タグ:ヨットの舵 ( 13 ) タグの人気記事

 

弁才船の舵

 明治以来、西洋船に較べ弁才船が荒天時の耐航能力が劣るのは巨大な舵が引き上げ式になっているのも弱点の一つだといわれていた。

 しかし、和船は昔から大きな川の河口港や静かな湾奥の港などを多く利用していたので必然的に港は水深が浅かった。そんな港では大型の廻船は満潮だと出入りが出来るが干潮だと船底が海底について動けなくなる。幸い弁才船の船底は平たいのでそのまま海底に座っているが、舵は船底より深いのでそうは行かない。

 そんな日本の港湾事情から港に入ったらすぐに舵を引き上げるということは、浅い港の多さが生んだ船乗りの知恵だということになっている。
 江戸時代には桟橋に廻船が横付けなんてことはなく、天下の江戸ですら品川沖で沖懸かりしていたし、近世最大の港湾都市大坂でも安治川や木津川に入って碇泊していたから荷役はすべて瀬取船で行っていたのだ。

 下の図が江戸時代における弁才船の舵の変遷である。
c0041039_13244792.jpg

 17~18世紀初めまでの舵の面積は軍船などと同じくらいの大きさだった。(右端、帆と櫓走を併用していた時代)
 18世紀以後、弁才船の帆走専用船化が徹底するにともない舵面積が大きくなり、やがて19世紀中頃(幕末頃)には左端のように巨大化していった。

 舵の大きさは1000石積では身木(ラダーシャフトの部分)の太さは鷲口(船床梁の凹部)にはまる所で直径50Cm 、長さは約10m、1800石積みでは長さは12mに及んだ。身木の下半部に羽板がありその下の桟の長さが1000石積では3mでその面積は6畳敷きの大きさになる。

 この大きな舵面も操縦性の必要があって大きくなってきたのだ。内航船だった弁才船は微風でも狭い入り口の河口港や港に曳き船なしに入出港する必要があり、そのためには操縦性の確保が一番だった。それに逆風時には頻繁に間切り航行をしたので横風帆走時のリーウェイの防止にも効果があったという。

 舵面が大きくなると操舵が重くなるのが欠点だが、図を見ると時代と共に身木が曲がってきている。それによって現在のバランスド・ラダーのように操舵力を軽減する方法が考えられている。確かに舵面の身木の前にもバランス分がついている様である。
c0041039_13255124.jpg

 上の画像は1500石積以上の北前型弁才船の帆柱から後、艫の部分だが人間の大きさと舵の身木の高さとそこから伸びる舵柄の長さにも驚く。
 こんな巨大な舵は直接舵柄を持たずに滑車と轆轤で操船したのでしょうね。

 レーシングヨットのラダー形状は大きな物から段々と細く、そして長くなってきたようだが、内航用帆走貨物船の弁才船は小さい舵から段々大きくなってきたんですね。
 そんな巨大な舵をもつ船に新酒を満載して西宮から江戸への一番乗りを競う新酒番船での過去最高は寛政2年(1790年)の57時間、平均6.6ノットだったという。重い酒樽を満載し、北西の強風をうけて2日ちょっとで江戸まで突っ走っていますが、甲板での操船はさぞ大変だったろうと想像しますね!!


【参考文献】;和船Ⅰ 石井謙治著 法政大学出版局
[PR]

by pac3jp | 2010-03-20 13:28 | 帆船  

新型、省エネ船のプロペラ

 神戸港の西側、和田岬には三菱重工・神戸造船所がある。そのポンドでは数隻の潜水艦が艤装工事や定期検査だろうかひっそりと泊っている。その向うの船台にはこのところNYKの大型自動車運搬船が連続で建造中である。

 地元新聞が地球温暖化防止のキャンペーンなかで人々の暮らしを支える裏方の世界でも省エネ対策が着実に進んでいると自動車運搬船の新型推進システムを紹介していた。
c0041039_9325152.jpg それは画像でも分かるがプロペラの後、舵スケグの前に省エネにつながる「ステータフィン」と呼ばれる固定の羽根車を取り付けている。
 これは通常、船舶が航走することにより捨てられるエネルギー(プロペラ回転流)を回収して推進効率の向上をはかる装置で、ボルボペンタ搭載のモーターボートでもよく使われていて皆さんご存知の二重反転プロペラ(CRP)は最も効率よく旋回流を回収できるが、複雑・高価なため一般の貨物船には用いられていない。それに比べ「ステータフィン」は、CRPの後方プロペラを固定したものでCRPと比較して簡便・安価である。そしてこの翼のデザインは複雑な計算で割り出したもので三菱重工の特許になっているという。

 ステータフィンとはプロペラ後方の舵に設置してプロペラ回転流を回収する、高速・痩せ型船に適用可能な省エネ装置である。自動車運搬船を対象に、ステータフィンの設計と、理論計算及び模型試験による評価を行った。さらに、実船において、速力試験のほかに、信頼性及び性能の確認とステータフィンの基礎データ取得を目的としてフィンの応力計測、振動計測及び作動状況観察を実施した。その結果、省エネ効果のほか、強度・振動面で問題の無いことを確認した。当社建造の自動車運搬船では、ステータフィンが標準装備となりつつある。今後は、コンテナ船等、さらに高出力主機装備船への適用を検討していく。(三菱重工技報より抜粋)


c0041039_9341839.jpg 一方、省エネ推進装置のなかでも高級なシステム、ハイブリッド型CRP ポッド推進方式(イメージは左画像)は 2004年6月に就航した新日本海フェリーの総トン数16,800トン、最高速力32ノットの“はまなす”“あかしあ”に採用され、この2隻は在来型の2軸推進方式を採用した場合と比較して13 %の燃料消費量低減を達成し、運航コストの改善とCO2 排出量の削減に貢献しているという。だが残念なことにこれらの船の主要機器は大型クルーズ客船で実績のある外国製だった。

ディーゼルエンジン:フィンランド  ワルチラ 12V46C 12,600kW×2基
電動ポッド推進器 :フィンランド  Azipod  17,600kWx1基

 ポッド推進器とは、ポッド状の容器の中にモータを組み込み、モータに直結したプロペラを駆動させる推進ユニットである。“あかしあ”はポッド推進器を主プロペラの軸心延長線上に配置して、主プロペラとポッドプロペラを1組の二重反転型プロペラ(CRP)とするよう近接して配置している。近接した2つのプロペラをお互いに反転させることにより、プロペラ回転流回収効果が得られる。主プロペラは可変ピッチプロペラで、クラッチ付き減速機と中間軸を介して2基の中速ディーゼル主機関により直接駆動される。後方に位置するポッドプロペラは主発電機からの電力によりポッド内の電動モータで駆動される電気駆動式である。(三菱重工技報より抜粋)

 地球温暖化防止のためにヨット乗りは何をすればいいのだろう。ヨットの省エネって、何だろうと考えてもやっぱり、エンジンに過度に頼らず今まで以上に風の力を利用してフネを走らせることでしょうね。僅かな風でも前進力にする良いセールと抵抗の少ない船型、レースで早いXヨットみたいなフネが良いのかなぁとも思うが、でも、やっぱりセーリングの腕を磨くのが一番か。

【参考Web】:PDFファイルです→高精度パネル法を用いた高性能ステータフィンの開発
[PR]

by pac3jp | 2008-11-21 09:49 | 貨物船  

舵を失ったヨット

c0041039_14332142.jpg 上架ヤードにキールに傷があり、ラダーが折れた小型ヨットが船台に乗り修理を待っていた。舵がなければ普通のクルージングヨットは動かせないが、幸いこのヨットは船外機を持っているので機走でなら航行は可能だ。多分自力でハーバーに帰ってきたのだろう。

 舵(ラダー)はヨットの針路を定めたりフネのバランスを取るための重要な部材だが、船底に取り付けられていて簡単に点検なども出来ない。だが、アウトラダーは構造が簡単で点検もしやすいので小型のクルーザー入門艇やクラシックタイプのヨットによく採用されている。

 しかし、座礁などの事故に会うと2組のガジョンとピントルで支えられているだけなので、ハルからシャフトで吊られているバランスラダーやスケグラダーよりも弱いという話もある。

 舵板の折れた断面を見ていると、それはFRP成型品で、ピントルを取り付ける舵板の前部は合板が入り、ボルトなどの圧縮荷重に耐える構造になっている。その他の部分はFRP内にウレタンの発泡体が充填されているようだ。
 でも、折れた断面をよく見ていたらピントルを固定するSUSの貫通ボルトが合板内でサビが出ている。ここでサビが発生することは強度部材の合板に水が入り強度が落ちていた可能性もある・・・。

 一般的なシャフトタイプのラダー構造を見ると、シャフトから舵板部分に入ると数本のフレームがあり、それがFRPの舵板を支え、空回りを抑える。でもラダー先端のほうはただのあんこだけになっているが、座礁などの衝撃でもシャフトが曲がることはあっても舵板がポッキリと折れて、落ちてしまうことはないだろう。

c0041039_14343213.jpg 一方、20fクラスで一番値段が高そうなヨット「フリッカ」のアウトラダーは右画像のようになっている。
 頑丈で大きなラダーがトランサムとキールの3箇所で支持されたいる。キールがラダーより少し深く、ラダーを座礁などの衝撃から守っている。最下部にはガジョンを保護するジンクまで付いている。クラシックタイプのアウトラダーは殆どがこれと同じ構造をもっている。

 この大型連休のクルージングで深刻なトラブルに見舞われたヨットはどうも3隻だったようだ。既に業者が修理に取り掛かっているフネもいる。今年はフィンキールを外して修理しているヨットは、今のところいないが、どうもロングキールタイプの当り?年だったようだ。
[PR]

by pac3jp | 2008-05-12 14:39 | ヨットの艤装と艤装品  

気の毒なヨット

c0041039_12475660.jpg GW前半の日曜日、プロペラにロープとホンダワをしっかり巻きつけたヨットが修理のために上架されていた。よくみるとロングキール全面に座礁したような傷が付いている。前部はロングキールの鉛が所々露出しているが大したダメージはないようだ。ロングキール後部に座礁による傷がある。FRP層が破損し、破口からは充填された発泡体が見えている。多分ここから船内に浸水しているだろう。キール後端からラダー下部に延びたアームはバランスラダーの支持とロープなどの巻付きを防ぐプロペラガードを兼ねた頑丈な構造になっている。
 だが、アームからラダー下部にいたる座礁の衝撃でラダーはハルに押し付けられ積層が2枚に剥離してしまっているのが見える。

 クラシックタイプのヨットによくあるプロペラガードは他艇のアンカーやノリ網のような横に張られたロープからはペラのガードは出来るだろうが、自艇から不用意に流してしまったロープはガードできない事もあるだろう。でもラダーにロープが絡むことはないし、安全性は割合高いはずだった。
後に見えるのはナウティキャット331。

 このヨットがどんな状況で座礁したのか分らないが、ロープや海草を噛んだプロペラが回らなくなり、セーリングで浅瀬から脱出できる風が無かったか、あるいはセールの推進力より潮流が速く、危険な場所に押し流されてしまったのかもしれない。

 一般的なヨットに装備されているハンギングラダーは座礁の衝撃にも一番弱いし、また、ペラにロープなども絡みやすい。毎年GWが終わると1隻や2隻はラダーシャフトの修理している。
 クルージングタイプのヨットがよく装備しているのがスケグラダーだ。プロペラガード構造には出来ないが、強度的には両者の中間になる。

c0041039_1248255.jpg 参考にキールとラダーのギャップにロープなどが引っかかるのを防ぐロープガードのイラストを掲載したが、スケグラダータイプのヨットでキールからスケグにSUSワイヤーを渡せばプロペラガードの役目は果たせそうに思うが、どうだろう。


 楽しいクルージング中も実際にトラブルになってしまわなくても「ヒヤリ、ハット」はよくあるが、自分だけは事故に会う筈がないと信じて(思い込んで)航海していたように思うなぁ。

 今週末からはGW後半が始まり、各地にクルージングされるフネも多いでしょうが、航海計画をしっかり立て、危険な近道をせず、見張りを怠らず、船旅を大いに楽しんできて下さい。そして、少々は業者を喜ばせること?はあっても怪我なく無事で帰ってきてくださいね。
[PR]

by pac3jp | 2008-04-30 13:00 | ウオッチング  

神戸国際ボートショウ 2007 Part1

c0041039_13513415.jpg 4月6日(金)~8日(日)の3日間、西宮の新西宮ヨットハーバーと神戸の2ヶ所の会場に分れて開かれた。ボク達のハーバーではフローティングボートショウである。世間様の景気が良くなってきたのか、今年は1億円~2億円以上もする大型のモーターボートが幾艇も出展されている。セーリングクルーザーはいつもの業者が新艇もあるが多くは最近に販売した新艇に近いオーナーヨットをチャーターして展示している。

 全体的に見るとボート関係がモーターボートの数もお客さんの数も圧倒的に多く、桟橋からは数多く用意された試乗艇に次々とお客さんが乗り込み、短い時間だろうがそれなりに楽しんでいたようだ。
c0041039_1352531.jpg

c0041039_1357798.jpg ボクの興味を引いたのは日本OPヨットが展示しているポーランド製のガフリグカッター「HABER 800」だ。濃い緑のハルにベージュのセールがセットしてありデッキはチーク貼りである。キャビンは高く大きな窓のデッキサルーンになっていて、年配のヨットマンが欲しがりそうな雰囲気がある。

c0041039_13575131.jpg キールは浅吃水のツインキールでスターンに、長い可動のラダー型のトリムタブのような物が両舷についている。ヒールしたときのリーボードにもなるのかもしれない。面白い艤装だと思った。

c0041039_140527.jpg マスト周りもちょっと面白い工夫がある。ブームバンクやハリヤードウインチ付近に注目。
 一見したところこのヨットはハーバー付近の静かな湾内や湖でセーリングを楽しむヨットだと思ったが、ディラーはドイツロイド規格の外洋Bに適合しているとかおっしゃっていた。でもボクだったらこのフネで外洋の大波の中を航海するにはご遠慮申し上げる?かも。

 でも、セーリングクルーザーも色んなタイプが有った方が新艇を選ぶのも楽しい。レースで良い成績は取れないが乗っていて楽しい個性的ヨットがもっともっと出てくるのを待っている。
 今回のボートショウでもポーランドからこの「HABER 800」ともう1隻、オカザキヨットから「Delphia 29」が出展されている。東欧はまだ人件費も比較的安いのでユーロ高を考えても価格競争力はありそうだ。ヨット遊びの伝統があるヨーロッパから安くて面白そうなフネを捜してどんどん紹介して欲しい。

 拝啓、ヨット・ボート輸入販売業者各位様、あなた方の眼力に大いに期待してオモシロそうなフネを待っておりますよ!!
[PR]

by pac3jp | 2007-04-09 14:10 | ウオッチング  

カーブのついたティラーを作る

 ボクが前に乗っていたヨットはティラーで操船していた。トランサムのラダーヘッドから伸びる真直ぐで、それもアルミパイプ構造で軽量化されたものだった。当時は特に気にもせず使っていたが、いま、ちょっと古いヨットなどでコクピットの床から優美なカーブを描いて立ち上がっているティラーに魅力を感じるようになってきた。

 そんな時、もう大分古くなってきた最初のヤマハ30。ピーターノーリン設計、通称「スカンピ」のティラーを新しく作っているので見せてあげると、そのオーナーさんがあら方出来上がったティラーとその積層型を持ってきてくれた。それはチークと赤松の薄板を交互に貼り合わせて美観と強度を兼ねた美しいカーブをもつティラーをつくる木型だった。ボクには、まずこの木型作りだけでも手こずるね。

c0041039_10274776.jpg
 製作はチーク薄板7枚と赤松の薄板7枚の合計14枚の板を型にあわせ、エポキシ接着剤で交互に張り合わすことから始まった。オーナーはこの工程が難しかったとおっしゃるが、もっと難しい作業はお手伝い兼技術指導の先生が見かねて?やってしまったのかも・・・。

c0041039_10282678.jpg
 幅広く積層された部材をラダーヘッド側から握り手にいたる側面を罫書(ケガキ)き、帯鋸で挽いてゆく。同じく中央部分から下面を握り手まで予定の寸法に罫書き、同じく帯鋸で荒挽きする。その後、仕上げカンナで削りペーパーで念入りに磨く。

c0041039_10285467.jpg 後工程はラダーヘッド金具の取り付け穴を開け、二液性のウレタンニスを塗り、乾くとペーパーを掛け、またニスを塗る。今回は合計12回クリアーニスを厚く塗って仕上げた。この位の大きさは屋内でも作業が出来るのでニスを塗っていてもそう苦労はない。

 前に付いていたティラーと較べてみると木目の取り方が違う。新しい方はティラー上部は全面チーク部分が出ているが、古いものは上部にも下部と同じ様なコンビの削り面が出てしまい少し不細工。

 後はヨットに取り付けるだけだが、コクピットにニスが輝く優美なティラーが付いていると、ヨットの値打ちも一段と上がるとゆうモンですね。ご苦労さんでした!!
[PR]

by pac3jp | 2007-03-05 10:35 | ヨットの艤装と艤装品  

日ノ御埼沖プレジャーヨット漂流

 先週末、旧知の「ゆうばれ」オーナーより一文字ヨットクラブ所属のヨット「RYUJINDO」がこのGW中の5月2日に紀伊水道・日ノ御埼沖、35ノットの強風と波浪の中でラダーが脱落し、ラダーポストから著しく浸水。クルーは巡視船に救助されたが、ヨットはその後、沈没してしまった。と聞いた。

 確かに5月2日(水)はピアネットのクルージングで我々は広島湾にいたが北の強風が昼前から翌朝まで吹いていた。島の多い広島湾と紀伊水道では気象条件が大分違うが、海保巡視船が撮影した救助作業中の海面は結構な時化模様である。 
概要と画像は田辺海上保安部のホームページの「事件事故ニュース」記事参照

 同記事によれば、沈没したとのヨットは巡視船みなべが浮上措置を施したうえ田辺漁港まで曳航し、3日 2200、船主手配のタグボートに引継ぎ救助を完了した。とあるのでどうも沈没は免れたようである。

 ラダーが脱落した原因など詳しい事は判らないが、船型からみてクラブレーサー風のヨットなのでラダーの形状はスペードラダーだろう。漂流物がラダーに当たり、ラダーポストごと破損したか、ラダーシャフトを船体から支えている部材か、あるいはシャフトそのものが破断したのかもしれない。

c0041039_9335638.gif 前に読んだ本で世界一周したファースト40の場合はラダーシャフトが2本繋ぎになっていて、接続部品のキーが腐食してラダーが抜け落ちた。とその本には書いてあった。要因は構造上の問題であるが、自分の舵の構造をよく理解しておけば緊急時の対応もし易い。
 
 左の画像はヨットビルダーに提供してもらった我艇のラダー組立図である。もし、自艇のラダー部分の構造を知りたいオーナーさんはいつものメカニックさんに聞くか、或は一度ビルダーに問い合わせしてみたらいかがでしようか。

 ヨットでクルージングに出ると危険が一杯だ。岸近くでは暗岩や干出岩が海底からキールを狙っているし、沖に出れば大波が襲い、狭い海峡では速い潮に押し流され、航路に近づくと本船に邪魔者にされる。

 だが、入港時や岬の瀬が伸びていそうな場所は海図や電子チャートで確認し、慎重に操船すれば安心だ。強風や波浪の注意報が出れば出航を見合わせる。狭水道は無理やり通過せず、時間を合わせて穏かな時間に通れば良い。トラブルを起しても後から考えれば、なんであんな行動をしたのかと思うもんである。そうせざるを得ない場面ではない事が圧倒的に多かったはずだ。

 海上保安庁のWeb「安全な航海のために」のダウンロードページの中に「マリン セーフティ ハンドブック」と題されたPDFファイルがある。その中にプレジャーボートやヨットの点検マニュアルが掲載されている。出航前、航行中、帰港後にそのチェックリストを全てチェックすると海難は確かに減少するだろう。

 まぁ、そこまできっちり出来る人は多分、不可抗力なんて事はあるが、海難なんかには無縁なヨット乗り達だろうね。
[PR]

by pac3jp | 2006-05-24 09:47 | ウオッチング  

J24を改造する

c0041039_851345.jpg J24といえばワンデザインクラスで世界中で活発に活動しているレーシングヨットだ。乗り手もレーシングディンギーから替わって来る選手も多い。だが、このヨットの最初のデザインコンセプトはファミリーヨットとしてデザインされたと聞いている。小さくて、軽くその帆走性能は素晴らしい。全長24fだが普通の30fクラスの走りを持っている。

 ボクはこのフネを2回にわたり所有したことがある。1回目は20年位前だった。2回目は2000年頃、仲間と共同オーナーで乗っていた。
だが、このフネは乗り換えの為に転売しようとすると全く売れないフネだった。レースをしたい人はチャンピオンになったボートは買うが普通の人のヨットは買わない。価格を安くすると全くの初心者から問い合わせがあるが、ほぼ、純レーサーに近いヨットは薦めにくい。
結局、輸出業者に安く売ってしまった。

c0041039_8513666.jpg だが、このヨットの最初のデザインコンセプト通りに乗っている古くからの知り合いのオーナーがいる。そんな彼が新艇からこつこつと手入れしてきた彼のJ24をドリームボートに向け大改造を施した。

 まず、標準の船外機からインボードエンジンへ、コンパニオンステップのアイスBOXを取り外し、防音材付きのエンジンルームを設け、ヤンマーの1GMを据付た。プロペラシャフトにはゴリのフォールディングペラをつけた。そして、スターンを伸ばしJ24のシンボルのようなアウトラダーをやめてレーサー風のバランスドラダーを装備したのだ。船台に乗っているJ24改を下から見ると全く新しい小型のレーサーに見える。

c0041039_855548.jpg このオーナーはレースをするわけでも、近くクルージングに出る予定もないようだ。休日に付近の海でセーリングを楽しみ、またデッキ木部にニスを丁寧に塗ったり艤装品のサイズに合わせたカバーを作ったりして楽しんでおられた。

 ヨット乗りはいつでも愛艇で遠くに出掛けられるよう日頃からコツコツと準備をしておくのが好きだ。
 彼の愛艇のエンジンを拝見するとヤンマー1GMは小さくて可愛いエンジンだ。交換部品も安そうだし、いじりまわすには格好の機械だ。きっと彼はディーゼルエンジンのメンテナンスもしたかったかもしれない・・・。

 ヨットが好きで改造が出来る腕前か、あるいはその資金があるならばベースになるJ24は格安あるいは無料で譲ってくれる人もいるだろう。そのフネを自分の思い通りに改造してみるのも面白いよ。例えば長距離クルージング専用に改造してみるのもいいね。

 実はこのヨットでシングルハンド日本一周クルージングをしていた人の話を、時期は違うが彼らに出会った複数のヨットマンから聞いたことがあるのでやった人は何人もいるようだ。

 クラブレースに使うなら、鉛のキールも付いていて、このヨットを速く走らせるチューニングのノウハウも手近で手に入れることが出来るので便利だよ。そして、このフネの欠点、“濡れる”対策にかっこいいドジャーとコクピットコーミングをつけたらどうだろう。

 面白いヨットになりそうだネ。
[PR]

by pac3jp | 2006-03-15 09:04 | ウオッチング  

クルージングヨットの舵(3)キールハングラダー

 最近クラシックなスタイルのヨットに人気が出てきたのか、ご近所に30数年前に日本で作られアメリカに輸出された木造マストの32fケッチが里帰りしてきている。
 国産のロングキールのプロダクションヨットではかってのフジヨットが製造したフジ32、フジ35、フジ40がある。それらに乗っていたオーナー共々その姿を思い出す。

c0041039_954138.jpg 画像は古い木造のヨットである。キールはセミロングというのか、あるいは大きめのフィンキールだろうか、そこにキールハングラダーが付いている。プロペラはキールのオフセットに出ている。昔に作られた木造ヨットはほとんどがワンオフだったのだろう、オーナーやデザイナー好みで色々のタイプのキールやラダーを装備してきたようだ。

 ロングキールのヨットになると伝統のスタイルを周到しているフネが多い。最近のレーサーからデザインの流行が影響されることは全くないだろうね。アメリカ・ヨーロッパにはヨットの分母が大きい分このタイプも結構沢山あるし又、人気もあるみたいだ。

 このタイプが好まれる理由はそのクラシカルなスタイルともう一つの理由は大きなスタビリティにある。大波にノックダウンされても復原力消失角度が180度となるのもあり、概ね他のタイプのキールがついたヨットよりも転覆には強いと言える。(外洋ヨットのポジティブスタビリティは120度は必要といわれている)

c0041039_984120.jpg ここのハーバーはナウティキャットのロングキールタイプのヨットは5~6隻はあるだろうか。画像は44f艇のロングキールの後端に取り付けられたラダーである。キールハングラダーはキール下部の後端がラダーの下部支点になっていて、プロペラもキールとラダーで保護されているスタイルが多い。当然、ラダーの構造は頑丈に造ってある。このタイプのヨットは全体にヨットの重量も重く、従って船価も高いので高級なヨットに属するフネが多いともいえる。

 このどっしりとしたクラシックな感じのヨットもハーバーなど狭い水路での操船、取り回しが難しい。特に後進が難しい。フインキールのヨットで舵を切るようにはこのヨットは動かない。プロペラの推力を上手く使って操船するそうだ。バウスラスターが是非とも欲しいと思う場面でしょうね。

 だが、この素晴らしく優美なクラシカルなヨットも都市エリアのマリーナにフネを預けているオーナーに大きな悩みを与えている。
 それは、そのクラシックヨットのシンボル、バウスプリットだ。40fのヨットならば5~6fはあるだろう、そのフネの係留料は付属物も含めた全長で計算され徴収されるからだ。そんなせいか長いバウスプリットを持った大きめクラシックヨットはここのハーバーからは居なくなってしまった。

 この料金制度は、クラシカルなスタイルのヨットに対する差別と考えても良いね。多様なタイプのフネが平等に共存できるヨット社会が必要だと思う。
[PR]

by pac3jp | 2006-02-22 09:18 | ヨットの艤装と艤装品  

クルージングヨットの舵(2)スケグラダー

 セーリングヨットは長い時間をかけて、高速化、省力化、快適性を目指して船体のデザインはリグやセール素材と一緒に進化してきたが、近年、レースをするヨットとレースもクルージングも両方するヨット、そしてクルージングを主体にするヨットとに分かれてきた。
 それに伴い、ヨットの為に新しく開発されたテクノロジーはレース艇に、そしてレーサー・クルーザー艇に真っ先に採用されてゆく。やがて、評価が落ち着いた頃クルージングヨットに使われるようになってくる。クルージングヨットのオーナーが全般に保守的なこともあるが、ショートハンドで外洋を航海するとき、評価の定まった信頼できるテクノロジーは心強い。

 スケグラダーはヨットのキールがロングキールからフインキールに進化してゆくときに現れて、シェイプされながら現代まで使われている。
 直進性を高めるスケグにラダーを組み込んだものをスケグハングラダーといい、スケグの大きさによりフルスケグラダーとセミスケグラダーがある。
 純粋にヨットの性能から考えれば、ラダーの付近にスケグなどの余分な出っ張りが付いていると抵抗が増えるともいえるが、ヨットの手放し直進性や、ブローティングにも強く、丈夫なスケグにラダーシャフトの荷重を分散でき、より頑丈な舵を造ることが出来るのでクルージングヨット乗りにファンは多い。大ヨットメーカーのセイルボートシリーズにはよりクルージングに適したタイプのモデルに装備されているようである。

c0041039_1005793.jpg 左の画像はフルスケグラダーである。大きなスケグに守られたラダーが付いている。このラダーはスケグ下部、船体内2ケ所と合計3ケ所で支持されている。バランスドラダーに較べて支持ヶ所が多いので単純に考えたらラダーシャフトの強度は少なく見積もってもいいが、多分そんなことはしていないだろう。
 だが、このラダーは操舵力のバランス量が取れないので舵がやや重いかもしれないがが、頑丈というクルージングヨットとして欠くべからずの性能が充分それらを補ってあまりある。

c0041039_101162.jpg 右の画像はセミスケグラダーだ。フルスケグラダーからスケグ部分を小さくして、ラダーに適度なバランス量を与えて操舵力を補っている。
ヨットの直進性と舵きりのよさを折衷したタイプである。画像のスターンにはスターンスラスターが見える。小型だが大分お金のかかったヨットではある。

 だが、いつかはそのスケグ付きの舵を抜いて修理や整備をしようとする時が来る。そして、スケグがラダーを支えている部分を分解しなければならない。ほとんど外すことがないのでどのように分解するのか調べなくてはならない。特にセミスケグラダーについてはこれが多少面倒かなと思うのだ。

 スケグがついたラダーの全てがスケグハンギングラダーではない。YAMAHA26等はスケグの効果のみを期待し、ラダーとは独立して存在しているスケグが付いている。この場合はラダーはただのスペードラダーである。このタイプのスケグは、やがて船底に貼り付けられたような浅いスケグになって行くのだろうね。
 当然だが、この舵はスケグラダー並みの強度はないので、ちょっとした障害物などに突っ込むと両方が壊れる恐れが・・・。
[PR]

by pac3jp | 2006-02-20 10:12 | ヨットの艤装と艤装品