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もう整備の季節がきた?

c0041039_9532553.jpg 11月に入り朝晩はチョット涼しいが、日中はまだ寒くはないし、暑くもない。海の遊びも一番いいシーズンのように思う。陸では美しい紅葉を、そして食欲の秋、おいしいものを訪ねる絶好の行楽シーズンだが、お隣のヨット泊地ではもうセーリングのシーズンは終わり、整備の季節に入っている気の早いヨット乗りがいらした。

 彼のヨットは古いヤマハ30。「スカンピ」といったほうが良く分る往年のレーサーである。この時代のヨットはチャートテーブルはあってもキャビンテーブルはないか、あってもごく小さいものでキャビン内で宴会をしょうとしても料理やお酒を置く場所がない。前のオーナーが作ったテーブルもあるが、今回オリジナルのキャビンテーブルを作る計画らしい。
 ホームセンターで合板と枠に使う木材を買ってきた時、そんなお話しを聞いていたが、先週末にお会いするとテーブルトップがもう粗方出来ていて、ニス塗りに掛かっていた。今日は3回目のニス塗りなんで、今からペーパーで研磨するのだといってゴシゴシと作業を始めた。

 出来栄えを拝見すると、中々上手く出来ている。枠の額縁にも隙間はないし、板と枠の材質が違うのにニスを塗っているのを見るとちゃんと同系の色になっている。最初に素地に着色するのが下塗りのポイントらしい。枠は何を使ったのとお聞きすると「松ですよ」とのお返事。近くに残っていた木製ブームの残材を貰ったようだ。

 テーブルの裏側も見せてもらうと合板の木口が見えないように作ってある。これは大分、プロの手が入っているなと思ったが、彼の前の作品は「カーブのついたティラー」だったのでその後、腕を磨いたのかも知れない。

 キャビンでの取り付けはテーブルの一方をマストで支持し、もう片方はフロアーに固定されるのだろうが、出来上がったら是非見せてもらいたいと思っている。

 でも、まだ春までは先が長い。次の大物工作の一つや二つはチャレンジする時間は充分ありそうだ。頑張ってね!
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by pac3jp | 2007-11-09 09:56 | ウオッチング  

チークデッキをはる

 客船のプロムナードデッキなどよく手入れされたチークデッキを裸足で歩くのは気持ちが良かったと、クルーズの体験談などによく書いてある。ヨットでもデッキにチークを張ったフネはあるが、狭いデッキにデッキ金具がアチコチに付いているので航海中に裸足でデッキを歩くのは危険だ。でも港で寛ぐときは真夏のデッキでも素足で歩けるしデッキ材としては最高のものだろう。

 少し前、新艇にチークデッキを張る工事を見学させてもらったので作業の概要などを紹介しよう。工事をするフネは45フィートのモーターボートでアフターデッキをチーク張りにする。

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●1.まず、幅広いチークの柾目厚板から10mmの厚さに挽く。そして片方に目地用の切欠きをいれる。これは直線用の部材になる。

●2.幅の広い薄板はカーブしている部分を切り出す板材である。

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●3.ブルワーク上は幅広い板を張ってゆく。

●4.デッキ部分はチークを張った後でレベルが揃うように金物高さを調整してから、コーナー部分から寸法を合わせ仮留めしてゆく。

●5.チーク材をデッキに仮止めするために使う錐先。下穴と木栓用の穴を一度に開ける。

●6.ファイティングチェアーベース付近の仮留め作業中

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●7.カーブに合わせて目地のスペースを考え仮貼り付けしてゆく。

●8.デッキの全景。ハッチの丁番部分やデッキブレートなど細かい細工がいる場所も多い。

●9.これでアフターデッキのチーク材の仮貼り付けは終わった。これから全部の部材を取り外して、再度、FRPの床に接着材をつけて仮付けした位置に取り外したチーク材を又貼り付けてゆく。
張り終わると全部のビス穴には木栓が打たれる。それから目地を入れ、デッキ面を仕上げる。

●10.出来上がったアフターデッキ。ファイティングチェアーが既に取り付けられている。

 
 キレイに張られた新品のチークデッキは素晴らしい。このデッキがカジキマグロの血で汚れるなんてボクだったら耐えられないが、大物釣師の気持ちはよく分らないなぁ!

 ヨットでも新艇にオプション設定があればビルダーでデッキにチークを張ってくれるがビルダーによりその材質や厚さやはまちまちだ。このモーターボートはチーク厚さ10mmだったが、Oヨット社は6mm、Hヨット社は12mmと様々だ。

 でも、ヨットやボートのデッキが露天甲板であることが理解できてないビルダーもあった。ボクが見たのはデッキにチークの薄板を合板に張付けた物を使っていたのがあった。それは数年もすると強力な紫外線と潮風に晒され表面が剥がれて無残な状態だった。デッキブラシでこすったりするともっと早くボロボロになるね。

 まぁ、チークデッキを張るなら、値切ってなんて思わず、奮発していい材料を選び、ちゃんとした工法でしっかり作ってもらったほうが後々安心ですよ。
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by pac3jp | 2007-06-11 11:00 | ボート  

自作のキャビンテーブル

c0041039_744279.jpg 昔から良く知っているお仲間のフネでキャビンテーブルを作ったよと聞いたので早速拝見させてもらった。

 クルージングタイプのセーリングクルーザーなら今や大抵のヨットにテーブルは標準装備で付いているが、レースヨットには優先順位が低い割りに重いので最初からついてないヨットもあった。彼のフネはそんなヨットだった。今はそうレースに出ることもなくなったので逆にテーブルの重要性が増してきたようだ。そして、ウン10年間も使うことがなかったオーパイを最近「遂に買ったで!」とおっしゃっていらした。

 そのテーブルはマストを片方の支柱にし、収納もマストに折りたたむ形のバタフライテーブルだった。ヨット大工さんがチーク材を使い気合を込めて作ったテーブルもあるが、オーナーがホームセンターで入手した材料で作ったテーブルだが、中々の上出来である。テーブルの周囲に落下止めのチークのトリム材がつ付けられ本式に仕上がっている。塗装されているニスが薄いように思ううが年季のはいったキャビン周りの木部と釣り合いを取ったのだろう。


c0041039_7453216.jpg テーブルの左舷側にはチャートテーブルがある。ここが近年このフネで最高に変わってしまった場所だ。オーナーがヨット遊びの目標を変えた?からだ。元々、Mac使いでパソコンの名手だったが、数年前に電子チャートに関わったことから急にヨットの電子化が進んでしまった。チャートテーブルの前面には情報表示の17インチ液晶ディスプレーがある。これで電子チャートは勿論、気象FAX、インターネット、VTR、DVD、テレビ画面が表示される。インターネットはヨットクラブの高速無線LANを受信し、艇内のメイン及びサブパソコン・プリンタなどはインサーネットで繋がっているという。

 チャートテーブルにはノートパソコンが木製のケースに収まっている。キーボード操作が必要なければこのままマウスでPCを操作できる。不用意にキーに触ったり、モニターが邪魔になったりしないのでチョット便利な使い方。液晶ディスプレーの左上には気象FAXの受信用に広帯域レシーバーが取付けられている。テーブル上の壁面にはコンポが収まり、お気に入りの音楽が、またTVやDVD、GyAoの音声もここから流れてくるのだろう。
 そして、天井には遠距離用無線LANアダプターが、チャートテーブルの片隅(画像右下)にはGPSセンサーが埋め込まれていた。

 ボクと違い彼はお酒を全く飲まないヨット乗りなので、キャビンに作ったハイテク書斎でコーヒー片手に電脳機材の整備や仲間からよく頼まれる海系ソフトの検証等をしながら自由の身なった暁には「ず~っと遠く」に出掛ける計画を密かに練っているのかも知れない。
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by pac3jp | 2007-06-01 07:52 | ウオッチング  

カーブのついたティラーを作る

 ボクが前に乗っていたヨットはティラーで操船していた。トランサムのラダーヘッドから伸びる真直ぐで、それもアルミパイプ構造で軽量化されたものだった。当時は特に気にもせず使っていたが、いま、ちょっと古いヨットなどでコクピットの床から優美なカーブを描いて立ち上がっているティラーに魅力を感じるようになってきた。

 そんな時、もう大分古くなってきた最初のヤマハ30。ピーターノーリン設計、通称「スカンピ」のティラーを新しく作っているので見せてあげると、そのオーナーさんがあら方出来上がったティラーとその積層型を持ってきてくれた。それはチークと赤松の薄板を交互に貼り合わせて美観と強度を兼ねた美しいカーブをもつティラーをつくる木型だった。ボクには、まずこの木型作りだけでも手こずるね。

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 製作はチーク薄板7枚と赤松の薄板7枚の合計14枚の板を型にあわせ、エポキシ接着剤で交互に張り合わすことから始まった。オーナーはこの工程が難しかったとおっしゃるが、もっと難しい作業はお手伝い兼技術指導の先生が見かねて?やってしまったのかも・・・。

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 幅広く積層された部材をラダーヘッド側から握り手にいたる側面を罫書(ケガキ)き、帯鋸で挽いてゆく。同じく中央部分から下面を握り手まで予定の寸法に罫書き、同じく帯鋸で荒挽きする。その後、仕上げカンナで削りペーパーで念入りに磨く。

c0041039_10285467.jpg 後工程はラダーヘッド金具の取り付け穴を開け、二液性のウレタンニスを塗り、乾くとペーパーを掛け、またニスを塗る。今回は合計12回クリアーニスを厚く塗って仕上げた。この位の大きさは屋内でも作業が出来るのでニスを塗っていてもそう苦労はない。

 前に付いていたティラーと較べてみると木目の取り方が違う。新しい方はティラー上部は全面チーク部分が出ているが、古いものは上部にも下部と同じ様なコンビの削り面が出てしまい少し不細工。

 後はヨットに取り付けるだけだが、コクピットにニスが輝く優美なティラーが付いていると、ヨットの値打ちも一段と上がるとゆうモンですね。ご苦労さんでした!!
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by pac3jp | 2007-03-05 10:35 | ヨットの艤装と艤装品  

木製ブームのスカーフ継ぎ

c0041039_912635.jpg 前に太い木製ブームが折損したとの記事『折れたブーム』を書いたが、修理が進んであらかたブームとして形をなしてきたので少し工法など簡単に紹介したい。

画像は折れてしまったブームのクリューの部分だ。工事はこの部分を節のない赤松でスカーフ継ぎで復元させることである。

c0041039_1045293.jpg 工事計画ではまず、赤松の割り材で45cm×45cmの角材に挽き、仕上がったときの反り具合と削り出したときに外部に露出する部分が柾目になるように4枚の厚板に積層することから始まった。



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 まず、本体ブームの半面を荒削りする。中心部を段削りし、外側になる部分と継ぐスカーフを削る。スカーフ継ぎは厚さの8倍以上のの接着長さが必要といわれている。





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 芯部分の厚板が接着され、外側部分の厚板が裏返しでスカーフ削りされている。すりあわせをしてスカーフ部分と芯の厚板がブーム本体とエポキシ樹脂で接着される。





c0041039_9133974.jpg ブームの半面が出来上がれば反転させて同じように段削りをし、スカーフ削りで同じように接着して四角い形に造る。そこで金具の取り付けに必要な貫通ボルトの穴を開けるのだ。(円材になってしまうと正確に多数の穴を開けるには難しい)
ブームエンドは最終的に長さを決めるので余裕をもって長くとる。エンドの支えにも有効である。

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 ブームに上下のスカーフ長さの違いに注目。
 







c0041039_918441.jpg ブーム中央部の補修。ブームエンドが折損した時、そのストレスが中央で最大になり部材が裂けた部分があった。削ってみると以外にも金具の付いてないブーム中央部は中空構造になっていたそうです。こんな重いブームでも出来る限り軽量化が図られたのでしょうね。



c0041039_9224280.jpg 貫通穴が開けられたら荒削りされ、そのあと円材としてスムースなカーブに仕上げされる。また移設される金物やブームエンドの金具が付く部分は細かく調整し削り出される。






c0041039_9235816.jpg まだこのブームについていたケヤキ製のシーブケースなど小物の付属品は出来てなかったが、近くすべて出来上がるだろう。修理を担当したヨット屋さんによると、部分的に修理するより新品を造った方がずっと簡単だとおっしゃっていた。でも船齢100年にもなるクラシカルなスクーナーはもう立派な文化財である。修理して正解。しっかりとオリジナルは残すべきですね。

 やがて修理されたブームが装着された大型ヨットが大阪湾でも華麗な帆走を見せてくれることもあるだろう。大いに楽しみである。
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by pac3jp | 2007-01-19 09:49 | シーマンシップ  

マストが折れていた!

 そのヨットはここのハーバーに係留する多くのヨットの中で木のマストを持っているたった3隻のヨットの1隻であった。

c0041039_9512852.jpg ハーバーのヤードにスプレッダーの上から3本に折れてしまったマストが艇の横に置いてあった。そのマストは船齢60年~70年はなろうかと思われる古い木造ガフリグスループのものだ。このヨットは10月の終わり頃、ハーバーの開港記念レースに参加すべく他のヨットと一緒に出港していった。でも後で聞くとどうもスタートをしなかったようだった。当日は微風のレースなのにどうしたのだろうと思っていた。


c0041039_952855.jpg 折れたマストの折れ口を見ると裂けたような割れはない。接着剤が着いている部分もあるが、木材の強度が無くなってしまってポッキリと折れたようになっている。他の部分も同じような断面だ。全体を観察するとマストのスプレッダー下の部分はスカーフ継ぎされた木質が新しい。でも上部はニスが薄くほとんど切れかかっているように見える。マストを支えるスプレッダーは紫外線や雨水に対する面積が広いのでより激しくニス切れがあり、木質に腐朽部分がある。

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 木製のクラシックなヨットは紫外線と雨水に大変弱い。建造方法にもよるが上架中の乾燥にも弱いタイプもある。そんなヨットをメンテナンスするのは手間暇がかかるのだ。毎日、デッキの点検から始まり、キャビントップの塗装は大丈夫か。マストやスプレッダーにニスの剥がれはないか。ハルに擦り傷はないかと気を配る。気になる箇所は素早くタッチアップしておくことが必要だ。雨水がデッキ裏に入ってしまい、天井から雨漏りするようではもう既に重症になってしまっている可能性もある。マストやスプレッダーのニス切れを見逃すとやがて上の画像のようになってしまう。

 このマストをオーナーさんがどう修理するのか知らないが、風情のあるクラシックなヨットにアルミのマストは似合わない。昔通りの木製マストに復旧させてもらいたいものである。前にもこの港に同じような状況になったヨットがあった。だが、オーナーはアルミマストにしてしまったのだ。外野席からとやかく言うのもおかしいが、クラシックヨットは文化財を所有しているのと同じなのでそれなりに社会的責任?があるのかも・・・。

 ボクもクラシックで優美なヨットに魅力は感じるが、それを整備し維持してゆく資金も技量も、はなからないので傍で見せてもらうだけで充分だね。
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by pac3jp | 2006-12-08 10:02 | ウオッチング  

木のマスト

 昔から高いマストは帆船のシンボルである。弁財船は一本マストで南蛮船は3本マストだった。当然、材質は木だった。長い間帆船は木製マストが使われてきたが良材の不足と工業の発展によって新しいマスト素材が現れ、鉄から鋼鉄へと変っていった。やがて帆船の時代は終わったが、マストはヨットのシンボルとして生き続けてきた。だが、木製マストにこだわったヨットは接着剤の助けを借りて、複数の木材を積層し要求される強度を確保したマストを造った。でも近年、殆どのヨットが高い工作技術が必要な木製マストより大量生産可能なアルミ素材に変ってしまった。

c0041039_1305436.jpg ヨット乗りの間でも有名な野本先生の「春一番」は初代も2世も木製マストだった。マストの起倒方法やニス塗りの記事をよく読んだ記憶がある。でも、木製マストは本当に減ってしまった。このハーバーでもボクが知っているのは3隻だけだ。1隻目はハーバーウォークからでも良く見える佐野造船24fの「佳世」さんである。このマストはいつもきれいにニスが塗られていていて手入れも良い。
ハーバーを写生に訪れる人たちに一番人気があるヨットでもある。




c0041039_1312598.jpg 2隻目は陸置の木造セミロングキール、ガフリグのスループでニスを塗った短めのマストが立っている。このヨットは船齢は高いが、昨年、ここのレースで勝ったとか聞いた。仲間のYAMAHA28Sはしっかりと負けたそうだ。
ヨットは古くても手入れが良ければ、セールとクルーの腕で結構それなりに走るもんですね。


 もう1隻はご近所の「YamatoⅡ」(画像は↓)30年以上前だろうか、フジヨットの前身の造船所がアメリカ向けの輸出用ヨットとして造られ、アメリカで長らく乗られてきたケッチである。最近になって今のオーナーがアメリカからそのスタイルに惚れ込んで買って来た。日本に今でもあるフジ32と同じようなデザインだ。このケッチにも2本の木製マストが立っている。残念ながらこのマストはニスの上から白い色にペイントされている。チョット見ただけでは白っぽいアルミマストに見えるがマストトップやスプレッダーのマスト金具が木製マスト用の金具である事からわかる。

c0041039_137219.jpg 古いヨットの木製マストをどうメンテしてゆくかだが、ニスは紫外線に弱い、数年に一度は古いニスを全部剥がして新しいニスを塗らなければならない。これがまた手間暇が掛かるのだ。また、木のマストは重量を軽くする為に芯の部分は空洞になっている。でもその空洞の部分に結露が生じ、内部から腐ってしまうこともあるらい。その点検も怠れない。
 裸になったマストを点検し、マスト・ブームにしっかりとニスを塗った後、ペイントで上塗りする。あのアメ色に光るニスの輝きはないがマスト塗装は確実に長持する。古い木造ヨットを持っていると手入れの要るのはマストだけではないのだ。
 「デッキもハッチもエンジンもと際限なくやる事は出てくるんだよ」と古てのヨット屋さんが言っていたなぁ。

 ヨット・ボートの専門誌の老舗「舵」誌は昭和7年6月創刊だ。当時(1932年)にもヨットやボートがあり人々はそれを楽しみ、そして雑誌を買う人たちも居たわけだ。当時のフネが今残っているかどうかボクは知らない。だが42年前(1964年)奥村ボートで造られ、日本一周航海をした神田夫妻の木造ヨール「アストロ号」を近くで見かけた時、ああ、きっと誰かがレストアして大切に乗っているのだろうと思った。
 アメリカでは古いヨットも比較的多く、マリーナではそんな古いヨットがチャンと整備されて使われているのをよく見るよ、と外国のマリーナ事情に詳しい友人が言っていた。

 優美なスタイルを持つクラシックヨットは素晴らしいが、その面倒を見てあげるのにオーナーの皆さんは人知れず大変な努力をしているんでしょうね。
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by pac3jp | 2006-10-04 13:28 | ウオッチング  

折れたブーム

c0041039_175105.jpg いつもお世話になっているヨットヤードに寄って見るとやけに太くて長い、木製マストのような円材が作業台の上に載っていた。最大太さは25cmくらい。長さは12~13mだろうか。皮を剥いで日に晒した杉の丸太のように木肌がそのまま見えている。

 良く見ると巨大なブームだった。グースネックが付いているし、メンシートの取り付け金具も付いている。アウトホール金具が見当たらないと思っていると、無残に折れてしまった残骸が床に転がっていた。ここでこの巨大な木製ブームを修理するために作業台に据え付けられているのだった。

 
 折れた部分を修理する段取りの為だろう、ブームの断面がスパッと切ってあった。この部分は9本の角材を集成して出来ているようにボクには見えたが正確にはわからない。でも木目の方向に規則性があるのでブームに掛かる荷重の方向も充分考慮して造ってあるのだろう。

c0041039_178213.jpg なおも断面を見ていると衝撃によって木材が裂けているが、接着部分の剥離はないようだ。充分強固に接着されているようである。この方面に詳しい友人はエポシキ接着剤だと言っているが、このブームが付いていたヨットは船齢100年近い木造のスクーナーだ。その時代にエポキシ樹脂はなかっただろう。そして、グースネックをはじめ金物は全てステンレスだ。勿論、進水当時はこれもなかった。

 ブームを見ながら思った。戦争の20世紀、激動の100年を生き延びてきたヨットだ。ブームの2~3本替わっていても不思議ではない。1910年アメリカの大富豪がプレゼントのために建造し、当時、アメリカのヨットレース界を席巻し、いつの頃か知らないが、イギリスに売られ、1992年バブルの日本に回航されてきたのだった。

c0041039_1791692.jpg そこで、ブームが作られた年代だが、日本で新造してないので1992年に日本に回航される前であることは確かだ。しっかりと造られたブームは手入れを怠らなければかなり長持ちする。ステンレスとエポキシ樹脂がヨットの製造工程に取り入れられた1960年代?頃から逆算すると15年前から40年前の間かもしれない。中を取って25年前にしとこう。

 ・・・ボクのあてずっぽう年代推定でした。

 このブームの補修用の材料として赤松の割り材が用意されていた。時々覗いてみて本職がするの円材のスカーフ継ぎ工法や木と金具の納め具合も勉強させてもらおうと思っている。
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by pac3jp | 2006-08-21 17:13 | ウオッチング  

コンパニオンハッチの差し板

 ご近所で今、自艇で使っているオリジナルの差し板が古くなってきたので作り替えたいとおっしゃるオーナーがいらした。だが、もう大分たつのに未だに古いままだ。お聞きすると、ホームセンターで板材が売ってないからとおっしゃる。まぁ仮にもチークのつき板は銘木合板である。ホームセンターでは値段が高過ぎて多分売れないんでしょうね。

 ハーバーにおいては、コンパニオンウェイはヨットの玄関でもあり、差し板は玄関ドアである。不法に侵入しようとする者からスライディングハッチと差し板でがっちり固め、ヨット内の乗員と財産を守らなければならない。
 航海中は大波が次々とコクピットを襲う時、その海水の塊からからキャビンの乗員を守る。また穏かな海ではキャビンの換気とデッキへの出入りを容易なものにしなくてはならないなど大事な役目を果たすドアである。

c0041039_9514911.jpg 泥棒対策には頑丈な厚手の板材で造ったものがいい。ステンレスのストラップも防犯には有効だ(左画像の上)。

 昔、キャビンの入り口が瀟洒な鎧戸のドア(左画像の下)になったヨットに泥棒が入った時、泥棒は破り易いガラリを壊して中側の錠を外した。盗られたものも残念だがそのオーナーは扉の修理費に泣いていた。


 最近のプロダクションヨットはコストの削減でか、手の込んだ木工製品より厚手のアクリル製が多くなった。スモークが入っていても夜間は外から見えてしまいプライバシーに問題もある。 また大抵は一枚ものなので、半分だけ締めたい時に都合が悪い。もしこのタイプのヨットで外洋を航海する予定があれば、丈夫な板で作った3分割の留め金付きの差し板を用意したほうが良いね。

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 上の画像は近く5回目の小笠原クルージングを予定している34fクルージングヨットの差し板である。多分に外洋指向でお洒落な感じは一つもないが質実剛健なつくりである。厚さは2枚合わせで25mmくらい、材質は普通の耐水合板だろう。ニスとペイントで塗り分けされしっかり塗装されている。キャビン側には外洋航海には必須の抜け落ち防止のショックコードでがついている。

 ものの本によれば荒天用の予備の差し板には、もしもの時にキャビンに浸水した海水を排水する緊急用ポンプのホースを引き出すトラップのついた穴を開けておくと良いと書いてあった。だが、このフネはもっと進んでいる。もしもの時の浸水対策は浸水警報から始まる排水システムがちゃんと構築されたていると聞いている。

 だが、内海や沿岸をボチボチと航海するヨットはやっぱり見た目も綺麗な方が気持ちが良い。割合小さい物なので自作も可能だが工作が苦手な人でもニス塗り位は出来るだろう。
 しっかりと塗ってピアノフィニッシュに仕上げて見よう。コックピットが一段と映えること請け合いだよ!
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by pac3jp | 2006-03-27 10:01 | ヨットの艤装と艤装品  

船を飾る

 どんな人でも新しくヨットやモーターボートを買うとき、ずーっと心に描いてきたマイドリームボートを実現しようと考えるだろう。

 マイボートで大海原に乗りだしてゆく人、近くの海でお仲間と楽しく遊ぶ人、浮かぶ書斎にする人、フネにはそれぞれの楽しみ方があり、フネはまたそのオーナーの思いが醸し出す色んな雰囲気をもっているもんだ。

 先日、季節外れの暖かい日差しの中、アフターデッキで気持ちよく、居眠り中のボートのオーナーに声をかけてみた。彼のモーターボートはチョット小ぶりだが、フランス製の小粋なボートである。魚釣りはしないだろうか、釣りの装備は見当たらない。

 ボートやヨットには多様な遊び方があるが、自艇に安全性や航行性能を増す装備を装着したり、運航に便利な道具を作ったりする人も多いが、このボートは少し趣が違うようにボクは思った。
 ポンツーンに舫ったボートを外から眺めたり、キャビンで寛ぐときにオーナーが最高に楽しめるように作りあげられつつあると感じる。レーシングヨットとは全く対極に位置するもんだね。沖から帰ってきたレースボートの中で寛ぐ人はまずいないもの。

c0041039_10122420.jpg このボートのキャビンはオーナー手づくりのグッズや、木工作品があちこちに置かれ、あるいは壁には取り付けられている。

 ←画像はボクが面白いなと思った照明器具2種類だ。ガラスのスタンドは彼がかってヨットレースで優勝したとき貰ったカップだったそうだが、底に穴を開けて電球が入り、かっこいいスタンドライトになっていた。台座は座りの良い別のチーク材のものに変えられたが、記念の優勝レース名を記したプレートはしっかりついていた。
 画像下はブラケットライトだ。舵輪型の真鍮ベースは廃物利用。電球の直射光は目に眩しいので前についているヨット型の遮光板をつけた。これはステンドグラスの手法で作られているのだ。楽しみながら作ったことがよくわかる作品である。

c0041039_10152567.jpg また、右の画像はボートのアフターデッキに小型モーターボートの常として家庭用エアコンの室外機がついているが、これもちゃんと木製のデッキテーブル兼用のカバーが装備されていた。木製のグリルはエアコンの排熱の吹出し方向を下向き変えたかったそうだ。

 その他、彼の製作した色んな作品を見せていただく。フネは造船所から引き渡されたときは真っ白いキャンバスだと彼はいうのだ。そして、オーナーはその白いキャンバス上に構図を考え、自分の感性が選ぶ色を塗り重ね、じっくりと仕上げてゆくだと。

 新しいアイデアを検討し、製作して実際に使ってみる、あるいは見栄え好く飾ってみる。そして、フネに来る友人や仲間が褒めてくれたら又嬉しいもんだ。

 なんか、ボクにも創作意欲が沸いて来るような気がしてきた。
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by pac3jp | 2006-03-03 10:25 | ボート