ヨットマンの老後の夢(2)船に住まう

 前回、ヨットマンの老後は田舎の漁港の傍の小さな家で野菜を作り、魚を釣って、半ば自給自足タイプの生活をしたいと、おっしゃる方のお話を紹介した。チマチマした菜園よりは農園といった風のヨットマンが「わしの理想の老後の生活は水上生活だ」とおっしゃる。

 かって世界の海で魚を獲ってきた日本の遠洋漁船は規制の強化と競争の激化でその活動の場を失い、次々に減船されていった。そんな船は海外に売られたり、解体されたり、引き取り手のないものは港で朽ち果てて沈んでしまう。そんないらなくなった19.9トン型遠洋漁船を買う。

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 ヨットやモーターボートの20トンとは比べものにならない大きなボリュームの船体。南太平洋まで給油なしで行ける大きな燃料タンク。燃料効率の良い低速ディーゼルエンジン、強力な冷凍庫。しかし日本の船は漁船も含めて居住区は貧弱だ。トイレが無いのもあったそうだ。


 ボクの友人が北欧の漁船に電子機器のエンジニアとして乗り組んだときの話を聞くと「食事もキャビンもその待遇はちょっとした客船並だよ」と言っていた。コンテナ船もタンカーも皆んな「クルーを大事にする」と言う観点では北欧の船には負けてるね。  日欧船内比較をクリックして見て。

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 19トンクラスの小型マグロ延縄漁船もハワイ近海で操業しているアメリカ船籍の漁船は改装したらいいヨットになる船がありそうだ。居住区とブリッジを改装して、不要な漁労機器を取り外し空調設備を入れ、航海機器は最新の機器に入れ替える。船体を好みの色に塗り替え、新しいデザインの大漁旗と大きな鯉のぼりを掲げ、南の海に向け出航する。一通り航海してきた後は遂の住まいになる港に係留。船は動態保存状態で水上生活者の住まいになる。

 イメージはオランダの運河の岸にずらっと係留されているハウスボートかな、日本でも運河はあるが、しゃれた水上生活ができそうな所はなさそうだ。一番安全なのは管理のしっかりしたマリーナだろう。外国のマリーナではフネに住んでいる人も多いからね。

 朝は船べりを優しくたたく波音で目覚め、お気に入りのサロンのソファーで寛ぎ、遠くの桟橋で今日のレガッタに出るのだろうか、気合の入った声が聞こえてくるのを聞きながら、静かに朝食を始める。

 明日は久しぶりに昔の仲間が集まる予定だ。上等のワインとビールをたっぷりと積み、コックに転進した昔のヨット乗りが料理番だ。こんな時には特大の冷凍冷蔵庫がありがたい。

 昔から通い慣れた、何時の岬の奥の入り江に船を留め、宴会が始まる。暫くは近況報告だろうが、すぐに、わしが、俺が、ボクがと口角泡を飛ばして議論が始まる・・・。痛飲!
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 こんな老後も面白そうだが、子孫に美田を残したい人も、年金頼りのヨットマンもチョット無理かな。しかし、自分が稼いだお金は「生きてる間に全部使ってしまおう」タイプのヨット乗りの老後にはぴったりのように思う。
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by pac3jp | 2005-09-16 10:37 | ボート  

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