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海のレゾナンス 「単独世界一周ヨット、リサ号と」

 自分のヨットで世界一周の周航をしてみたいと思う気持ちはヨット乗りなら誰でも持っているだろう。ただその実現は中々難しい。

 1895年4月24日、正午に抜錨、出帆し、満帆に風をはらみボストン港を後にしたキャプテン・スローカムと37fヨールのスプレー号は世界一周に旅立った。そして幾多の海のロマンに満ちた航海を続け、1898年6月27日ニューポートに帰ってきた。
 史上初めて世界一周を個人が単独で成し遂げたのだった。この航海は「スプレー号世界周航記」として出版され、以来100年にわたり世界中で愛読されてきた。日本のヨット乗りも読んだ人は多いはずだ。

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 標題のご本は北海度・小樽のヨットLISA号でオーナーの大龍さんが昔から暖めてきた、単独無寄港世界一周航海の夢を実現させようとして闘ってきた物語だ。LISAはベネトウファースト405、船齢10年の中古艇を買い、シングルハンド世界一周に耐えるヨットに改造されてきた。
 2001年9月24日小樽港マリーナを出港して2002年7月14日に帰港された。航海日数は294日、航海距離は30,000マイルだった。

 誰もが一度は憧れるが、ヨットが判ってくるに従い、その大変さが理解できる単独無寄港世界一周航海を計画し、実行されたその意思と努力にまずは敬意を表したいと思った。

 そして、彼は航海の準備に多くの時間をかけ、出来る限りの準備をした自信があるとおっしゃっている。その言葉通りこの本には55ページを割いて航海計画や長距離単独航海の為に考えられた各種の装備艤装について詳しい考察や使用の結果なども書かれている。ボクも色んな航海記を読んだが、こんなに自分のヨットの装備艤装を詳しく書いた航海記を見たことはない。当分、大航海の計画はないが、大いに参考になる。本の代金1,800円はこれで元は取れた。

 航海記の文体もあっさりとスマートでテンポ良く書き綴られ、ほんとに読みやすい。ドレーク海峡からホーン岬に至る荒れた海を航海する部分は特にいいと思った。ホーン岬をレーダーで確認したのは意外だったが、チリ海軍もレーダーで通過を確認したから証明書を発行してくれたんでしょうね。

 ホーン岬を越え、南氷洋近くで氷山に衝突し、マストに大きな損傷を受け、退船の準備までするが、ヨットを何とか大西洋を渡りケープタウンまで1ヶ月余の航海が出来るようにリカバリーできたのもインマルサットを2システム、2台も装備していて、陸上のサポートチームと緊密なコミニュケーションが取れたことが大きいのだろう。

 このトラブルで無寄港という思いは果たせなかったが、ヨットをドックに上げるとラダーに重大な故障が発見された。もし、航海が続行されていたら、いずれ何処かの大時化の海でラダーを失うという事態が発生しそうだったが、それは回避されたことで不幸中の幸いだった。

 喜望峰からインド洋を渡り、タスマン海で風速50mの大嵐の中でパーフェクトストームのラストシーン、30mの巨大な波を漁船が駆け登って行くシーンが大げさでなく本物だとの実感も得たそうだ。
 
 世界一周航海も赤道を越えると日本はもう近い。台風と黒潮には注意が必要だが、もう、彼にしたら自分の庭のような表現になってきた。

 この本を読んでいると、大阪からメルボルンのレース如きは自分でも簡単に出来そうに思えてくるから不思議だ。勇敢さと冒険心の残っているヨットマンに是非この本を読んで見られることをお勧めする。両方共ない人でも読んでみたら勿論、楽しいよ。

 ボクは勇敢という言葉も知らないヨット乗りだから、無寄港や単独も到底無理なので、いつものパートーナーとのんびり、日本漫遊くらいで充分だね。
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 本書のタイトル「海のレゾナンス」のレゾナンスは「共鳴」「余韻」といった意味だそうで、著者の航海記に書き表せなかった思いがこの言葉だそうです。
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by pac3jp | 2005-10-28 08:46 |  

クルージングヨットのセーリング技術

 瀬戸内海で行き交うクルージングヨットは殆どが機帆走である。たまには絶好の機帆走日和?の風の日でも機走で走っているヨットを見ることもある。メインセールを展開している目的はローリング防止のためで推進力にあまり期待はしていないのだろう。
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 あるときクルージングに同行した琵琶湖出身のセーラーから「ヨットのクルージングってエンジンで走るんですか?」と素朴な質問をされ、聞かれたオーナーがぐっと、詰まってしまったとか聞いた。

 確かに外洋を帆走するクルージングと違って瀬戸内は潮流があり、漁船や本船も多く航路や、網の障害物あってセーリングだけでは目的の港に日程通りに着けないこともある。と、自分に言い訳しているが、実際、セーリング技術は落ちてきたように思う。

 そんなヨットマン達も時にはヨットレースにも出たいと思うようだ。ヨットマンも大雑把に分けて3派ある。レース派、レースとクルージング派、アンチレース派である。ボクの仲間は3番目が多いと思っていたが、メンバーの一人が少し前、実力かビギナーズラック?か判らないが優勝カップをもらってしまい、俄然レースに熱心になってきた。その影響でアンチレース派の純クルージングヨットまでが草レースに駆り出されるされる事になってきた。

 先週末、クルージングヨットマンもレースでうまく走れるように帆走技術を練習する帆走会が開かれた。

 ヨットレースともなればシェイプされたヨットでクローズホールドのスピードとスピンワークの優劣が勝敗を決めるだが・・・。

 本日のクルーはいつものメンバー3人と小学生2名、彼らの祖父と合わせて6人だった。レース海面には海上強風波浪注意報が出ていて、西寄りの風、16~22ノット。アウターのスタートマークは5,000トン積みのバージだ。これにぶち当てたら完全に沈没だ。7艇が参加している。充分注意してゆっくりとスタートする。既にマグロが1匹出来上がっている。アビームで第一マークの赤灯台へ。艇速は7ノットを越える。
 トップは今春進水した34fの新艇で、2番手はレース好きの32fだ。風上にはニューセールで決めてきた3枚張りのケッチ。下はビミニとドジャーでクルージングヨット正装の35fがいる。

 4番手で赤灯台を回航し、真追手になってきた。風は上がり、ブローで28kt。一文字防波堤から打ち返す波で大きな三角波が立っている。ここで、2匹目のマグロが出来上がる。スピンどころではない。ブローチングに注意してジャイブを数回する。ジブをリーフをして観音開きにしたいと思うが、三角波のローリングでジブが潰れてしまい断念。キャビンの棚で食器が鳴リやまない。

 気分の悪くなりそうな海面から白灯台を3番手で回り込み、一文字防波堤内側に入ると波はややましになった。これからクローズホールドのコースだ。だが、ここは土砂運搬用のバージが勝手放題にアンカリングしている。その間を抜けて強風の海面をクロスのコースをタック、タックでセーリングしなくてはならない。クルージングセーラーが一番苦手とする状況だ。
 レースでなければ強力なエンジンパワーでジブがシバーしようが、障害物をパスしてゆくのが、そうは行かない。タックのたびに船足が落ちる。

 クローズホールドのセーリングスピードは船型にもよるがセールの良し悪しが一番影響する。先頭のヨットは真っ白のきれいなセールでどんどんとリードを広げている。
 我艇は1万余マイル、10年間使ってきたセールでこのコースはキツイ。クロスのコース途中から風はやや落ち、14~20ktになり、良く振れだした。バージ群を抜け出し、広い海面に出ると、角度はあきらめ、落し気味でスピードを付けようとするが、後続のケッチが大きく見え出したので気が散る。

 2番手で白灯台を回航した32f艇はクルージングヨット定番のメインファーラーでこのクロスはキツイのか、バージ群からいまだ抜け出せないようだ。やがて、トップ艇のフィニッシュがみえた。今は2番手にいるが、3番手のスピードが良い。下にいた3番手のケッチがアウターのラムラインに入ったのか、タックをしたが我々は風が振れるのを見込んで、多少上よりを狙ってフニッシュのコースに乗せた。運良くトップから8分遅れたが2位に入った。

 後ろを見ると4番手はこのバージだらけの海を30年近くセーリングしてきたベテランヨット乗りと往年のレーシングヨットだ。コース取りも良く、クローズホールドは何時もながら早い、3杯抜いたとおっしゃっていた。

 クルージングヨットマンが帆走技術を向上させる王道は出来るだけ多くの時間をヨットの上で過ごし、エンジンに過度に頼らず、帆走を楽しむことだろうが、忙しい仕事をお持ちのヨットマンにはそれこそが難しいのだ。

 結局、帆走技術も含めたシーマンシップは自分が出来る範囲からこつこつと時間を掛けて積み上げてゆくもんなんでしょうね。
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by pac3jp | 2005-10-25 09:30 | シーマンシップ  

初めてのヨット

 初めてヨットを購入するのは「とっても楽しい」ことだが、自分はこのように遊びたいと思っているのに相手に良く伝わらずにセールスマンの言いなりで買ってしまったのかな? と思わせるオーナーの方がいらした。

 ある日、向かいのポンツーンに、かってIORワントンとか言われていた元レーサーが回航されてきた。 艇種は「YOKOYAMA39」。外観は細くて高いマスト、複雑なリギンからランナーがぶら下がり、太いブームにでかいセールが束ねてあった。ハルはきれいにペイントされたいるが、浅く広いコクピットに大きなウインチが並んでいる。

 このハーバーでヨットレースをするにはチョットばかり古臭いなと思っていたが、数日すると新しくオーナーになった人が現れた。お話をお聞きすると、ヨットは初めての方だった。家族や会社の人と乗りたいのだそうだ。なんというミスマッチ!と思ったが、気の毒だったので少しだけ操船のアドバイスをした。

 セールスマンは多分こういったのだろう。大型のヨットなので定員は20人は取れます。大きなセールを展開出来て帆走性能も良くスピードも速い。キャビンも快適ではないが充分に広い。予備のセールも沢山あります。こんなフネなのに特別の価格設定しています。ご希望があれば船体にお好みのペイントもいたします。

 このオーナーがどんな希望を言ったのか知らないが、多分このヨットが初心者に向かないとは、説明しなかったのだろう。初心者にも優しいヨットはレーサーに比べてスピードとスマートさは少し劣るが、ヨット遊びに必要なその他の要素は同等以上に備えている。

 オーナーも最初のうちは会社の若い人達を引き連れて手こずりながらも乗っていたが、やがて、近隣の泊地に所属するデスマストして乗るヨットがないレーシングチームがこのフネを借りて10人位が乗り組んでクルーのトレーニングに使っていた。

 ヨットの維持は手が掛かる。雨が降ればマストを伝ってビルジが溜まる。たまにはエンジンを始動してバッテリーに充電することも必要だ。1年に1・2度は上架して船底塗装を、台風が近づくと増し舫いをしなければならない。
 ヨットは車と違ってメンテナスフリーではない。忙しいオーナーに代わって近所に住む車好きの若い人が時々はヨットに来て細かい作業をやっていた。

 オーナーに見限られたヨットは桟橋に繋がれたまま、ランナーのロープは切れ、フェンダーカバーがボロボロになり、ついにはロッドのアッパーシュラウドも切れてマストが曲がってしまい、トーレールにスピンハリでテンションをかけ応急処理がしてあった。ヨットに関わっているだけでも楽しいボクから見れば、何とも痛ましい姿のヨットになってしまった。

 やがてこのヨットはロッドの代わりにワイヤーのシュラウドを付けて韓国に売られていったらしい。向こうで大事に乗られる事を祈っている。
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 初めてヨットを買う人も、フネを乗り換えるヨットマンもこの世界の経験が豊かであろうヨット業者にアドバイスを求め、頼りにするだろう。自分の商品に自信を持って薦めるのは良いが、その経験に照らして、初心者ユーザーもそのヨットで長くヨットライフが楽しめそうなフネを薦めて欲しいね。
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by pac3jp | 2005-10-21 08:45 | ウオッチング  

ヨットの燃料タンク

 小型船の造船所の空き地にはヨットやボート用の燃料タンクのスクラップがよく転がっている。色んな理由で取り外されたのもだろう。タンクの大型化、取り付け場所の移動に伴う形状変更の為。あるいは燃料供給システムが不調だったり、電蝕で穴が開いたり、スクラップにされるそれなりの理由があった。

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 画像にあるのはヤマハ26に付いていたオリジナルの燃料タンクだ。オーナーがエンジンを2GMに換装し、航続距離を伸ばすために燃料タンクを大型にしたので廃棄されたものだが、以前にこのタンクの構造が原因で度々エンジン不調を起こしたことも理由の一つであった。

 このタンクの形状を見ると、バースの下に設置されてボトムに沿った凡そ三角形の断面をしている。その底の部分から一段深い箇所に燃料吸い込みパイプが取り付けられてある。この箇所はタンク内のごみ、水分などの不純物も集まってくる箇所だ。その対策か、このパイプの吸い込み口に細かいフィルターが取り付けられてあった。
 
 そしてそのヨットが長年使用され、この一段下がった燃料吸い込み口のある箇所に不純物がたまり、その結果フィルターが詰まり、タンクからの燃料供給が不足し、エンジンの回転が上がらない等のエンジン不調の原因になっていた。

 本来、タンクの最下部は燃料スラッジを抜くバルブが付いていたり、タンク下部にスペースがないときはタンク上部からその部分に燃料パイプより少し長いパイプを取り付け、ハンドポンプを利用してスラッジを抜けるようにすべきである。

 それにしても、タンク内で掃除が出来ないところでフィルターを付けたらどうなるか考えなかったのだろうか。そこにフィルターを付けなくても燃料系統内の見易い場所に点検、清掃できるフィルターを設置することは充分可能だ。

 ヨットやボートのエンジン関係の解説書を読むと燃料タンクは1年1回は清掃をする必要があると書かれているので、前に乗っていたヨットではバースのマットと底板を外せば、燃料タンクが露出したので時々は燃料の量の確認を兼ねて点検をしていた。今のフネはタンク底から燃料に混ざったスラッジをポンプアップ出来る構造になっているので、インスペクションハッチから点検をしたことはない。

 不幸にして燃料タンクに清水を補充してしまったオーナーが燃料タンクから水分を全て抜く為に、タンクの清掃も合わせてやったことを時々話には聞くが、たいていの人は1年1回の燃料タンク点検などやらないだろう。荷物がつまった、奥のバースの下などにあり、点検口がないのもありそうだ。上の画像を見てもタンクにインスペクションハッチがない。もし、その必要が生じたら燃料計センサーを取り外してやるしかないようだ。

 だが、タンクの掃除を怠るとタンクの中の底に溜まった不純物は海が時化でタンク内の燃料が少なくなってきた時、タンク内に分散した不純物がエンジントラブルを引き起こす事もある。又、ディーゼル燃料が洩れるとくさくて嫌な臭いだ、それがときにはクルーの船酔いの原因にもなる。

 近く辺鄙なエリアへクルージングに出る予定のあるフネは前もって燃料タンクの外観や内部、接続されるホースも含めて点検されたほうがいいと思う。

 時化の海をトラブルなしで乗り切るために!!
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by pac3jp | 2005-10-18 09:28 | ヨットの艤装と艤装品  

キャビンパーティの主役

 昔、ヨットのキャビンで飲み会といえば、テーブルに無造作に積み上げられたスーパーの惣菜を肴に、日焼けした男達がビールや一升瓶を紙コップで飲んでいる図と相場は決まっていた。女性がいるといっても、元気だけが一杯の未婚のギャル達や、ちょっと怪しげな関係の女性も紛れ込んでワイワイ、ガヤガヤとやっていたものである。

 それがこのところ、様変わりしてきた。キャビンパ-ティに誰はばかることのない関係の女性が増えてきたのだ。歓迎すべき現象である「クルージングヨットのクルーは」といったブログの記事を書いたことがあったが、ボクのご近所のヨットも約25%が男女のカップルで乗っていた。

 海外のリゾートマリーナでは男女のカップルでヨットに乗ってるのが普通の状態で、男同士だと変な目で見られるそうだが、団塊世代がリタイヤする頃になればここのハーバーでもどんどんとそうなって行くのだろうね。

 そのカップルで乗る女性のヨット乗り達が数々のクルージングで他艇と同行し、ヨットの旅の楽しさを共有し始めたら女性同士、仲良くなるのは自然の成り行きだ。やがて、彼女のパートナーである男たちの仲間にも入ってくる。
 そして、女性がお手伝いしてくれるパーティは楽しく、豊かになってくる。まず、お買い物が上手だ。これは当然であるが、食材が多彩になり、長年培ってきたお料理の腕で、お味も盛り付けも美しくなる。

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 半袖では少し寒く感じる週末の夕方。だれが言うともなく、「もう鍋の季節やなぁ」。今晩は簡単に出来る鍋、湯豆腐にしようと直ぐに決まった。周りを見渡して、近くで宴会場になりそうなフネを探す。どうやら10人くらいが集まりそうだが、適当なキャビンがすぐ傍にあった。早速女性たちは近所のスーパーへ食材の買出しに行き、男たちは、宴会場の準備と鍋道具の手配。何も出来ない人はビール片手に時間まち。

 どっさり仕入れてきたものがテーブルに並ぶ、前菜の惣菜と、色んなお刺身、仕上げの雑炊からデザートまである。お鍋の材料は年季の入った包丁さばきで、あっと、いうまに用意が出来上る。湯豆腐にも各艇に我が家の作法があり、ご意見が検討され、折衷案が出て、寄せ鍋風湯豆腐鍋になった。

 二つの鍋が出来上がる頃、顔ぶれも揃う。おいしいお鍋を突っつきながら、美人で可愛い女性たちも話題に仲間入り、お話も多少は品良く、下品な話はないがそれでも楽しく盛り上がるのだった。

 残念ながらこのパーティに我艇のパートナーはいない。他の分野でお忙しく、ご来艇の予約は半年前に取らなくてはならない約束である。
 まぁ、当分は日本国の総理大臣、小泉さんと同じ、独り者と言うことでよろしくお願いししますね。
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by pac3jp | 2005-10-15 06:37 | 音楽・パーティ  

エンジン故障!

 ディーゼルエンジンの本体部分はエンジンオイルと冷却水をしっかり見とけば、故障はあまりしないが、付属の部品はどんどん消耗もし、故障もするよ、とはこの世界の先達のお言葉だ。

 我艇も前からエンジンの下に少しだが不凍液が溜まっているのは確認していたが、清水冷却回路に多量の補水をすることはなかった。だが、つい最近の点検時に1リットルくらい補水が必要だった。その為、エンジンの各部分で清水が回る部分を目視とデジカメ撮影で詳細に点検すると、サーモスタットハウジングから温水器に至るホースの白いプラスチック製継ぎ手ソケットの根っこから水漏れを発見した。

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 早速、接続されているゴムホースのステンレスバンド位置を変えて締め増ししてみたが、状態に変わりがない。ソケットの締め増しが必要だが、狭くてスパナが入らない。仕方がないので、手前にあるサーモスタットセンサーを取り外し、ハウジングに付いたホースソケットを締め増そうと軽く回そうとすると、ポロッと折れてしまった。ここで、エンジン本体と温水器に入っていたクーラントはどっと出てしまい、エンジンを動かすことが出来なくなってしまった。

 折れた部品を見ると、せん断面の8割くらいに錆びの跡がある。多分、以前にエンジンを脱着した時にメカニックが締め過ぎたのだろうと思われる。だが、エンジンの付属品でプラスチック製はどうかと思う。金属部品を使うべきだ。

 だが、このため作業が増えた。サーモスタットハウジングを外さなくては折れ込んだネジが取れないのだ。当初危惧したとうりの展開になってきた。意を決して、清水循環ポンプと熱交換器につながったサーモスタットハウジングを取り外すことにした。ボルトを抜き、ゴムハンマーで丁寧に叩いて緩め、グッと力をかけて取り外した。案ずるより生むが易しだった。

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 折れ込んだネジ部分を取り除き、ネジサイズを調べ、プラスチックでない真鍮の部品を近所の大型ホームセンターで探したが、同等品はなくて、急遽メカニックが作ってくれる事になった。
 新しい部品を付けたハウジングの組み込みとホースの接続は簡単だった。後は水道水でクーラントの回路をフラッシングして、指定の濃度の不凍液を入れるとおしまいだ。

 今回の故障で役に立った資料はエンジンメーカーが発行するパーツリストだった。立体的に書いてあるパーツのイラストを予め見ておけば取り外すボルトの数、ガスケットの有無など見えにくい部分も良く判る。パーツ番号も入っているので故障の際パーツの注文も正確に出来る。ご自分のヨットに搭載されているエンジンのパーツリストは是非とも備えておくことをお勧めする。

 そして、修理作業はその内容に応じた工具が当然必要だし、その工具を上手に使うことももっと大切だ。ご近所のオーナーがこう言っていた。ヨット業者に「貴方はあまりエンジン周りを触らないほうがいいよ」と言われたが、海水ポンプのインペラ交換なんて簡単だからやってしまったら、蓋のネジを締め過ぎたらしく折れてしまって高いものについてしまったよと。

 どちらにしても勉強は高くつく。 でも今度は多分うまく出来るはずだ。エンジンの部品も耐蝕性が必要な部分のボルトは機械的強度は弱いが真鍮製も使われる。SUSのボルトのように締めると折れてしまう。その加減も勉強である。

 自慢じゃないが、かく言うボクも過去にかなりの授業料を払ってきたからね・・・。
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by pac3jp | 2005-10-13 09:12 | シーマンシップ  

キャビン夜話

 かってKAZI誌にこの標題で田辺英蔵さんの面白いエッセイの連載があった。 
また、野本先生のご本のタイトルにスピンナヤーンという言葉があるが、この意味は帆船時代の船乗りが、暇な凪の日にデッキで古いロープを紡ぎながら、くだくだと?繰り返される長話のこと言ってるそうだ。

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 週末のポンツーン。西六甲のスカイラインが夕日で赤く染まる頃、デッキの片付けも一段落する。そしてビール片手にご近所と情報交換が始まる。一人そして二人、三人と集まってくる。
 男同士で集まっていつも何の話をしてるの? とはいつも美人のパートナーと一緒にいる○○さんの弁だが、大昔からふねのデッキでは無駄話が繰り返されてきたのだ。これは船乗りの伝統なのだ!

 先の週末にはまったく立場の違うお二人から偶然にも某大学教授でコンクリートの打ちっぱなしで有名な建築家のお話をヨットのキャビンでお聞きした。お一人はクライアントとしてお付き合いのある人。もうお一人は教育研究畑でのご同業の方だった。

 お二人の共通の人物評は「大阪弁で喋っているけど素晴らしい人だ」との評価は一致していた。しかし、年恰好は似ているがまったく立場の違う切り口でお二人が語る人物像にとっても面白さを感じた。
 立場は違うが、誰もが聞きたいことは同じと見えて、質問はズバリ収入の問題。売れっ子の建築家が大学教授、国家公務員になると事務所から給料はもらえませんね。と質問してみると、先生曰く、大学からは充分頂いているとのお返事。ボクがお聞きするとそんなもんかなで、納得してしまうが、流石、元同業者、相場は判っていらっしゃるので、幾ら位でっかと突っ込んだそうです。それからのお話が又、面白い。だが、ここで書くことが出来ないのが残念です。

 そうだ、もうお一人いらした。彼はかって某建設会社の担当者として先生の作品に携わったよと、ヨット乗りのパーティで話をお聞きした。彼は少々辛口の評価をしたが、きっとしごかれたのだろうね。

 ヨットハーバーの桟橋は会社の廊下ではないのだ。社長、先生と呼ばれる人は多そうだが、面白そうな人生の物語を持っていそうな人も普通の顔をして歩いている。
 週末の夜は貴方の、そしてボクのヨットで薀蓄(殆ど無駄話)の限りを尽くしたキャビン夜話で楽しい夜にしたいもんだね。
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by pac3jp | 2005-10-11 09:59 | 徒然に  

愛媛県 今治港

 いつもの通勤コースに何故か心惹かれるが一度も立ち寄ったことがないお店がいくつかあった。中々行く機会が来ない。 瀬戸内海のクルージングでよく来島海峡を西に東にと通過するが、海峡の東側入り口の今治港がこの付近でボクの心を惹きつける港だった。

 瀬戸内は大昔から人々は船を使って旅をしてきた。神武東征の時代から朝鮮通信使ゆかりの地や北前船で賑わった湊や泊地があちこちにある。今治もその一つだ。来島海峡の入り口にあり、安芸の国と伊予の国を芸予諸島を挟んで結んでいた。今は「しまなみ海道」と称し、大きな橋群で本土とつながっているが、周辺の諸島とはここからフェリーや高速船が頻繁に通っている。

 港の沖を通ると海岸近くに白い天主を持つお城が見える。昔から湊が開けていて、港を中心に発展してきた町だ。高松や長崎の平戸も同様だ。他にも多くあるだろうが、不勉強で他は知らない。ボクたちのクルージングはこのように古くから海運で栄えてきた歴史を持つ港を訪れるのが大好きだ。それも小ぶりの港が良い。今治の沖を通るたびに、この港にフネが着けられたらきっと気に入る居酒屋が近所にありそうだと思っていた。

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 やっと機会が出来て、この夏この港を訪れることが出来た。頻繁に発着するフェリーを避けながら港に近づくと、怪しかったお天気が雷鳴轟き、突風を伴う激しい雷雨になってきた。勝手の判らない港で係留場所を探すが、係留余地は見当たらない。仕方がないので、風下になる4m位はありそうな本船岸壁に着ける事にする。ブローの合間に岸壁に取り付けられたゴムはしごをよじ登り舫いを取る。雷雨は2時間くらい続いた。係留索1本損傷。 ・・・手荒い歓迎を受けた。

 この小さい港で珍しかったのは白と青地の日の丸。税関の旗が上がっていたことだ。税関支署があるのだ。周りを見渡しても外国船はいないのに・・・。多分近くに外貿埠頭があるんだろう。

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 港務所で係留場所を確認し、船たまり西奥の指定された場所に移動する。水深は3m位、スターンアンカーが係留条件だ。双綱をつける。 岸壁に上がると準幹線道路で車の通行も多い。ガソリンスタンドが目の前にあり、料理屋さんもラーメン屋もすぐそこにある。商店街のアーケードが100m位先からずっと続いている。何とも便利な場所である。

 観光名所、とりわけお城が大好きなクルーは後片付けもそこそこに出掛けていってしまった。スキッパーは明日の航海の準備が要る。航海計画を確認し、海図に予定航路を記入する。燃料の補給にタンクローリーを手配し、人間の為にアルコールも補充しなければならない。
観光施設が閉館になる時間になるとお風呂屋さんと居酒屋の情報を持ってクルーが帰ってきた。

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 夕刻、徒歩10分くらいの銭湯に行く。清潔な感じの銭湯だ。年配の人がやけに多いのでなぜ?て、思ったら番台に本日65歳以上は無料と書いてあった。納得。今夜の夕食は銭湯から徒歩3分、お濠に面したおしゃれな炉辺風の居酒屋だ。カップルや家族連れが多い。時間も早いが、のみ助が騒いでいる雰囲気はない。私好みでもある。地魚の刺身、地鶏の焼き鳥を賞味する。

穏かな海、風光明媚な島々、個性豊かな各地の港町。瀬戸内のクルージングは本当に楽しい!!
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by pac3jp | 2005-10-07 08:55 | クルージング  

ヨットの不沈神話!

最近、海技免状更新講習に行ったが、会場にこんなパンフレットが置いてあった。
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不沈神話・・・

それは、あなたの
思い込みが生む物語

 冷静に考えたら、海に浮かぶ船で不沈なんてものは無いと判る。太平洋戦争中、爆撃にも耐えるぶ厚い装甲と数多くの水密隔壁で不沈と言われてた戦艦大和もアメリカ第7艦隊の猛空爆で沈んでしまった。

 セーリングヨットも転覆し、たまには沈没することもある。不沈構造のヨットはあるが、ヨットが不沈だとは一回も思ったことはない。

 ボクはまだ、ヨットを沈没させた経験はないが、マストが海面につく位のブローチィングはしたことがある。1984年、当時J24クラスに乗っていた。かなり強め、北よりの風の中を真追っ手でスピンランをしていた。この付近はNの強風はブローを伴うなうことも多く、当日もそんな風だった。突然強烈なブローが入る。バンクを飛ばし、メインから風を抜いてフネをコントロールしようとしたが、既に遅く、ブローチィング! 艇は横倒しになり、キールは海面に出ている。クルーはと見ると2人が既にライフラインを越えて、チン起しの体勢になっているのには驚いたが、現役のディンギー乗りだったので当然でもある。
 フネが小さいのと波がそれほど大きくなかったので、すぐに起き上がり、セールの回収をして走りだしたがクルーの落水、負傷、ハッチからの浸水もなかった。ラッキー!

 この頃、J24クラスではブローチィング等で横倒しになりロックされてなかったコックピットハッチから浸水して沈没したヨットがあった。
その後、このコックピットロッカーは接着され完全に使えなくなっている艇を見たことがある。

 不沈の伝説はその昔、波間に浮かぶピンポン玉のように大波を越えて行くヨットをイメージさせるデザインが提唱された時期があった。JOGと呼ばれた。そして冒険ヨットマン達が、太平洋を越えて乗り出していった。

 小さくても外洋向けに設計され、強固な船体とリグをもち、手練れのヨットマンが乗り組み、長距離の航海を成功させてきた歴史がそんな神話を創ったのかも知れない。
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 パンフレットには「自分の艇の性格や性能を正しく理解することが大切!」とある。ヨットも色んなタイプがある。気候の良いときに波の穏かな海でディセーリングやウイークエンドのクルージングを想定しデザインされたヨットもある。全てのヨットが外洋適性があるヨットではないのだ。値段を安くする為に安物の装備品をつけているヨットもあった。

 船検の定員が取れるからって21fのヨットに10人も乗ったら危険だとは誰でもわかる。これは法律がおかしい。最近輸入されたフランス製の36fのヨットは最大8人とコックピットのプレートに表示してあった。

 転覆しそうなオーバーセールは乗員やリグにも負担が大きい。リーフしてクルージングヨットは安全第一に運用しよう。
 
 頑張っても誰も褒めてくれないよ!

このパンフレットの内容をもっと詳しく知りたい方は下記のホームページをご覧ください。「セーリングクルーザーの転覆沈没事故を防ぐために」をクリック!
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by pac3jp | 2005-10-04 10:27 | シーマンシップ