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ひと工夫 part3(ネタ本から作る)

 ひと工夫も「実用新案特許」が取れそうなこの道の達人が作る高級なものから、ネタ本や他人のアイデアから多少自艇の状況に合うようにアレンジしたものまで色々だが、ボクが「クルージングアイデア101」から作ってみて役に立ったと思うものをご紹介しよう。

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 左の画像はフェンダーボードである。本の2番目の記事から作ってみた。このボードは一般港湾の岸壁にゴム製の大きな防舷材が取り付けてあるとき特に有効である。この防舷材は本当にヨットの係留には不適当な間隔で付けられているのだ。そのままハルに当たってもフネが壊れる事はないが、綺麗なハルが真っ黒になってしまう。
 係留時は板の中心に防舷材が当たるように調整して使う。また、浮桟橋でもコンクリートの仕上げが荒めのペーパーのような状態の桟橋が時々あるし、勿論、フジツボ、カキだらけの岸壁でも充分使える。

 ご近所の主に瀬戸内海をクルージングするヨットもデッキに「歩み板兼梯子」に使う厚目の板を積んでいらっしゃるが、多分それも改造し共用出来るだろう。

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 もう1件は棚の中にブックホルダーを付けた。扉のついた収納棚だが、本や資料の他、CDの本体部分や、配線のジャクションBOXがあって、全部を本棚に使えないので、一部分を仕切って使うために、セールトラックと雑索を使うブックホルダーのアイデアを借用した。

 マリーナの廃材置き場を覗くと、丁度上手い具合に使えそうな古いセールトラックが見つかった。貰ってきてセールトラックの曲がっていない部分を45cmほど切断する。スライダーはなかったが、機械的な強度はあまり必要ないので自作することにした。このアイデアはセールトラックが見つかればほぼ完成したようなものだ。

 ネタ本では、雑索とジャムクリートで本を留めると書いてあるが、ボクはショックコードで留めることにした。このほうが本の出し入れに便利だからね。だが、本や資料のファイルがA4サイズで大分重くなってきたので、現在のショックコードではチョット弱いので近く、太目のコードに交換の予定である。


 昨日、ボクが敬愛するこの道の達人の一人であるヨット乗りとお話ししていたら、数年前に転職した会社で「提案賞を貰ったよ、昨年で13件だった」そうで、図書券を13枚見せてくれた。ちょっと安いのんちゃう、とボクは思ってしまったのだが・・・。
 
 皆さん、会社勤務していた若いときに職場の改善提案で苦労した思い出がありませんか? 彼にすれば「改善提案なんて、なんぼでもある」とおっしゃる。だが、彼の同僚は何も出てこないらしい。同じ職場が長いとそのルーティンに埋もれてしまい何も見えなくなってしまうのだろうかね。

 そんな彼のヨットはまさに工夫の塊である。彼のフネは前回にもオルタネーターの項でご紹介したが、キャビンに入り、これなに、それなに、と聞いてゆけば面白くて興味が尽きない。

 発想を実験で検証し、工夫を重ねて実用に供する。書けば簡単だが、発想が、夢想に終ってしまう凡人には達人に至る道は遠いようだが、まぁ、ぼちぼち行きましょうョ。
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by pac3jp | 2006-01-30 11:53 | シーマンシップ  

ひと工夫 part2(シルバーシートのお裁縫)

 ヨットハーバー係留されている愛艇は降りそそぐ紫外線でデッキ上の多くの装備が劣化してくる。乗っているクルーの露出している肌のスキンケアはいい加減だが、装備品の劣化は非常に気になる。
 サンブレラなどの耐UV生地を使ってカバーを作るのもいいが、手に入りにくいし価格も高い。そこで、ホームセンターで売っているシルバーシートを使って作るUVカバーの作製例をお見せしたい。

 シルバーシートも二種類売っているが、厚手の方が長持ちして良いと思う。そのままデッキに被せたり、ブームに掛けて日除けに使うのは簡単だが、もうひと工夫してみよう。そして、シートの縫製はミシンを使うが、奥さんのお下がりの家庭用で充分縫うことが出来る。

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 ご近所でコンパニオンウエイ用の小さめのドジャーにカバーを掛けているヨットがある。ドジャーの生地はUVに強いが、透明ビニールの窓は意外にUVに弱く、すぐに曇ってしまい前が見えにくくなる。そんなことからドジャーごとカバーしてしまおうと発想されたのだろう。
 サイズを測り、立体的にシートを裁断し、縫製して、取り付ける箇所を決め、鳩目を打つ。鳩目を打つ場所は3重位に折り返してミシンで縫う。このシートは適当な接着材が見つからないのでボクは縫ってしまっている。最後は細いロープかショックコードでデッキに留める。

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 もう一つは資源のリサイクルである。台風の翌日に近所のテトラポットに引っかかっていたボロだが大き目の発泡スチロールのブイを拾ったので、これで俵フェンダーに作ってみた。市販品もあるが、カバーがUVに弱く、はげてしまうものもあるからね。
まずブイを洗いフジツボなどを落とし、センターに長い穴を明けて、ロープを通す25mmの塩ビのパイプを差し込む。
 ブイの寸法を測り、シルバーシートを裁断する。筒型に縫い、ブイに被せて両端を細いロープで絞り、円筒形になるように整える。
予め作っておいた25mmの塩ビパイプがぴったり入る穴を開けたプラスティックの円盤をパイプに差込み、ソケットで作った部品でシルバーシートを絞り込んだ部分を押さえて両側から固定する。
 後はアクセントと補強を兼ねたナイロンバンドを巻き、バンド同士がずれないようにおのおの縫い付けた。これに艇名等をスプレーしたら出来上がり。

 注意点はプラスティックの円盤だが、ボクはポリエチレンを使ったが、これはUVに弱かった。塩ビかアクリルのようにUVで劣化しにくい材質がいいと思う。

 大型の俵フェンダーは漁港や一般港湾で係留するとき、引き波があったり、カキが一杯付いた岸壁に横付する時にはもってこいですよ。航海中は大きくて邪魔なので、多少不細工だがスターンに括りつけている。
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by pac3jp | 2006-01-27 09:23 | シーマンシップ  

ひと工夫

 友人の艇に久しぶりに寄ると、「これ、どうや?」と彼の最新の工夫の感想を聞かれることがある。
 ヨット乗りは何事につけ、ひと工夫好きな人たちが多いように思う。そして、その工夫の発想の原点は自分が縦横に腕を振るってきた世界からのものが圧倒的に多いだろう。経験が発想を助けている。若い人のように斬新さはないが、その工夫の実用性は多分高い。

こんな例を紹介しよう。

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 左の画像はヨットのスターンに付けられたビデオカメラである。セーリング中に付近のヨットやクルーの動きを撮影できる。カメラは防犯カメラを転用しているが、素晴らしいのはそのカメラがセットされたジンバル装置だ。ヨットがヒールするとこのジンバル装置が働き、必ず画面の水平線は水平に撮影できる。工夫されたのはダンパーの部分だ。バンパーがないと艇の運動でカメラとバランスが振り子になり、激しく揺れて画像も見にくい。
 ダンパーといえば普通の人が発想するのは車で使われている油圧や空気シリンダーを使ったものだろう。 だが、彼はプロペラシャフトの防水に使われているオイルコットンを使うことを思いついた。作ってみて大正解だった。ちなみにバランスの錘は古いジンクから作った。
 亜鉛の融点は低いので、鉄鍋に古いジンクを入れて、ガスコンロに掛けるとすぐに溶けてどんな形でも自由自在だよ。

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 もう1件、右の画像はカセットコンロをつかったファンヒーターだ。カセットコンロの反射型ストーブは市販されているがファンヒーターは売ってないだろう。このヒーターはコンパニオンステップの下に設置されていた。カセットコンロの上に中子が入った2重構造の箱を載せて後ろからファンでこの隙間から風を送って、前面の吹き出し口から温風が出てくるシステムである。当然コンロの部分には古い石油ストーブから転用した耐熱ネットの発熱体が必要だ。これも上手く稼動している。
 このストーブの安全対策はまず、ファンが回っていないときには点火できないインターロックが必須であるが、まだ未装備で、油断していてチョット焦げたそうだ。画像のストーブのトップに焦げ目が見えている。

 ひと工夫好きなヨット乗りの中で、あえて彼を分類すれば「売ってないから作ってしまう発想に、技が付いている人」だろうね。かなり高等な部分に属する方ではある。

 ボクの場合は「買うと高いからと思うリサイクル派の人」かな。金属加工や木工が必要なものは中々難しいが、サンブレラやシルバーシートを使ったミシン工作はよくやった。涙滴型フェンダーのUVカバーや俵フェンダーのカバーを作ったことはある。

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 舵社から「クルージング・アイデア101」という本が大分前から出ているので読んだヨットマンも多いと思うが、一工夫の面白い記事が沢山載っている。実はこの本は101本のアイデアを一冊の本にしているのだが、名誉ある?101番目のアイデアの発案者はボクの古くからの友人である。 ヨットの他、山にも行くが、絵も上手で良く展覧会で賞を頂いたと聞いている。そういえば彼の描いた油絵は自作のユニークな額に入っていたね。

 もしかして彼も「買うと高いからと思うリサイクル派の仲間」になってきたの・・・。

 ボクもこの本から、自分でも作れそうなものを数点まねして作ってみた。こうしたネタ本から自艇に合わせてひと工夫して、発想を纏めてみるのもボクの様な凡人にはぴったりであると思っている。

 冬籠中のヨットマンの皆さん、まだ当分は寒そうなので、何か自分らしいアイデアを詰め込んだ一品を作ってみようよ。

 春までに!
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by pac3jp | 2006-01-25 09:49 | シーマンシップ  

レース艇

 ヨットの船型は時代やルールによって変わるのだろう。最先端のヨットのテクノロジーやデサインはアメリカズカップで採用され成功した技術はいずれ一般のヨットにも普及してくるもんだろうが、どうもこの頃、ヨット雑誌も読んでないのでこの世界の動きも良く判らない。従って、日本の外洋レースの事もほとんど知らない。

 ただ、地元のハーバーで新しいレーシングヨットを見かけることはある。デザイナーやヨットビルダーはどこかまでは知らないが、へー・ホーといいながら眺めている。

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 最近、こんな船型が流行っているのかなと思うようなヨットが船台の上に置いてあった。正面から見ると四角い箱型である。それに長いストレートのキールが付いている。横から見るとバウとスターンはまっすぐに立っているし、幅の狭いキールとラダーは真にレーサーのものだ。

 ボクが知っている乏しい知識の中では、ヨットを正面から見ればワイングラス型と覚えてきたが、もうかなり古くなってきたみたいだ。昔はボトムにチヤインが付いたフネもあったが四角はなかったなぁ。断面はキールがなかったらまるで川舟だな。ハーバーの作業員に聞くと、このレーシングヨットは外国のどこかの海でチャンピオンになったヨットらしいと教えてくれた。オーナーが実績のあるチャンピオンボートを買い、日本に運ばれてきて、キールを取り付け、マストを立て、またここの海で活躍するのだろうね。

 レーサーの船型はレーシングルールが変わると、その中で一番早かったデザイナーの書いたヨットの船型がその時代のヨットのスタイルをリードしていたようにボクは思っているが、なにせ、この間までファーのマム36が並んでいたヤードにもう1隻もマムはないのだからね。
 同じヨットに10年も20年も乗っているクルージング派の世界からレース艇を見るとどうなっているのかさっぱり判らない。

 最近よく見かける新しいフランス製のクルージングヨットのハルデザインは純レーサーによく似た形をしている。ステムは直立しているし、ステム下のナックルは水面から浮いている。ボトムはフラットでキールもラダーもレーサー並みのものが付いていた。ヨットの帆走性能は良く、スピードもあるだろうが、フルクルーで乗るレーサーならいざ知らず、ショートハンドで乗る外洋のクルージングシーンではどんなもんだろうかなと思っている。

 ボクのクルージングスタイルは重めの頑丈なフネで波浪の中でも波を切り分けるように進み、波に突っ込みにくく、乗り心地がいいフネでゆっくりと航海したと思っている。確かにスピードは魅力ではあるが、レーサーではないので程々でよい。こんなことを言っていると、あの人、年がいって偏屈になってきたね、と言われそうだが、レース艇は速さが命だが、クルージング艇は頑丈が一番だよ。
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by pac3jp | 2006-01-23 14:33 | ウオッチング  

クルージングヨットとセール


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 先日、知り合いのセールメーカーのお店に寄った。レースのある日曜日の朝に忙しそうにしている姿を見ることがあるが、今日はお店にいらした。ニューセールを買う人ではないと決めているのか、ハリヤードや舫いロープは要りませんかと、一応、営業用の言葉を掛けてきた。
 ボクはこの10年、自慢?じゃないが、自艇用のニューセールをセールメーカーで作ったことはない。ちなみにゼノアの修理2回とセイルパックを作ったことはあるョ。

 ヨットは風を動力にして動く乗り物である。そして、搭載しているエンジンは補機と呼ばれているのでセールはヨットの主機だろう。レーシングヨットはヨットが動いているかなりの時間はセーリングをしていて、エンジンを使うのは港の出入りや回航だけだろう。

 一方、クルージングヨットも外洋を長距離のクルージングをするヨットは当然セーリングしているだろうが、我々のクルージングエリア、瀬戸内海のクルージングでは一般的に機帆走の時間が多い。こちらのヨットはエンジンが間違いなく主機だろう。日頃からエンジン命と言ってはばからない人もいる。

 従って、内海や沿岸を主にクルージングしているヨットはセーリングによるセールの消耗は少ないと思われるが、20年間乗っていて一度もセールを新調した事がないヨット乗りもいる。新艇の時に付いてきたセールを修理しながらずっと使っているボクのような人も多い。

 クルージングヨットもレース好きなグループは5年に1回は取り替えるといっているが、そのセールを新調する動機を考えてみると

1.多少でもレースをしているヨットの場合、いつも勝てるライバルに
 負けてしまったとき。
 
 (腕は俺の方が上なのに、このセール、上りが悪い! とか思う)
2.セールの形が崩れてしまっていると感じたとき。
 (機能的寿命か?ハイテクセールではすぐにこうなる・・・)
3.リグを変更したとき。
 (ブームファーラーに換えたとかで、やむをえず・・・)
4.破損した。
 (大破のみ、多少の破損はエリアが縮小しても修理するのだ!)
5.クロスが劣化し変色して、縫い糸が切れてきた。
 (物理的寿命だよ)

 1.と2.に関連してこんな体験があった。

 昔、ワンデザインのヨットに乗っていた頃、頼まれて、走らないと思っていたセールもセットでフネをチャーターに出したことがあった。アメリカ人のチームにヨットを貸したが、そのレースを見に行くとボクがフネを貸したチームは、あのセールで毎回上位を走っているのだ。
 やっぱり、メジャーなセールメーカー製でなくても、多少くたびれたセールでも腕がよければヨットは走るのだと思い知らされたことである。

 このようにセールを買い換える動機を列挙すると、ボク達レースをしなくて、近場で楽しむクルージングヨットは4.あるいは5.なので結局、セールの寿命が尽きるまで使うってことだろうね。

 セール屋さんは冗談でこう言っていた。クルージングセールは10年間の使用期限付きにして、10年が過ぎると自動的に分解してしまう・・・とかどうですか?
 
 何となく微かな希望にも聞こえるが、日本のヨットとセーリングがもっとポピュラーになってくれば、セールを新調するクルージングヨットも増えてきますよ。 きっとネ。
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by pac3jp | 2006-01-20 09:12 | ヨットの艤装と艤装品  

ショート・ショートのクルージングポイント

 私たちは大阪湾奥の西宮市内にあるヨットハーバーをベースに活動しているが、かねてより近場で、そしてヨットに乗って行けて、天然温泉があるクルージングポイントを探していたが、最近そのポイント(係留場所)を発見したのでこのブログの読者にのみ?こっそりとお教えしたい。

 前に神戸港内のHAT神戸「なぎさの湯」もご紹介したが、ここはもっと近い。ハーバーを出てから東へヨットで20~30分で行けそうだ。

 先の日曜日、ご近所のヨットに便乗して偵察にいってきた。

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 そこは鳴尾浜埋立地の根っこ部分で、阪神大震災で被災し解体された住宅やビルのコンクリート破砕土砂で海面を埋め立てて出来た用地の岸壁である。係留したところは、昔は甲子園フェリーの予備船がもやってあった場所だが、新しく岸壁を作ったときに一部は公園として整備されたので岸壁の高さも大分低くなっていて柵が付いている。
 公園の北隣は千趣会の大きなビルがある。岸壁付近の水深は5m位なのでヨットでも充分である。公園なので、トイレもあるし、遊ぶのなら子供用の遊具も数種類はある。

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 ここから徒歩範囲(5~6分)に天然温泉「熊野の郷」がある。ボクはまだこの温泉に入ったことはないが、仲間で西宮の住人は入った人も多いと聞いている。鳴尾浜にはずっと前から「リゾ鳴尾」という温水プールとスポーツ施設がついたリゾート施設があるが、これにはチョット遠くて歩けば20分は掛かるかなと思うが、調べてないのでわからない。

 
 この泊地はマリコンのダグボートやバージが係留していることもあるが、公園の対岸で自社の専用岸壁の方である。
 お天気により変わる海面の状況は、南西~西の強風が吹けば波が入ってきそうだが、他の風向で普通の天気では大丈夫だろうと思う。他船の曳き波も一文字渡しの渡船業者が一軒あるが、そう頻繁には通ってない。

 初めてこの付近に入って見ようと思っている人は海図で充分に水深をチェックして置いてください。この辺りは甲子園干潟で有名なところです。鳥獣保護区で渡り鳥の天国になっています。航路以外は浅いので勿論、ヨットも航行できません。
 
 いまや、「オンザロックの達人」と呼ばれている友人も初回はこの干潟に乗り上げてしまったのだ。運の悪いことに救助を頼んだ人が海保に通報し、ついには海難審判に! いやぁ えらいことになってしまいましたョ。皆さんも努々ご注意めされよ!

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 泊地の係留情報も管理者に許可を受けているわけではありませんし、保証もしていません。もし行って見ようと思っている方は自己責任でお願いしますネ。
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by pac3jp | 2006-01-17 09:21 | クルージング  

エマージェンシーティラー(緊急用ティラー)を試す

 船の進む方向を定めるのは舵であるが、その舵を動かす道具がティラー(梶棒)である。小型の船はこのシンプルな構造で故障の少ないティラーを使って操船しているが、デッキのデザインやコックピットの配置によってはティラーを付けられないこともある。そこで、そういう船は舵軸から離れた場所に舵輪(ステアリング・ホィール=ラットとも言う)を設置して操船するシステムを採用する。

 クルージングヨットでは全長で34f位がティラーとラットの境目だろうか、レーサーはもう少し上で38fくらいか。だが、最近は30f前後のヨットにもラットがついているのを見かける。まぁ、趣味の世界ですから何でもありですが・・・。

 舵軸を遠隔操作するには各種の方法があるが、大きく分けてヨットの場合は1.ワイヤー方式 2.コンジット方式 3.ギヤー式 4.油圧式の4方式がある。中小型のヨットで多いのはワイヤー式である。

 仕組みはコックピットのラットを回すと、そのシャフトに直結したスプロケットのチェーンが舵駆動用のワイヤーに繋がっていて、ペデスタル直下のシーブで直角に曲がり、ワイヤーは舵軸につけたクォードラントに至り、舵は動く。

 直接、ティラーで舵を動かす方式に較べて、ラットで操舵するシステムは部品の数も多い。従って、故障の確率も高くなる。また、メンテナンスの必要な可動部がデッキ下にあるため点検不足で故障の可能性はより高くなる。

 そこで、ラットで操船するヨットには必ず、緊急用のティラーが付いている。・・・筈である。
 持ってないヨットはないはずだが、もしかして、紛失している事もある。新艇の場合はついているのでもう一度探してみよう。

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 そして一度海が穏かなときに緊急用ティラーを試してみよう。ヨットもアフターコックピットタイプはコクピットの見えるところにラダーヘッドが出ているか、デッキ面でキャップを被せてあるが、センターコクピットのヨットははキャビン内に緊急用ティラーのラダーヘッドがある。ヨットビルダー標準型のティラーでは操船が難しい場合もある。

 最近、ご近所のラット装備のヨット4隻に聞いてみると、1隻は装着の経験ありと返事があったが、残りの3隻のオーナーは持ってはいるが、装着したことはないとおっしゃっていた。その内の1艇にお邪魔して装着してみると、ラダーストックのサイズよりティラーのソケットサイズが大きくてガタガタ、固定するボルトもついていなかった。これでは波があり、揺れるコックピットで短いティラーでの操船は難しいかもしれない。

 もう1艇のヨットはサイズもぴったりでラダーストックにもティラーを固定するボルトもついていた。ハーバー内で実際に操船してみたが、大きく舵を切るとティラーが短いせいか、かなりの力が要る。ラットで舵を切るのと大違いだよ。
 もう一つ大きく変わるのはティラーでの操船だ。右に押すとフネは左へ、左に引くと右にまわることである。

 テストをお願いしたこのヨットのオーナーさんはエマージェンシーティラーで桟橋に横付けしようとして、大騒ぎをしていた。左舷付けしようと思って船首を右に振るべくティラーを右に押したからだ。ヨットは船首が桟橋に直角に向きはじめ、衝突しそうになっていた!!

 ティラーのヨットに乗ったことのないオーナーは一度、ティラーのヨットかディンギーででも練習しておいたほうが賢明かも。
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by pac3jp | 2006-01-13 09:31 | シーマンシップ  

ハーバーの新春餅つきパーティに行ってみた

 1月8日、寒波が一休みして割合暖かい日曜日、こういうイベントが大好きな友人のお誘いで初めてハーバー主催の新年会に行ってみた。
 今日はお餅つきがメーンイベントだ。お昼から始まっていたらしいが、時間に少し遅れていったらもうかなりの人出だ。何故か、中高年のリュックを背負って、ウォーキングシューズを履いた人たちで一杯だ。海辺のウォーキングイベント参加者のお昼休みと一緒になってしまった模様である。

 センターハウスのテラスで、ハーバーマスターの景気のよい掛け声でお餅つきが始まっていた。近所の住宅地の子供たちが大勢群がって餅つきの順番を待っている。大騒ぎのお餅つきで、出来上がったお餅は皆さんに分配される。きな粉、あんこ、大根おろしもしっかり用意されている。

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 早々と出掛けていった例の友人はポンツーンが見えるテラスの一等席とお料理・飲み物も確保して、はや赤い顔で仲間と賑やかにおしゃべりしている。


 ボクはこのような催しに今までに出たことがなかったので、うろうろしていると、誰かが、へやの中に飲み物と食べ物があるよと教えてくれた。入ってみると、ヨット業者やヨットのオーナーなど知った顔もチラホラいる。お酒は昨晩のサタデーナイトパーティで充分飲んだので、遠慮してサンドイッチを頂く。本日の昼食はこれで満腹だ。

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 今日はハーバー主催のイベントなので、餅つき、甘酒、ぜんざいと社長さん以下ハーバースタッフは総動員で大忙しである。
 お餅つきのつき手は子供が多いが、中には若い女性が派手に黄色い声をあげて杵を振っていた。それを見て、誰かが、「あの娘、大分ストレスが溜まっているのちゃう?」とか言ってた。面白いので見とれていたら、写真を撮り忘れてしまった。残念!

 折角だからと、人影が疎らになったのでお餅を貰いに行くと、チョット粒がありますよ! と2皿貰ったが、1皿食べた友人は「なんじゃ、これは!」と言った。良くいえば「うるう餅」だが悪くいえば蒸不足の食感である。勿体ないのでボクはあんこを入れて大福餅にして食する。

 1時間くらいイベント会場の周辺で久しぶりに出会った知人と新年のご挨拶をし、近況を報告したりしていたが、一段落したような感じなのでフネに帰りメンテ作業の続きをする。

 穏かな冬の日の午後、まだやっているのだろうか、遠くから、お餅搗きの掛け声が聞こえてくる・・・。
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by pac3jp | 2006-01-10 09:48 | 音楽・パーティ  

ヨットで明石海峡をうまく渡る

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 昨年は何回明石海峡大橋の下を通ったことだろう。この幅4kmの海峡は瀬戸内海の海峡のうちでは広い方なんだろうが、一日1000隻の大小の船舶が通行し、横断するフェリーや操業している漁船も多い。橋が出来てからは橋脚の外側を通る我々にとっての航路は大分狭くなってしまった。

 明石海峡を上手く通るには潮流の方向と通過する時間、そして通過する場所を考えなくてはならない。
 海峡の北側、明石寄りを通過すれば中央の本流より潮流もやや弱く、転流時間もほぼ潮流表どうりに変わるようだが、淡路側を通過するときは反流があったり風向きによっては激潮があったりして、注意が必要だ。

 一昨年11月、香川県津田へのクルージングの時だった。転流時間に合わせて岩屋沖から明石海峡に入ったが、明石海峡大橋の下では既に西流になっていた。 風はW~WSW18ノットくらい。松帆埼沖ではかなり白波が立っている。いまさら帰れないので大波の中に突っ込む。
 所謂、激潮である。バウが波に突っ込み、デッキを海水の塊が流れる。スプレーは激しく、フネは大きく揺れる。キャビンの戸棚から食器が飛び出し、壊れる音が響いている。・・・がんばって激潮エリアを通り過ぎた。海図の激潮マークを甘く見ていた。反省。

 主流の南側(淡路側)は、 激潮を生じる 所があり、淡路島
北端の松帆埼付近は比較的流速が大きく、潮時は中央主流より
20~50分早い。

 松帆埼の東南東方1.3海里付近における潮流は、中央主流と
ほぼ 同時に転流し、流速は約1.4倍です。


 淡路島翼港から播磨灘へ出るとき、逆潮の岩屋付近で急に反流に乗ってうまく西に抜けられた経験がある。

 南側の松帆埼東側(岩屋の北側) では、東流最強のころから
反流 を生じ、以後、その規模を広げて中央部より早く転流します。
この付近では、西流末期にも反流が見られる。


明石を西流にのって抜け、淡路寄りを南にコースを取ると松帆埼からかなりの間、逆潮になる。もっと沖に出れば良いが、航路になってしまうし・・・と」思うこともあった

 松帆埼の西側沿岸でも西流最強時に反流が生じるようです。

 ※江崎から野島轟木あたりの海岸よりは本流に関係なく
絶えず北へ流れている。
「神戸のうみとそら」より


 明石海峡を明石寄りに西へ通過すれば反流はないが、危険地帯はある。セメント磯だ。ここには灯浮標が3ヵ所設置されている。その岸寄りの海底は砂だが、ごく浅い。ボクの仲間の「オンザロックの達人」はここでも体験を積んだらしい。

 明石海峡西部のセメント磯 沖合には、地元で「イアイニチ」
と呼ばれる三角波が発生し、小型船の航行を困難にし、警戒を要します。

 この三角波は、冬季、西~北西の風(6~10m/s)が吹くとき
で、西流から東流に転流する頃に多く発生し、持続時間は30分~2時間で
セメント磯付近からしだいに東に移動 します。


 明石海峡を抜け、林崎漁港西からは、秋から春まで、ずーっと岡山方面まで沿岸にはのり網が入っている。
 冬季、姫路方面から明石へ向かう時にはセメント磯沖の三角波に弄ばれ、のり網に突っ込まないような注意が必要だ。

 航法の基本ではあるが、明石海峡は海上交通安全法で指定された航路である。そして航路は西側で湾曲しているので、知らずに航路を斜めに横切るなんてことのないようにしなくてはね。
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深緑色の文章は海上保安庁の明石海峡潮流概要からの抜粋です。
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by pac3jp | 2006-01-06 10:29 | シーマンシップ  

ヨットで新年会

 今年のお正月は雨になるとの天気予報が、うれしい大外れで晴天、微風の好天だった。
久しぶりに、フネを出し、2時間程、初乗りを楽しむ。機関、リグすべて順調。

 ハーバーに帰ってくるとご近所のメインマストに日章旗が、ミズンマストにR旗が揚がっている。
 新年のご挨拶に覗いてみると、既にテーブルにはおせち料理の入った重箱が並んでいる。そして、いつもの顔ぶれが8人も揃っていてもういい気分になっている人もいる。
 今年は何処へ行くか、どう遊ぶか、が話しの中心でワイワイ・ガヤガヤやっているが、昨年の紀伊勝浦港へのクルージングで外洋デビユーした皆さんは大分自信が出来てきたようだ。選抜チームで伊豆諸島の八丈島、御蔵島など関東エリアの離島の声も出てくる。
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 一段落したのでフネに帰ると、別のヨットから、お鍋をしているので来ませんかとお声がかかる。早速、遠慮なしにお邪魔する。
 彼らは1月3日から紀伊勝浦港へクルージングに出掛けるとおっしゃっている。多分、1週間くらいの行程だと思うが、寒さも、お天気も心配はしてないようだ。
冬型の気圧配置で外海は波が立つだろうと恐れていてはどっこもいけないよ。冬篭りなんてとんでもない。どんどん遊ばなくちゃー。
 彼らの平均年齢はもう大分前に年金年齢を越えている。65歳を老齢と呼ぶならばもう、立派なご老人ではあるが、皆さんお元気そのものである。

 お鍋をつっつきながらワインを頂き、過去の武勇伝の数々を聞く。このヨットのオーナーとクルーの皆さんは京都の某有名大学の運動部の先輩、後輩で構成されている。足湯で入浴してしまう等、多少の非常識もあるが、古きよき時代の学生達の蛮勇、バンカラという雰囲気をもっている。
 航海も大胆不敵、恐れるものは何もない風だが、その代償も払ってきたそうだ。ヤードでフネを上架しているとヨット業者が頻繁に見に来るらしい。
 ・・・なんかええ仕事おまへんか?

 1月3日早朝、天気晴朗なれど波高し、北西のブローがリギンを鳴らしているハーバーから勇躍出航して行った。 ご安航を祈る!
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by pac3jp | 2006-01-04 17:36 | 音楽・パーティ