4,000トン吊起重機船「洋翔」を見学する
大きいはずだ、主要目から単純に計算すると最大荷重時の排水量が約3万トンになるもんね。

長 さ:120m
船体幅:44m
深 さ:7m
喫 水:5.7m(最大荷重時平均)
定格能力:4,000トン
巻上高さ:125m(前フック水面上)

この新しいクレーン船は長くて高いジブがフライングジブから折りたたみ出来、バックタワーとほぼ同じ高さ(58m)まで収納出来る構造を持っている。このような構造だと航路に架かる多くの橋梁の下も航行が可能になり工事受注のチャンスも増える?それに長距離の移動も楽になるのだろう。収納には画像手前の両ジブ走行台車のピンを外して船尾のほうに伸びた黄色いガイドレールにそって台車を移動させる。
甲板に装備されたウインドラス&ウインチ類は10t~100tクラスが18台もある。ジブ基部台車横にウインドラスが見える。


主巻ウインチ 能力:72t×20/40m/min ×4台
起伏ウインチ 能力:72t×20m/min ×4台
「洋翔」のウインチは全て油圧モーターで駆動される。操船ウインチやウインドラス、アンカーウインチは甲板に配置されているが、主巻きウインチ4台とジブの起伏ウインチ4台は屋内にある。↑画像は3番主巻きウインチ、荷重1,000t分を受け持っているのに72t用とは小さいなと思ったが、ウインチは滑車で20:1になっているのでパワーはこれでOKでとか。でも巻いてあるワイヤー64mmφもある立派なものが3000mも必要とか。
パワーのいる主巻きウインチ4台の油圧モーターに供給されるオイルはかなり温度が上がるのだろう。2番ウインチの右側にある大きなオイルクーラーで冷却されいる。(上画像の下)
主巻きウインチ室は公開されているが後部にある起伏ウインチ室と機関室は見学できなかったが、機関室には下記の設備があり440VのACモーターで大型油圧ポンプを数台?を駆動し、全てのウインチに分配しているのだろう。
この起重機船「洋翔」は合計5,600KVAと大きな発電能力を持っている。
主原動機:3,000PS×2基 発電機:2500KVA-440V×2基
補助原動機:360PS×2基 発電機:300KVA-440V×2基

ブリッジにはこのシステムのコントロールデスクがあるのだが関係者のみ見学可能らしく人影も見えたがボクは只の人なので不可。数多くのウインチをどうコントロールしているのか、それに油圧の系統や電力システムなど聞いてみたかったなぁ。
船を降りると休憩用のホールでは会社の紹介ビデオや所有船などの掲示物があり、詰めている中堅社員らしいスタッフに「洋翔」建造にに掛かった費用をお聞きすると凡そ60億円だということだった。高いのか安いのか分らないけど、年商の1/5の投資だなと思ったがマリコンのお仕事はお天気次第で採算が変わると昔からよく聞いたのでこのところ台風が来ないので業績は順調なのかもしれない。
神戸港には今日も仕事がないのか寄神さんの大型クレーン船らしき2隻が摩耶埠頭沖に泊まっているのが望見できる。どちらかが4100トン吊りの「海翔」だろうか。
【関連記事】:4,000トン吊起重機船「洋翔」を見学する Part2
by pac3jp | 2010-12-06 05:46 | 特殊船