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クラシックな木造ヨットの修理

c0041039_17281184.jpg 昔からずっとお世話になっているマリーナに久し振りに寄ると“船大工”さんは古い木造ヨットのスライドハッチ部分の修理中だった。
 それは古い木造ヨットの宿命?である、デッキやハードトップからの雨漏りがスライドハッチやその収納部の一部に腐りが出たので今、改修工事をしているという。

 スライドハッチはFRP艇では主にFRPで成型されたものや、ぶ厚いアクリルパネルがよく使われている。そしてどれもがある程度のキャンバーをもったアーチ状をしている。普通はスライドハッチに人間が乗っても充分耐えられる強度を持っている。

 修理中の凡そ横幅60cm×奥行80cm×厚さ18mm位の木製スライドハッチもちゃんとキャンバーがついているので、この合板にキャンバーはどうつけるのかお聞きすると、薄いタイプⅠの合板をアーチ状の型に合わせて幾枚もエポキシなどで積層して造るんだとおっしゃる。

 今から考えるとこんなオープンデッキで可動の部材は腐らないFRPで成型したら簡単に出来るのにと思うが当時はまだFRP成型技術が普及していなかったか、オーナーが木に拘ったかどっちかでしょうね。作業台には同じキャンバーがついた型が1組あったのでハッチ収納部分は腐らないFRPで作り直されたのかも知れない。

 木造ヨットは殆どがワンオフなので修理の為に部材を取り外していると昔、建造に携わった職人さんの仕事振りも良く分るらしい。普通だったらここの収まりはこうなっているはずだが・・・はて、と思っているとあとでそれがリカバリーのせいだったりするらしい。実は我家の屋根裏にも大工さんの失敗の跡がある・・・。

 雨漏りの修理は腐った部分を取り替えることだけではなく、勿論雨水が流れ込まないような構造に改修すると同時に場所によっては水に強い材料に交換が必要になるという。このヨットはコクピット内にも外装材にも耐候性に劣るマホガニーが使われていたそうで、既に外装材はチーク張替えられているし、今回はスライドハッチの両側ガイド部分がチーク材に取り替えられた。

 ボクが前に乗っていたフネは内装はマホガニーだったが、コクピットからキャビンに入る経路で濡れる可能性がある部分は当然チーク材が使ってあったなぁ。

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 話は変わるが、バウスプリットを持つ手頃なサイズのクラシックヨットもアメリカの中古ヨット市場などには結構出ている。そんなヨットを個人輸入したオーナーが近くに係留していたので見ていたら、オーナーもクルーもヨットは初めてのようで操船技術も古いヨットの維持に必要な知識やメンテナンス技術もお持ちでなく、エンジン故障やデッキの雨漏りも専門業者に修理依頼することもなくホームセンターで手に入いるコンパネや住宅用のプラスチック床材と安いシリコンでやっつけてしまうなど見ていて悲しいぐらいのものだった。

 やがて彼等はギブアップして安値で艇を手放すことになったようですが、『ヨット』は手放されたことで喜んでいるでしょう。きっと。

 結局、クラシックな木造ヨットや木造デッキ艇を維持できるオーナーの資質はしっかりメンテナンスできる腕と資金、そしてその作業を楽しみに出来る人ということでしょうか。
 でも、クラシックヨットが大好でかつ、充分に専門業者にメンテ費用を支出できる方というのも当然OKでしょうね。
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by pac3jp | 2010-11-08 17:33 | ウオッチング  

古いウインドラスが付いたウッドゥンヨット

 ビジターバースの端っこにクラシックな雰囲気のセールボートが係留しているのが見えた。手前に泊まっているエンデバーもクラシックなヨットに変わりないが、大きすぎてボクの興味の対象外である。

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 そのヨットを近くで拝見するとチークのブルワークを巡らせたデッキ長が30fくらいで木造のパイロットハウスタイプのセーリングクルーザーだった。一番最初に目に付いたのはバウデッキのウインドラスだ。このサイズでウインドラスは珍しい。それに外観は錆びてはいるがどうもブロンズ製のように見える。キャプスタンも磨けばきっといい色になるはずだ。

 コクピットはパイロットハウスとアフターキャビンの間にあり、そこにアフターキャビンの入り口もある。そしてヘッドルームを確保するためデッキから持ち上がったルーフがあり、そこにトラベラーとルーフハッチがある。また、小さいながらもアフターデッキも両舷につながっている。

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 係船用に笠金をつけた木製ビットがバウに1本とスターンに2本立っている。白いので樫材だろうか、クラシックなヨットによく似合うし係船などにも便利に使える。漁船などは楠を使うと聞いていたがFRPヨットに木製ビットは不似合いなので近くで見かけることはない。

 デッキを見て、オヤッと思ったのがデッキに4箇所あるベンチレーターのカウルがなかったことだ。このヨットならば多分真鍮のカウルだろう。磨いて白くペイントするのか、素地のままセットするにせよ、ただ今整備中のようで、穴だけぽっかりと開いている。また、チーク無塗装のブルワークもバウは高く、スターンに行くほど低くなるように傾斜が付いてシャーとのバランスがとれて良い雰囲気である。

 皆さん、クラシックな外観イメージだけで古いウッドンボート購入してしまうと大変ですよ。前オーナーが雨漏りを放置していて木部のアチコチが腐りはじめているなんては最悪ですね。そんな状態のヨットをホームセンターで安く買ってきた材料を使い小手先の修理でやっつけているのを見ていると、あとで大きなツケがくるのにと他人事ながら心配してしまう。

 ボクも最近はこんなクラシックなヨットでボチボチと瀬戸内のクルージングをするのもいいなと思い始めているが、ハルとデッキは整備の簡単なFRPの方が良いな。ヨットの整備も嫌いな方ではないけれど、古いウッドンボートのエンドレスの整備作業より、ヨットであちらこちらと出かける方がもっと好きだし・・・。

 と、いうことはクラシックヨットを維持し後世に残そうとする意思、根気、資金と全部持ち合わせがないので、たまに見せてもらってその気分に浸るだけで満足することにしようか。

【関連記事】:木のマスト
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by pac3jp | 2008-07-30 13:37 | ウオッチング  

アメリカ艇「WEST WARD」を見学する(3)

 「WEST WARD」がハーバーのビジターバースに停泊してからもう1ヶ月になる。船尾に大きな星条旗が翻るクラシックなモーターヨットはもうすっかりヨットハーバーらしい景観の一つになってしまったような感がある。

c0041039_9305529.jpg 先日、またもや木造86fの「WEST WARD」と主機のディーゼルエンジンが話題なり、まだ実物を見た事がなかった何人かが是非見たいということになり見学に行くことになった。

 ボクは3度目の見学なのでエンジンルーム、ブリッジ以外の場所を見せてもらう。
まず、広々したメインキャビンにはこの船が生まれた寒いアメリカ北西部で必須の家具、暖炉がある。昔は石炭や薪を焚いていたのだろう、耐火レンガで造ってある。今でも使っているらしく新しい?灰が残っていた。

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 キャビンの後にはギャレーがある。当然ながら我家のキッチンより広さも装備も断然上である。エンジンは年代物を大切に使っているがここはオーナーの奥さんの城である。スペースはオリジナルのままの様だが設備は現代風だ。

 ギャレーの奥には2ドアの大型冷蔵庫、大きく頑丈なオーブン付き4口のストーブ。通路を隔てた右舷窓側には料理を盛り付けするテーブルとその下には電子レンジがある。

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 左舷窓際には大きく深い二つのシンク。壁には沢山のスパイスが入ったスパイスラックがお料理好きなコック長を思わせる。
 調理台の壁には包丁の入ったケースがみえる。長身の奥さんが使うんでしょうね、ボクには大分高すぎるようだ。

c0041039_9321880.jpg ギャレーから船尾に行くと洗濯機などがあるユーティリティールームがあり、屋根つきのアフターデッキにいたる。ここは広いスペースがあり、ベンチやテーブル、椅子などがあり、それに大型のBBQコンロが据えつけられている。ここはBGMが流れ、パーティに、そしてクルー達が寛ぐスペースになっているようだ。

 1ヶ月も留守番をしていたエンジニア氏によると明日(4/28)、キャプテンがアメリカからやってくるとのこと。そして今夜はジャパニーズ・ピザパーティに招待されていると嬉しそうに話していた。この船の大きいがおとなしいラブラドールが、きっとご近所の愛犬家たちと機関長をとりもったのかなと想像しているのだが・・・。

 オーナーとクルーが揃えば出港の日は近いのだろう。日本を出ると次は韓国に入り、上架整備をすると聞いている。

【関連記事】:アメリカ艇「WEST WARD」を見学する(1)
【関連記事】:アメリカ艇「WEST WARD」を見学する(2)
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by pac3jp | 2008-05-02 09:47 | ウオッチング  

アメリカ艇「WESTWARD」を見学する。(2)

c0041039_9485586.jpg 先週土曜日、ビジター桟橋の入り口で前日に「WESTWARD」を訪問したという知人から面白いエンジンを積んでいるので見に行こうと誘われ同行したが、また翌日、こんな船が大好きな友人達とクラシックなエンジンを再度見学するために訪問した。友人が素晴らしいエンジンだと褒めたせいか、今度はエンジニア自らあれこれと説明してくれる。

 シリンダーの下部には「ATLAS IMPERIAL OAKLAND CAL.USA 」と表示がある。1924年の建造時から搭戴さている主機関だがサビが出ているような所は全くなく完全に整備されているのだろう。ちなみに、もうこのエンジンメーカーは存在しないそうだ。

船の歴史年表によると(ディーゼルエンジン関係)

1893年 ドイツ人ディーゼルが無点火式内燃機関を発明。ディーゼル機関と称せられる。
1897年 ディーゼルはMAN工場で単筒、タテ型機関を造る。最初の信頼しうる機関。
1904年 ロシア船(1150トン400HP)最初の舶用ディーゼル機関の始め。
1911年 英国貨物船トイラー号がディーゼル船として始めて大西洋を渡る。
1921年 英国ドラマ号(8441トン)は最初の航洋ディーゼル客船。
1924年 米国「WESTWARD」進水。大阪商船客船音頭丸(688トン)日本で最初のディーゼル船。
ニュージーランドの客船(18500トン)太平洋で始めての大型ディーゼル客船。
1927年 世界で建造中のディーゼル船のトン数、初めて汽船のトン数を越える。


 このように「ウエストワード」が建造された時代は第一次世界大戦も終わり、戦時に開発された技術が民間に転移され新型船においても蒸気機関から内燃機関のディーゼルに舶用エンジンが変わり始めた時代でもあったのだ。
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 機関室中央に大きなディーゼルエンジン本体が据わっている。このエンジンはボア9インチ×ストロークは12インチ位か、靴のサイズだという。回転数は280回転/分、4気筒150HPのディーゼルエンジンだ。床からの高さは約1.7m、長さは2mくらいある。少し小ぶりだが、いつか映画でみたUボートのエンジンのような雰囲気がある。クランクケースから弁を駆動する多数のコンロッドが立ち並びシリンダーヘッドにはロッカーアームと手動のハンドルが各シリンダー毎についている。

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 始動は圧縮空気を使う。機関室に大きな空気タンクが3本ある。コンプレッサーが見あたらないので空いたシリンダーで空気を圧縮する仕組みかも知れない。エンジンの前には重さは1.5トンもある赤いフライホイールが付いてそれで油圧ポンプが駆動されている。

c0041039_9512593.jpg エンジンの下部にカムとクランクで駆動される赤く塗られた燃料噴射ポンプがある。
 エンジンの冷却システムは我々エンジンのようにジャケットに清水を通す方法でなくて潤滑油を海水冷却する方法らしい。エンジンの下に熱交換装置があるとのこと。

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 エンジンの出力側をみると見るからに巨大な機械式の逆転機がついている。操作はブリッジの舵輪の右にあるハンドル回し操作する。直径2インチはありそうな太いシャフトが幾つかのベベルギヤやユニバーサルジョイントでブリッジから逆転機にリンクしている。そして、その動きが大きなドラムのブレーキをかけることによって内部の遊星ギヤーが逆転に切り替わる仕組みだという。最近のコンパクトな逆転機から見ればなんとも原始的なシステムに見える。

 このエンジンのスロットルレバーはブリッジの逆転機用ハンドルの下についている真鍮のレバーがそうである。現在のボートについているクロームメッキで輝いているモノとは大違いだね。

 このサイズのボートが一般的にどの位のエンジンを搭載しているのかよく知らないが、ロングレンジクルーザーは巡航速力が10ノットや12ノットの設定なのでプレーニングタイプのボートに比べ概して低出力のエンジンだ。この船は150HPのエンジンで2000ガロン(7.4トン)のディーゼル燃料を搭載できるのでかなりの距離を航海できそうだが木造の古い船体は激しい波浪の中を長く航海するのは辛いだろう。きっと好天が続くシーズンまでゆっくりと過ごし、凪の海をゆったりと渡ってきたのでしょうね。

 ボクはヨット用で小型のディーゼルエンジンしか知らないので説明も誤解している部分もあるかと思います。よく分らないところはハーバーで直接機関長にお聞き下さい。気さくにおしえてくれますよ。
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by pac3jp | 2008-04-09 10:18 | ボート  

アメリカ艇「WESTWARD」を見学する。(1)

 毎年、桜が咲く頃になるとロングクルージングのボートが北からあるいは南からやってくる。今週はニュージーランドからまだ新艇のようにキレイな100fのスループが、アメリカ・シアトルからはクラシックな木造86fのボートがやってきた。

 2隻ともビジターバースに係留しているが、ボクが特に興味を引かれるのは木造船の方だった。彼等は一年前にシアトルを出てアラスカ~アリューシャン~小笠原~?経由で西宮に来たという。クルーはキャプテン夫妻とクルー二人の4人とラブラドール1頭。キャプテン夫妻は帰国中で不在。機関長がワンちゃんと留守番している。
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  船名:WESTWARD
  建造:1924年 (大正13年)
  長さ:86f
  幅 :18.5f
  深さ:9f
  主機:150HP オリジナルディーゼルエンジン搭戴
巡航速度:7ノット
 排水量:150トン
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 船体中央部にファンネルマークと黒く塗られた煙突がある。その煙突には年季の入った汽笛のホーンが2本出ている。そしてホーン用のトリガーワイヤーがブリッジに延びている。仕組みがなんともシンプルだ。ワイヤーをおってブリッジに入ってみると、舵輪の上、天井に建造時から付いているかのような時計とバロメーターに並んで無骨なレバーが2組付いている。これを引いて出港の合図をするのだ。
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 また、舵輪の前には豆絞りの日本手拭いでカバーされた?ステアリングコンパスがある。夜間の照明用だろか真鍮のホルダーに入った電球が時代を表わしている。ナビゲーション装置はフルノのGPSはあるがオートパイロットは見当たらなかった・・・が、どっかにあるでしょうね。

 ブリッジの壁には2002年に開かれたウッドンボートフェスティバルのポスターが貼ってある。よく見ると「WESTWARD」が描かれている。きっとウッドンボートの世界では有名な船なんだろう。

 この船は1924年、今から85年前にアメリカ西北部からカナダ、アラスカ方面の探検?やフイッシング、そしてアドベンチャートラベルのために建造されたらしい。当時としてはハイテクのディーゼルエンジンを搭載して第一次世界大戦で大もうけしたアメリカのセレブやVIP対象で運用されていたのかもしれない。

 1924年といえばやっと大阪商船がわが国で初めてディーゼル船(688トン三菱神戸)を建造した年だ。そして川崎造船でもフラガー式のディーゼルエンジンを搭載した貨物船が進水したと記録年表にあった。

 「WESTWARD」の85年にわたる長い歴史の中、時代もそしてオーナーも変わり船はパトロールボートや個人のヨット、チャーターボートなど色々につかわれてきて現在に至っている。

 欧米では船齢が百年に近い古い船をよく手入れして長く乗っている人達が割合いるようだが、そんな事が出来る環境(資金や技術)を持てるのもが羨ましいが、この船では建造時から動いている、よく手入れされて、今や宝物ともいえそうなディーゼルエンジンがある。一見の価値は確かにあった。これは次回ご紹介しよう。
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by pac3jp | 2008-04-07 17:18 | ボート  

バウスプリットのあるヨット

 8月にここ新西宮ヨットハーバーで開かれた「ジャパンカップ2007」には最新のレーシングヨットが参加してそのスピードとセーリングテクニックを競っていた。ボクはどんどん進化するかのように見えるレーシングヨットを見るのもよいが、昔ながらのスタイルを持つクラシックなヨットを見る方がもっと好きだし、一度は乗ってみたいとも思っている。

c0041039_9403377.jpg つい最近、港内を日頃見かけぬヨットが機走していた。暫くしてビジターバースに寄るとバウスプリットを持った小柄なダブルエンダーが停まっていた。ここでゲストと待ち合わせらしく艇内には誰もいなかった。

 ヨットは全長は27~28fのダブルエンダーでハルはFRPみたいだが、デッキはフラッシュデッキ構造で木造である。バウに太いバウスプリットがある。これはクルージングスピン専用らしくファーラーの付いたフォアステイはバウスプリットの根っこの金物にセットされている。

c0041039_9405528.jpg アルミマストの後ろのデッキに採光と換気用の大きなルーバードアが据え付けてありクラシックヨットの雰囲気を出している。

 コクピットは小さなものでクルー2人でも狭いくらい。それにダブルエンダーらしく船尾には長いアウトラダーに短いティラーがついている。


c0041039_9411868.jpg 桟橋からこんなヨットも一度乗ってみたいなぁと、眺めていると何時もの癖が出てきた。「フラッシュデッキはデッキのワークエリアは広いが、デッキ下の天井は低いだろうな。」「キャビン内の作業は腰が痛くなるし、コンパニオンウエイにドジャーがないので雨や荒天のセーリングは大変だな。」なんて、他人のフネなのにあれこれと自分にとっての不具合が思い浮かぶ。

 でも、好天の週末に港近くをセーリングしたり、シングルハンドで1~2泊の近場クルージングにはもってこいだな。デッキにアイスBOXが載っているので船内に冷蔵庫は無いようだ。スターンにオーパイがつているがこれも要らない。航海計器も見当たらないし、艤装品の故障に悩まされことも少ないシンプル イズ ベストのヨットにするにはぴったりのヨットのように思う。

 クラシックなヨットは概して船体重量が重く微風や軽風では走らない。そのためにバウスプリットを突き出し、大き目のセールを展開して人並みの速度を得るのだ。それなのにマリーナによってはそれも船体長に含めて請求されるのはチョット不合理だ。

 だが、このバウスプリットはパーマネントのフォアステイが付いてなく伸縮自由のようなのでハーバーの料金計算にも好都合だなぁ・・・。
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by pac3jp | 2007-09-14 09:48 | ヨットの艤装と艤装品  

カスタムヨットのハードドジヤー

 前回プロダクションヨットにオプションでハードドジャーを取り付けた例を見てみたが、ワンオフヨットや基本的に量産に向かない木造ヨットを造るときデッキやコクピットはかなり設計変更の自由が効くみたいだ。ハルのサイズは同じようだがヨットとしての雰囲気は大分違うように見える。

c0041039_9364440.jpg 左の画像は木造の30fくらいのカッターだ。このビルダーのヨットはサロンクルーザーのような窓の大きなタイプが多いように思うがこれはロングクルージングを考えたオーナーさんが造ったのだろう。リグもそうだが、ソーラー・レーダーも装備してある。ハードドジャーは木製枠に大きなアクリルの窓が入っている。
 でも春になると関東方面に回航されるとう噂も聞いている。

c0041039_9373337.jpg 左の画像は古い年季の入ったクルージングヨットだ。確か小豆島の岡崎造船で造られ、昔は木製のマストが立っていた。先日写真を撮ったときはニスが塗り替えられて綺麗になっていた。ボクはこのヨットと港外で会ったことはないが、かっては外洋をクルージングしていたのだろうかデッキにはライフラフトが積んである。このハードドジャーは前面が2枚の大きな窓、片方は開閉可能。サイドは三角窓と残りの側面はキャンバス張りになるのだろう。

c0041039_938948.jpg 左はアルミ製60fのワンオフのオーシャンクルーザーだ。国内の造船所で造られここのハーバーで艤装工事をしていた。昨年、北米へクルージングしてきたとか聞いている。そのハードドジャーと言うのか、デッキサロンの上にある見張台はアルミの頑丈な枠に囲まれて安全そうだが、斜材があり、見通しが悪いのと暑い場所、寒い地域ではシンドイかなとも思うが、そんな対策は充分に考えられているでしょうね。
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by pac3jp | 2007-02-14 09:52 | ヨットの艤装と艤装品  

木製ブームのスカーフ継ぎ

c0041039_912635.jpg 前に太い木製ブームが折損したとの記事『折れたブーム』を書いたが、修理が進んであらかたブームとして形をなしてきたので少し工法など簡単に紹介したい。

画像は折れてしまったブームのクリューの部分だ。工事はこの部分を節のない赤松でスカーフ継ぎで復元させることである。

c0041039_1045293.jpg 工事計画ではまず、赤松の割り材で45cm×45cmの角材に挽き、仕上がったときの反り具合と削り出したときに外部に露出する部分が柾目になるように4枚の厚板に積層することから始まった。



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 まず、本体ブームの半面を荒削りする。中心部を段削りし、外側になる部分と継ぐスカーフを削る。スカーフ継ぎは厚さの8倍以上のの接着長さが必要といわれている。





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 芯部分の厚板が接着され、外側部分の厚板が裏返しでスカーフ削りされている。すりあわせをしてスカーフ部分と芯の厚板がブーム本体とエポキシ樹脂で接着される。





c0041039_9133974.jpg ブームの半面が出来上がれば反転させて同じように段削りをし、スカーフ削りで同じように接着して四角い形に造る。そこで金具の取り付けに必要な貫通ボルトの穴を開けるのだ。(円材になってしまうと正確に多数の穴を開けるには難しい)
ブームエンドは最終的に長さを決めるので余裕をもって長くとる。エンドの支えにも有効である。

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 ブームに上下のスカーフ長さの違いに注目。
 







c0041039_918441.jpg ブーム中央部の補修。ブームエンドが折損した時、そのストレスが中央で最大になり部材が裂けた部分があった。削ってみると以外にも金具の付いてないブーム中央部は中空構造になっていたそうです。こんな重いブームでも出来る限り軽量化が図られたのでしょうね。



c0041039_9224280.jpg 貫通穴が開けられたら荒削りされ、そのあと円材としてスムースなカーブに仕上げされる。また移設される金物やブームエンドの金具が付く部分は細かく調整し削り出される。






c0041039_9235816.jpg まだこのブームについていたケヤキ製のシーブケースなど小物の付属品は出来てなかったが、近くすべて出来上がるだろう。修理を担当したヨット屋さんによると、部分的に修理するより新品を造った方がずっと簡単だとおっしゃっていた。でも船齢100年にもなるクラシカルなスクーナーはもう立派な文化財である。修理して正解。しっかりとオリジナルは残すべきですね。

 やがて修理されたブームが装着された大型ヨットが大阪湾でも華麗な帆走を見せてくれることもあるだろう。大いに楽しみである。
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by pac3jp | 2007-01-19 09:49 | シーマンシップ  

マストが折れていた!

 そのヨットはここのハーバーに係留する多くのヨットの中で木のマストを持っているたった3隻のヨットの1隻であった。

c0041039_9512852.jpg ハーバーのヤードにスプレッダーの上から3本に折れてしまったマストが艇の横に置いてあった。そのマストは船齢60年~70年はなろうかと思われる古い木造ガフリグスループのものだ。このヨットは10月の終わり頃、ハーバーの開港記念レースに参加すべく他のヨットと一緒に出港していった。でも後で聞くとどうもスタートをしなかったようだった。当日は微風のレースなのにどうしたのだろうと思っていた。


c0041039_952855.jpg 折れたマストの折れ口を見ると裂けたような割れはない。接着剤が着いている部分もあるが、木材の強度が無くなってしまってポッキリと折れたようになっている。他の部分も同じような断面だ。全体を観察するとマストのスプレッダー下の部分はスカーフ継ぎされた木質が新しい。でも上部はニスが薄くほとんど切れかかっているように見える。マストを支えるスプレッダーは紫外線や雨水に対する面積が広いのでより激しくニス切れがあり、木質に腐朽部分がある。

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 木製のクラシックなヨットは紫外線と雨水に大変弱い。建造方法にもよるが上架中の乾燥にも弱いタイプもある。そんなヨットをメンテナンスするのは手間暇がかかるのだ。毎日、デッキの点検から始まり、キャビントップの塗装は大丈夫か。マストやスプレッダーにニスの剥がれはないか。ハルに擦り傷はないかと気を配る。気になる箇所は素早くタッチアップしておくことが必要だ。雨水がデッキ裏に入ってしまい、天井から雨漏りするようではもう既に重症になってしまっている可能性もある。マストやスプレッダーのニス切れを見逃すとやがて上の画像のようになってしまう。

 このマストをオーナーさんがどう修理するのか知らないが、風情のあるクラシックなヨットにアルミのマストは似合わない。昔通りの木製マストに復旧させてもらいたいものである。前にもこの港に同じような状況になったヨットがあった。だが、オーナーはアルミマストにしてしまったのだ。外野席からとやかく言うのもおかしいが、クラシックヨットは文化財を所有しているのと同じなのでそれなりに社会的責任?があるのかも・・・。

 ボクもクラシックで優美なヨットに魅力は感じるが、それを整備し維持してゆく資金も技量も、はなからないので傍で見せてもらうだけで充分だね。
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by pac3jp | 2006-12-08 10:02 | ウオッチング  

木のマスト

 昔から高いマストは帆船のシンボルである。弁財船は一本マストで南蛮船は3本マストだった。当然、材質は木だった。長い間帆船は木製マストが使われてきたが良材の不足と工業の発展によって新しいマスト素材が現れ、鉄から鋼鉄へと変っていった。やがて帆船の時代は終わったが、マストはヨットのシンボルとして生き続けてきた。だが、木製マストにこだわったヨットは接着剤の助けを借りて、複数の木材を積層し要求される強度を確保したマストを造った。でも近年、殆どのヨットが高い工作技術が必要な木製マストより大量生産可能なアルミ素材に変ってしまった。

c0041039_1305436.jpg ヨット乗りの間でも有名な野本先生の「春一番」は初代も2世も木製マストだった。マストの起倒方法やニス塗りの記事をよく読んだ記憶がある。でも、木製マストは本当に減ってしまった。このハーバーでもボクが知っているのは3隻だけだ。1隻目はハーバーウォークからでも良く見える佐野造船24fの「佳世」さんである。このマストはいつもきれいにニスが塗られていていて手入れも良い。
ハーバーを写生に訪れる人たちに一番人気があるヨットでもある。




c0041039_1312598.jpg 2隻目は陸置の木造セミロングキール、ガフリグのスループでニスを塗った短めのマストが立っている。このヨットは船齢は高いが、昨年、ここのレースで勝ったとか聞いた。仲間のYAMAHA28Sはしっかりと負けたそうだ。
ヨットは古くても手入れが良ければ、セールとクルーの腕で結構それなりに走るもんですね。


 もう1隻はご近所の「YamatoⅡ」(画像は↓)30年以上前だろうか、フジヨットの前身の造船所がアメリカ向けの輸出用ヨットとして造られ、アメリカで長らく乗られてきたケッチである。最近になって今のオーナーがアメリカからそのスタイルに惚れ込んで買って来た。日本に今でもあるフジ32と同じようなデザインだ。このケッチにも2本の木製マストが立っている。残念ながらこのマストはニスの上から白い色にペイントされている。チョット見ただけでは白っぽいアルミマストに見えるがマストトップやスプレッダーのマスト金具が木製マスト用の金具である事からわかる。

c0041039_137219.jpg 古いヨットの木製マストをどうメンテしてゆくかだが、ニスは紫外線に弱い、数年に一度は古いニスを全部剥がして新しいニスを塗らなければならない。これがまた手間暇が掛かるのだ。また、木のマストは重量を軽くする為に芯の部分は空洞になっている。でもその空洞の部分に結露が生じ、内部から腐ってしまうこともあるらい。その点検も怠れない。
 裸になったマストを点検し、マスト・ブームにしっかりとニスを塗った後、ペイントで上塗りする。あのアメ色に光るニスの輝きはないがマスト塗装は確実に長持する。古い木造ヨットを持っていると手入れの要るのはマストだけではないのだ。
 「デッキもハッチもエンジンもと際限なくやる事は出てくるんだよ」と古てのヨット屋さんが言っていたなぁ。

 ヨット・ボートの専門誌の老舗「舵」誌は昭和7年6月創刊だ。当時(1932年)にもヨットやボートがあり人々はそれを楽しみ、そして雑誌を買う人たちも居たわけだ。当時のフネが今残っているかどうかボクは知らない。だが42年前(1964年)奥村ボートで造られ、日本一周航海をした神田夫妻の木造ヨール「アストロ号」を近くで見かけた時、ああ、きっと誰かがレストアして大切に乗っているのだろうと思った。
 アメリカでは古いヨットも比較的多く、マリーナではそんな古いヨットがチャンと整備されて使われているのをよく見るよ、と外国のマリーナ事情に詳しい友人が言っていた。

 優美なスタイルを持つクラシックヨットは素晴らしいが、その面倒を見てあげるのにオーナーの皆さんは人知れず大変な努力をしているんでしょうね。
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by pac3jp | 2006-10-04 13:28 | ウオッチング