タグ:ヨットの舵 ( 13 ) タグの人気記事

 

クルージングヨットの舵(1)バランスドラダー

 舵はヨットの進路を定め、船体運動のバランスを取る重要な部分であるが、常に水面下にあり、しっかりと観察できるのは上架した時のみだ。

c0041039_923466.jpg 最近のヨットは殆どが軽くて回転性能が良いバランスドラダー(スペードラダー)と称するラダーが付いている。回転性能が良いということは直進性が悪いことにも通じるが、セールのトリムがちゃんとしておれば普通、問題はないだろう。だが、座礁などでラダーの先端に衝撃を与えてしまうとラダーシャフトが曲がって航行不能になってしまうことがある。 

(画像のラダーはデュフォー365です)

 ボクの知人でこんなことがあった。彼の37fのヨットは浅喫水用にデザインされたキールを付けていたが、ラダーのデザインは変更できないので結局、キールよりも深いバランスドラダーを持つヨットになってしまった。 数年前、不注意でクルージング中に座礁してしまった時、やっぱり、キールは無事だったが、ラダーシャフトが曲がり操船不自由になってしまった。

c0041039_9154386.jpg
今もヤードでキールとラダーを修理中のヨットがいた。⇒

 数年前ファースト40で無寄港世界一周に挑んだ小樽のヨットLISA号もラダートラブルがあったとその航海記に記述はあった。このケースは何故かラダーシャフトが1本ものでなく、その接続部分に由来する故障だったが、港内でラダーが抜けたので故障が偶然に発見できたので大事故にはならずにその対処ができた。

c0041039_94325.jpg ご近所に春から小笠原クルージングを予定しているデュフォー38がいるが、外洋の大波や座礁でラダーが故障することを予想してか、もう既に予備ラダーが2枚とそのための立派な架台を取り付けている。彼のヨットアドバイザーの忠告で付けたそうだ。彼のアドバイザーはアメリカでヨットのデザインを学び、日本でもご自身のデザインのヨットを沢山造っていた人だ。
 予備ラダーの装備までする動機は彼のアドバザーからみたプロダクションヨットのラダー構造が不安だったのか、ただ、外洋レースのルールに準拠しただけなのか、あるいはオーナーの操船に問題ありと感じてそうされたのかは、聞いてないのでボクは知らない。

 お話しが、バランスドラダーのトラブルに関するものばかりになってしまったが、このタイプ全てのラダーが悪いということではない。勿論、充分にメンテをして、事故なしで長く使っておられるオーナーさんも多いが、このラダーが装着されているヨットの数が多いのでトラブル発生が他のタイプと同率としても見聞するケースは多くなる。

 皆さんは自分が乗っているヨットのラダーの詳細な構造はどうなっているのか確認したことはありますか?
 座礁してシャフトが曲がってしまったり、メタルやベアリングの偏磨耗等でガタや浸水が発生しなければ船体からラダーを外してまでチェックする人は殆どいないだろう。
だが一度、ヨットビルダーに連絡して舵の構造図を貰い少しは勉強して、上架した際取り外して点検してみたらどうだろうね。
 バランスドラダー(スペードラダー)が一番簡単に外れそうだし・・・。
[PR]

by pac3jp | 2006-02-17 09:25 | ヨットの艤装と艤装品  

事前に発見できたラダー故障の前兆

 前にヨットをコントロールするステアリングシステムの故障が起こると必要になる緊急ティラーの記事を書きましたがその後、皆さんご自分のヨットのラダーシャフト付近を覗いて見ましたか?


c0041039_945910.jpg 実はボクも自分のフネに限ってそんな事はないだろう。
 まぁ、その内に点検をと思っていたのですが、最近、舵軸のシールの交換工事で、ラダーシャフト周りのクォードラントやベアリング等の部品を全部取り外した時、ラダーのコントロールワイヤーの素線切れが発見された。
 こういう点検しにくい箇所で今回、偶然発見されたから良かったが、航海中にワイヤーが切れていたら大変だった。クォードラントにオーパイのST6000が直結されているので、すぐさま航行不能になる訳ではないが、オーパイ操作で狭い水路や港の出入港の操船は相当厳しいだろうと思う。


c0041039_952551.jpg 我艇のステアリングシステムはステアリングホイールを回すと直結のスプロケットがチェーンを駆動し、その両端の先にクォードラントを操作するワイヤーがついている。そして、そのワイヤーはコンジットと呼ばれるチューブに入ってラダーシャフトのクォートラントに繋がっている。一般的にはプル・プル方式といわれているシステムである。

 損傷したワイヤーの交換はコックピットのペデスタルのステアリングコンパスをまず、取り外す。プラスティックのシートを外すと、スプロケットが見えてくる。取り外すワイヤーの先に呼び線をつけて、古いワイヤーを引き抜く。
 今度は新しいワイヤーにアイスプライスの端末処理をしてワイヤーについた呼び線をクオードラント側から引き込む。長さを調整して、クオードランドのエンドのアイボルトにワイヤーを留める。スムースに舵が動くことを確認し、また、ステアリングコンパスを組み立てる。この作業は比較的スムースに完了した。

 6mm ワイヤーの素線切れの原因は調査中だが、単純に部材の調整不良だけでワイヤーが擦り切れたのではないようだが、修理後はしっかりと部材を調整してセットしてもらった。

 皆さん、自分のヨットに限ってそんな故障は決して起こることはない筈だと思う、根拠がない自信を持っていませんか?
 春のクルージング出航前に是非とも、ご自分か、いつもの業者に見てもらったらいかがですか?
 心配のタネの一つは解消することになりますよ。
[PR]

by pac3jp | 2006-02-08 09:15 | シーマンシップ  

エマージェンシーティラー(緊急用ティラー)を試す

 船の進む方向を定めるのは舵であるが、その舵を動かす道具がティラー(梶棒)である。小型の船はこのシンプルな構造で故障の少ないティラーを使って操船しているが、デッキのデザインやコックピットの配置によってはティラーを付けられないこともある。そこで、そういう船は舵軸から離れた場所に舵輪(ステアリング・ホィール=ラットとも言う)を設置して操船するシステムを採用する。

 クルージングヨットでは全長で34f位がティラーとラットの境目だろうか、レーサーはもう少し上で38fくらいか。だが、最近は30f前後のヨットにもラットがついているのを見かける。まぁ、趣味の世界ですから何でもありですが・・・。

 舵軸を遠隔操作するには各種の方法があるが、大きく分けてヨットの場合は1.ワイヤー方式 2.コンジット方式 3.ギヤー式 4.油圧式の4方式がある。中小型のヨットで多いのはワイヤー式である。

 仕組みはコックピットのラットを回すと、そのシャフトに直結したスプロケットのチェーンが舵駆動用のワイヤーに繋がっていて、ペデスタル直下のシーブで直角に曲がり、ワイヤーは舵軸につけたクォードラントに至り、舵は動く。

 直接、ティラーで舵を動かす方式に較べて、ラットで操舵するシステムは部品の数も多い。従って、故障の確率も高くなる。また、メンテナンスの必要な可動部がデッキ下にあるため点検不足で故障の可能性はより高くなる。

 そこで、ラットで操船するヨットには必ず、緊急用のティラーが付いている。・・・筈である。
 持ってないヨットはないはずだが、もしかして、紛失している事もある。新艇の場合はついているのでもう一度探してみよう。

c0041039_9275633.jpg
 そして一度海が穏かなときに緊急用ティラーを試してみよう。ヨットもアフターコックピットタイプはコクピットの見えるところにラダーヘッドが出ているか、デッキ面でキャップを被せてあるが、センターコクピットのヨットははキャビン内に緊急用ティラーのラダーヘッドがある。ヨットビルダー標準型のティラーでは操船が難しい場合もある。

 最近、ご近所のラット装備のヨット4隻に聞いてみると、1隻は装着の経験ありと返事があったが、残りの3隻のオーナーは持ってはいるが、装着したことはないとおっしゃっていた。その内の1艇にお邪魔して装着してみると、ラダーストックのサイズよりティラーのソケットサイズが大きくてガタガタ、固定するボルトもついていなかった。これでは波があり、揺れるコックピットで短いティラーでの操船は難しいかもしれない。

 もう1艇のヨットはサイズもぴったりでラダーストックにもティラーを固定するボルトもついていた。ハーバー内で実際に操船してみたが、大きく舵を切るとティラーが短いせいか、かなりの力が要る。ラットで舵を切るのと大違いだよ。
 もう一つ大きく変わるのはティラーでの操船だ。右に押すとフネは左へ、左に引くと右にまわることである。

 テストをお願いしたこのヨットのオーナーさんはエマージェンシーティラーで桟橋に横付けしようとして、大騒ぎをしていた。左舷付けしようと思って船首を右に振るべくティラーを右に押したからだ。ヨットは船首が桟橋に直角に向きはじめ、衝突しそうになっていた!!

 ティラーのヨットに乗ったことのないオーナーは一度、ティラーのヨットかディンギーででも練習しておいたほうが賢明かも。
[PR]

by pac3jp | 2006-01-13 09:31 | シーマンシップ