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沖縄のサバニ

 サバニの速さは日露戦争・日本海海戦の「久松五勇士」の話からでも実証されている。地元漁船がバルチック艦隊を発見して、その情報を宮古島から石垣島の無電局に通報するのに5人の漁師が選ばれ、170kmの外洋をサバニで15時間も漕ぎ、平均速度 6.1ノットで走破したという。(有名な仮装巡洋艦「信濃丸」の「敵艦見ユ」の無電通報より2時間遅れたが、その努力は大いに賞賛された)

 ヨットの世界でサバニと言えば、91歳で、もう既にお亡くなりになったヨットデザイナーの元祖、横山晃さんが盛んに古代サバニ船型を応用したヨットデザインを発表されていた30数年も昔、興味があってKAZI誌やその他の記事をよく読んでいた。近くでノラ26など横山晃さんの信奉者達が建造するクルーザーを見かけることもあった。
 その後、国産ヨットビルダー勢は価格競争に敗れ、ヨットは輸入艇が増えてサバニ船型などすっかり影が薄くなってきたように思っていた。

 ボクも今まで沖縄の観光地に行くことはあっても漁港に寄ったことはなかったので、今やサバニ型漁船などもうとっくの昔に姿を消しているだろうと思っていた。
 ところが、北から最初に琉球文化圏に入る奄美群島・北端の奄美大島・古仁屋漁港で現役の小型FRPサバニ漁船を数隻見つけた。港に繋がれたほかの現役漁船の多くはヤマハやヤンマーが造るどこにでもある漁船だった。

 南隣の徳之島・亀徳港にはよく使い込まれたサバニ漁船がいた。画像↓

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 沖永良部島・知名港では木造のサバニが船台に乗っていた。エンジンを搭載したサバニは船底材(航)を延長したような物や艫の左右に付けられたプレーニングボード様の翼で船尾の沈みを防いでいるようである。エンジンの大きさによってその大きさは各船とも違うようだ。画像↓

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 奄美群島最南端の与論島・茶花港にはサバニ船型だが艫の形が少し進化したFRPサバニ漁船がたくさんスリップに引き上げられている。サバニ以外の漁船は殆ど海上係留されいるようだ。画像↓

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 これらのサバニ型漁船は波切がよく低馬力エンジンでもスピードは出そうだが、幅が狭く積載量と安定性が普通の漁船に較べて劣るように見えるので今後も減ってくることは予想されるなぁ。

 サバニ漁船の本場、沖縄・糸満では残念ながら漁港の見学はしなかったので、これから沖縄周辺の慶良間や久米島など離島に寄った時にはしっかりと見てこよう。

 一方、今月6月29日には伝統的なサバニを使い、帆漕で競うレースが開催される。座間味をスタートし、30数km先の沖縄・那覇港までのレースで、もう今年で10回目だという人気イベントに育ち30隻以上の参加があるらしい。 

【参考Web】:池川よっと工房 「サバニについて」

by pac3jp | 2009-06-01 09:55 | 漁船  

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