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デッキ上の安全装備(ジャックライン)

 ジャックラインを常時装備しているヨットはそう多くは居なかった。ベルト系は3隻、ワイヤー系は2隻でうち1隻はつい最近、太平洋の周航から帰って来たフネだ。意外と装着率は低い。ボクの友人も持ってはいるが、デッキに見当たらないので大切に保存しているようだ。

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 穏かな海も強風が吹き続けると波も高くなり時化てくる。バウが青波を掬い、サイドデッキを海水が激しく流れる。ジェノアを巻いて、メンをリーフしよう。コックピットから出てデッキ上での作業が必要だ。最近のクルージングヨットはコックピットでセールのハンドリングは全て出来るとヨットメーカーは謳ってはいるが、そうはいかない場合もある。セールのファーリングシステムはこんな時に限ってトラブルが発生したりする。

 荒天航行中デッキに出るにはセーフティハーネスと頑丈なデッキアイに繋がれ適切に保守されたジャックラインが必要だ。間違ってもライフラインに取り付けるべきではないが、時々そうしている人を見かける。

 ジャックラインの材質は1×19×5mmのステンレスワイヤーと同等の強度(2040kgf)のあるポリエステルベルトが使われるが、常時デッキに取り付けたままになるので合成繊維で造られたジャックラインはマリングレードでUV対策済のベルトを使ったほうが良いと思う。

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 取り付け方法は左右のデッキをバウからスターンまでドックハウスに沿って2本のジャックラインで取り付ける方法と、コックピットからマスト、マストからフォアデッキまで左右4本のジャックラインを取り付ける方法もある。

 どちらの方法もそのフネの航海するエリアや季節、オーナーの好みにもよるが、ジャッククラインはデッキ上の丈夫なクリートやデッキを貫通するボルトで取り付けられたアイに接続されなければならない。そして、ラインが長くなる場合は途中でパッドアイ等を通し、もしもの時にラインが伸びないようにしておく必要もある。
 この場合はハーネスにつけるラインも2本必要だ。一般的についている6fの長さはコックピットでいるには良いが、デッキを移動するには長過ぎる。市販品では6f+3fのWラインタイプがあるが、デッキを移動するには3f側で充分だ。

 しかし、荒天航行中のマストやフォアデッキ作業ではハーネスはマストステップやマスト本体やデッキにしっかり固定された物にハーネスを取った方がいいと思う。

《安全なセーリングは装備品によってではなく、何よりもクルーの心構えと技術から生まれるものである》

・・・といわれているが、心構えやセーリング技術(シーマンシップ)の習得は時間がかかる。やっぱり良い装備品を選び、上手に使おうよ。
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by pac3jp | 2005-09-30 09:44 | ヨットの艤装と艤装品  

デッキ上の安全装備(ライフライン)

 アメリカズカップのレース艇で多くのクルーが相手艇と激しくマッチレースを戦うとき、クルーはゆれるボートの上で高度で華麗ななテクニックを駆使しヨットをコントロールしている。見ているとまったく無駄がない動きに見える。そして、ヨットのシァーラインもすっきりと見える。我々が乗るヨットには必ず装備されている、ライフラインが無い。
 いつも管理された海面で、サポートボートに守られて乗っているのでデッキワークの邪魔になる装備はルールで不要なんだろう。

 一方誰の援助も無く1隻で航海するクルージングヨットのデッキ上で作業するとき、落水の恐怖から心理的に守ってくれているのは、頑丈なスタンションに支えられたライフラインだろう。

 ORCのレギュレーションでは上下2本のライフラインの高さとステンレスワイヤーのサイズ、スタンションの間隔はミニマムは定められている。

(LOA28f以上のヨットはライフラインの高さは60cm、下は23cm以上。ワイヤーは4mm、スタンション間隔は2.1mだ。43fを越すヨットはライフラインワイヤーが5mmになる)

 当然、日本小型船舶検査機構にも船検の為に同様の規則があるのだろうが、ボクに資料の手持ちがないので分からない。

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 28f~40fのヨットで調べてみると、ライフラインの高さはデッキから大体、60cmから69cmだった。ヨット上ではこの凡そ10cmの差が大きい。たかが10センチだが、デッキのデザインの違いにもよるが安心感は格段に増す。
 ビルなどの手すりに較べると随分低い。転落防止の為なら人間の重心位置より高くなくてはならないのにそうはなっていない。
手すりではないのだ!!

 帆走中のヨットのデッキを移動するときの手掛かりはデッキに固定されているハンドレールやシュラウドを握ったほうがより安全だろう。

 ライフラインを支えるスタンションはデッキのトウレールと組み合わされて取り付けられたスタンションソケットに差し込んで留められてタイプが多い。ソケットはデッキを貫通している2本から4本のボルトで取り付けてある。

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 良く見るとデッキ上から海に向かって外力が掛かるとトウレールとデッキからのボルトで支えられるが、反対に外から強い力で押されたらトウレールに掛かっているフックが外れソケットベースも外れそうになる。デッキで転倒して横に転がったらライフラインとスタンションで落水は防げるかもしれないが、クルーが桟橋からヨットを押し出すときや、着岸時にライフラインやスタンションを持って艇を支えたりすると、ワイヤーは伸びてしまい、スタンションには艇の外側から力が掛かり、悪くするとソケットを固定しているデッキを貫通ボルトが緩みデッキからの水漏れの原因にもなる。ヨットを押したり引いたりするときは決してライフラインやスタンションを使ってはいけない。

 このスタンションの取り付け方法はそのヨットのハルとデッキの接合方法とも密接な関係がある。ボクは昔、名古屋の造船所で自艇の建造中にその作業に立ち会って詳細に見学したが、この頃は米国やヨーロッパのプロダクションボートが多くなり、艇内からデッキの接合方法やスタンションの取り付け方が見えないフネも多い。昔は必ず入っていた?ムアリングクリートのバックプレートがないフネもある。

 機会があるたびに自分のヨットのデッキ裏は覗いておこう。

※寸法は各艇種の実測値で多少の誤差はあります。又、ヨットの年式等は未調査です。
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by pac3jp | 2005-09-27 09:13 | ヨットの艤装と艤装品  

旅の出会い

 9月17日~19日の3連休のクルージングで前から気に懸かっていて、一度は入って見たいと思っていた備前片上港を訪れた。
 日生港の手前の「かたかみ2」の赤ブイから西へ変針。島と陸地に挟まれた浅くて狭く、途中でクランクになった航路を海図で水深とブイを確認しながら辿って行く。海図でも煙突のマークが多いが、岸沿いには耐火煉瓦の会社が軒を連ねている。5マイル半、1時間くらいで正面に古びて寂れた岸壁が見えてきた。当然、沖の防波堤はない。10ノットの追手でアプローチする。
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 初めて入る港、岸壁で作業をしている人に声をかける。「こんにちは。今晩一晩どこか留めるところはありませんか?」とその土地での第一声を発する。「向こうの岸壁の端が空いているので着けたら良いわ」と具体的に場所が指定されたら一安心だ。舫いを取り、デッキが片付いたらとりあえずほっとする。周りを観察するとコンクリートや鉄骨パイプ製の煙突が13本見える。この町の産業構造が想像できた。
 暫くすると港を散歩する好奇心がありそうなヒトから声がかかる。「どこから来たの?」・・・そんな風にして、地元の人達と会話が始まる。

 港の前を通る幹線道路からマストが見えたのか、魚釣りでも散歩組でもない人が岸壁に来てヨットを眺めていたが、やがて声をかけてくれた。コックピットに招いてお話をお聞きすると彼はかって、この付近の泊地に27fのモーターボートを持っていたそうで、海の遊びは良くしたようだが、ヨットは余り見たことがなかったのか、デッキやキャビンを見渡してクルージングヨットに興味がありそうだった。

 しかし、それ以上に彼の興味を引いたのは我々中年2人の職業についてだった。3連休の中日に遊んでいるのは大抵は普通の堅気の仕事をしている人に見えるだろと思うがそうは見えなかったのか、興味深々の感じだった。彼は隣町の備前市伊部(いんべ)に住む備前焼の作家で、門外漢のボクに備前焼の粘土の採掘方法から窯の焼き方まで詳しく説明してくれた。クルーは岡山県人なのでそれなりの基礎知識はあるようで会話にはなっている。

 一番記憶に残ったのは、この焼き物は釉を使わないで焼くので炎と灰がデザインのポイントらしく、主な燃料は松材だが、アクセントに他の木材も混焼して焼き物に味を出すそうだ。そこで、その木材を安く、あるいは産排として無料で手に入れる苦労話に花が咲く。あるとき四国の田舎でウオールナットかクルミのチップが手に入りそうなので出掛けてみると、工場の片隅から銃声のような物音がするので聞いてみると、ライフル銃の試射をやっているとか、そのチップはライフルの銃床を削って出た木屑のようだ。危険な道具も製造工程から出る物はそれなりに役に立つているね。

 又、あるときはTVドキュメンタリーの撮影で登り窯の覗き窓から見える炎の色が赤くなるようにして欲しいと要望があったそうだ。窯の温度は1200度。炎の色は白い。カメラマンは白だと炎らしくないので赤を撮りたかったのだろうが、これはおかしい。炎の色が赤だと焼き物は焼けないからね。ドキュメンタリーは報道なので正確に撮って欲しいもんだ。

 まだまだ、デッキでビールでも飲んでお話をしたかったが、車なのでビールは駄目で仕事の時間もあるのでお帰りになったが、記念に備前焼の作家にこんな根付を頂いた。色んな陶土を混ぜて、ひねって、創ったそうです。
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 今度、伊部の町を訪れた時は備前焼のぐい飲みくらいは買って見ようと思っている。
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by pac3jp | 2005-09-22 14:40 | クルージング  

セクスタント(六分儀)

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航海機器のシンボルのような六分儀
 古来この道具を使って七つの海を多くの船が航海してきた。 故野本謙作先生は天測をエレガントな技術と評されているが、ボクから見れば難攻不落の何とも高級な航海技術に見える。

 現在もセクスタントは電子航海機器のバックアップとしてまだまだ利用価値はある。外洋レースのレギュレーションにもGPSのバックアップにセクスタントを装備することが推奨されている。
 ウエストマリンのカタログには数種類のセクスタントと関連商品で数ページを割いている。アメリカ人は元々ヨーロッパからメイフラワー号で大西洋を渡ってきた先祖を持つ人達だ。航海の技能や伝統を守る人種が多いのも当然か。

 ずっと昔、僕がまだビーチでシングルハンダーに乗っていた頃、艇庫の奥から古いセクスタントが出てきたことがあった。我々の先輩たちが何処か遠くに航海するときに使ったのだろうか。古ぼけたケースに入っていて、レンズは曇っていたが、ずっしりと重く、航海機器としての貫禄はあった。取り出して太陽の高さを測ってみたりした記憶があった。

 海や船に興味のある人達にいつの日かこのような道具を縦横に使って大洋を航海してみたいと思わせる魅力のある道具である。 自分のフネのキャビンや自宅の書斎の飾りにも良いね。しかし、ボクは埃にまみれてたり、レンズにカビが出ても困るので、ケースに乾燥剤を詰めて大切に保管している。時々は取り出して、名刀を鑑賞しているような風情で望遠レンズを組み付け、ダイヤルをまわして見る。

 確かに、玉屋の六分儀には海の男(海の遊びに思いの深い人)の「所有欲」を満たす何ものかがあると思う。

 少し前、セクスタントの使い方を練習しようと思い立ち、沖で実際に太陽の高度の観測にチャレンジしてみた。天測暦がないので位置の計算は出来ないが、だんだんと重くなってくる六分儀をもって繰り返し練習した。穏かなお天気に助けられたが、いつも波のある外洋で揺れるヨットのコックピットでの観測は難しいだろうね。

 この六分儀はいつの日か大洋を航海する日が来たら必ず積んで行こうと思っているが・・・。
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by pac3jp | 2005-09-20 12:12 | シーマンシップ  

ヨットマンの老後の夢(2)船に住まう

 前回、ヨットマンの老後は田舎の漁港の傍の小さな家で野菜を作り、魚を釣って、半ば自給自足タイプの生活をしたいと、おっしゃる方のお話を紹介した。チマチマした菜園よりは農園といった風のヨットマンが「わしの理想の老後の生活は水上生活だ」とおっしゃる。

 かって世界の海で魚を獲ってきた日本の遠洋漁船は規制の強化と競争の激化でその活動の場を失い、次々に減船されていった。そんな船は海外に売られたり、解体されたり、引き取り手のないものは港で朽ち果てて沈んでしまう。そんないらなくなった19.9トン型遠洋漁船を買う。

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 ヨットやモーターボートの20トンとは比べものにならない大きなボリュームの船体。南太平洋まで給油なしで行ける大きな燃料タンク。燃料効率の良い低速ディーゼルエンジン、強力な冷凍庫。しかし日本の船は漁船も含めて居住区は貧弱だ。トイレが無いのもあったそうだ。


 ボクの友人が北欧の漁船に電子機器のエンジニアとして乗り組んだときの話を聞くと「食事もキャビンもその待遇はちょっとした客船並だよ」と言っていた。コンテナ船もタンカーも皆んな「クルーを大事にする」と言う観点では北欧の船には負けてるね。  日欧船内比較をクリックして見て。

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 19トンクラスの小型マグロ延縄漁船もハワイ近海で操業しているアメリカ船籍の漁船は改装したらいいヨットになる船がありそうだ。居住区とブリッジを改装して、不要な漁労機器を取り外し空調設備を入れ、航海機器は最新の機器に入れ替える。船体を好みの色に塗り替え、新しいデザインの大漁旗と大きな鯉のぼりを掲げ、南の海に向け出航する。一通り航海してきた後は遂の住まいになる港に係留。船は動態保存状態で水上生活者の住まいになる。

 イメージはオランダの運河の岸にずらっと係留されているハウスボートかな、日本でも運河はあるが、しゃれた水上生活ができそうな所はなさそうだ。一番安全なのは管理のしっかりしたマリーナだろう。外国のマリーナではフネに住んでいる人も多いからね。

 朝は船べりを優しくたたく波音で目覚め、お気に入りのサロンのソファーで寛ぎ、遠くの桟橋で今日のレガッタに出るのだろうか、気合の入った声が聞こえてくるのを聞きながら、静かに朝食を始める。

 明日は久しぶりに昔の仲間が集まる予定だ。上等のワインとビールをたっぷりと積み、コックに転進した昔のヨット乗りが料理番だ。こんな時には特大の冷凍冷蔵庫がありがたい。

 昔から通い慣れた、何時の岬の奥の入り江に船を留め、宴会が始まる。暫くは近況報告だろうが、すぐに、わしが、俺が、ボクがと口角泡を飛ばして議論が始まる・・・。痛飲!
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 こんな老後も面白そうだが、子孫に美田を残したい人も、年金頼りのヨットマンもチョット無理かな。しかし、自分が稼いだお金は「生きてる間に全部使ってしまおう」タイプのヨット乗りの老後にはぴったりのように思う。
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by pac3jp | 2005-09-16 10:37 | ボート  

航海日誌(ログ・ブック)

 日本で航海日誌が航海の公式記録として認められたのは坂本竜馬の功績だった。
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 1867年(慶応3年)4月23日午後11時頃、瀬戸内海、備讃瀬戸の六島沖で、紀州藩の明光丸と海援隊のいろは丸が衝突。小さな蒸気船いろは丸は大破し、明光丸に鞆の浦に曳航される途中に沈没した。 いろは丸に乗船していた坂本竜馬が相手方の航海日誌を差し押さえ、それを証拠に紀州藩から賠償金を得た事件が航海日誌による紛争処理の最初の例といわれている。

 以来、日本船ではこの事件で航海日誌の重要さが認識され記入が定着し始めた。今は国際的にも理解され易い英語を使って航海日誌・機関日誌・無線業務日誌等を記入している。そしてこれらを見れば船内の全てが分かる様になっている。その為、海難事故や荒天遭遇などの証拠にもなるので正確に事実のみ記さなければならないのだ。
 船には飛行機の様にフライトレコーダーやボイスレコーダーが付いてないからね。

 ヨットやボートでいつも航海日誌をつけているフネは決して多いとは言えないレベルだろうと思う。持ってはいるが、この頃は書いてないと言う人も、全く書いたこともない人もいるだろう。
 ボクは余り几帳面ではないが航海日誌はつけてきた。最初のノートには1976年と記入がある。多少中抜けもあるが、もう30年にもなる。読み返すことは余りないが、自分が海で遊んだささやかな記録として残っている。幸い、今までに裁判の証拠になった事もなかった。

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 ログ・ブックはヨット用として販売されていたり、エクセルで作成し、バインダーに綴じる自作もあるが、我艇はここ18年間は内航船用の市販品だ。記入する内容は正式なものと大分違っていて、航海メモ程度のものになってしまっている。出来るだけ詳しく書くつもりではいるのだが疲れている時や長い航海の終わりに近い時期では記事が少なくなってしまう傾向があった。

 ボクのログ・ブックは関連情報も一緒に貼り付けて記録として残している。初めて寄港したマリーナの付近案内図、係留料金の領収書、観光パンフ等。それに各地でお世話になったヨットマンの名刺も同様にする。修理した時の明細書や参考図、上架したときの記録も貼り付けている。勿論エンジンやギャーのオイルを交換した記録も書いておく。

 普通の日のセーリングでは書くことも少なく、貼り付ける文書もない。何時に出て、何時に帰ったか、どのエリアでセーリングしたか、クルーは誰か、セールのセットは何か、後は天気と風向と当日の走行LOG記録を書く。ときたまエンジンのTotal使用時間とTotalLogも合わせて記録する。

 こんな事もあった。ある時、クルージングに同乗したクルーの一人から自分の乗船記録が欲しいと言われた事だ。勿論、航海日誌に記入済みなので、彼が乗船した日時、出港地から帰港に至る航海の毎日のLOGを含めて記録を作り、スキッパーのサイン付きでお渡し出来た。

 今の航海日誌はこのフネになってから4冊目だ。LOGは10年で10,000マイルを超えた。このLOGが多いか少ないかは分からないが、楽しく遊んできた事は確かだ。
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 革表装の古びた航海日誌の最後のページ・・・。宝島や海賊たちが跋扈する冒険物語はこんなシーンから始まる事も多い。

 だがボクの市販品の航海日誌に当分、最後のページを書くつもりはない。
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by pac3jp | 2005-09-13 09:17 | シーマンシップ  

サウナ付きのヨット

 交差点で止まると、隣の車からこちらの身体まで響いてくるよう様な大音響の中で幸せそうな顔をした若者が心地よさそうにハンドルを持っているのが見える。その車のキャビンはきっと最高にお気に入りの場所なんだろう。

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 最近、友人のヨット探しに付き合っていて、サウナを装備した43fのヨットを見学をする機会があった。ヨットのキャパシティに余裕があると航海に必要な設備以外に自分が楽しむ為の装備をヨットに搭載するオーナーも多い。
 きっとこのオーナーはサウナが大好きで、自分のヨットを造る時は必ずサウナを付けようと思っていたのだろう。艇の中央部、エンジンルームの横に作ってある。床はタイル貼り、板壁、木製2段のベンチが付いている。発熱装置は電気式だろう。上に炭のような物が置いてある。良く判らないが、3~4人位は入れそうに思う。
 現在のオーナーは日本人だが、どうもこのヨットは日本人が造ったようには思えない。きっと外国人。それも北欧系の人だろうね。


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 もし、ボクがこのヨットのオーナーになってしまったら、このスペースをどう使おうかと、悩んでしまう。まず、床が防水で耐火構造なので、ワークベンチを据え付け金属加工も出来る工作室などはどうだろう。コンプレッサーを入れ、タンクや多くのダイビング器材を収納して、海洋考古学にチャレンジするのも良い考えだ。しかし、日本人らしく、大きめのバスタブをいれて銭湯風のバスルームもいいね。・・・と勝手に想像してみた。

 ヨットやボートに贅沢?と思われる装備を付けられるのはある程度の大きさが必要だ。かって、ここにきたアメリカの大手通販会社のオーナーのモーターヨットでエレベーターが付いているといったものがあったが、エレベーターは贅沢品かなと思わせるだけの大きさはあった。

 ヨットやボートも50フィートクラスになると色んな面白い物が付いているのを見ることがある。風呂好きの人はバスタブを付けている。映像やオーディオ好きは大型のプラズマTVを入れてキャビンをホームシアターにしている。宴会?仕様のフネはカラオケBOX風にとなっていたりする。

 知り合いのフネにも聞いてみると各艇それなりにお気に入りの装備やグッズをお持ちだ。キャビンの本棚にハードカバーの難しそうな本を並べ、パソコンにプリンターと書斎風になっているフネ。トイレにウオッシュレットを装備したり、寒い時期にキャビンがやぐらコタツで粋な四畳半風だったり、高価ではなさそうだが強烈に強いお酒が収集されてあったり、膨大なAVソフトのコレクションをお持ちだったりする。
 極め付けは比較的小型のトローラーに客船に装備されているフィンスタビライザーを装備してしまったオーナーがいらっしゃった事だった。  これには驚いた!!

 カップルで乗っているフネの装備やグッズは当然お二人とも了解済みなので問題ないが、奥方がヨットに来ないフネは当然、奥方からは治外法権であってAVソフトを持ち込もうが、キャビンをちらかし放題にしようが何でも自由だ。

 しかし、奥様の突然のご来艇で大慌てしている図も想像出来て面白いね。
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by pac3jp | 2005-09-09 09:19 | ウオッチング  

すこし便利?な無人島

 カントリーライフに憧れる若い世代や田舎暮らしの経験のない都市住民の中には一時の田舎住まいをして見たいと思っている人は多い。古い農家を買って改装して趣味の園芸や陶芸を楽しんでいる人も多いと聞いている。

 例えば別荘として比較的広い農家が手に入ったとしても、夏草の繁る時期は大変だよ。草を刈る一方から雑草は生えてくる。毎日草刈をしていれば良いが、たまに訪れたら草刈だけで数日は消えてしまう。・・・という話になったとき、仲間のお一人から淀川では区画を区切ってヤギを放し飼いにして雑草対策にしているよと聞いた時、五島列島の野崎島で見た光景を思い出した。
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 長崎県五島列島の野崎島はもう大分前から無人島になっている。港からは建物の形状が残っている廃屋が見える。少し入ってゆくと建物は朽ち果てて石積の屋敷跡と農地跡だけが小道沿いに残っている。

 その割合たくさんある農地跡がきれいに草刈されていることだ。高台に登って見るとみんなゴルフ場のグリーンのようにきれいに刈り込まれている。古いレンガ造りの天主堂もあるが草に埋もれてはいない。傍によって良く見なければ、既に使われていないと分からないほどである。
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この島は野生のキユウシュウシカが700頭も住んでいて、その鹿が生えてくる草を全部食べているらしい。良く見るとアザミだけはぽつん、ぽつん、と残っている。これは鹿も苦手らしい。

 しかし、このくらい鹿がすんでいると、農業は駄目だね。勿論、林業も。昔、人が住んでいた頃は柵の中に住んでいたようで、サファリパークみたいな雰囲気があった。今はゲートもあいているので人も鹿を自由に往来している。

 この島で住むのは大変でも、たまに遊びに行くのは最高だ。こざっぱりした港と、使い込まれてはいるが定期船用の小ぶりな桟橋と待合室もある。当然トイレも付いている。ここは無人島だがサマーキャンプに使うのか、自然学塾村という青少年向きの施設があるので船便があるのだろう。
 そして、現代人の生活に必須の携帯電話も通じる。当然、電気も、水道もカランを回せば水質に保証はないが水は出た。無人島の雰囲気は充分あって、便利なこの島は長崎周辺のクルージング好きのヨットマンに人気のクルージングスポットで、シーズンには混み合うらしい。
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 長崎半島、野母崎の北に海底炭鉱の採掘をしていて、今は無人島の軍艦島がある。ほんとに遠くから見ると軍艦の形に見える。近くに寄って見るとコンクリートと錆びた鉄のすごい廃墟だ。勿論、行く気もないが、外来者を断固拒絶する雰囲気があった。同じ無人島でもえらい違いだ。まぁ軍艦島が特殊なんだろけれども。

 ウエルカム!の無人島にみんなでどんどんクルージングに行ってみようよ。
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by pac3jp | 2005-09-06 08:55 | クルージング  

貿易風を突っ走れ!

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 久しぶりに元町の海文堂に行ってみた。かってはこの付近に勤務先があったので元町通りはよく歩いた。最近は大型書店ばかりが目立っているが、僕は昔からこの書店で海や船の本を買っている。海事関係のコーナーがあって本を選び易いからだ。昔、本棚に沢山あった船員向けの専門書は少なくなってしまった。日本の船会社の持ち船にも日本語が読める船員が居なくなってしまったからだろうね。

 表題の本を買った。サブタイトルに「シルバー世代のおっかなびっくり冒険野郎」とあった。ヨット雑誌のKAZIに投稿された記事を本に纏められたので、KAJI誌で読まれた方も多いだろう。(羽山泰夫著 ネコ・パブリッシング発行 定価1,600円)

 「ヨットで太平洋を渡るのはもはや冒険ではない」と誰かが言っていたが、個人が自分のためにする航海としては充分冒険の分野に入るだろう。

 今まで多くのヨットマンが凡そ7000マイルの太平洋を単独航海しているのだが、その航海を完成させようとするエネルギーの源がどこにあるかを知りたいと思って本を買っている。

 彼のヨット歴を見ると長いブランクがあり、自分のヨットを所有したことはなかった。会社を定年退職してから再度始められた様だ。その時期、人生の目標がこの大洋の横断だったようで、長く乗りたい為にアメリカでフネを買って来た訳ではなく充分に気力と体力と時間がある内に長年の夢を実現しようと思われたのだろう。

 限られた資金で太平洋の横断に適したヨットを建造し、長期間の航海に耐える艤装を施し、短時間の内にもろもろの準備に忙殺される。大変だろうと思う。それも外国で一人でやっている!

 航海の準備はいくらやってもキリがないようだと良く書いてある。そうこうする内に出発の期日が来てしまい準備不足のまま出航し、トラブルで悔やんでいる話がよくある。この春、東回り無寄港世界一周の航海をした大ベテランの堀江謙一さんはヨットが進水してから半年以上?も準備に充てていられるようだった。桟橋に繋がれたマーメードを見つけて、未だ行ってなかったの?とボクが思ったくらいだから・・・。

 航海記を読む時、動機の次に関心があるのはその航海にどの様な艤装をして、その艤装品がどのように効果を発揮したか、あるいは無駄だったかを知りたいし、興味がある。そして、その時どんな装備が一番欲しかったか等だ。

 自分がヨットを発注するときはそのヨットでどのように楽しむかをまず決めて、最大の努力(資金の)で自分が理想と思うものを艤装に盛り込む。もし、僕がこの航海をするのだったら、がっしりとした頑丈なドジャーと強力なオートパイロットを2台は何を置いても装備す。 デッキに出て見張りをするとき、同じ合羽を着ていてもしぶきを受けての濡れ具合は相当違う。又、大洋の横断のような航海でも風が弱かったり、ウインドベーンの不得意の風は必ずある。そんなときにはオーパイは大いに役立つ。しかし、電動なのでバッテリーから電気をを食う。従って充電の為エンジンを回さなくてはならない。多少燃料は余計に消費するが、正確にコースが引けたら日程も気分も楽でお釣りが来そうだ。

 カッターリグも良い選択だが、ジブの昇降に激しく揺れるフォアデッキまで行かなくてはならないので大変だったでしょうね。ジブファーラーは殆どのクルージングヨットには装備されているし、そして長距離航海にも充分耐える性能のものも多い。

 この航海でもウインドベーンに舵を引かせているが、中々上手く働かないとの記述がよく出てくる。この装備をうまく使ってる人は愛称をつけて呼んだりしているが、悩みの種になったフネも多かったようだ。最近は長距離航海もヨットの電源事情がよくなってきてオーパイで走らせているヨットも多くなっていると聞く。

 アメリカから無事日本に帰り、念願の日本一周の港巡りもされて艇は既に「ダナ24」ファンの次のオーナーの元で乗られているそうだ。バウスプリットの付いたクラシックな感じのヨットだ。高くなければ一度は乗ってみたい船だな。
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 つい最近、ボクと同型艇で鹿児島からシングルで太平洋を渡り、アメリカに行きその後、2年間くらいクルージングして帰ってこられた方とお話をする機会があった。色んなお話の後、クルージング全般としてどんな印象でしたかとお聞きすると、クルージング中は大変なこともあったが、今考えると、「すっごく楽しい時間だった!」とおっしゃった。

 やっぱり、人が書いた航海記を100冊読むより、自分でやって見るのが一番だろうなと思った。 ・・・が、しかし・・・。 
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by pac3jp | 2005-09-02 11:30 |