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地球深部探査船「ちきゅう」が神戸港で修理中

 神戸港、六甲アイランド西側の公共岸壁に高い掘削やぐらが大きなコンテナクレーンを遥かに凌ぐ高さを誇って、遠くから見ても「ちきゅう」が停泊しているのが一目で分かった。
 2006年6月に四突のポートターミナルで一般公開していたので今回もその準備かなと思って近くに行ってみると、オイルフェンスも張ってあり、どうも何かの工事をしているような感じである。前回は都合で見学出来なかったので今回は是非ともと思っていたのに少し残念。

 帰って調べてみると、
今年2月からの始まった「ちきゅう」の中間検査の際、アジマススラスター(船位保持のための360°回転可能な推進機)のギア損傷が判明し、佐世保造船所においてドライドック工事(後部2基のアジマススラスターギア交換)をしたのち、平成20年11月19日~平成21年2月下旬まで神戸港岸壁における工事(残り4基のアジマススラスターギア交換)を実施すると独立行政法人海洋研究開発機構から発表されていた。

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長 さ:210m
幅  :38m
喫 水:16.9m
総屯数:57,087トン
乗組員:150名
速 力:12ノット(巡航10ノット)
海面からの櫓の高さは121mある。

c0041039_8385198.jpg 左の画像はアジマススラスタの作動表示パネル

 「ちきゅう」のDPS(自動船位保持装置:Dynamic Positionig Sistem)は最大で風速23メートル/秒、波高4.5メートル、海上流速3-4ノットまでの環境でその能力を発揮することができ、数ヶ月、長ければ1年間以上もほぼ定点に留まることが可能となっている。このため船底に6個のアジマススラスタとバウには普通のサイドスラスタも装備されていてGPSや各位置センサーから得る情報を元にコンピュータが処理し、各ユニットの動きを管理しながら船位を保ち、長く続く掘削中も全長210mもある大型船が定点から15mくらしか外れないとか。

 「ちきゅう」のパワーユニットは
三井ADD型ディーゼルエンジン:7,170HP×6基 これと連結される主発電機は5,000kw×6基、それとは別に補助発電機:2,500kw×2基があり合わせて発電設備として35,000Kwの出力を持っている。

 因みにアジマススラスターはプロペラ直径3.8mで出力4,200Kwのものが6基あり、ユニット1基の重量は160トン、うち20トンがモーターの重量であるという。(下画像参照) それにバウのサイドスラスタ 2,550kw×1基がある。

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 掘削作業は、海面に浮かぶ船から海底に、太く長いパイプを伸ばし、その中のドリルパイプが海底下約7,000mの深くまで堀り進んで次々とコアを堀り出してゆく作業をするわけだ。本船は定点にいるといっても本当に大丈夫かなぁとボクはそう思うが、深い海ならパイプの揺れはある程度は許容(パイプの長さの5%までとか)されても、浅い海では支障が出るらしく「ちきゅう」は水深500mより深い海で運用することになっているそうだ。

 でもボクの疑問は「ちきゅう」はまだ建造されてたった3年の中間検査の段階で深海掘削船の主要な装備であるDPSのアジマススラスターのギヤ損傷が発生し、今回、約10億円もをかけて修理工事をするわけだが、まだそんなに「ちきゅう」を酷使するほど使ってないだろう。故障がちょっと早いのではと思い調べて見ると、

 中間検査の開放検査で損傷が発見されたアジマススラスタのベベルギア(回転方向を直角に曲げるときに使うギア)には、

●ホイールの歯元に垂直シャフト側(ピニオン)の歯先が接触することなどによるギア表面からの亀裂発生。 (上の左画像を参照)
●浸炭焼入れ深さ不足等による内部せん断応力に対する強度不足あるいはギア内部に介在する不純物によるギア内部からの亀裂発生。

 と、設計・製造上の欠陥から損傷が発生したので現在使用しているギア全て(6基)については、設計変更して新たに製作するギアに交換することとした。と発表されている。

 神戸港で工事が終わった平成21年3月中旬から「ちきゅう」は紀伊半島沖の熊野灘において機器確認、試験掘削等を実施し、その後IODP(※統合国際深海掘削計画)によるライザー掘削を開始する予定だという。

 先に東シナ海のガス田開発などで中国とEEZの解釈などで色んな問題が発生していたが、これからは大陸棚、あるいは深海底に存在する資源などの調査も近隣国に負けず積極的に行い、日本の正当な国益を守り次代につなげてゆかなくてはならない。このIODPの地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明などが国益とつながるかどうかは分からないが、全く未知の世界、マントルの奥深くまで新しい発見を求めて頑張って来てください!!

統合国際深海掘削計画 (IODP: Integrated Ocean Drilling Program)とは
日・米を主導国とし、平成15年(2003年)10月から始動した多国間国際協力プロジェクト。現在、欧、中、韓の21ヶ国が参加。日本が建造・運航する地球深部探査船「ちきゅう」と、米国が運航する掘削船を主力掘削船とし、欧州が提供する特定任務掘削船を加えた複数の掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を目的とした研究を行います。


【関連記事】:調査船 ラムフォーム・ビクトリー号 
【参考Web】:フリー百科事典『ウィキペディア』より「ちきゅう」
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by pac3jp | 2008-11-28 08:47 | 特殊船  

オーストラリア艇「シャドー・オブ・ローレライ」を訪問する

 11月15日(土)に2隻のロングクルージング中のヨットが入ってきたので、まず、近いほうからとフランスの「NEOS」号を先週に表敬訪問した。今週にはオーストラリア艇と思っていたのにビジター桟橋に姿がない。どこに行ったのかと思っていたら、ちゃんと2隻ともお隣のメンバー桟橋に停泊していた。

 沖にいたボクに仲間から「オーストラリア艇から4時にコーヒーでも飲みに来たらと招待された」と連絡があったので、急いで帰り、一緒に彼等のヨットを訪問してきた。
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 ヨットは「シャドー・オブ・ローレライ」アメリカのプロダクションヨットでロード・ネルソン41、長いバウスプリットを持つクラシックなカッターだ。1986年に台湾のオーシャンイーグル造船所で建造されたフネを2005年から乗っているという。

船体長:41ft バウスプリット:10ft 全幅:12ft6in 吃水:5ft8inのフルキール
清 水:750L 燃 料:500L エンジン:ヤンマー4JHクラス 母港はオーストラリヤのブリスベーン

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 このヨットのコクピットは大きく頑丈で快適そうなフルドジャーで包まれている。前方、コンパニオンステップの上部のみハードトップになっていて熱帯地方では全周が開放できるようになっている。これから冬に向かう日本でもドジャーをしっかりと閉めると温室のように暖かいだろう。

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 キャビンは台湾ボートらしく木部が多用された重厚なインテリアだ。壁には長いクルージング歴を示すように写真や伝統的な面などもきれいに飾ってある。小顔で美人の奥さんが皆にコーヒーをいれてくれる。
 オーナーに、さぁこれから詳しいお話を聞こうとすると、彼は分厚いゲストブックを出してきてパラパラと繰りあるページを開いて見せた。それはKAZI誌が今年5月に福岡・小戸YHで取材をした記事の切り抜きだった。それを読んで貰えば自分たちのクルージングは分かるだろうという感じだ。確かにどこの港に入っても聞かれることは同じだろう。もうメンドクサイという気持ちもよく理解できる。

 彼らのクルージング歴は長く、38歳でリタイヤ(なんとも早い!)して以来、20数年間で3代のクルージングヨットをベースにし、空路も含めて世界82カ国を訪れたという。

 装備についてもお聞きすると清水は今のタンク容量(750L)で充分だし、造水器はメンブレンの性能に疑問があるので使わない。電気はソーラーパネルがあるのでジェネレーターは不要。ナビゲーションはC-MAPともう一種類の電子チャートはお使いだが航海エリアで必要な紙チャートは全て用意してあり、シート下のチャートロッカーに400枚も保管してあると言い、自宅倉庫にはまだ他のエリアのチャートも沢山持っているとおっしゃる。彼のナビゲーションはヨットと同じくクラシックなチャートワークが原則みたいだ。ボクも航海は紙チャートがメインで電子チャートはバックアップと考えているので宗旨は同じようだなぁ。

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 通信設備は長距離用のSSB(icomM700pro)と近距離のVHF、それにsailmailのためのPactorⅡはチャートテーブルの周りセットしてあったがパソコンはtoshibaだと聞いていたが収納されていて見かけなかった。ダブルエンダーの船尾にはウインドベーンが付いている。内海では当然オーパイでしょうが外洋では電力不要のこれをお使いになるのだろう。

 日本のノリ網について聞いた時にこんな話をしてくれた。ずっと前、彼らがまだタヤナ37に乗っていた頃、東南アジアの海を夜間に次々と現れる網を交わしながら航海していたとき、ブイについたストロボライトの列がいつまでたっても続いているように見えて、これは長い網だと思っていた。
 だが、朝になるとどうも一晩中、キールとラダーの間にロープが挟まり動けなかったようだ。穏やかな天気が幸いしたが太いロープをラダーから外すのはダイビングセットの助けを借りても大仕事だったという。

 そんな事故の戦訓で彼はヨットのキールからラダースケグの間にステンレスロープを渡し、もし誤ってロープに乗ってしまってもラダーに挟まないようにしたらしい。今のロード・ネルソン41はフルキールなのでロープに乗っても安全だと胸をはっていらしたが・・・。

 これからの予定は、12月に一度オーストラリヤに帰国、少々ビジネスをして再度来日、今度は中部~関東方面に向かう。その後、来春には銚子からダイレクトでバンクバーに渡り、あと、アメリカ西岸を南下するクルージングになるらしい。KAZI誌の記事によると彼らのクルージング最終目的地は地中海に入りイタリア系オーストラリヤ人であるオーナーのご先祖が住んでいたローマ近郊の町を目指すのだという。
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by pac3jp | 2008-11-26 14:16 | ウオッチング  

イタリアからの新艇 Part2「グランドソレイユ37」

 センターハウス前で朝から忙しそうにしている知り合いのヨットディーラー氏から声を掛けられ短い雑談をする。そしてビジター桟橋に回るとセールカバーにGS37と表示された真新しいセーリングクルーザーが停泊していた。
 GSとあるのでボクの記憶中枢からは昔のレーサー「ゴールデンシャムロック」なる名前がまず浮かんだが、これは古すぎるのですぐさま「ボツ!」。スターン付近をよく見ると「GRAND SOLEIL37」と表示してある。昨年のJAPAN CUPでよく走っていたB&Cデザインの四角なハルのグランドソレイユ 42Rと黒いハルの49Rを思い出す。
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 この3連休はB&C(ボーティン/カーキーク)設計の新艇「グランドソレイユ37」の試乗会のようでデッキには既にイチサンゴイーストの社長さんが乗っている。お客さんらしきヨットマンもお一人いらっしゃるが、お一人では物足りないのか、さきのディーラー氏はボクに試乗しましょうとしきりに勧める。残念ながらボクにも約束があったので艇内の見学を少しさせてもらうだけで勘弁してもらった。

 ヨットはこの頃はやりのハイパフォーマンスセーリングクルーザーだ。10月の横浜ボートショー前に輸入し、ボートショーに出展したのち、つい最近新西宮ヨットハーバーに回航してきたという。

c0041039_1010434.jpg 船型は純レーサー(GS42R)のように極端な箱型ではなく普通に近づいている。バウの形は直角で水面からは浮いているし、LOAもLWLも殆ど同じ長さで機走では8.5ノットも出るらしい。

 デッキ外観はヘルムスマンシートやコクピットにはチーク材が張ってあり、ドックハウスの上はドジャーがセットできるようなデザインになっているし、キャビンにもちゃんとした内装もある。普通のクルージングヨットのように見えるが外観から見えない部分がきっとレーサーになっているはず。カーボンのスピンポールがセットしてあったが、いまやカーボンなど普通の艤装品になっている?

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c0041039_172498.jpg 速さの秘密はまず、水中にあるキールだろうか。左のフレーム構造図からキールを見ると他のB&Cのキールと形はよく似ている。仕様では約2トンで2.4mの深さがあるとなってる。深いキールを吊リ下げるハルのキール支持部分はかなりのストレスが掛かるはずだ。普通のクルージングヨットのようにFRPの船底に直接ボルトで取り付けるなど出来ないだろうか。このフネはキール取付け部、マストステップ、左右のシュラウドなど強度が必要な部分を亜鉛メッキの一体フレームで受止め、船体の剛性を上げているという。その為、両舷床の一部に蹴躓くような出っ張りなど出来ているが、ここら辺りが早さの秘密かな・・・。

c0041039_10122424.jpg エンジンは「ボルボセールドライブ 4気筒 D2-40」38HPである。標準仕様ではD1タイプらしい。ボルボはこのタイプから110Aのオルタネータが標準で付いている。エンジンルームも手前側に少し余裕があるのでアウトプットの機器が多少はセットできるのかも知れない。

 今年9月のSRY42に続き、またイタリアからグランドソレイユ37の新艇が入ってきたが今後のレースシーンではどうなるんでしょうかね。ここでは昔、J24が、それからマム36がはやった時のように今はX35ワンデザインクラスがにぎやかになっている。

 ボクはレースボートの世界はよく知らないが色んな考え方の出来る才能あるデザイナーが知恵を絞って速いヨットを生み出し、そこらじゅうに帆走している風景も、見てて面白いなと思っている。

【関連記事】:レーシングヨット、はやりの船型は・・・。
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by pac3jp | 2008-11-25 10:22 | ウオッチング  

新型、省エネ船のプロペラ

 神戸港の西側、和田岬には三菱重工・神戸造船所がある。そのポンドでは数隻の潜水艦が艤装工事や定期検査だろうかひっそりと泊っている。その向うの船台にはこのところNYKの大型自動車運搬船が連続で建造中である。

 地元新聞が地球温暖化防止のキャンペーンなかで人々の暮らしを支える裏方の世界でも省エネ対策が着実に進んでいると自動車運搬船の新型推進システムを紹介していた。
c0041039_9325152.jpg それは画像でも分かるがプロペラの後、舵スケグの前に省エネにつながる「ステータフィン」と呼ばれる固定の羽根車を取り付けている。
 これは通常、船舶が航走することにより捨てられるエネルギー(プロペラ回転流)を回収して推進効率の向上をはかる装置で、ボルボペンタ搭載のモーターボートでもよく使われていて皆さんご存知の二重反転プロペラ(CRP)は最も効率よく旋回流を回収できるが、複雑・高価なため一般の貨物船には用いられていない。それに比べ「ステータフィン」は、CRPの後方プロペラを固定したものでCRPと比較して簡便・安価である。そしてこの翼のデザインは複雑な計算で割り出したもので三菱重工の特許になっているという。

 ステータフィンとはプロペラ後方の舵に設置してプロペラ回転流を回収する、高速・痩せ型船に適用可能な省エネ装置である。自動車運搬船を対象に、ステータフィンの設計と、理論計算及び模型試験による評価を行った。さらに、実船において、速力試験のほかに、信頼性及び性能の確認とステータフィンの基礎データ取得を目的としてフィンの応力計測、振動計測及び作動状況観察を実施した。その結果、省エネ効果のほか、強度・振動面で問題の無いことを確認した。当社建造の自動車運搬船では、ステータフィンが標準装備となりつつある。今後は、コンテナ船等、さらに高出力主機装備船への適用を検討していく。(三菱重工技報より抜粋)


c0041039_9341839.jpg 一方、省エネ推進装置のなかでも高級なシステム、ハイブリッド型CRP ポッド推進方式(イメージは左画像)は 2004年6月に就航した新日本海フェリーの総トン数16,800トン、最高速力32ノットの“はまなす”“あかしあ”に採用され、この2隻は在来型の2軸推進方式を採用した場合と比較して13 %の燃料消費量低減を達成し、運航コストの改善とCO2 排出量の削減に貢献しているという。だが残念なことにこれらの船の主要機器は大型クルーズ客船で実績のある外国製だった。

ディーゼルエンジン:フィンランド  ワルチラ 12V46C 12,600kW×2基
電動ポッド推進器 :フィンランド  Azipod  17,600kWx1基

 ポッド推進器とは、ポッド状の容器の中にモータを組み込み、モータに直結したプロペラを駆動させる推進ユニットである。“あかしあ”はポッド推進器を主プロペラの軸心延長線上に配置して、主プロペラとポッドプロペラを1組の二重反転型プロペラ(CRP)とするよう近接して配置している。近接した2つのプロペラをお互いに反転させることにより、プロペラ回転流回収効果が得られる。主プロペラは可変ピッチプロペラで、クラッチ付き減速機と中間軸を介して2基の中速ディーゼル主機関により直接駆動される。後方に位置するポッドプロペラは主発電機からの電力によりポッド内の電動モータで駆動される電気駆動式である。(三菱重工技報より抜粋)

 地球温暖化防止のためにヨット乗りは何をすればいいのだろう。ヨットの省エネって、何だろうと考えてもやっぱり、エンジンに過度に頼らず今まで以上に風の力を利用してフネを走らせることでしょうね。僅かな風でも前進力にする良いセールと抵抗の少ない船型、レースで早いXヨットみたいなフネが良いのかなぁとも思うが、でも、やっぱりセーリングの腕を磨くのが一番か。

【参考Web】:PDFファイルです→高精度パネル法を用いた高性能ステータフィンの開発
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by pac3jp | 2008-11-21 09:49 | 貨物船  

100円ショップ(100均)でヨット用品を見つける

 どこにでもある「100均」でヨットに使えるパーツを見つける"特別の才能"があるのかなぁと思わせるヨット乗りがいる。

c0041039_11323588.jpg 先日、彼のヨットをのぞいたら丁度手ごろな大きさの3LEDのランプがいくつか取り付けてあった。一つは暗くなってからヨットに帰った時などスライドハッチを開け、手を伸ばしてランプを押さえると、コンパニオンスッテップをLEDランプが照らしてくれる。もう一つはバースの頭上になるところに付けてあった。これは夜、ちょっと起き上がるときに便利につかえる。

 わざわざ電源を用意しなくてもボタン電池が内蔵されていてどこでも取り付け可能。これが100均ショップで105円で売っている。
 アイデア次第でまだ使えそうな場所はある。例えば暗いロッカー内や奥に深い戸棚なども候補かな。

 ヨットに取り付けるためには振動対策に少々ベースの加工が必要だが、マリンショップなら一個 1000円はしそうな感じ。・・・いや、もっとするかも!

 ↑画像の上は天井に付けたLEDランプ。下はバースの頭上に付けたLEDランプ。大きさは同じで色違いである。

 LEDランプの他にもステンレスの各種ビスも少量使うときは便利だ。これは個別のケースに入っていて分類と収納し易い利点もある。またアクリル板などプラ板類も、それにコーナンで売っている超強力銀テープより対候性がよい100均テープもあるよと「100均の達人」は色々と教えてくれる。
 因みにこの3LEDランプは関西系の100均である「フレッツ」にしか置いてないという。最大手のダイソーにはどうもないらしい。

c0041039_1133383.jpg 右の画像はドジャーの内側に取り付けたマストステップ付近を照らす光源が可動式のLEDランプ。どうもLEDヘッドランプのバンドを外してドジャーの窓際に縫い付けたようだ。この器具はレンズが入っているので強い光で照射できる。これは100均であったかどうかは聞き忘れたがホームセンターでも安く売っている。

 100均といえばボクも以前から単三アルカリ電池をよく買っていたが、どうも持ちがよくない感じがしてパナソニックのアルカリを買ったりデジカメにはパナのEVOLTAを使ったりしていた。
 100均の電池売り場は色んなブランドのアルカリ電池が並んでいてどれが一番のお買い得だろうと悩んでしまい、とりあえず国産ブランドを選んでいたが、Webで「100円ショップアルカリ電池性能評価実験」をした人の記事によると国産アルカリ電池が必ずしも100均の電池より性能が良いとは言えないと結論付けている。

 電池は製造されたときから自己放電が始まっているからね、製造日からどれだけ新しいかをよく見ることがポイントらしい。でも小さい字で表示してあるし、老眼の身ではお買い得品を見つけるのもホントつらいなぁ。

【参考web】:100円ショップアルカリ電池性能評価実験
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by pac3jp | 2008-11-19 11:47 | ヨットの艤装と艤装品  

フランス艇「NEOS」号を訪問する

 台風シーズンが終わり、11月~12月になると海外からのロングクルージングボートがよく入ってくる。11月15日(土)、先着のオーストラリアの41fに続き、いかにもフランス製らしい幅広の50fクラスのカッターが入ってきた。デッキでは背の高い奥さんらしい女性が片づけをしている。エンデバー以来、また外国の国旗を揚げたヨットが並びビジターバースもヨットハーバーらしい雰囲気になってきた。

 その1隻のフランス艇「NEOS」号を仲間と訪問してクルージングの話をお聞きし、彼等のヨットも見せてもらった。

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 NEOS号の概要は大きなドジャーを持つ全長50fのアルミ製ワンオフヨット。水線下のデザインはツインキール、ツインラダーで吃水は1.7mと浅く船台なしで上架できる。リグはカッターでメンスルはフリードリクセンのフルバテンセール。ハリヤードはこの艇で唯一の電動ウインチで巻き上げる。排水量は15トンで船齢は7年という。

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 ブルーのエンジンはクボタ6気筒85HP、白い大き目のエクストラのオルタネーターが付いている。右画像は主エンジンの奥に設置されたジェネレーターは出力6.5kwで、3気筒のエンジンはダイヤ製が装備されているがエアコンはなく替わりに大型のフリーザーと電気洗濯機がある。静かなソーラーパネルは2枚両舷のスタンションにセットしてある。
燃料はディーゼル油800L、清水は600L、ウォーターメーカーを装備しているが日本ではどこでも清水がもらえるのでとても助かっているとおっしゃる。

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 チャートテーブルにはワイドタイプのパソコンが主役でナビゲーションはC-MAPを使っている。スプレッダーに衛星通信の小さなドームが、Sailmail用か、船尾に長い短波のアンテナが立っている。オーナーの説明によると機器は全てmade in japanでfuruno、icom、sonyと数えていた。オーパイはレイマリンST7000が2セットダブルで取り付けてある。電力事情も良いし、場所もないのでウインドベーンは装着してない。

 右画像 長いクルージングでは人跡未踏の辺地で暮らす時もあるし、故障は時と場所を選ばない。そんな修理や整備のためにこのフネにはちゃんとエンジンルーム隣に工作室がある。戸棚には各種パーツや予備品・工具がストックされている。手前の箱が載っている台はバイスがあるワークベンチだろう。

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 ハルの材料はアルミだが内装はチェリーで造作してある。テーブルにフランス語で書かれた被爆地広島の本が置いてあった。広島にも長崎の原爆記念館にも見学に行ったという。そしてアメリカ人は犯罪者だとおっしゃる。さすがフランス人だなぁと思ったね。それにクルージングコースもアングロサクソンが住むエリヤは立ち寄らないなど徹底しているようだ。

 コーヒーをご馳走になりながら長いクルージングの話を世界地図と奥さんが撮影した写真を見ながらお聞きする。

 彼等の航海はフランス→地中海を回り→ジブラルタル→アフリカ大西洋岸→ブラジル→アルゼンチン→ホーン岬→パタゴニア→チリ沿岸など南米を2年間クルージング。中でもパタゴニアの大自然が気に入ったご様子だった。
 その後南米チリ→フランス語圏のフレンチポリネシアへ、ここは食べ物も口にあってGOODだとか。さらに南太平洋諸島をクルージング→ミクロネシア→台湾→石垣島で日本に入国する。日本でも各地を観光してこられ前日には姫路城を見てきたとか。大阪城はどうだと聞くとコンクリートで作ったお城は面白くないようなお返事。

 明日から2ヶ月程ここに滞在し、京都・奈良方面の観光をするらしい。きっとボクより詳しくなることは間違いない!!
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by pac3jp | 2008-11-17 15:16 | ウオッチング  

ドジャーの防水強化

 クルージングヨットにとって今や必需品になった感があるドジャーだがビルダーがオプションで取り付けてくれる純正品からセールメーカーやドジャーなどキャンバス製品を専門に製作する業者まで様々なタイプのドジャーを作り提供されている。
 ドジャーがあることを前提にデザインされたデッキにビルダー純正品のドジャーが想定している条件といえども「波穏やかな季節に沿岸を数日のクルージングを快適に過ごせる程度」と規定しているのだろうか。

 風が吹き上がり、波が高くなると打ち込む海水がデッキを流れ、ドジャーとデッキの隙間から遠慮なくコクピットに流れ込んでくる。普通はここがコクピットで唯一のドライな空間なので何やらと物を置いているがやむなく移動。ドジャーの隙間にタオルを押し込み、水を止めようとするが効果なし。と、このような経験をお持ちのヨットマンは多いと思う。普通のドジャーは荒天など全く想定もしてないのだ。

 ボクのお仲間に小笠原・母島に毎年シングルハンドでクルージングしているヨットマンがいる。彼のヨットはその厳しい外洋航海の戦訓を取り入れ毎年改良され、翌年その効果が試され正式採用になる。そして、ヨットは小笠原スペシャル仕様艇としてに磨きがかかってゆく。

 今年4月、7回目の航海は並みクラスの時化ではあったが、稀に発生する大波に襲われ横転してしまった。その時、艇内では頭上からベルトを引きちぎった電子レンジが、そして色んなものが棚から飛んできたとおっしゃる。ヨットが起き上がると、寝ていたバースは棚の物品や食器の破片でもう一杯。仕方がないのでタックを変えて反対バースで一寝入れする。
 荒天の夜が明けてデッキを見ると横転のため、落水防止に張ってあるネットの水圧で2本もスタンションが曲がっている。そして、ドジャーの裾から大量の海水が打ち込み、まず裾のスナップ部分が3ヶ所破れ、ドジャー前面のボルトロープがグルーブから外れてしまったのだ。荒天の海でドジャーを失うとつらい。その後、なんとか応急的にリカバリーして航海を続けたとおっしゃる。

 今年の小笠原スペシャル艇の改造テーマのまず一つはドジャーの防水強化と決まり、工事が始まったので、度々見学させてもらった。

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画像1.出港まえのドジャー左舷側。これでも前方から海水の打ち込みには充分耐えていた。キャンバスはシリコンを含浸させ防水を強化してあるが埃は付きやすい。
画像2.ドジャー左舷裾の下から波が打ち込み取り付けスナップ部分が破損して前面のグルーブが壊れる原因になった。
画像3.ドジャーとデッキの隙間を埋める木製ベース。
画像4.コントロールラインが通る最小の穴を開けたアクリル板を長めに張りつけ同時にドジャーのボルトロープを通すタフラグを取り付けてゆく。

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画像5.アクリル板とデッキの隙間を埋め防水する。ドジャーをセットし確認する。
画像6.ドジャーの裾沿いにウオーターブレーク用のチーク材を両舷共ビスで貼り付けてゆく。
画像7.ドジャー前面、アクリル板とタフラグ、それにデッキのカーブに合わせてを幅広のシートで張りつける。後からロープ用の穴を開けロープを通す。完成画像(前面)
画像8.ドジャーの裾沿いに貼り付けたチーク材の上からドジャーの下から海水が入らないようにアクリルのカバーをつける。同時にハンドレールが貫通する部分にも水止めの処置をする。完成画像(側面)

 ドジャーの防水補強が出来ましたねと、お話しをしているとコクピットに真新しいチークのバラ打ちシートが出来ていた。濡れたコクピットはお尻が濡れて気持ちが悪い、これがあれば快適だとおっしゃる。殆どオーパイなのになぜ?と思ったが、どうもインショア専門のお仲間の工事見本に作ったみたい。・・・仕事が早い!!

 来年の8回目の航海まであと半年、まだ色々と興味ある改造ネタが出てきそうなのでこれからもよろしくお願いいたしますよ。
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by pac3jp | 2008-11-14 09:44 | シーマンシップ  

明石海峡 江埼灯台

 「灯台記念日」の11月1日、明石海峡に面する淡路島・江崎にある江埼灯台が一般公開されると聞き、お天気も良かったので見学に行ってきた。
 江埼灯台はお雇い英国人リチャード・ヘンリー・ブラントンによって設計され、日本で8番目の石造りの洋式灯台とて明治4年(1871年)4月27日に点灯したと銘板に刻まれていた。同じ敷地内にはかって灯台守が住んでいた歴史的に貴重な石造の建物もあったが阪神・淡路大震災で被災し今は香川県の四国村で復元保存されているという。
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 海岸から長い石段を登って灯台に着く。見学者はちらほらで関係者の方が多いくらいだ。灯台は2階建てで1階はバッテリーと電源管制盤がある電源室と修理などの作業室になっている。2階のドーム部分に灯器機能がある。ドーム上には避雷針ポールに風見と方位板が付いてクラシックな雰囲気で面白い。

 この灯台は海面から49mの高さにあり、不動赤白互光(R5秒・W5秒)光達距離は白で18.5nmである。西側にある浅瀬、「鹿の背」に乗り上げないように危険海域を知らせる赤い光も放っている。

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 狭いステップを上りドームに入る。すでに灯器に電源が入りレンズ(画像1)は回転している。フェリーで沖から灯台を見た時も光っていた。おやっ?と思ったが今日は灯台記念日で久しぶりに来客が多い日なんだと納得した。

 灯台は暗くなると点灯するようになっているがその装置は街路灯にも使うデイライトスイッチかなと思っていたら窓際に日光弁(画像2)と表示されたセンサーが本灯用と予備灯用の2個並んでいる。弁なんて流体を制御するような大仰な名がついているのは、きっと明治・大正の頃使ったオイルランプやアセチレンガス灯からの伝統でしょうね。

 灯台の係員が灯器が載った免震台(画像3)を動かしてみせ大地震でも耐えると説明していた。阪神大震災では震源に近かったけど非常電源に直ぐ切り替わり欠灯はしなかったそうだ。因みに、もしもの時のためには外部に予備灯器が設置されている。

 光源ランプはそう熱くもなく細長い管球が2本セットで白い光が出ていたのでメタルハライドランプだろうと想像した。確か400Wとか聞こえたが予備が1本付いているのだろう。

 灯台ドームから出て下の作業室に入ると写真パネルや部品が展示されていたがボクは古い縦型バイスに興味を引かれた。これは昔、実家にもあった。明治生まれの祖父が鍛冶屋を始めたときに据え付けたものと同じ鍛造品のバイスだと直感した。多分、明治4年からあったのかもしれない。そんなことを考えていると、電気のない当時、灯台の光源は何だったのだろうと灯器の歴史に興味がわいてきた。

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c0041039_14483986.jpg 江戸時代は障子張りの灯明台で菜種油のランプだったのだろう。

 洋式灯台も初期の灯台には石油二重心灯器(参考画像2)がつかわれたようだ。観音崎、都井岬、石廊埼など、江埼灯台も多分これだったのだろう。 その後、より強い光が出る石油を蒸発させてマントルで発光する灯器になっていった。

 不動レンズ(参考画像1)、灯器から出た光はレンズで遠くに送り出される。明治5年から長らく友が島灯台で使われたレンズ。

明治34年 尻屋埼灯台にアーク灯が設置された。電源は石油発動機(12HP/150V/40A 発電機)光源電化の初め。
明治41年 根室港弁天島灯台にアセチレンガス不動灯がつかわれた。(参考画像3)
明治44年 四日市灯台が電力会社からの買電で32Wタングステン電灯で点灯。

大正 6年 御前埼灯台に 1,000W白熱電灯 ガス封入電球がつかわれる。
大正 7年 出雲日御碕灯台に 1,500W白熱電灯がつかわれる。(参考画像4は江埼灯台でS29年から使われたもの)

昭和51年 ガス式灯浮標の電化完了 尾道港東口第二灯浮標
昭和61年 光源に高圧ナトリウムランプの採用 三木浦灯台

平成 1年 光源にLEDの採用 神戸苅灯台
平成 2年 光源にメタルハライドランプ採用 二神島灯台

 以上のように明治2年以来130年にわたり灯台の光源は進化してきた。歴史ある古い灯台も外観は変わらないが中身はどんどん変わってきたのだ。これからも船舶の電波航法の進歩、普及で光波標識の役割も変わりつつあるのかもしれないが、帰る岬にいつもの光を放っている灯台は懐かしくていいもんですね。


【関連記事】:旧和田岬灯台 
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by pac3jp | 2008-11-12 14:57 | 海保  

日本のロイアル・ヨット part2

 ロイアル・ヨットの一般的な定義では豪華な装備・装飾を施した船で、王室の船であったり、政府の船であったり、時の権力者、あるいは大富豪の船であったりするがそれらを総称してロイアル・ヨットと呼ばれてきたのだろう。また、その使われ方も、様々な時代背景やそれぞれの王室や国の考え方で、政治に利用されたり、また自分を誇示するための社交場であったりしたという。

 前稿に日本の幕末~昭和のロイアル・ヨットについてご紹介したが、戦後の昭和天皇は「はたぐも」号という名の木造白塗りのモーター船だけで海洋生物の採集などされていたと思っていたが、昭和46年(1971)年から平成7年(1995)まで海上保安庁の巡視艇(PC53)「まつなみ」が昭和天皇の海洋生物採集船も兼務して就役していたことも分かった。c0041039_13374034.jpg
 普通の巡視艇と同じ船型であり特別な艤装がしてあるようには見えない。
全長23メートル
総トン数83トン
速力20.5ノット

 平成7年(1995)からは昭和天皇の海洋生物採集船として使われていた初代「まつなみ」の退役に伴い約2.5倍もある大型巡視艇(PC01)「まつなみ」が就役。基本的な業務は他の巡視船艇と同じなのだが、来賓の視察等がある時に使用するために迎賓艇としての貴賓室や会議室等が設置してある。船体は幅広の船型を採用している。また、漁業取締船並みに推進装置は大馬力のウォータージェット2基が装備されている。
c0041039_13382119.jpg
総トン数:204t  全長:38m
最大幅:8.0m  深さ:3.3m
船質:軽合金
主機:ディーゼル2基、ウォータージェット2基 出力:5300馬力
最大搭載人員:10名
速力:28.3kt

 戦前は皇室の方々が公務で乗船するロイアル・ヨットは海軍が運用していたが、今は海上保安庁がこのサービスを提供しているようですね。アメリカでは大統領のヨットをどちらが運用するかで海軍と沿岸警備隊とが激しく争って最後にコーストガードが勝ち取ったとか言われていますが、日本では国民性から見てもやっぱ、海上保安庁でしょうね。

 この2隻の巡視艇は日本のロイアル・ヨットとして「船の科学館」主催の 開館30周年企画展「世界のロイヤルヨット今昔物語」のリストに挙がっていたので引用させてもらったが上記のボクが思う定義にはちょっと外れるようにも思うけど・・・まぁ、いいか。

【関連記事】:日本のロイアル・ヨット
【参考Web】:船の科学館 開館30周年企画展「世界のロイヤルヨット今昔物語」
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by pac3jp | 2008-11-10 13:50 | 海保  

日本のロイアル・ヨット

c0041039_1184143.jpg 今週はじめ、イラクの元大統領フセインのヨットが売り出されたとマスコミ各社から報道された。ロイアル・ヨットで有名なブリタニア号も超大国、アメリカ大統領のプレジデンシャル・ヨットも経費節減のためにずっと前に売られてしまったが、さすが独裁者フセインだ。ちゃんと高価な自分のおもちゃは持っていたのだ。


買い手付く?フセイン元大統領の「浮かぶ宮殿」売却へ (asahi.com 2008年11月4日19時43分)
 【カイロ=田井中雅人】イラク政府のダッバグ報道官は2日、フセイン元大統領が所有していた豪華船「オーシャン・ブリーズ」号を売却すると発表した。全長82メートルで、プールやモスク、ミサイル発射装置、小型潜水艇などを備える「浮かぶ宮殿」の売却価格は3千万ドル(約30億円)になると見込まれている。AFP通信が報じた。
 オーシャン・ブリーズ号は81年にデンマークで建造された。外遊中に国政が不安定化することを恐れた元大統領は、使用することはなかったという。現在、フランス南部ニース近くに係留されている。
 ヨルダンのアブドラ国王の関連企業が元大統領から譲り受けたと主張、英国の仲介業者を通じて昨年、3450万ドルで売却しようとしたため、イラク政府が所有権を主張して法廷闘争になった。フランスの裁判所がイラク政府の訴えを認め、今年7月にはヨルダン側が所有権を断念する書簡を示していた。


c0041039_1192715.jpg 幕末の日本でもロイアル・ヨットといわれる船はあった。それは1858年(安政5)将軍・徳川家定に対して英国のビクトリア女王から全長42mの60馬力・2本マストの蒸気推進ヨット、エンペラー号が献上された。この船は英国王室が日本国王(将軍家)用のロイアルヨットとして建造された船だった。
 せっかくの豪華な贈り物も幕末動乱の時代で将軍にそんな余裕はなかった。幕府は砲3門を持つこの船を「蟠竜丸」として軍艦に転用してしまった。そして榎本艦隊として江戸脱走、函館沖海戦で官軍の朝陽丸を撃沈するなど活躍した。

 また明治3年、政府はフランスからナポレオン三世妃のヨットだったスチールの外輪型スクーナー、ティポール号を灯台巡視船として買い入れ内外の貴顕を招き新設灯台の落成式などに接待している。

c0041039_11222814.jpg 明治8年、日本が計画し英国で建造された2本マストトップスルスクナー艤装を持つ汽船、明治丸(1000トン)が就航する。この船は公式には灯台巡視船として建造されたとなっているが本当はロイアルヨットとして造られていて「灯台巡視船であるとともに皇室用の船として計画された」と記録にある。この船は重要文化財として東京海洋大学に現存する。

c0041039_1110887.jpg 明治35年、大正天皇が皇太子の頃、長崎の三菱造船所に行幸した記念として三菱の総帥岩崎久弥男爵から献上された初加勢(はつかぜ)号がある。スピードを重視した細身の2本マストの汽船だった。全長:31m、80総トン、蒸気機関:230馬力、速度:11.38ノット。運航は諸外国に準じ、海軍の手に委ねられた。

 昭和は戦争の時代だった。ロイアル・ヨットどころではない。まぁ、現人神では遊べないということもあるが・・・。
 戦後、国の象徴となってしまった昭和天皇は海洋生物の研究のために葉山に「はたぐも」号という名の木造白塗りのモーター船をお持ちだった。海に出るときは漁港につながれた船を係員がご用邸の浜まで回航し小舟で移乗されたという。これもロイアル・ヨットとはとても言えそうにないなぁ。

 もう時代はロイアル・ヨットではなく日の丸をつけたジャンボになってしまったのでしょうね。そういえばもう少し小さめの専用機が欲しいなどいつか偉い人が言っているのを聞いたことがある。

【関連記事】:Yacht 「Whale Song 」(ホエールソング)
【参考資料】:ロイアル・ヨットの世界 小林則子著 文春新書
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by pac3jp | 2008-11-07 11:15 | 特殊船