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ヨットのスターン

 昔、横山 晃さん設計のY15型ディンギーを作ろうと思ってラインズから現図を起していた時、祖母の兄弟で漁師をやっているおっちゃんがやってきて「どんなフネ造るんや。どんな船でも艫の形が一番大切なんやで」と言っていたことを今だに思い出す。以来、大型の本船からヨット・ボートまで必ず後に回ってそのお尻を眺めてきたもんである。
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 ↑の画像は大分古いピーターソン30と新艇のヤマハ31のスターンだ。ピーターソンデザインの細く絞ったスターンと逆三角形のトランサムは特徴があった。あの時代は同じようなスターンが大流行で、日本のヨットデザイナーで木原さんの「なかよしシリーズ」もそうだった。しかし、昔もお隣のヤマハ31のようなスターンのフネも当然ながらあった。フランス人のデザインは昔から幅広いスターンをもったフネが多いように思うね。

 プロダクションヨットの船型はレーシングルールと大きく関係しているからこれからもどのようになるのかボクには想像もできない。

 ルールに関係ないヨットはオーナーの好みで色々なタイプが選べる。クルージングヨットではクラシックなスタイルを選ぶオーナーも多い。丸いスターンのダブルエンダーや小さいトランサムのロングカウンタースターンが好きな人も居る。
だが、ヨットビルダーも寡占化の時代なのか、あるいは価格競争の結果なのかこのハーバーにも同じようなタイプのヨットが増えてきた。チョット個性的な新艇を選ぼうとすると価格や納期の障害があったりする。
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 でも、味のあるスターンを持っているのはやっぱり、クラシックな雰囲気を持ったヨットだね。クラシックなロングキールのヨットも全くの鈍足ヨットばかりではない。昨年、我々の仲間がヤマハ28Sでオープンレースに出たとき、木造の小さいサイズで、年代のものロングキールヨットに抜かれて、悔しがっていた。ちゃんと整備し、しっかりしたセールで上手に乗ればオープンレースレベルでは充分楽しめる帆走性能があるフネもある。

 一方、一般の本船は好みよりは経済性が優先されるのでスターンの形もだんだんと工作し易いフラットなトランサムになってきたように見える。神戸港に入る7万トンクラスの大型コンテナ船はスターンまでコンテナを積んでいるのでホンに小さい半月型のフラットなトランサムが付いている。
 昔は丸い膨らみがある優美なスターンを持った船も多かったが、もうそんな船は錆びの浮いた廃船寸前かと思える外国船だけだ。

by pac3jp | 2006-06-07 09:56 | ウオッチング  

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