タグ:JMSDF ( 34 ) タグの人気記事

 

旧陸軍が運航していた船艇

近くのJMSDF阪神基地に年季の入った上陸用舟艇が停泊していた。
c0041039_8484792.jpg

LSU 4171「ゆら」 基準排水量590t / 全長58m・喫水1.7m / ディーゼル2×2 3000PS / 速力12kt / 20mm機関砲×1

 太平洋戦争が終わってから61年。毎年8月になると当時の話が色々と報道されるが、ボクはこの伝統的なスタイルをもつ小型の上陸用舟艇をみて当時日本軍がした上陸作戦を少しだけ調べてみた。

 戦前の日本の軍隊は敵前上陸作戦は陸軍の受け持ちだった。海軍は輸送船の護衛はするが直接上陸用舟艇で兵士と物資を送り込む任務はしなかったようだ。陸軍が本土から兵士と陸軍が開発した「大発(大発動機艇)」と称する(長さ15m・幅3.5m兵員なら70名、物資だけなら11tが積める)上陸用舟艇を一般商船を徴用した輸送船のデッキに積み、その他全ての物資を船で現地に運んでいた。そして大発などの上陸用舟艇は陸軍工兵隊が運用していた。

 作戦では、輸送船のデッキから大発を降ろし、海上で兵員や物資を積み込む作業をするが、風波がある状況では時間かかるので、陸軍は前もって兵員を大発に搭載したまま母船を発進できる神州丸を1934年(昭和9年)に造った。2000名の将兵を収容する設備と一度に1000名以上の兵員の上陸を可能にした今でいう強襲上陸艦を世界で初めて造ったのである。だが、同型船が実戦に投入されたのは10年後の戦争末期だった。

 日本の敵前上陸作戦は兵員が上陸した後、弾薬、燃料、糧秣等の物資が人力で陸揚げされるのだがその際、リヤカーが大活躍したそうだ。でも海岸に集積された物資は全く敵の攻撃に対して無防備だ。燃料や弾薬にに引火し苦労して運んだ物資が失われてしまう事も多かった。敵対するアメリカは自動車の国である。上陸用の物資はジープやトラック、又牽引用トラクターに引かれて上陸してくる。リヤカーとトラックでは全く勝負にもならない。

 そこで陸軍も海軍も輸送車両や戦車が揚陸できる大型の揚陸艦 LST LSMらを造ることにしたが既に敗色が濃くなってきた時期だった。制空覇権がない海でもう上陸させる戦車も車両もなくなっていたので、その機能を生かす事もなくただの輸送船になってしまっていた。陸軍も太平洋に展開する部隊に補給するため民間の輸送船をつかったが敵潜の雷撃で消耗が激しく最後は自前の潜水艦まで使って物資の輸送をしていた・・・。

 現在、上陸用舟艇の運用は海上自衛隊がやることになっている。LSTは空母型の「おおすみ」クラス(8900t)3隻が主力になっている。戦車と兵員は2隻のホバークラフト(ガスタービン 16,000PS/40kt)で揚陸し、物資はヘリで空輸する。

 画像の「ゆら」は舷側外板のへこみからも想像できるが、このフネは昭和56年の進水だということなのでもう26年も経っているのだ。でも喫水も1.7mと浅く平時の大地震など災害救援にぴったりサイズの輸送艦なので、小回りも効き使い勝手がいいのでしょうね。
[PR]

by pac3jp | 2006-09-08 08:55 | ウオッチング  

護衛艦「はたかぜ」見学(2)

 「はたかぜ」のデッキは見学者も多いが混みあうほどではない。さすが、対空・対潜ミサイルや5インチ単装速射砲の前には記念撮影をする人は多い。要所、要所には夏制服の士官・海曹士らが案内と警備に立っている。


c0041039_9164343.jpg ボクは大物兵装には特に興味がないので何か面白い物がないかな、と見ているとブリッジの後ろの通路で綺麗に磨かれた「時鐘」を見つけた。近所にいた隊員に聞いてみると「時鐘」はもう既に使っていないが、入港する時はピカールでしっかりと磨くそうだ。

 ブリッジに入るとチャートテーブルの壁に信号ラッパが掛かっていた。これも綺麗に輝いていた。これは毎日使っているよと、ご本人が説明してくれた。今年、5月に寄った呉港の朝、停泊中の自衛艦群の艦尾からラッパの音と共に上げられる軍艦旗の掲揚を思い出した。テープかとも思ったがナマ演奏だったらしい。

c0041039_9173757.jpg 艦内の見学をしていると各所に防水区画のハッチがある。このハッチのレバー座も真鍮製だ。きっちり磨いて薄くグリースが塗ってあった。なおも歩いていると艦内通路には大小のパイプが天井や壁にそって配管してある。そして短い間隔で消火ホースが束ねてある。狭い艦内で消火活動に便利なようにだろうか、ホースの先には短い筒先が付いている。これもピカピカだ。真鍮モンは磨くモンだと、子供の頃お祭の前に屋台の担ぎ丸太の飾り金具を真鍮みがきで磨かされたこともあった。


 ブリッジ内でボクの知ってるものは、フィックスの国際VHFとヨットでも近海を取ると必要な双方向ハンディ無線機が2台壁のラッパの横に取り付けてあり、チャートテーブルにはFURUNOのGPSがあった。だが、ここではとっても便利な電子チャートシステム(ENS)は見当たらなかった。商船と違い航海科士官の人手不足はないのだろう。奥にヘリ運用艦に必須のフィン・スタビザイラーの操作盤がある。

 艦尾のヘリコプターデッキに出た。この艦はヘリの搭載はしてないが発着艦はできるそうだ。でも、「大砲」の砲身が出ているし、狭くて難しそうだネ。
 
 デッキから右舷の海面を見るとかなり大量の海水が出ている。ジェネレーターの冷却水にしては多いなぁと思い聞いてみると、艦内消火システムに常時海水を循環させているとの事。建物等の消火ポンプは火事になってからポンプは動き出すが、さすが、弾薬を積んでミサイルが飛んでくる中を行動する戦闘艦である。弾が当たれば大火事だ。そんな準備はダメ・コンでは当然か。


c0041039_920053.jpg 見学コースのデッキで直径250mmくらいで太いが短いホースが壁に固定されていた。その周りの壁にはやけに多くのアイやクリートがついている。聞いてみると、洋上で燃料の補給を受けるホースとの事。さすが太いパイプだ。横に並んだ補給艦からワイヤーを繋いで航行しながら給油する。報道写真では見た事はあるが、波の高い外洋では大変な作業だ。今もインド洋では「無料のガソリンスタンド」と野党やマスコミから酷評されながら、米英軍らに洋上補給をやっているんでしょうね。


c0041039_9212046.jpg でも、「ミサイル護衛艦として最新型コンピュータを駆使し、空中、水上及び水中の脅威に対して迅速に対処し得る最新鋭艦であります。」と、パンフに書かれたその軍艦色に塗られた鋼鉄の塊の艦内に、しめ飾りがかけられた白木の神棚があった。ご神体は金毘羅さんですか?とお聞きすると艦の母港、横須賀の神様だとのお答えだった。

 自衛艦もやっぱり船玉様の伝統につながる日本の船だった。
[PR]

by pac3jp | 2006-07-21 09:34 | ウオッチング  

護衛艦「はたかぜ」見学(1)

 神戸港の東外れにある海上自衛隊阪神基地隊は通常は掃海艇の基地である。いつも岸壁には2~3隻の掃海艇が係留している。梅雨の合間の暑い土曜日、岸壁係留中のDDG「はたかぜ」の見学に行って来た。

DDG「はたかぜ」 主要目

準排水量:4,600t  c0041039_8232466.jpg
主要寸法:150x16.4x9.8x
4.8m(長さ、幅、深さ、喫水)
船 型 :平甲板型
主機械 :ガスタービン
      4基・2軸
馬 力 :72,000PS
速 力 :30kt

主要兵装 : 高性能20ミリ機関砲x2 54口径5インチ単装速射砲x2
      誘導弾発射装置x1 SSM装置一式 アスロック装置一式 
      3連装短魚雷発射管x2
定 員 :260名
就 役:S61.3.27

 この軍艦は全長150m、4,600トンの艦体を30ノットの戦闘速力で航走する為にはCOGAG方式ガスタービン4基で72,000PSの出力が必要だ。ガスタービンとはジェットエンジンのことだが、燃料は高いジェット燃料でなくて灯油を使っているそうだ。
 機関室の見学は出来なかったが、デッキ下の通路からエンジンのコントロールルームが見えたので声を掛けてみた。コントロールデスクの中ほどにエンジン操作レバーが2本出ている。ブリッジの速力通信器からの信号によって、これで2軸の出力を調整する。大型ボートのエンコンレバーよりは大きいがそう変らない大きさだ。前面パネルは照光式でやや古臭いが、20年前のデザインだから当然か。搭載されているエンジン、巡航用のスペイ×2とコンバットスピード用のオリンパス×2のガスタービンは煙突付近のハッチから短時間で取り外して交換出来ると言っていた。

 高性能な軍艦にはその攻撃や防御システムを駆動し、維持管理するための多くの電力が必要だ。DDGの対空・水上・水中へのミサイルをコントロールするためには各種コンピュータが欠かせない。そのコンピュータが正常に稼動する為の冷房が必要になってくる。この艦には4基の発電機があり合計の出力は4,500kwだとか聞いた。この数字は太平洋戦争中の超ど級戦艦「大和」の4,800KWと同じ位だといわれている。ちなみに当時、戦艦「金剛」は1,350KW、重巡「最上」は1,450KWだった。駆逐艦は220KW~380KWだったとされている。
 確かに昔に較べればフネの大きさの割には乗員は少なくなっているが、こう見ると昔の軽巡洋艦位だろうか、現代の護衛艦は沢山電気を喰うもんだね。
でも、ブリッジの操舵卓の脇に安物の扇風機が置いてあった。そこは風通しが良いので冷房はないのかなぁ、と思ったりしたが・・・。


c0041039_839948.jpg 桟橋から艦首方向から見ると、この軍艦の艦首アンカーは左舷から1個とステムから1個の計2個であるが、左右ではないのだ。商船は左右均等についている。他の軍艦の写真を見ても商船と同じタイプもある。いろいろ見ているとどうも、バルバスバウタイプのソナーを装備した艦はアンカーチェーンと干渉しないように左右につけないのだろうとボクが勝手に判断した。アンカーリングした空荷の本船のバルバスバウにチェーンが擦っているのを見た事がある。ソナーは大切な対潜兵器だ。大切にしなくてはね。


c0041039_12104753.jpg バウを横から見ると商船と同じ喫水標が入っている。ステムの喫水標の読みはは5.1mだが、4m位後にも数字が打ってある。7.8mである。どちらが本当の船体の喫水だろうかと迷ったが、4,600トンのフネには7.8mは深すぎる?ので多分、5.1mだろうと判断した。だが、あとで調べると、前は艦のベースラインからの喫水で後はベースラインから下にあるソナーからの喫水であるとわかった。艦尾にはプロペラの喫水が書いてあるのだろう。 
画像をクリックすれば大きく見えます!

 普段は小型のヨットに乗って楽しんでいるが、たまにはこうして、中身の詰まったフネに来て、ああだ、こうだと、見て歩くのは本当に楽しい。次回は艦内で見掛けた気になる装備・その他について書いてみようと思っている。
[PR]

by pac3jp | 2006-07-19 08:54 | ウオッチング  

アメリカ大陸を爆撃した潜水艦


c0041039_8305728.jpg
 呉市の大和ミュージアムでは旧海軍呉工廠で造られた艦船をパネルやモデルで展示している。メインは勿論、戦艦大和だが見学していると伊401号潜水艦のモデルがあった。前方デッキのカタパルトに攻撃機が2機搭載さている。これらの攻撃機でアメリカ本土に爆撃を加えようとする計画で製造された巨大な潜水空母で基準排水量3,530トン、全長122mで航続距離が14ノットで42,000浬。攻撃機「晴嵐」3機を搭載している。
 だがこの潜水艦は戦争末期の昭和20年に2隻が就役したが結局、戦局を変えるような戦力にはならなかった。

 この巨大な潜水艦を計画するきっかけになった戦勲をあげた潜水艦があった。伊25号がアメリカ本土の沿岸砲台を砲撃し、搭載されている水上偵察機がアメリカ・オレゴン州の森林を2回に渡り焼夷弾攻撃をしたのだった。
(伊号第25潜水艦乙型 全長108.7m 基準排水量2108トン 16kn-14,000浬 乗員94名)

 アメリカ本土を直接攻撃する為に風船爆弾を作って、というのは聞いたことはあるが、潜水艦とはいえ軍艦の艦載機で実際に爆撃したとは痛快だ。結果、双方に怪我人もなく火災も大したことなく、アメリカ人がビックリしただけだったが当時の日本人は大喜びしたのだろう。
詳しくは参考ホームページ「アメリカ大陸爆撃物語」をご覧ください。

 大西洋でドイツ海軍は小型のU-ボートを群狼のように使い、英米間の通商破壊に戦果を上げたが、日本海軍の潜水艦は大型で偵察機を搭載したものも多く、運用も艦隊付属で運用されたので輝かしい戦果は少なかったようだ。敗戦直前の大型潜水艦は回天等の特攻潜水艇の母艦として使われていた。

 余談だが、昔、仕事でお付き合いのあった人から「俺は陸軍の潜水艦乗りだった」と話を聞いたことがある。当時は信じられなかったが、南方の諸島で戦っている陸軍将兵に食料や武器の輸送が必要な為、魚雷などの大物兵装のない300トン弱の「ゆ1型輸送潜水艦」を陸軍が運用していたと記録にあった。
[PR]

by pac3jp | 2006-05-19 08:34 | 徒然に