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海上の緊急通報用電話番号は「118」

 「118」が海上の「110」として運用されて始めてからもう8年も経った。
友人のヨットのキャビンにも海上の緊急通報用電話番号は「118」と書かれたシールが張ってあった。海で働き、遊ぶ人たちのほとんどはもうご存知だろう。

 ボクはまだ一度も「118」を発信した経験はない、多分今まで平穏無事なヨットライフだったのだろう。

 こんな場合は「118」に通報してくださいと告知されている。

■海難人身事故に遭遇した、または目撃した。
■産業廃棄物の海域への不法投棄や油の排出等を発見した。
■不審船を発見した。
■密航・密漁・密輸事犯等の情報を得た。

 海上保安庁のホームページに「118」の通報実績が掲載されているのを見て驚いた。 通報の99.3%が間違い電話だという。実際に海保の業務内容に関わる通報はたった0.7%だ。世の中、事件・事故がない平和な毎日が望ましいが、ちょっと間違い電話が多すぎるように思う。

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     (注)間違い電話等:間違い電話・いたずら・無言・着信即断
 
 実はボクも大昔、間違って「119」に掛けてしまったことがあった。当時新しい電話機に買い替え、何気なく「117」で時間を確認しようと思いボタンを押すと間違って「119」に繋がってしまった。すぐにシマッタと電話を切ったが先方からすぐにコールバックされた。謝って許してもらったが冷や汗をかいたものだった。

 「118」は海関係ではよく周知されているが陸にいる国民の大多数は何の番号か知らないだろう。「116」などNTTのサポート窓口位に思っている人もいるのかもしれない。

c0041039_9223438.jpg 一方ワールドワイドに運用されているコンパス・サーサットシステムへ遭難船からの「EPIRB」(イパーブ 船舶用非常用位置指示無線標識)からの遭難警報も誤報が多いのが報告されている。海保によると02~06年の5年間に、同庁が船舶から受信した遭難警報は約7800件。うち、約5700件が誤発信で総数の73%にもあたる。また、原因の約65%は船員が操作を誤ったり、整備不良など人為的なミス。約20%が機器不良だった。
 このような誤った警報で巡視船や航空機が出動したケースは年間300件以上に及ぶという。

 非常時、ヨットなど小型船舶用EPIRBは手動のスイッチを押し警報を発信するが、本船用は船体に固定されていて水圧などセンサーが遭難を感知して警報を発信する仕組みなので日頃の適切なメンテや取扱いに注意が必要だ。
 でも海外に転売された船舶などはEPIRB等の維持管理も行き届かない面もあるので国内外の船会社や関係機関に啓発ビラを配るなど海保も対策に乗り出しているという。

 どちらにせよ間違いや誤報の大波の中から迷わず真の情報を選び、速やかに捜索救助活動を、あるいは海上犯罪の取り締まりを開始するなど頑張って頂くよう願っております。


【関連WEB】:海上犯罪に関する情報提供のお願い 
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by pac3jp | 2008-08-29 09:43 | 海保  

新しいレーシングヨット part2

 新しく入ってきた大型レーシングヨット「TP52」はこのところ毎週、サポートボートと沖に出て熱心に練習やチューニングをしているのだろうハーバーに帰ってくるのも一番遅いようだ。

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 先の日曜日、初めてKYCのポイントレースに出場するための準備が整い、桟橋につながれているヨットを近くで拝見した。
 レーシングヨットの戦闘区画であるコックピットは全長54fの半分もありそうな長さと15人ものクルーが動ける幅がある。中央には大型レーサー定番のハーケンのコーヒーグラインダーが2基据え付けてある。横幅が広いので当然ダブルステアリングシステムだ。黒いホイールは簡単に外れるのか係留中片方は定位置に格納されている。

 朝、レースの時間に合わせて出港してゆくコミッティボートを見て、出港準備をしている仲間のヨットに便乗させて頂き「TP52」のレースを見学することになった。

 レース海面のお天気は曇りで、NE15kt位の風が吹く絶好のレース日和だ。
ボク達がレース海面近くに到着すると11隻の純レーサー達はちょうどスタートしたばっかりだ。各艇が風下からいいスピードで上ってくるので全速力で彼らの風下に回る。
 上マークで見学するか?の声もあったが、52fのレーサーが15~16Ktのクローズホールドで帆走すると32fのクルージングヨットでは機帆走の全速力でも多分追いつけない。近くの下マークで待つことにする。

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 暫くすると遠くに「TP52」の白いジェネカーが見えてきた。2番手はまだ見えない。
白いジェネカーが2回のジャイブをし、その姿がだんだん大きくなってきた。やっと後方に2番手以降のスピンが連なってくる。ダントツのトップだ。

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 下マークのコミッテイボートからC旗が揚がり上マークが「20度・1.6NM」に変更されたと表示されている。「TP52」は1艇で悠々と下マークを回航して上りのコースに入ってゆく。スピンポールがないジェネカーだとマーク回航も簡単に見える。(巧いからだ!)
2番手は大分遅れて「CORL45」がマークを回り、後続艇もそう遅れず次々と回航していった。

 最終艇がマークを回航するとコミッテイボートが直ぐに下マークにフィニッシュラインを設定した。
 やがて、大きなジェネカーを揚げたまま流し込みのフィニッシュとなった。
ファーストフィニッシュ。
 ハンディを考えてもトップだろと思わせる充分なリードがあった。

 ヨットは風の力で走るので風がまったくなけば大型レーサーでも動かない。でも15ノットも吹けば大きい方が断然早い。今回も2番手につけていた45fのフネと比べると長さでも7f、40fクラスだと12fもの差がある。
 ボク等のレベルでも30fクラスのレースに42fのレーサーが入ってきたらファーストフィニッシュは到底無理だし、色々困惑するかもしれないなぁ。

 こんなご意見もあった。
「ハンディキャップレースはある程度のレベルの範囲でやるもので、中古とはいえ元F1レーサーと公道レーサー?が同じサーキットで勝負しようとしてもオモロイことはなにもない!」とおっしゃる。

 でも、いつの時代も一番になりたいと願うオーナーは大勢いらっしゃるのでこういうアプローチも勿論「あり」ですよね。

【関連記事】:新しいレーシングヨット 
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by pac3jp | 2008-08-27 10:56 | ウオッチング  

ヨットの船首像?

c0041039_15223060.jpg 昨日、日曜日の朝は前夜の激しい雷雨の影響だろうか、どんよりとしたお天気のせいか桟橋にも人影が疎らだった。

 そんな桟橋を歩いていると、バウの両色灯の上に小さな裸の人形が乗っかっているのを発見した。
 個人の趣味は自由だが、はてなんだろうと思って眺めていると、ふと、これはこのヨットのフィギアヘッドではないのか、と思い当たった。

 大昔から船には航海の安全を願って舳(へさき)に蛇の頭など信仰の対象や魔力をもつものの姿をかたどった船首像を取り付けてきた。時代がくだり、そのテーマは富や威信のシンボルへと変わり、女神像から、男神、騎士、鷲など幅広く使われた。
 
c0041039_15225783.jpg いまや、船首像を取り付けている船は練習帆船だけになってしまったようだが、ヨットの世界ではバウスプリットをもつヨットが可愛いが本式の船首像を飾っているのをたまに見ることもある。

 お正月には自宅の玄関に、そしてマイボートの船首にも注連飾りをつけるフネはよくある。これも日本的な魔除けの縁起物だろう。でもこの縁起物はごく短い有効期限しかついていないので船首にとりつけて航海に出るわけにはいかないのだ。

 因みにフネの神棚に納められる金毘羅さんの「航海安全のお札は有効期限などはありません」と神社ではおっしゃっていましたよ。

c0041039_15241339.jpg バウの両色灯は当然ヨットの先端についているので、「気分は船首像」の人形でも立派にその役目を果たしそうだ。画像左は別のヨットのバウの両色灯カバーだが魔除けの効果も多少はありそうだ。


c0041039_15253610.jpg 一方お仲間のヨットの船尾に飾ったドナルドダックはどう見てもマスコットだね。
何のために付けているのかさっぱり分からないし、オーナーの趣味の世界など理解できないのが普通かな。
 でも、じっと見ているとなんとなくオーナーの日ごろのイメージと重なる部分も発見できる・・・。
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by pac3jp | 2008-08-25 15:30 | ウオッチング  

「飢えた海」ウィルパー・スミス 著

c0041039_145186.jpg 航海中の船舶が機関故障で自力航海できなくなったり、また座礁や沈没など海難に見舞われるとサルベージ会社に救援を依頼することになる。サルベージ会社はそれにこたえ曳船兼海難救助用の大・小のサルベージ・タグをもち海外を含めネットワークで迅速な対応を確立させているとか。

 この業界の事情に詳しい方からお話をお聞きすると、海難が発生すると見積り依頼もしていないのに何社ものサルベージ業者が勝手に調査し積極的に営業活動をしてくるという。

 深田サルベージ、日本サルベージなど日本の大手会社の名は知っているが、ボクは外国のサルベージ会社などまったく知らない。でもオープンなサルベージ工事の入札では北欧のバイキングの末裔を思わせる髭もじゃの大男が率いる会社が落札したこともあったらしい。

 日本のサルベージ会社は組織で動く「マリコン」で欧米は伝統的なサルベージ業だね、とかいろいろお話を聞いていると突然、昔読んだ海洋冒険小説ウィルパー・スミスの「飢えた海」を思い出した。

 それには、南極のウエッデル海から全船舶向けに救助要請を発したアドベンチャーツアーの豪華客船を救助に向かう2隻の外洋サルベージ・ダグと船主との駆け引きが描かれている。その中に大きなリスクに賭ける主人公の船主船長がロイズ・オープン方式「救助なくして、報酬なし!」という困難なサルベージに挑もうとする。
 そして、船長の「エンジン始動」の声にオフィサー達の顔が邪悪な喜びに輝き、彼らは分捕り品を見越して舌なめずりする昔の海賊を彷彿とさせた。という情景になる・・・。

 ロイズオープン方式とは、遭難した船舶を救助し指定された港へ曳航し修理業者に引き渡すまでを行い、その貨物と船価をロイズが裁定しその20%を受け取るというものだ。また報酬の半分はクルーで分配する。ただしサルベージに失敗すれば全く報酬はない。
 物語は南極の極寒の岬で座礁した客船を引き出す困難で難しい仕事でロイズ・オープン方式ではリスクの非常に高いサルベージなのだ。

 サルベージ・ダグは漂流中ならばロイズ・オープン方式を、座礁などリスクが高いものは日雇い契約が有利だが船主側はその反対である。
 人命が危険に瀕しているときなど緊急の場合は船長が船会社の判断を仰ぐことなくサルベージ契約を結ぶことができる。当然救助するサルベージ・タグに有利な方式を提案するだろう。その為にダグの船長はいろんな仕掛けを用意する。

一、救助要請があってもすぐに無線応答しないで船長をじらす。
二、遭難船と出会うときは出来るだけ派手にする。昼間は多くの旗をかざし、夜間はきらびやかな電光で飾り印象的に現れる。
三、現場にライバルがいる特はより信頼されるフォルムや高機能イメージが有効なので設計段階からしっかりと盛り込む。。

 この物語の為に設定されたサルベージ・タグがすごいスペックなのだ。

 高く張り出した鋭いバウと均整の取れたフォルムは軍艦のようで、型鋼と強化ガラスで造られた上部構造物、優美なウイング。タンカー火災にも対応する高性能な放水砲と防火構造のアッパーデッキとハル。主機はディーゼル11,000PS×2の合計22,000PSの高出力で2軸の可変ピッチプロペラを駆動している。速力は荒天でも28ktは確保できる。

 どんな船だろうかと想像してみると、全長:91m、排水量:1,470トン、出力:22,500PS、速力:25KtのDE「いしかり」クラスに匹敵するのかと思うが船種が違うのでさぁどうだろう。参考に日本の外洋タグの画像を下につけてみた。

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 ↑画像は日本サルベージのサルベージ・タグ「航洋丸」
総トン数:2,096トン
船  長:86m
機  関:5,000PS×2
最大速力:18Kt
航続距離:22,000浬

 裏表紙にごく簡単な本の内容紹介がある。

 ニック・バーグは打ちのめされた。華々しい業績をあげる海運会社の会長から、一介のサルベージ・ダグの船長へ。再起を図ろうとしたその矢先、南氷洋で座礁した豪華客船から救助要請が発せられる。船主は彼を失脚させ、最愛の妻や息子まで奪い取った宿敵。荒れ狂う氷の海を命がけの救出に向かうニックに復讐の野望が燃え上がる

 物語の後半、カリブ海の猛烈なハリケーンのなか高カドミ原油を積んだ100万トンタンカーの危険なサルベージにも挑む・・・。
分厚い文庫本だが大変面白く読み終わった。お勧め出来そうですね。

【関連記事】:江戸時代に外国船をサルベージした男
【関連記事】:神戸市港務艇「竜王2」RYUOH2
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by pac3jp | 2008-08-22 15:03 |  

明石海峡に沈んだ貨物船から12億円もかけて油を抜く?

 3月の明石海峡船舶衝突事故のあともずっと油の漏出状態は観測されているがいくつかの調査地点でも、もう油は確認できなかったと発表されている。でも沈没船付近では時々油の波紋が海面に見受けられる状況があり、燃料タンクからの若干の漏油があるので、残っている油の抜き取り作業を「我々の税金」ですることによって2次被害、3次被害を防止できることにつながる。と兵庫県知事がおっしゃる。

 事故の技術検討委員会ではROLS(注1)というシステムを使って油の抜取りをすることが適切ではないかという方向で、しかし、現実に可能なのかを事前に確認をする必要があるので、ROV(注2)という遠隔操作ができる無人の潜水探査機を入れて沈没船を水中カメラ等で確認して次の段階に進めるように約3000万円をかけて事前調査をすることにしたと発表した。
(注1)ROLS:、船体に穴を開ける機器と残油を抜取るポンプが一体となった装置で、遠隔操作により船体に設置して、油の回収が可能なシステム。
(注2)ROV:遠隔操作ができる無人の潜水探査機で水中カメラを搭載している

 そして、この沈船から油を回収するシステム(ROLS)は世界でもノルウェーの会社の1社に1台しかなく、現在ROLSは台湾でベンゼンの抜取りにあたっていて、その後、韓国を経て10月に日本に来る予定だという。12月にはノリ養殖が始まるので工期は2ヶ月足らずだが潮の弱い時期だけの工事になるのでわずかの日数しか取れない。でも費用は12億円以上は掛かりそうだという。

どんな船だろうかと急に興味がわいて来た。

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 ←画像の作業母船はDP船(定点保持機能を有する作業船)でROV・ROLSをコントロールする。ROLSへ電力や熱源の供給、汲み上げた油の管理をする。


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 ↑画像はROVとROLSを使った油の抜き取り作業手順の模式図だ。沈船の燃料タンクに上下2ヶ所に穴をあける(実際は船体外板とタンクの間は空間がある)。上は燃料を抜く穴で下は抜けた後に海水が入るインレットだ。位置が決まるとROLSがマグネットで船体に張り付く。フランジを固定するボルトをタッピングし、パイプが通る大きな穴をあける。分厚い外板は火薬を使う場合もあるそうだが燃料タンクにはドリリングだろう。

 抜き取りパイプが繋がっても水温の低い海底で横たわる沈船のC重油はポンプを回しただけでは汲み取れない。母船から燃料タンクにスチームで加熱したホットオイルを送り込んで加熱しながらくみ出す。ROLSのポンプから母船に送る送油パイプもスチームのジャケットが仕込まれポンプアップを助ける。

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 ↑画像はROLSの外観

 この沈没船には燃料として主機用のC重油とジェネレーター用A重油の2種類のタンクがあるという。両方抜き取るのかどうかは知らないが潮流の激しい水深80mの海底に横たわる沈船からは模式図のように簡単にはゆかないでしょうが、12億円の仕事だしっかりやってくださいね。

 この油抜き取り費用は「外国船舶油等防除対策費補助金」というところから出る。国庫が2分の1負担する補助金だ。残りを関係自治体で分担する。兵庫県は残りの2分の1負担する。あと3市の負担割合は、現在神戸市、明石市、淡路市の3市と相談しているが、県としては、概ね1:1:1の方向で相談しているらしい。1市あたり1億円になるが神戸市、明石市はなんとかなるでしょうが、つい最近市になったばかりの淡路市は大変だろうと思っている。

【関連記事】:掃海艦 MSO-303「はちじょう」

【参考資料】:明石海峡沈没船からの油抜取りに係る事前調査についての知事記者会見(2008年8月1日(金))
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by pac3jp | 2008-08-20 10:24 | 特殊船  

オリンピッククラスのキールボート「スター級」

 北京オリンピックは毎日にぎやかに報道されているが、セーリング競技はマスコミの関心も薄いし、成績もいまひとつのようでテレビにもそう映らない。ヨットハーバーでセーリング競技の話題がでても日本人選手が出ている「レーザー」や「470」・「49er」「RS:X」(ウインド)などは知っているが、オリンピッククラスは新しデザインでスピードが出るディンギーばかりで昔からのキールボートはもう過去のものになっているのだろうと多くのヨットマンは思っているようだ。

c0041039_15183442.jpg ところが昨日、上架用桟橋で珍しく?オリンピッククラスの2マンキールボート、スター級を艤装しているチームがいらした。
 お声をかけると「鈴木君が負けたのでオリンピック出場枠が取れなかった・・・」とおっしゃった。そこで、日本にもスター級でもオリンピックキャンペーンをやっていた選手がいたんだと気がついた。

<検索すると>
北京五輪出場枠が懸かるセーリングのスター級世界選手権が4月11日、米フロリダ州マイアミで開幕し、鈴木国央(和歌山ク)和田大地(日吉染業)組は第1レースを9位で滑り出した。北京五輪で実施される艇種で最大サイズ(全長6・9メートル)の同級は、五輪出場16枠のうち残り4枠を今大会で争う。 (共同)。
結果は、最終レースで85位を獲得。総合26位と健闘しましたが、日本の国枠獲得は達成できませんでした・・・とあった。

【スター級】
メンズ・キールボート 
全長:6.90メートル
幅 :1.73メートル
重量:730kg(キールを含む)
セイル面積:25.73m2

 スター級は1911年にアメリカで設計された二人乗りのキールボートで、1932年からオリンピッククラスになり今回で17回目となりオリンピッククラスで一番古いクラスだ。100年近い伝統をもつ格式あるクラスなのでアメリカズカップセーラーやゴールドメダリストなどもわんさといる。また、普通のスター級は星のマークが赤ですが、世界ナンバー1になると金の星をつけてもOKとなるルールもあるとか。

c0041039_15214585.jpg ちなみにセーリングのウンメンズ・キールボート種目は3人乗りソリング級から同じくイングリング級(6.35m)に変更された。北京2008ではイギリスチームが金メダルを獲得した。(左画像)


 ボクが知っているオリンピックキールボートは
スター級  1932年~2008年 東京オリンピックもこれだった。新西宮ヨットハーバーにあり細々と活動中。
ドラゴン級 1948年~1972年 東京オリンピックもこれだった。新西宮ヨットハーバーにあり活動中。
ソリング級 1972年~2000年 あちこちのヨットハーバーの片隅で朽ち果てていたけど・・・。

 このスター級を見ていて感じたこと。その一、マストにブームを固定するグースネックの位置がかなり低い。当然ブームも低い。タック、ジャイブは頭を完全にコックピットに沈めなくては大事(ギロチン)になるよ。その二、キールボートは高価なので普及しないといわれているが、スター級の隣に25mものカーボンマストをもつ54フィートのレーサーで20人ものクルーが作業する様子をみてしまった後ではスター級がほんのポケットクルーザーのように見えてしまった。・・・多分大きな錯覚だったのでしょうね。
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by pac3jp | 2008-08-18 15:32 | ウオッチング  

新しいレーシングヨット

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 八月はじめ、上架ヤードに高い船台に乗った大型のレーシングヨットがいた。つい最近アメリカから輸入されたそうだ。
 すでにレース実績のあるヨットらしくセールやその他装備品が収納された20フィートの専用コンテナが近くに置いてある。
 このヨットは以前からファー47でレース活動していたチームが新たにフネを入れ替えたようだ。

 近くにいたクルージングヨットを専門に販売しているディーラーに「なんちゅうヨット?」と聞いてみるが知らないとおっしゃる。有名なプロダクションヨットではないようだった。

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 あとでヤードのレーシングヨット情報に詳しい人に聞くと「TP52」だという。トランパック52と読むようだがロスとハワイ間で行われる有名な外洋レースに勝つためにデザインされたレーシングヨットだろう。

 大きな船体を下から眺めると、大きなバルブがついた深いキールと幅も厚さもない小振りなラダー、それにジェネカーを上げるバウのカーボンポールが目立つ。ステムはストンと直角に切れているがミジップはグランド・ソレイユのように四角い断面はなくファーのような素直な船型である。

c0041039_10593989.jpg レーサーのラダーは一般的に長細いが、54フィートのラダーにしては特別に厚さ、幅とも狭いように見える。またこのラダーを吊っているシャフトが細かったらラダーに掛かる荷重はどうして受けるのだろうと心配したが、よく見ると普通のラダーポストとは違う強度の出る構造をしている。(左画像)

 昔、キールは船体の横流れを抑えて風上への揚力を発生する機能を持つ、なんて思っていたがあの幅が狭いキールでそんな機能が発揮できるとは思えない。ただ、重いバラストを船体と連結し、スタビリティを発生させる構造体にしか見えないなぁ。でもしっかりと風上に上っているらしいので文句はないけどね。

 「このヨットだったらあの高いマストを持ち100fを越すエンデバーよりずっと早いでしょうね」と、いう人もいるが確かに追っ手の強風を受け、プレーニングしてすっ飛んでゆく姿を想像するとそうだが、比べる対象がちょっと違うように思う・・・。

 この52フィートのヨットがハーバーで上架されたレーサー中で最大のサイズになった。これからKYCのポイントレースやオープンレースで走っている姿を近くで見る機会もあるのでその走りを注目することにしょう。

【関連記事】:レーシングヨット、はやりの船型は・・・。    
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by pac3jp | 2008-08-15 11:03 | ウオッチング  

ROYAL NAVYにもあった偵察機搭載の潜水艦

 毎年8月になると広島、長崎の原爆の日があり、新聞は終戦記念日の特集を組み、63年前の敗戦の記憶を風化させないようにしているようにもみえる。

 先日、戦勝国イギリスのロイヤルネービーの歴史を実写も交えた映像で構成制作されたDVDを見ていて面白い映像を見つけた。

c0041039_122334.jpg それは第2次世界大戦の開戦前かと思うが、巨大な艦砲を装備した潜水艦、盛大な黒煙を吐く罐を持つ潜水艦、それに複葉機を搭載した潜水艦などが次々と映し出されていた。



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 画像右は格納庫から引き出されてきた複葉機、翼はトンボのように後ろに畳まれている。
 画像左は全速力で航走する潜水艦のデッキをカタパルトで発射され、まさに艦を離れようとする瞬間。

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 画像右は偵察飛行を終わり本艦に帰着したところ。艦名は「M 2」。
 画像左は格納庫の上のクレーンで機体を吊り上げ収納しようとする場面。


 潜水艦に飛行機を積み、偵察用途に使う試みは古くからヨーロッパ各国で試みられていたが、これを実戦に取り入れ、ある程度成功したのは日本海軍だけであったといわれる。

 日本海軍は太平洋戦争中、一次、二次と二回にわたり伊25潜水艦から発進した零式小型水上偵察機によってアメリカ・オレゴン州の森林を目標に焼夷弾爆撃を成功させたのだった。その戦果から、攻撃機「晴嵐」3機を積み、潜水空母と呼ばれる大型の伊401潜水艦が建造されたが・・・。


 イギリスがこの潜水艦を造らなかったのは簡単な理由だ。
大西洋も太平洋もアメリカと共に真っ先に制空権を獲得したし、夜間でも索敵できるレーダーを開発、運用したので航空機での偵察は空母発進の高性能偵察機が運用できた。潜水艦に積むため小型で足の遅い水上機を危険を覚悟で偵察運用する必要はまったくなかったからだね。


【関連記事】:アメリカ大陸を爆撃した潜水艦
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by pac3jp | 2008-08-13 12:10 | 映画・演劇  

スピネーカーのトラブル

 先週末の夕方、半開きのスピンをフォアスティに巻きつけて沖から帰ってきたヨットがいた。ハーバー内を機走でスピンをバタバタいわせながら自分のバースに向かっている。どうも単純な絡みではないようだ。ジブシートとスピン、そしてスピン用のソックスも一緒に絡んでしまった様子だ。

 その日は夕方になっても風は落ちず、港内でも12~14ktくらいは吹ている。

 隣のバースにいるヨットにスピンが絡まないかと遠くから心配しながら見ていたが運良く高い防波堤の風下になりうまく追手でバースに収まったようだ。

 暫くして近くを通るとオーナーとクルーらしいお二人が疲れたご様子でヨットから降りて帰ろうとされていた。「大変でしたね!」と声をかけると「はぁ・・・」と返事をされ、センターハウスの方角に歩いてゆかれた。
 ヨットはバースに入った時のまんまだった。半分開いたスピンが時々風を孕んでバタバタといっている。自分たちで回収できないのでヤマハなどヨット業者に応援を頼みに行ったのかなとボクはそう思っていた。(スピンが破れたら高いものにつくもんね!)

 ところが彼らはそのまま帰ってしまったらしい。

 すてる神あれば、ひろう神ありで、ヨット乗りには大変気になる「セールのシバーする音」で、ご近所にお住まいでボランティアのハーバー警備隊を自称されているボクらのお仲間がたまらず、ついに出動された。

 お一人でジブを出し、スピンやソックスのハリヤードを調整、シートを加減し、大汗をかきながら歴戦のテクニックも有効だったのだろうか何とか巻きついたスピンを回収できた。でも、本当はセールがシバーしながら破れてしまうのをなんとしても見過ごせないというヨット乗りの本性からのお手伝いだったのでしょうね。

 ご苦労さんでした!

c0041039_13185668.jpg ボクの隣の桟橋に係留している34フィート艇からメインファーラーが1mと少し繰り出されパタパタと音がしているのが聞こえる。目のいい人が見るとメインセールのクリューがもう千切れていてリーチコードだけでセールが開いているという。

 近くで見るとメンセールがどこかで噛んでしまい完全にファーリング出来なかった為、途中で巻くのをで止めたみたいだ。やり直す時間がなかったのか、セールは長くシバーさせると破れることを知らなかったのかもしれない。この場合はもう手遅れでセール屋さん行きだが、もう少し早く発見できたらお手伝いして上げたのにね。

 確か、以前にもジブセールを破っていた。きっと小さな出費など気にしない太っ腹のオーナーさんかもしれない。
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by pac3jp | 2008-08-11 13:26 | ウオッチング  

ハイテクロープの「ダイニーマ」

 レーシングヨットには早くから軽くて強いハイテク繊維が使われていた。ケブラーやスペクトルのセール。ケブラー、テクノーラ、ベクトラン、ダイニーマなどのハイテクロープも使われてきたし、最近はカーボンのマストも普通になってきた。

c0041039_9592544.jpg 先日神戸港でダグボートを見学する機会がありバウデッキにあるウインチに巻かれた曳航索がダイニーマであることがわかった。ダグもハイテクロープを使っているんだとちょっと驚いた。

 東京製綱ロープ会社のWebによると、ここ数年、タグラインは従来のロープから高機能繊維ロープ(ダイニーマ)へと劇的な変化を遂げつつあるという。

 以下にそのダイニーマの特徴をあげると、

●高強力、低伸度
品種によりワイヤロープ6×37 B種、あるいはワイヤロープ6×WS(36)IWRC B種と同等の引張強さを持ち、いずれも破断時の伸び率が3~4%でワイヤロープと同等です。
●軽量
比重が0.97と軽量で、ダイニーマのみで使用した場合は水に浮きます。同じ太さのワイヤーロープにくらべ、約1/4の軽さです。
●引張疲労性に強い
安全率=3の繰り返し引張疲労試験で100万回の回数を与えても強度低下はありません。
●耐摩性、耐候性、耐食性が良い
合成繊維ロープの中では最も良好な性能を持ちます。
●キンク、型くずれ
ブレード型で非自転構造ですので、キンクや型くずれが起こりにくくなっています。

 ダグのデッキにいたクルーにお聞きすると今まで使っていた曳航ロープは直径が10cmもあった。強度は同じだがこれは6.5cmで大分細くなって扱いやすいとのこと。
 本船が係留に使っているホーサーとよく似ているので、ただのナイロンロープだろうと思っていたが、同じように見えるエイトロープでもその用途によって材質も大いに違うことがあるのだ。

c0041039_9595517.jpg 画像は日本丸のメインマストの基部である。静索はワイヤーだが動索はすべて三つ打ちロープだ。昔はサイザルやマニラロープが使われていたのだろうが今はどんな材質の三つ打ちロープだろうか。ポリエチレンかポリエステルかそれともクレモナだろうか。
 普通のヨットが使うマッド打ちポリエステルダブルブレードなんて手に優しいロープなどはどこにも見当たらない。

 ボクのクルージングヨットには長さ10m、太さ6mmのダイニーマロープをたった2本だけだが持っている。破断強度は1,600kgもある。もし非常の場合はワイヤーの代わりになるだろうと期待している。でもいつもは日よけシートの支線に使っているが伸びなくて具合がいい。

c0041039_1003368.jpg 陸置きされたレーサーの黒いバックスティ端末が金属ソケット処理されているのを見てどうするのだろうと、前から思っていたがロープ会社では普通のアイスプライスから接着やロック加工など各種のロープ端末処理をオプションで用意しているようだ。
右の画像をご参照ください。
 
 また、黒く光ったバックスティはハイテクロープの上からUV対策で外層にウレタン樹脂を被覆したものだった。


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【参考資料】:東京製綱繊維ロープ株式会社
【参考資料】:ヨットロープ
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by pac3jp | 2008-08-08 10:08 | 特殊船