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海水と真水で発電するエコな浸透膜発電(PRO)

 わが国は二酸化炭素を排出する化石燃料に大きくは依存せず電源の基本政策を原子力と定め、各地に原発を建設してきたが、福島原発のメルトダウンから電源を再生可能な自然エネルギーへの政策変換を求める声が次第に大きくなってきた。

 ところが、日本の全発電量に占める割合は大型の水力発電に風力・太陽光・太陽熱など自然エネルギー系の電源を全て足せば約9パーセントだというが、大規模な水力発電を除いた自然エネルギー発電は、まだ、たったの1%だ。この比率はドイツではもう約17%になっている。(ドイツは脱原発へ!)

 菅さんは2020年台の早い時点には再生可能エネルギー比率を20%にするとOECDでいっているが本当にできるのでしょうかね。でも、電力業界の盟主だった東電がコケタのでこれから「電力ルネッサンス」がおこるかも・・・。

 先日、日東電工が「ノルウェー「スタットクラフト社」と浸透膜発電の共同技術開発契約を締結」というニュースをみて「浸透膜発電」というテクノロジーがあると初めて知った。

 以前に日東電工の超純水製造用のメンブレンを使ったこともあったが、ボクの中ではどうしても発電とは結びつかない。ポンプで海水を押し込む逆浸透を利用した海水淡水化装置はヨットにも搭載できる小型の物も販売されている。これも同じようなカートリッジに入ったメンブレンだったが・・・。

 浸透膜発電とは、濃度差がある溶液(海水と淡水など)を半透膜で仕切った際に生じる浸透現象から得られるエネルギーを利用する新しいタイプの発電方式です。
 本共同技術開発では、海水と淡水の濃度の差を利用し、正浸透膜を通して得られた海水側の圧力でタービンを回転させ発電します。
 高効率の発電を行うためには、いかに正浸透膜の透水性を高めるかが重要となります。現在、脱塩用途に一般的に用いられる逆浸透膜では、透水性が低く浸透膜発電の効率を高める事ができないため、新たに浸透膜発電に必要な高い透水性を有する正浸透膜を開発することになりました。
 浸透膜発電を行うためには、濃度差の大きい水源の安定的な確保が必要となり、ノルウェーをはじめ、海水と河川が交わる河口付近や海に囲まれ大きな河川を有する日本など、世界で30ヶ所以上が候補地として期待されています。


浸透膜発電の特長
・有害物質やCO2を排出せず、環境負荷が少ない再生可能エネルギー
・天候、日照時間、昼夜を問わず安定供給することが可能
・設置面積が小さく、広大な土地を必要としない

 ↓浸透圧発電プラントイメージ 
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 海水と河川の淡水の濃度差を利用した発電なので周りを海に囲まれ降水量も多く清流の河川も多いわが国にはぴったりの発電システムのように思う。また予測出来ない風力や日中のみ運用の太陽光とは異なり、河川は常に流れており、いつでも発電可能だという点である。それに、この発電方法ではダムは必要なく、さらにインフラは堤防下に設置することができ、景観を損なったり、野生生物に悪影響を及ぼす可能性もない。用地の乏しい日本でもフットボールスタジアム程度の用地があれば2万5千KWクラスの発電所が設置できるという。
 排出物も有害物はなく発電後の常温の汽水がまた海に返されるだけだ。

 しかし、システムが細かい膜構造なので利用する原水の前処理が大変で、ゴミや濁りのないきれいな海水と淡水が必要なので大都市周辺の河川や内海では難しいでしょうね。ノルウェーでは世界各地の多くの河川とは違い、通常の河川には泥やシルト(沈泥)がないので前処理のコストが少ないので採算に乗りやすいのだろう。

c0041039_8173732.jpg 左画像はすでに2009 年11 月24 日、Statkraft 社はノルウェーのトフテに500 万ドルを投じ、世界初となる浸透膜発電所、PRO 実証プラントを開設している。同プラントはテニスコート程のビル内に2,000 ㎡の表面積を持つ浸透膜を格納、使用している。発電電力は4キロワットと微々たるもので、その5 分の1 の電力は同プラントへの揚水のため使用される。
 可能であれば、この揚水用のエネルギーを削減するため重力が利用されるかもしれない。約3キロワットの電力とは家電製品を2,3 台動かせる程度であるが、同社は2015年までに25メガワットを発電可能な大規模な工場の建設を計画している。

 フットボールスタジアムの規模となるこのプロジェクトは、500 万㎡の浸透膜から成る。同社はいずれPRO 発電がノルウェー全体の電力需要の10%を供給するだろうと構想している。

 ↓PROプラント全体イメージと各装置の画像(クリックすれば大きくなります)
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 ↓浸透膜のイメージは2個のBOXに描いてあるが実際は筒型のメンブレンが数多くの連なった構造になっている。

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 この発電方式ではこのメンブレンの性能と製造コストが事業化のキーを握っている。画像は実証プラントの膜面積が2000㎡のメンブレン群だが2.5万KW用の500万㎡となると単純計算では2500倍のメンブラン群が必要となるが一本あたりの透水率がもっと高い大型のものになるのでしょうね。

(注)PRO:(pressure-retarded osmosis)

【参考Web】:1.日東電工プレスリリース 
      :2.スタットクラフト社 
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by pac3jp | 2011-06-30 08:30 | ウオッチング  

被災地ヨット部にスナイプ新艇7隻を寄贈!

 学生や実業団、それに国体などの制式艇であるスナイプ級を建造している姫路のオクムラボートとその支援者たちが宮古市の高校に7隻の新艇を寄贈すると地元新聞が報じている。



被災ヨット部に7艇寄贈へ 姫路の製造会社など 
c0041039_14355130.jpg 東日本大震災で被害を受けた岩手県宮古市の県立宮古高校と県立宮古商業高校ヨット部を支援するため、姫路市のボート会社が会社経営者やライオンズクラブなどの資金協力を得て競技艇7艇を製造している。完成した3艇を27日、現地に搬送する。

 姫路市的形町的形、オクムラボート販売。堀江謙一さんが太平洋単独横断を成功させたマーメイド号なども手掛け、小型ヨットの競技艇では国内8割のシェアを誇る。

 同社の奥村雅晴社長(58)が5月、宮古市を訪れると、ヨットは無残に破損しており、「まるでサメにかまれたようだった」と話す。

岩手、宮城、福島3県で322艇あったディンギー(競技用小型ヨット)の9割が震災の津波で失われ、残ったのは29艇だけという。

 宮古市で8月、全国高校総体のヨット競技が開かれる予定だった。宮古高には、2艇の合計点で競うデュエット競技で昨年準優勝した女子生徒もおり、地元開催に張り切っていたが、会場が急きょ秋田県に移された。全国高校総体につながる東北大会が迫るが、両校には練習する船がない。それでも大会に意欲を見せる生徒に、奥村社長は胸を打たれたという。

 競技艇は1艇で約250万円。同社だけで負担することは難しい。奥村社長が両校への支援を呼び掛けたところ、会社経営者らから資金提供の申し出があった。

 同社で製造を担当する巽美則(たつみ よしのり)さん(44)と小林隆さん(38)は「ヨット仲間として高校3年の夏にかける生徒の思いに応え、残り4艇も何とか間に合わせたい」と話している。(坂本 勝)
 神戸新聞 2011.6.26


 東日本大震災の被災地では漁船や観光船、モーターボートなどがガレキの中に放置されている映像を良く見かけたが、セールボートも多分被災されているはずと思いながらニュースを見ていたが、絶対数が少ないので見かけることもなかったのだろう。

 地元新聞ではまだ使える中古漁船を被災地に送ったというニュースもあった。しかし高校ヨット部に高価なレース用新艇を贈呈支援するのは大変だと思うが賛同者もあってしっかりと実現できたのがうれしいですね。

 西宮沖でも地元の高校生たちが高校総体に向け元気に練習している。東北の海でも元気な声で、新艇を乗りこなし、優勝を目指して頑張ってください!
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by pac3jp | 2011-06-27 14:44 | ウオッチング  

3次元海底資源調査船「ラムフォーム・Wクラス」

c0041039_15125724.jpg  三菱重工業は、ノルウェーの資源探査会社大手ペトロレウム・ジオ・サービス社(PGS)から3次元海底資源探査船2隻を受注、14日に現地で契約調印した。2隻のオプションが付いており、2013年春から順次引き渡しの予定。

受注したのは、PGS社が“ラムフォーム(Ramform)・Wクラス”と呼ぶ新型の3次元解析能力を有する海底資源探査船で、全長約104mながら最大船幅が70mと広く、広範囲の探査能力を持つのが特長。ディーゼル発電機による電気推進であるため、航行時の静粛性にも優れる。 船尾から数キロメートルにおよぶ複数のストリーマー・ケーブル(ハイドロホンと呼ばれる振動センサーを内蔵したケーブル)を曳航し、音源から発した音波が海底面や地層境界に当たって跳ね返ってくる反射波を受信して、地層構造を3次元的に解析する。PGS社では新型の船尾幅を従来の探査船に比べ30m拡張することにより、ストリーマー・ケーブルを最大24本と大幅に増やして、一度に広い範囲を探査できるようにした。

 (三菱重工業ニュース 2011.4.15より)

 5月26日、南シナ海のベトナムのEEZ内で海底資源調査中の国営石油会社の探査船が中国の艦船3隻によって調査ケーブルを切断される妨害を受け、ベトナムは「重大な主権侵害」と強く非難し、南シナ海領有をめぐり対立する中国とベトナムの緊張が高まっていると報道されている。

 高価な海底資源調査船を持っている国は少ないのではと思っていたが、アジアでは中国が12隻に、韓国も4隻に保有数が増えているという。日本は上記のノルウェーPGS社から「ラムフォーム・ヴィクトリー」を買ってやっと1隻確保したのにべトナムは中国との対抗上自前でフネを確保したのか、とりあえず外国からの傭船だろうか。
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 南シナ海・東シナ海で小さな?バトルを繰り返す隣国の中国では保有する海底資源探査船の数は12隻と多いがストリーマー・ケーブルの数が2~4本と少なく探査の効率も悪いからか、今回、アジア最強の探査船「海洋石油720」を建造し、その引渡し式が4月22日行われたと報道している。
 この船はストリーマー・ケーブルの数は「資源」の12本と同じだがケーブル長さが8000mと長いのが特徴だという。

c0041039_15151372.jpg 一方、韓国では以前から日本海の竹島にも近い対馬海盆でメタンハイドレードの調査をしていたが、昨年、2010年にはフグロ社(本部オランダ)の海底資源調査船フグロシナジー(Fugro Synergy)号(左画像)で対馬海盆の水深約950mから水深約2,300mまでの約10地点でボーリング及びコア採取を行いその傭船料は3,700万ドルだという。
 日本が2006年に傭船した「ラムフォーム・ヴィクトリー」も1ヶ月あたり10億円だったが多分同じような相場金額なんでしょうか。でも長引くと大変だ!

 この調査船は3次元資源探査船と違い深海を掘削してコアを採取する機能があるフネなので大きなヤグラを持っている。最近進水したJOGMECの「白嶺」にもフグロ社の掘削装置が搭載されることになっている。装置納入と同時に当然必要な深海掘削作業のオペレーションのノウハウやその解析技術もきっと高いのでしょうね。

 日本の海底資源調査船は新しい「白嶺」もストリーマー・ケーブル装置を1本持っているがメタンハイドレード・熱水鉱床などの深海ボーリングやマンガン塊などの採取がメインになるだろう。「資源」は石油・ガス田の3次元探査が主になるのだろう。それに地震の調査もあわせてやっているというが・・・。
 漁船や航行する内航船舶も多い日本近海で6kmもある長いケーブルを12本も幅広く曳きながら航行する作業は大変です。たまには潜水艦に絡んでしまうこともありますしね。

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上画像 3次元海底資源探査船「資源」

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 12本ものケーブルを繰り出すシーブが並ぶ40mもある幅広い船尾。船体色が違うが以前の「ラムフォーム・ヴィクトリー」2006.9月撮影

 三菱重工さんでは今回受注したPGS社の探査船でも韓国の造船所と激しい競争になったと聞いている。以前はこのジャンルでは中・韓とも競合しなかったのに最近は国家の海底エネルギー獲得方針にあわせて中国や韓国も特殊船にも力を入れているようだという。

 確かに日本のメタンハイドレード開発は隣国との摩擦がない本州南岸の南海トラフだけでやっているが、日本海や東シナ海にも有望なエリアがあり隣国たちは着々と開発を進めているのに日本だけが何もしないと持っていかれてしまわないかとボクは大いに心配している。
 

【参考Web】:海底資源探査船 ラムフォーム・ビクトリー号
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by pac3jp | 2011-06-12 15:31 | 特殊船  

石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の新調査船「白嶺」

 2010.10月にJAMSTEC(海洋開発研究機構)の「ちきゅう」を見学したとき、沖縄海域の海底熱水鉱床からボーリングされたサンプルコアを見たことがある。それには日本が必要としている金属のうち銅、鉛、亜鉛、金、銀、それにレアメタル類も多く含まれているという。でも、熱水鉱床は700m~3000mの深海にあるので商業採掘は中々むつかしいらしい。

 「しんかい6500」でもその熱水鉱床を調査した画像などは見たことはあるが、それを資源として開発しようという雰囲気ではなかったなぁ。
 同じような海底調査船を運用しながら文部科学省所管ではどうも本来目的が違うようだった。

c0041039_16592821.jpg 海洋資源開発となるとやっぱり経済産業省所管で、石油公団と金属鉱業事業団を前身とする「JOGMEC」が運用する「第2白嶺丸」や「資源」が出てこなくてはならない。
 我が国は世界第6位の広いEEZをもち、その海底にはレアメタル等の金属鉱物資源やメタンハイドレート等が豊富に存在するといわれている。しかし、海底資源に目覚めた隣国から自国の権益を守るためにはしっかりとした調査が必要と目覚め、やっと日本にはなかった石油・天然ガス探査の三次元探査船「資源」を中古船ながら海外から購入した。
 でも自前だった海底調査船「第2白嶺丸」も建造からすでに30年がたち自動船位保持装置もないなど装備が古くなったので遂に新しい調査船を建造することになった。(船体220億円+調査機器75億円の合計295億円の予算がついた)

 新調査船は、平成22 年7月に三菱重工業株式会社下関造船所で起工し、平成23 年3月23 日に進水式が執り行われ、今後、調査機器の据付など艤装を経て、平成24 年1月末に完成、就航の予定であると報道された。

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 新海洋資源調査船「白嶺」の主な仕様
全  長: 118.3m、幅:19.0m、深さ:9.2m
総トン数: 約6,200t
航海速力: 15.5kt
航続距離: 約9,000海里
最大搭載人員: 70人(乗組員34 人,調査員など36 人)

 バルバスバウの後方には2組のトンネル型のスラスターと昇降旋回式(360°旋回が可能で、かつ昇降して船体内に格納可能なタイプ)のスラスターを装備する。一方、船尾部分の船底はバトックフロー船型(平らな形状)をしており、2基のアジマス推進器(360°旋回が可能)や船の直進性を向上させるためセンタースケグと針路安定フィンが設置される。

 また、停船状態や低速航走状態にて長時間のサンプリング調査や観測作業を行うことから、船体動揺を軽減するためのビルジキール及び減揺タンクを装備する。この結果耐航性能としては、最大風速15m/s、有義波高3mの気象海象条件下で、船体の横揺れを5度以内、縦揺れを2度以内、上下揺れを1.5 m以内(いずれも片振幅)に押さえることが可能である。

 船体中央部にはムーンプールを配置し、大型のつり下げ型調査機材の投入揚収が可能である。また、ムーンプールの船底部と作業デッキレベルにはそれぞれ2枚の蓋からなる扉を装備しており、巡航時やムーンプール作業等の状況に応じて扉の開閉(観音開き)が可能である。
また、新調査船ではこのムーンプールを利用して船上設置型掘削装置(取り外し可能)による掘削作業を予定している。

 新海洋資源調査船「白嶺」の発電・推進システムの諸元
■主発電機関(ディーゼルエンジン):最大出力2,635kW×720rpm-1×4基
(補助発電機関:最大出力860kW×900rpm-1×1基)
■主発電機:AC6,600V、60Hz、2,450kW ×4基
(補助発電機:AC450V、60Hz、800kW×1基)
(非常発電機:AC450V、60Hz、250kW×1基)
■推進電動機(プロペラ駆動用電動機):船尾アジマス推進器3,200kW×2基
■バウスラスター(トンネル式)790kW ×2基
■バウスラスター(昇降旋回式)820kW ×1基

 「白嶺」は電動機駆動による電気推進船であり、ディーゼルエンジンに直結させた発電機により、インバーター制御の電動機でプロペラを回転させて船の推進力を得る。この方式はプロペラの回転数の制御が容易で操縦性が良く、また振動が少ない等のメリットがあるため、調査船向きの推進システムである。さらに使用電力の負荷に応じて4系列の発電機関の運転台数を制御することで、効率的、経済的な運用が可能なパワーマネジメントシステムを備えている。また、エンジンで直接プロペラを回転させる方式では船体におけるエンジンの設置箇所に制約があるが、電気推進方式ではエンジン・発電機セットの設置箇所は自由にレイアウトすることが可能となり、調査船の用途に合わせた最適な船体の設計が可能となる。近年建造される世界の客船や海洋調査船の多くが、この電気推進システムを採用している。
 この船の発電機の総出力は10,850KWとなり昔の船とはえらい変わりようだ。

 搭載する装置の中でも特筆すべきものは、海底着座型掘削装置及び船上設置型掘削装置である。なお、掘削中の本船は2基のアジマスと3基のスラスタの自動船位保持装置(DPS)により総合制御される。

■海底着座型掘削装置の主な仕様
c0041039_1650336.jpg① BMS:深海用ボーリングマシン現有機(左画像)
稼働水深:6,000m
掘削長:20m
空中重量:4.8t(コア満載時)

② BMS50M:新型深海用ボーリングマシン
稼働水深:3,000m
掘削長:50m
空中重量:約15t(コア満載時)

○特徴
新型のBMS50Mは、AC3,000V、3φ、60Hzの電力を供給する38.1mmφの光・動力複合ケーブルにより接続され、海底に着座する水中部本体と、船上から本体をコントロールする船上部で構成される。 水中部は電動モーター、油圧ポンプからなる動力ユニット、パワースイベル等の掘削ユニット、ドリルビット・インナーチューブ等の掘削ツールを格納するマガジン状のラック(ストレージマガジン)などから構成される。本体の下部の3脚の接地脚が独立に垂直方向に伸縮することで、1mの段差、30度の平面傾斜地に設置可能。 

■船上設置型掘削装置の機能(下画像)
c0041039_16512580.jpg 船上部に掘削機本体を設置し、ムーンプールから掘削ロッドを海底に降ろして海底下を掘削する装置。掘削対象の土質条件に併せて、掘削ツールが変更可能である。圧力保持掘削ツールを搭載することで海底下に賦存するメタンハイドレート試料の採取が可能。

○主な仕様
稼働水深:最大水深2,000m
掘削能力:400m
掘削システム:ライザーレス、パワースイベル駆動

○特徴
マリンドリルのドリルデリックは、掘削機器及びダウンホールツール(ドリルパイプ内を通過する各種サンプル採取・測定装置類)を、安全かつ問題なく広く安定したサンプリングプラットフォームに装備し、動揺補正装置を備えた堅固なツインタワー形式の装置で、新調査船の中央部にあるムーンプールに合せて設置される。
通常、石油掘削など大規模・大深度の掘削の場合、ライザーと呼ばれるドリルパイプと掘削泥水が通る二重構造のパイプを船底から海底面に設置された噴出防止装置まで取り付ける「ライザー掘削方式」が採用されるが、本システムの場合、掘削深度が400mであり、ガスや石油の噴出の可能性が極めて低いことから、「ライザーレス掘削方式」、つまり、ドリルパイプだけを用いた掘削方式を採用している。

 我が国周辺海域では、島弧~海溝系に属する沖縄トラフ及び伊豆・小笠原海域において、多くの海底熱水鉱床が発見され、これらの内、いくつかは広範囲に分布することが確認されている。また、分布水深が700~1,600 mと世界的にも浅く、中央海嶺に分布するものと比較し金・銀の品位も高いことから、技術的・経済的にも開発に有利であると期待されている。

 現在JOGMECでは沖縄海域(伊是名海穴)及び伊豆・小笠原海域(ベヨネース海丘)を中心に、海底熱水鉱床の資源量を評価することを目的として、深海用ボーリングマシン(BMS)を用いたボーリングコアの掘削調査を実施中である。

 海底資源開発のうち、熱水鉱床については、10 年程度を目処に商業化を図ることが海洋基本計画に盛り込まれていて、平成30年には採掘に目途をつけるということだと思うがあと7年ですがさて・・・。

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 日本近海の海底熱水鉱床位置図


【参考Web】:JOGMEC 新海洋資源調査船の建造について  
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by pac3jp | 2011-06-05 17:11 | 特殊船