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ヨットのハードドジャー

 今や輸入される大小のクルージングヨットにソフトドジャーは標準装備になってきた感があるが、その性能についてはビルダーによってかなり差がある。勿論ヨットのブランドそしてグレードや価格によっても耐久性や使い勝手も大いに違ってくるようだ。
 でもハードドジャーとなると外国製のプロダクションヨットも大型艇以外では少ない。中・小型のヨットにハードドジャーを装備したフネは小回りの効く国内のヨットビルダーがオプションで装着したり、オーナーが自作して取り付けたりしているのが目立つ。

 天気が悪いときにコクピットをすっぽりと覆ってくれるドジャーは有りがたい。それがしっかりとした構造のハードドジャーだともっと頼りになる。ハードドジャーを装備したヨットは多いだろうが、ボクが見かけたの幾つかの画像を見てみよう。
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 上の画像はスライドハッチの上部のみを覆うFRP製ハードドジャーだ。左はシーワード25、ドジャーの庇はコンパニオンウエイまではある。右はアルバトロッサー24の新艇だ。ドジャーの屋根にメインシートの支点が付いている。マストからのコントロールロープは専用の隙間からコックピットに引かれている。最初から一体でデザインされているので収まりもよい。
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 上の画像はロングクルージング仕様のハードドジャーだ。左は少し画像は小さいが、岡崎造船の37fだったかな?壱岐でお会いした。一目見てもう完璧なクルージングヨットになっているので、さすがと思った。当然立派なハードドジャーが装備されていた。 
 右のモノクロ画像は単独無寄港世界一周を目指した北海道のリサ号のもので航海記の写真をお借りした。ハードドジャーはファースト40に取り付けられた。フロントの曲面ガラスはモーターボートのものを流用し、側面の窓は強化ポリカーボネイトを使い全体をFRPで成型されたそうだ。そして後部にソフトドジャーを追加し、防水カーテンを付けられたそうだ。ホーン岬を回るには充分な寒さ対策が必要だね。だが、強度の問題はあってタスマン海の大嵐で窓枠がひねられ、枠とガラスをガムテープで補強され少し不細工になった画像が出ていた。
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 上の画像はスウェーデン製のHR46のハードドジャーです。しっかりとFRP成型されたハードドジャーに強化ガラスの窓が付いている。マスト回りのコントロールロープから海水が浸入することもなくドライな空間が確保できる。さらに、ステアリングするヘルムスマンまでソフトドジャーがかかっている。マリーナで係留中はコックピット全体が外気からクローズできるようにもなる。
 このヨットビルダーも46f以上からハードドジャーをオプションで付けることが出来るらしい。大型ヨットにビルダーが最初から装備してくるハードドジャーは本当に素晴らしい。

 良いことだらけのハードドジャーだが、ボクから見て最大の欠点はヨットの値段が高すぎることだ。でも宝くじが当たれば充分買えそうだが、一人で乗るには大きすぎるので止めておこうと思っている・・・ (^^♪
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by pac3jp | 2007-01-31 10:51 | ヨットの艤装と艤装品  

重排水量のヨット

 前回ヨットの「排水量/長さ比」について我艇に当てはめて計算してみたが、ヨットの係数はもう一つある。それはセール面積と帆走性能を関係づける数値に「帆面積/排水量比」がある。この数値はさきの「排水量/長さ比」と並んでヨットの仕様としてカタログ等によく表示してある。

 「RSAT/DSPL^2/3」の方は帆面積を排水容積の2/3乗で割ったものだ。 排水容積の2/3乗を使うのは、船体に働く水の抵抗がこの容積の2/3乗にほぼ比例するからで、この比が大きいほど、前進抵抗の割に帆にかかる推力が大きく、したがって高い速力が期待できる。
この比が14は少な目の帆、16は普通、18でやや大きい帆と言われている。(スピン・ナ・ヤーンより引用)

 ボクのヨットは「排水量/長さ比」はカタログ数値で321 満載時は435となりかなり重い。同じく「帆面積/排水量比」はカタログ値で18.20でやや大きめ、満載時は14.64でやや少なめのセールエリアになる。

c0041039_165511.jpg 昨日、ダナ24のオーナーと後進の操船についてお喋りしていたが、このヨットもフルキールで重排水量タイプのフネだ。ちなみに同じくカタログ数値から計算すると「排水量/長さ比」 362、もし、1トンの積載があるとしたら462となる。そして「帆面積/排水量比」はカタログでは14.4、燃料+水+乗員=500kgを加えると12.98になるので全体に小さめのセールエリアといえるのだろう。

 重排水量のヨットが微風でも充分なスピードを稼ぐには大きめのセールエリアが必要で、そのためには長いバウスプリットを突き出し、大きなジブを揚げることでセールエリアを稼いでいるのだ。dana24も1mほどのバウスプリットがついている。有名なファルマス・カッター29などはデッキ長は29fだが全長は40f近くある。ご近所のフジ32タイプも長いバウスプリットを持っている。

 でもこのバウスプリットは都会のヨットハーバーではちょっと辛い思いをしている。ハーバーの経営者は何故バウスプリットが付いているのかその意味が全く分ってないのだ。ここ新西宮ヨットハーバーでも係留料の計算は付属物も含めた全長で料金を計算する。知り合いのオーナーも船体長さは40fで12m級なのにバウスプリットがあるので年間40万円高い15m級の係留料を取られるのが嫌で、デッキ長で計算してくれるマリーナに替わっていった。
 dana24のオーナーも9m、30fの料金を払っているとおっしゃった。ハーバーの係留料は累進料金なのでヨットが大きいほど、バウスプリットが長いほどその差が大きくなる。

c0041039_1626694.jpg この料金システムはクラシックなヨットを持ちたいオーナーを差別しているものだし、デザイナーが設計したオリジナルのデザインからバウとスターンをカットし係留料金を意識して改造された変なフネを見かけることもある。(これはチョット違う?)

 確かに全てのヨットハーバー・マリーナが同じ料金システムではないので自分の好みの処に行けばいいのだが、そうも言えない事情もあるのでなお辛いのだろう。前にお世話になっていたところはヨットビルダーのクラス名かデッキ長だったか忘れたがヤマハ30ではバウスプリットが付いていても30f料金。牛窓YHではビジター料金は船検長さで支払った。バウスプリット分を取られた話はいままで聞いてない・・・。

 野本先生が中高年の一人乗りにお勧めの「全長約9メートル、満載排水量長さ比300、帆面積排水量比16、マストトップリグのカッターでかなり長いボウスプリットをもつことになるかと思う」と述べられているが、まず、ボクの周りではハーバーの係留料にその普及のネックがあるね。

 拝啓 ハーバー管理者殿、丈夫で頑丈なヨットは重くなるのです。高いマストの代わりにバウスプリットをつけて帆走しているのです。その分まで料金を取らないで下さいな。
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by pac3jp | 2007-01-29 16:27 | クルージング  

ヨットの重さって?「排水量/長さ比」

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 少し前、上架ヤードに小さめの木造のヨットが上架してあった。前日はなかったので今日上げたのだろう。暫くすると作業していた人が帰ってきた。よく見ると昔からよ~く知っているヨット乗りだった。彼は大分前にそのヨットビルダーに転職し、今はもう一人前のヨット職人として働いていると言っていた。塗り残した塗料が乾く間の僅かな時間だったが、彼からクルージングヨットの好みのサイズとか乗り前とかの意見を聞かれた。


 ボクがシングルハンドで乗るときには長さは30f位の頑丈で重めのフネ(D/L比 300くらい)が好みだ。と答えた。



 ヨットがその長さのわりに重いか軽いかを示す数値に「排水量/長さ比」というのある。その数値で350以上は重排水量、300前後をやや重排水量、250を中排水量、200がやや軽排水量となる。計算式は D/L比=排水量(トン)/(水線長f)×3乗で求められる。

 例えば今乗っている艇のカタログ数値で計算してみると全長は11.3mで水線長は8.72メートル、換算して28.6フィート、排水量が7.50トンだから7.5÷(28.6× 3乗 )=0.000321となる。普通はこれを10の6乗倍して321を「排水量/長さ比」という。 

 船の重量はいわゆる完成重量に加えて乗員、帆やロープ、錨、食料、燃料、清水、その他全部を積みこんだ重さをとり、水線長もその時の吃水線の長さになる。この方式で計算すると最近の上架時にクレーンで量った船体重量は10.5トンで吃水線も多少は上がっているだろうが推定で計算すると「排水量/長さ比」は435となり超重排水量型になってしまう。

 ちなみに以前に乗っていた「スイング31」(上の画像)はざっと計算して「排水量/長さ比」は180くらいだった。確かにフネは軽くて微風でもよく走った。だが強風で波のある海面では乗り前が悪く、シングルハンドでロングクルージングするのはチョットキツイなぁと思っていた。そんなことで両艇の中間の「排水量/長さ比」をとり300くらいが良いかなと思って答えた。ただ中排水量という選択もあるがボク自身がそのタイプのヨットに乗ったことがないので何ともいえない。

野本先生の「スピン・ナ・ヤーン」にこんな文章がある。

重排水量のヨットは船体の吃水が深く、どっしりと水の中にすわっている感じで波の中の動きがやわらかだ。初めのうち腰は大して強くないが傾くにつれて復原力が増し、なかなか転覆しない。ヨットの究極的な生き残り能力を示す数値は「復原性消失角」だが、これが120゜と140゜とでは生き残り能力に大きな違いがある。排水量長さ比が300以上だと復原性消失角を140゜とか150゜にすることは可能だが、この比が250ではそれは難しいといわれている。
すこし昔風の重い船の方が最後の場面での生き残り能力が高いから安心だ。もうひとつクル-ザ-として優れた点は船体が深いから船内容積は大きく、もともと排水量も大きいから積載能力が高い。ここまではいいことばかりだが、しかし重排水量のヨットは軽い仲間のように軽やかに滑ることはできない。特に軽風のスピードはとても軽排水量にはかなわない。 風力4から5に近くなれば結構走るのだけれども。

シルバ-エイジ一人乗りには全長9メートルから10メートル、いくらか重い目の船が向いていると言ったが、この数値で言うと300前後だろうか。全長9メートルで全部積みこんだ重さ(排水量)が5トンから6トン、10メートルのヨットなら同じく6.5トンから7.5トンくらいになる。



c0041039_1033090.jpgボクもヨットで長らく遊んできてやっと野本先生がおっしゃる重排水量のヨットに辿りついた。重排水量のヨットを11年間クルージングで乗ってきたが波の中でも動きは柔らかだし、水や燃料その他の積載力も充分ありクルージングヨットとしては大いに満足している。だが、「排水量/長さ比」435のヨットは微風では軽快に走らない。でも、20ノット以上も吹いてくれば軽いヨットと同じように帆走できる。

前に小さなレースで偶然にも完全優勝してしまったこともあったのだ!!

参考:以前の記事 「ヨットのメッカのローカルレース」
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by pac3jp | 2007-01-26 10:14 | クルージング  

もし、桟橋から落ちたら! part2

 不幸にして人通りのない桟橋やシングルハンドで航海中に落水してしまった時、トランサムラダーを使って自艇に戻れる仕組みを考えてみたが、クラシックなヨットやトランサムにウインドベーンやその他の艤装品が付いていてラダーそのものが付いてないフネもある。
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 上の図はアウトラダーのヨットに縄梯子を使ってデッキに揚がるシステムである。スターンデッキ付近のライフラインに片方の口が開放されたバックに畳んだ縄梯子を収納し、取り付ける。縄梯子の一端はヨット側のスタンションかなければ付近の適当な場所に取り付けたパッドアイに取る。
 もう一端は引き綱としてウォーターライン位までループに下げ、丈夫なステーや金物に取り付ける。この発想は割合ポピュラーなものだろう。ボクでもそうしようと思うからね。でも実際にやってみての細々したノウハウが必要なこともある。

 海面から縄梯子の引き綱を引くと、バックから縄梯子が降りてくるが、ハシゴのエンドの横木は重めの材料で作り、引き下げた時にハシゴが上手く下がり水中で安定するように作る。また、引き綱には小さなフロートをつけ海面に流しロープが沈まないようにもする。

 桟橋から落水してフネに戻るだけなら1組でも良いが、ヨットが航海中の落水事故に対応するなら両舷にこの装備が必要である。そして時々は落水訓練をして装備の操作に慣れておくことも必要でしょうね。

 もし貴方のヨットで試してみようと思ったとき、縄梯子のロープだけは伸びない高級なロープを選ぶ事をお勧めする。間違ってもホームセンターで売っている安物の3ツ撚りロープは使わないように。ご近所で伸びてしまって登れなかった縄梯子を見たことがあるもんで・・・。

参考:以前の記事 「もし、桟橋から落ちたら!」
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by pac3jp | 2007-01-24 10:29 | ヨットの艤装と艤装品  

トイレの故障

c0041039_9511072.jpg クルージングヨットの艤装品の中で一番のトラブルメーカーはトイレである。その証拠にヨットハーバーのゴミ捨て場にはいつも1個や2個の便器が転がっているものである。古いヨットは手動が多かったが最近はメンドクサイ手動よりも簡単に使える電動トイレが多くなってきた。
 簡単に使えるから家庭用のつもりで紙を大量に使用したり、どっさり溜めていっぺんに流そうとしたりして故障したり、壊れてしまったりする。それもゲストが良く乗っているフネほど故障した話は良く聞く。

 知り合いでハイシーズンなのにクルージングにも行けないと電動トイレのトラブルで悩んでいるオーナーがいらした。彼はトイレの修理を業者に頼むのだが、まず中々来てくれない。やっと来てくれても、結果思ったようには直っていない。でも請求書はしっかりとくるのだ。
 やがて彼は意を決して自分で直す事にした。必要な部品を手配して、臭いトイレを分解して新品のパーツに交換し、配線も接続し、テストする。たが、接続部分から汚水が漏れてくる。フランジに適合した新品のペーパーガスケットが必要だ。でもパーツリストに載っていても実際には入手困難な場合も多い。そこで水に強そうな薄い紙を形に切りポンチで穴を開け、ガスケットに採用、少量のシリコンを塗り接続する。上手く漏れは直り修理完了。電動トイレの構造も理解出来、応急ガスケットでのリカバー方法も習得したのだ。

 余談だが、紙ガスケットを一番よく使うのはエンジンの冷却用海水ポンプのフタ用だ。インペラ交換の時は勿論、海水の量が少ない時などに頻繁に点検・確認をするのでよく消費する。ストックがなくなってしまう場合もある。でも、聞くところによるとその紙ガスケットが大き目のシートで販売されているらしい。今度それを手に入れて自作のペーパーガスケットを作って見ようと思っている。
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 大体、ヨット業者にトイレの修理を、と言ったら「手動ならば意外と安いよ。アッセン交換にして下さい」と返事がある。臭くて狭い所で小さいパッキンやバルブを交換する作業は勘弁してくれという事なのかもしれない。我艇では掃除も含めてボクの担当になっている。予備の部品はしっかり準備しているが、いつも故障しないよう願いながら丁寧に使っている。
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by pac3jp | 2007-01-22 09:59 | シーマンシップ  

木製ブームのスカーフ継ぎ

c0041039_912635.jpg 前に太い木製ブームが折損したとの記事『折れたブーム』を書いたが、修理が進んであらかたブームとして形をなしてきたので少し工法など簡単に紹介したい。

画像は折れてしまったブームのクリューの部分だ。工事はこの部分を節のない赤松でスカーフ継ぎで復元させることである。

c0041039_1045293.jpg 工事計画ではまず、赤松の割り材で45cm×45cmの角材に挽き、仕上がったときの反り具合と削り出したときに外部に露出する部分が柾目になるように4枚の厚板に積層することから始まった。



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 まず、本体ブームの半面を荒削りする。中心部を段削りし、外側になる部分と継ぐスカーフを削る。スカーフ継ぎは厚さの8倍以上のの接着長さが必要といわれている。





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 芯部分の厚板が接着され、外側部分の厚板が裏返しでスカーフ削りされている。すりあわせをしてスカーフ部分と芯の厚板がブーム本体とエポキシ樹脂で接着される。





c0041039_9133974.jpg ブームの半面が出来上がれば反転させて同じように段削りをし、スカーフ削りで同じように接着して四角い形に造る。そこで金具の取り付けに必要な貫通ボルトの穴を開けるのだ。(円材になってしまうと正確に多数の穴を開けるには難しい)
ブームエンドは最終的に長さを決めるので余裕をもって長くとる。エンドの支えにも有効である。

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 ブームに上下のスカーフ長さの違いに注目。
 







c0041039_918441.jpg ブーム中央部の補修。ブームエンドが折損した時、そのストレスが中央で最大になり部材が裂けた部分があった。削ってみると以外にも金具の付いてないブーム中央部は中空構造になっていたそうです。こんな重いブームでも出来る限り軽量化が図られたのでしょうね。



c0041039_9224280.jpg 貫通穴が開けられたら荒削りされ、そのあと円材としてスムースなカーブに仕上げされる。また移設される金物やブームエンドの金具が付く部分は細かく調整し削り出される。






c0041039_9235816.jpg まだこのブームについていたケヤキ製のシーブケースなど小物の付属品は出来てなかったが、近くすべて出来上がるだろう。修理を担当したヨット屋さんによると、部分的に修理するより新品を造った方がずっと簡単だとおっしゃっていた。でも船齢100年にもなるクラシカルなスクーナーはもう立派な文化財である。修理して正解。しっかりとオリジナルは残すべきですね。

 やがて修理されたブームが装着された大型ヨットが大阪湾でも華麗な帆走を見せてくれることもあるだろう。大いに楽しみである。
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by pac3jp | 2007-01-19 09:49 | シーマンシップ  

12年前、阪神淡路大震災のとき・・・

c0041039_1173260.jpg 1995年1月17日、この日は新艇の契約をしようとヨットディーラーと約束をしていた。でも、早朝、阪神淡路大震災が発生。我が家も激しい揺れで棚は倒れ、食器は散乱。テレビは部屋の反対側に転び、屋根瓦はズレ、壁には亀裂が入ってしまった。電気もガスも水道も止まってしまった。カーラジオでニュースを聞くと神戸市の中心部で火事が発生していると報じている。寒い朝だった!

 昨日と全く違う世界に変ってしまったのだ。

 西宮市に埋立地にあった勤務先は連絡橋が壊れて通行止め。橋に併設されている電気・ガス・水道も止まり工場の操業も出来ないので当分臨時休業になる。ヨットを預けているマリーナも係留岸壁が破損、沈下した。その舫に引かれてバウが傾いた岸壁にぶつかって傷がついた。でも沈没しなかったのでラッキーかなとも思った。

 勤務先に行く橋が通れないのでヨットで近くのヨット泊地の桟橋に着け様子を見てくることにしたが、着けた浮桟橋は悲惨な状況だった。護岸は傾いて沈下し、多くの係留杭は傾き、桟橋も壊れている。中には船体に穴が開き沈没している数杯のヨットもあった。

 西宮港の沖を見ると今までとなにか感じが違う。沖にある一文字防波堤がやけに低いのだ。その西側にある六アイの防波堤は波に浸かってしまい見えない部分もある。灯台の基部まで海水が洗っている。地震で沈下してしまったのだ!

 陸に上がると道路も会社の敷地内も液状化現象でアチコチに砂が吹き出している。建物も基礎杭に載っているのは普通に立っているが、基礎工事が悪かった建物は傾いてしまっている。

 その後、高速道路から一斉に復旧工事が始まり埃っぽい、騒がしい街になってきた。島の企業に勤める人たちは橋が通れないのでバスや車から寒い海を魚釣の渡船に乗り通勤を始めてた。渡船に慣れない女性が落水した話も伝わってきた。会社は水はタンクローリーをチャーターし、ガスはプロパンにして操業を始めた。

 そんな大地震を経験し、復旧に毎日忙しい思いをしていたので、1.17に新艇契約の約束をしていたが、たった10数秒の地震で6400余人もの人が亡くなったのだ。もうヨットなどどうでもよくなっていた。

 でも、ディーラーは決して契約を忘れてはいなかった。ちょっと落ち着いてきた頃に連絡が入ってきた。「造船所で船台は予約してあり、順調に・・・」とおっしゃる。
 こんな時にフネを買うのか、とも思ったが、一瞬の自然災害で命を失った多くの人たちの無念を考えると、生きている時にやりたい事をすべきだなと契約を決断したのだった。 

 ああ、もう、あれから12年も経ってしまった!!
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by pac3jp | 2007-01-17 11:16 | 徒然に  

B29の落し物

c0041039_171453100.jpg 毎週ハーバーに通う道沿にある鋼材会社の塀際に変な物がぶら下がっているのを見つけた。角柱に「B29の忘れ物 1945年」と書かれていて、直径40cmと50cm位の鋳物の円盤と滑車状のものが2個ぶら下がっている。何の為の部品か分らないので近くの人に聞くと、「この会社の社長さんがB29の神戸大空襲の時にひらったものらしいよ」と教えてくれた。現在それがぶら下がっている場所は埋立地なので何処か以前に住んでいたところから持ってきたのだろう。


 そして最近、渡辺謙主演の映画「硫黄島からの手紙」を見た。太平洋戦争後期の上陸作戦において、アメリカ軍地上部隊の損害が日本軍の損害を上回った唯一の戦闘であったといわれている。アメリカはどんな犠牲を払ってでもB29の為に硫黄島を占領したかったわけだ。

 1944年夏、アメリカ軍はマリアナ諸島を攻略し、11月以降B-29による日本本土への長距離爆撃を開始した。しかし硫黄島は日本本土へ向かうB-29を無線で報告する早期警戒拠点として機能しており、またマリアナ諸島からの出撃では距離の関係上、護衛戦闘機が随伴できなかった。また、 日本上空で損傷を受けたり故障したB-29がマリアナ諸島の基地までたどり着けず海上に墜落することも多かった。そして、しばしば日本軍の爆撃機が硫黄島を経由してマリアナ諸島の基地を急襲し、地上のB-29に損害を与えていた。とりわけ、12月にはイスレイフィールドのB-29爆撃機11機が破壊され8機が大きな損害を受けた。

 アメリカ統合作戦本部は、日本軍航空機のサイパンへの攻撃基地の撃滅、硫黄島レーダー監視所による早期警報システムの破壊、硫黄島を避ける為の爆撃機の航法上のロスの解消、損傷爆撃機の中間着陸場と長距離護衛戦闘機の基地として、硫黄島の占領を決定した。フィリピンにおけるレイテ島の戦いが終わりに近づくと、沖縄侵攻までの2か月間に行う作戦計画として硫黄島攻略が決定された。進攻作戦は「デタッチメント作戦」と名付けられた。

 硫黄島の奪取によってアメリカ軍は日本本土空襲の為の理想的な中間基地を手に入れた。終戦までの間に2,251機のB-29が硫黄島に不時着。その全てが技術的な問題を抱えていたわけではなかったと思われるが、それにしても延べ2万名以上の乗員の生命が救われたとされている。
 アメリカ陸軍航空空軍の中で実際に爆撃機を運用していた各爆撃兵団の司令官達は、単発戦闘機の長距離護衛を面倒なお荷物としてかなり低く評価していたが、現実的には双発の邀撃機の活動を昼間は不可能にしたばかりか、日本軍戦闘機の邀撃を困難にした。活動を本格的に活発化させたアメリカ軍各爆撃兵団は、東京大空襲(1945年3月10日)、名古屋大空襲(12日)、大阪大空襲(13日)を続けざまに実施し、あわせて約10万人の市民の生命が奪われた。(ウィキペディア(Wikipedia)硫黄島の戦いより)

 ボクが生まれた明石には大きな川崎航空機工場がありがあり、戦争末期にB29の大編隊の空襲にあい、周辺の人たちを爆撃の後片付けに動員したそうで父親からそのときの悲惨な状況など聞いた覚えがある。そういえばボクの子供の頃、その工場周辺にまだ高射砲陣地の土塁が残っていたなぁ。

 街角にある「B29の忘れ物 1945年」の標柱がどんな意図で作られたのか持ち主からお聞きしたわけではないが、戦時中とはいえ実際に米軍のB29による都市無差別爆撃で非戦闘員の一般市民が多数犠牲になったことは間違いないのだ。
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by pac3jp | 2007-01-15 17:23 | ウオッチング  

ロングクルージング中の「STOM BAY」を見学する

c0041039_9144057.jpg 先日、昨年末よりここに停泊しているオーストラリア・ホバートのクルージングヨット「Stom Bay」のオーナーにお願いして皆でフネを見せてもらうことになった。ヨットは40fのスチール製、カッター。オーナーはオーストラリア人のクリスとマギーの中年カップルだ。彼らはホバートから南太平洋を3ヶ月の予定でクルージングに出たが、次々と太平洋を北へと旅をしている間にもう2年も経ってしまったとおっしゃる。

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 キャビンで奥様が地球儀を指でなぞって丁寧に辿ったコースを説明してくれる。そしてふとギャレーを見ると美味しそうな焼きたてのパンが2つオーブンのトレイにのっかって冷ましてあった。そうだこのフネは彼らの「ハウス」なのだと実感した。



 ボクはデッキでクリスに船体や艤装のことなど質問してみた。デッキを見渡すと自作風の仕上がりもあるので「ハンドメイド?」と聞くとハルは既製品で内装や艤装は自作との事。スチールハルの外板は指を広げて、下から5mm、4mm、デッキやドックハウスは3mmと教えてくれた。窓から見える壁の厚さがかなりあり、そこは断熱材が入っているそうだ。
 コクピットに入るとホィールではなく太いティラーがオーパイとウインドベーンでステアリングされるシステム。コンパススタンドは当然磁気を打ち消す2個の鉄の玉が付いていた。シートウインチは普通は両舷についているがこのフネは右舷よりに大型のウインチ1台で左右の兼用になっている。

c0041039_9155413.jpg デッキには船体を吊り上げる為のアイプレートが4ヶ所溶接されている。ブルワークもライフラインのスタンションも船体に溶接された頑丈なブラケットに取り付けられている。さすがスチールヨットである。バウデッキの大きなウインドラスは通訳者曰く「車のデフを改造した」と言っているとのこと。「へェーほんまかいな!」と感心する。

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 マストにはステップが打ってありワイヤーのハリヤード類にはセールに擦れないようにボアのような保護材が付いている。デッキを伸びるハリヤードなどはUV保護の為か塩ビパイプに入っている。オーナーの手入れの細やかなのに、またまた感心する。




c0041039_917463.jpg 艇内のチャートテーブルにはパソコンが2台。ナビゲーションはC-MAPだそうだ。ナビゲーション席の頭上にはフォグフォーン、フレアー等非常用品がセットされている。右舷サイドにはイパーブがある。キャビンにはオイルヒーターが設置され煙突がドックハウス上に貫通している当然だが室内の煙突には火傷しないような保護カバーが付いていた。これから行くアラスカ・カナダでは威力を発揮するのだろうね。


c0041039_9174774.jpg スキッパーのクリスにヨットを始めたのはいつごろ?と聞くと4才からだとの返事。オーストラリアやニュージーランドは親の代から海の遊びは盛んだったのだ。日本とは大分違うね。でも最近はOPヨットに小学生が乗って練習しているのを見るのであと数十年もたてばそんな言葉を発する日本人も現れるだろう。

 もう一つ、マギーさんからこんな話を聞いた。彼女らの隣国、ニュージーランドはどんな大きな船でも免許が要らないのだ。全てではないが、中にはルールも知らない人が乗っているので近くに寄ると危ないよと、大きな身振りで教えてくれた。・・・皆さんもそちらに行くときは注意してね!

 日本では難しい海技試験を受けて免許を取るが、ルールを忘れて危ない操縦をする人も大勢いるが・・・。
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by pac3jp | 2007-01-12 09:36 | ウオッチング  

STOM BAY 見学Part-2





遠来のお客さんとお友達のヨットでワインを飲みながら
スルメをネタに歓談中!
デジカメの動画を貼り付けてみました。
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by pac3jp | 2007-01-12 08:16 | ウオッチング