤装のことなど質問してみた。デッキを見渡すと自作風の仕上がりもあるので「ハンドメイド?」と聞くとハルは既製品で内装や艤装は自作との事。スチールハルの外板は指を広げて、下から5mm、4mm、デッキやドックハウスは3mmと教えてくれた。窓から見える壁の厚さがかなりあり、そこは断熱材が入っているそうだ。
コクピットに入るとホィールではなく太いティラーがオーパイとウインドベーンでステアリングされるシステム。コンパススタンドは当然磁気を打ち消す2個の鉄の玉が付いていた。シートウインチは普通は両舷についているがこのフネは右舷よりに大型のウインチ1台で左右の兼用になっている。
デッキには船体を吊り上げる為のアイプレートが4ヶ所溶接されている。ブルワークもライフラインのスタンションも船体に溶接された頑丈なブラケットに取り付けられている。さすがスチールヨットである。バウデッキの大きなウインドラスは通訳者曰く「車のデフを改造した」と言っているとのこと。「へェーほんまかいな!」と感心する。
マストにはステップが打ってありワイヤーのハリヤード類にはセールに擦れないようにボアのような保護材が付いている。デッキを伸びるハリヤードなどはUV保護の為か塩ビパイプに入っている。オーナーの手入れの細やかなのに、またまた感心する。
艇内のチャートテーブルにはパソコンが2台。ナビゲーションはC-MAPだそうだ。ナビゲーション席の頭上にはフォグフォーン、フレアー等非常用品がセットされている。右舷サイドにはイパーブがある。キャビンにはオイルヒーターが設置され煙突がドックハウス上に貫通している当然だが室内の煙突には火傷しないような保護カバーが付いていた。これから行くアラスカ・カナダでは威力を発揮するのだろうね。
スキッパーのクリスにヨットを始めたのはいつごろ?と聞くと4才からだとの返事。オーストラリアやニュージーランドは親の代から海の遊びは盛んだったのだ。日本とは大分違うね。でも最近はOPヨットに小学生が乗って練習しているのを見るのであと数十年もたてばそんな言葉を発する日本人も現れるだろう。
もう一つ、マギーさんからこんな話を聞いた。彼女らの隣国、ニュージーランドはどんな大きな船でも免許が要らないのだ。全てではないが、中にはルールも知らない人が乗っているので近くに寄ると危ないよと、大きな身振りで教えてくれた。・・・皆さんもそちらに行くときは注意してね!
日本では難しい海技試験を受けて免許を取るが、ルールを忘れて危ない操縦をする人も大勢いるが・・・。
by pac3jp | 2007-01-12 09:36 | ウオッチング