カテゴリ:特殊船( 37 )

 

有人潜水調査船「しんかい6500」

 支援母船「よこすか」の後部甲板の格納庫に「しんかい6500」が台車に乗って置かれていた。完成から20年、1000回以上の深海調査をこなしてきたもうベテランの深海調査船だ。

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完  工:1990年4月  総トン数:26.7トン
全  長:9.5m    航海速力:2.5ノット

 正面からみると正に深海に住む爪をもつ怪物の感じもするが各種カメラや投光ライトに説明板を吊り下げ少し愛嬌もある。正面の丸いラムネの口のような部分が乗員の覗き窓だ。世界の海を潜ってきたとはいうがFRPの船体外板は傷もなくきれいだ。両舷の一部側面は見学用に透明のパネルが張ってあり内部の部材が見える。

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 リチウムイオンのバッテリーBOXや接続された電力ケーブルも垂直スラスタのダクトもプロペラの油圧ポンプやモーターも、そして上部には浮力体のブロックが詰まり、と部品みんなに680気圧の水圧が直接掛かるのだ。大丈夫だろうかとボクは心配するが、いらぬ心配だろう。

 ただし、正副パイロットと研究者の3人が乗る部分のみが直径2mの真球のチタン製の耐圧殻になっているのだ。それも高い水圧下では少しのゆがみが殻の破壊につながるため、耐圧殻は可能な限り真球に近づけることが求められ、その精度は直径のどこを測っても0.5mm(真球度1.004)の誤差しか許されないという厳しいものだ。

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 「しんかい6500」と母船とは音波を使って情報交換をしている。電波と違って海中の音波の伝わるのは1.5km/secでとても遅い。深度6000mの「しんかい」から母船に電話の音声が届くのが4秒もかかる。気の短いせっかちな人はとても電話が出来ないなあ。でも水中TVカメラが撮影する映像は8秒に1枚のスロースキャンで母船に送ることが出来る。

 深海底の位置もGPSではなく音波を使った測位システムで確認される。位置情報は予め用意された海底地形図の上にプロットされる。

 最近は「ちきゅう」も沖縄トラフのレアメタルを含有するといわれる熱水噴出鉱床付近を掘削したとサンプルコアが展示されていたが、「しんかい6500」は早くから日本周辺の深海調査をやっていて、南海トラフのメタンハイドレートは有名だが南西諸島海域でもマンガン団塊や厚いマンガンに覆われた斜面が、また二酸化炭素やメタンのガスハイドレートも見つかっている。これらは天然資源のないわが国の貴重なエネルギーなのでしっかり活用してもらいたものだ。

 資源確保に躍起の隣国では7000m級の潜水調査船を建造中だと聞いていたが、もう就役しているかもしれない。日本も世界の全ての深海を調査できる次世代有人潜水調査船を早く造って欲しいもんですね。

【参考資料】:BlueEarth 2007/1.2月号 「しんかい6500」17年の軌跡
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by pac3jp | 2010-10-29 07:38 | 特殊船  

支援母船「よこすか」と「しんかい6500」

 平成22年10月16日(土)神戸港・しおさい岸壁で「テクノオーシャン2010」でJAMSTECに所属する「ちきゅう」と「しんかい6500」と支援母船「よこすか」の見学イベントがあった。

 この日は好天に恵まれ船の見学には絶好の日だった。5千人の見学者があると聞いたが、小さな子供たちを連れた家族グループが多かったのも良かったですね。それにわざわざ東京からやってきた若い人とも出会う。

 ボクは昨年にも「ちきゅう」を見学したが、人気の大型探査船なので見学者の長い列につられて、つい並んでしまい、昨年と同じコースで一回りしてきた。
 お隣に停泊する「よこすか」は4000トンクラスの船なのに57000トンの「ちきゅう」の隣ではとっても小さく見える。

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c0041039_1356484.jpg全長:105.2m 幅 :16.0m 深さ:7.3m 喫水:4.7m
総トン数:4,439トン
航海速力:約16ノット
航続距離:約9,500マイル
定  員:60名(乗組員45名/研究者15名)
主  機:ディーゼル機関 2,206kW×2基
推進方式:可変ピッチプロペラ×2軸
竣  工:1990年

 この船は有人潜水調査船「しんかい6500」の支援母船として建造されたので深海探査の支援に特化した設備を持っている。

c0041039_168145.jpg その一番は深海に潜航する調査・探査船との通信・航法管制に必要な高性能な音響機器が搭戴・運用されている。そのために母船から放射される雑音が多くては本来の効果が発揮できないのでエンジンや発電機の防振対策や雑音の出にくいプロペラ形状、それに機関室の様々な防音対策を講じて、建造当時は非軍事向けとしては「世界一静かな船」といわれたという。
今は深海巡航探査機「うらしま」の母船としても活躍している。

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 「よこすか」の船内を見学する。ブリッジに入ると船齢20年を感じさせるブリッジで液晶ディスプレーがずらりと並ぶ「ちきゅう」とは大分違い、多くがアナログ系の装置でディスプレーはレーダーや電子海図の表示パネルなどだけのようである。

c0041039_1491081.jpg ブリッジの背面にガラス管を使っている珍しいアナログ計器盤があった。表示は「ヒーリングタンク」「吃水」のプレートが付いている。ヒーリングは両舷のタンクレベルを表示していて、吃水は船首・船尾の吃水レベルを表示しているらしいが、「これ何ですか」とお聞きするともう別のセンサーに変わり今は使っていないと半分だけのお返事だった。

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 船内通路を見学しながら通過するがブリッジの階下付近に珍しく和風で纏めた小さな会議室があり、毛布を折り畳んでオブジェ風にした飾りが3つ並んでいた。きっとこの船には少々のあそび心をもったクルーが、深海の難しい仕事から帰ってくる仲間のためにこんな心使いがあるのかもしれないなぁ。上の画像は左は孔雀、右はバラです。

 さらに船内通路をわたり後部甲板の「しんかい6500」の格納庫に入る。(続く)
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by pac3jp | 2010-10-24 14:14 | 特殊船  

輸送艦「おおすみ」のLCAC(エルキャック)

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 「おおすみ」は艦尾のウエルドックに揚陸用エアクッション艇2艇を搭載している。戦車など車両は格納庫からLCACに自走して乗り込む。
 LCACは、「おおすみ」のウエルドックに海水を入れ艦体を後方に傾斜させ、艦尾ランプドアより直接海上に出入りする。
 このLCACは日本では3隻のおおすみ型輸送艦に各2隻づつ搭載して計6隻の保有だが、世界中にドック型揚陸・輸送艦を運用しているアメリカ海軍は91隻も保有している。韓国はフラッグシップである強襲揚陸艦「独島」を持っているがまだ戦車を運べるエアークッション艇は持ってないという。

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排水量:約90t
全長:24.7m
全幅:13.3m
機関:TF40Bガスタービン4基(出力 17600馬力)
最高速力:海上50ノット・陸上25ノット
乗員:搭乗員6名・便乗者24名
搭戴可能重量:約50t 90式戦車(≒50t)1両を搭載できる
(以上はLCACの説明板より)
積載人員:180名/240名(最大)※人員輸送用モジュール搭載時)
航続距離:200マイル
製造:米国・テキストロン社

c0041039_6172026.jpg エアークッション艇「エルキャック」は暗い格納庫に入船で2隻入っている。海上を高速で飛ぶので殆どむき出しのアルミ合金で出来ている。左舷正面から見るとブリッジの上に着岸誘導機器?を除くと航海用レーダー、航海灯、ライフブイなど普通の船舶艤装品がついている。
 車両甲板を除くと両舷にはエンジンブロックとプロペラだけで殆どのスペースを占め、コクピットと乗員室がエンジンブロックの前部についているという感じだ。
 右舷の1段高いコクピットを覗くと航空機用の操縦桿が見える。操縦席以外のシートなど装備もアルミとベルトで構成され軽量化を計っているように見えるし、フネという感じはしないなあ。

 エルキャックの乗組員は6名で、クラフトマスター(C/M)、エンジニア(EMG)、ナビゲーター(NAV)、ロードマスター(L/M)、デッキエンジニア(D/E)と更に艇指揮にあたるOICが乗り込む。ブリッジドアサイドにクルーネームが表示してあったが、L/MとD/Eは各2名の表示があった。彼等クルーの訓練は生産国の米国で行われるという。2ヶ月ほど英会話の訓練を受け、その後8ヶ月も現地で訓練を積む。

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 ↑推進用の可変ピッチプロペラ。ピッチを変え後進でウエルドックから発進する。あの狭いドックで2+2基の大型プロペラとファンが発する轟音を今、想像もできないがすごいもんでしょうね!

 ボクも大分昔、小さい自作のホバークラフトを操縦したことがある。推進用はパブリカの空冷エンジンを載せ、浮揚用は草刈り機のエンジンを転用して使っていた。それでも砂浜から海上に乗り出し結構なスピードで航行し、横滑りしながら旋回するなど飛行機の気分を味わったことがあった。でも背中で結構な爆音を感じていた記憶がある。

 このエルキャックが海上を航走しているのを見たことがあるが4基で17,600PSのガスタービンエンジンが出す音は遠くからでも相当にやかましいのでクルーの皆さんのヘルメットはヘリ用のヘルメットのようだ。

 高い揚陸性能を持つLCACだが、以下のような運用上の制約もある。

■アルミニウム合金構造、ゴム製スカートのため従来型上陸用舟艇に比べ攻撃に弱い。
■騒音が大きく敵に発見されやすい。
■燃料消費が大きく運用費用が高額。
■アルミニウム合金構造のため海水による腐食に弱い。
■波高2mを超える海面では、船体構造に損傷を受ける可能性があり、速度は20ノット以下に制限され、機動性は低下、燃料消費も急増する。

 いまどき大戦時のノルマンデーや硫黄島のような大規模な上陸作戦なんて起こりそうにないので、災害派遣ならゴム製のスカートでも充分だし海浜で波高2mはちょっと問題ですが、岬の影で波の低い場所もあるはずですからなんとかなりそうです。
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by pac3jp | 2010-07-27 06:25 | 特殊船  

輸送艦 LST4001「おおすみ」を見学する

2010年7月10日(土)、大阪港で輸送艦「おおすみ」の一般公開があったので久し振りに護衛艦の見学に行ってきた。
 LST「おおすみ」は以前から阪神基地隊の岸壁に時々係留していたので艦尾からエルキャック用のウエルドックなどを覗いたことはあったが今回初めて艦内見学コースを一回りしてきた。

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基準排水量:8,900t
主 機:ディーゼル2基 2軸
馬  力:26,000PS
速  力:22kt
主要兵装:高性能20ミリ機関砲×2
特殊装置:輸送用エアクッション艇×2
定  員:135名
主要寸法:178x25.8x17.0x6.0m(長さ、幅、深さ、喫水)

 桟橋に係留されている「おおすみ」。空母型のブリッジと全通デッキを除けば船体の印象はまるで長距離カーフェリーのように見える。でも軍艦なので防御用のCIWSがちゃんと前後に2基装備されている。

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 車両の積み込み口から艦内に入ると大きなターンテーブルがある。艦首方向は幕が張ってあり公開されていない。艦尾に向かって車両などを搭載するデッキがある。明るい光が見えているのはエアークッション艇「エルキャック」2隻の格納庫である。

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 車両甲板から艦内居住区を経由して階段を上りつめてヘリ甲板左舷中央出入り口から艦首から艦尾まで見通せる見晴らしのよい場所に出た。
 このヘリコプター甲板艦尾から全通甲板を見渡せば流石に広いですね。当日は陸自が高機動車と偵察用バイク、救急車などを展示していた。

 輸送艦なので当然陸自の兵員や装備の輸送が主たる任務ですからね。ちなみに旧陸軍は自前の上陸作戦用を含む陸軍輸送船隊を運用していた。

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 デッキから艦橋へに登る。信号旗箱付近でこの当たりに時鐘があるのにと探すが見あたらず、ブリッジに入る。空母型のブリッジなので少し小さい気がする。着岸などの細かい操船はジョイスティックでするそうでバウスラスタと主機が連動するシステムになっているらしい。
 海図室のチャートワークはフルノのGPSをお使いだそうで米軍制式のGPSはカバーをかけて見れないようにしてあったし、写真も駄目だとか。商船では一般的な電子チャートはまだ無いようなお話だった。

c0041039_1447037.jpg ブリッジから下へ降りる。途中に艦長室はなかったが木製の立派な看板が掛かった「先任海曹室」の前を通る。個人の執務室かとも思ったがどうもそうではないらしい。

CPO室:「先任海曹室」というのが正式名称。口の悪いやつは「隠居部屋」とか「仙人の間」とか言っている。部屋自体は文字通り各職の先任海曹の入る部屋。何十年も海上自衛官をやっている大先輩が入る由緒正しき部屋なのだ。海上自衛隊では階級よりも飯を食った数勝負のような気質があるため、若い幹部(海上自衛隊では「士官」という)ではこのカタガタには全くうだつがあがらない。むしろ、怒られる始末。このCPOに入るようになるとやはり自分の年を自覚するようになるらしく、私が勤務していた頃にも私達の班長がCPO入りすることになり、居住区のメンバーで送別会(?)を開いたのだが、その班長はしきりに「やめてくれよ、やめてくれよー」と嘆いていた。
嗚呼,花の艦隊勤務 其の弐 艦内生活篇より引用】 

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 艦内トイレの張り紙 「塩素系洗剤の使用禁止」!
手動バルブと把手が付いている小用トイレ。各トイレの上記の小さな張り紙がしてある。

 2010年6月22日 ソマリア沖の海賊対処活動に派遣された海上自衛隊の護衛艦「ゆうぎり」のトイレ内で3等海曹が、し尿処理タンクから発生した硫化水素で中毒死したとされる事故があったからなあ。

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 艦内から桟橋に出るとアチコチで記念撮影をする人たちがいたが丁度、夏服姿のクルー4人に入ってもらったラッキーなお客さん。
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by pac3jp | 2010-07-24 15:05 | 特殊船  

二隻の復元遣唐使船が日中で建造中!

 角川財団が2010年の中国・上海万国博覧会に原寸大の復元遣唐使船を派遣するというニュースは聞いたことがあったが、4月24日から開催される奈良の平城遷都1300年祭の平城京歴史館の付属施設としても同じく原寸大で建造中だという。

 同時期に二隻もの復元遣唐使船が建造されるのは多分初めてだろう。角川財団は中国・蘇州で、奈良・平城京では伊豆・松崎で作られた船体ブロックが平城京跡で組み立て中である。

c0041039_17382658.jpg まず、角川財団の日中文化交流と友好のシンボルとして遣唐使船を再現しようという2億円プロジェクトの遣唐使船から見てみる。

 完成予想図の船体は青く塗られ、まさに中国ジャンク船のようである。船体は長さ30m、幅9.6mで、日本で設計し、中国の張家港で建造されている。

 船体は確かに船であり、もう外板が張られてデッキに屋形が建築中なのが見えている。工事現場に作業員のバイクや自転車が置いてあるのが中国らしい?
 この遣唐使船は今年5月にゆかりの地である大阪で出港式典を行い出港し、瀬戸内海から博多、長崎・福江島へ、ここでデッキ積みされ東シナ海を渡り中国に入る。そして6月11日に上海万博会場に入港する予定。その後13日から18日まで開かれる上海万博「日本ウイーク」のイベントに参加する予定。

c0041039_1739743.jpg 一方、平城京跡で建造中の遣唐使船の完成予想図は「吉備大臣入唐絵巻」など当時の様子が描かれた数少ない絵巻物を参考に考察を重ね、設計図を作製したといわれている。そのせいか色合いなども広島・倉橋島の復元遣唐使船によく似ている。しかし、キールがないようので船舶としては設計されていないようである。

 船の大きさは木造で排水量約300トン、積載量約150トンと想定し、長さ30m、最大幅9.6m、高さ15mで中国で建造中の船と同じサイズになっている。それにこちらの総工費も2億円だという。


 8世紀以降の遣唐使船は東シナ海を通る南路を航海したので準構造船では危険なので朝鮮半島や中国から入ってきたジャンク系の構造船を使ったと思われるが当時の史料がなく、復元遣唐使船を建造するには、やむを得ず、12~13世紀に描かれた法隆寺の「吉備大臣入唐絵巻」などを参考に設計されているが、その絵が2~3世紀も昔の正しい姿を写しているとは決して保障できないという。

 いつの日か考古学者が本物の遣唐使船を発掘するかもしれませんが、それまでは手に入る史料を元に想像力をに膨らませられる自由があるのも幸せなのかな・・・。

 下の画像は復元遣唐使船の設計者がよく参考にする、《吉備大臣を乗せた遣唐使船》 12世紀末から13世紀初めの作とされる「吉備大臣入唐絵詞」より

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【関連記事】:遣唐使船の島 広島・倉橋島
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by pac3jp | 2010-02-16 17:58 | 特殊船  

水中処分母船 YDT 06

 7月1日、午後、沖縄・座間味島の古座間味ビーチ沖でアンカーリングして潜ろうと思っていたが、水深8mではボクの素もぐりの技では歯が立たないのでヨットの周りの海底を観察すると砂の海底に石ころと所々にさんご礁があるだけで普通の海底だった。磯のある場所まで泳いで行けばきっと素晴らしい海が見られたかもしれないけどビールを飲んで寝転がっているほうを取った。

 今夜の停泊港の方向に軍艦のようなシルエットが見える。こんな平和そうなダイビングの島に軍艦は似合わないと思っていたが、座間味港右前の磯付近に掃海艇搭載の黒い機雷処分艇数隻が自衛隊旗を揚げて航走している。なんか爆発物の調査をしているらしいが、先のシルエットは掃海艇ではなかったのでなんだろうと思っていた。

 夕方、フェリー岸壁にその母船が入ってきた。船名はなく「YDT06」と記号表示されているので支援船だと分かるがかなりの大型だ。勿論、デッキに武装はなくブリッジ横に不発弾処理と書かれた横断幕が見える。水中処分用のインフレータブルボートとデリックが装備されているだけだ。
(この業務には退役した掃海艇を転用した特務船だったが水中の爆発物処理専用の母船として新たに設計建造された船で、支援機能や居住設備などが格段に向上している)
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●基準排水量:300t
●主要寸法:全長46.0m×幅8.6m×深さ4.0m×喫水2.2m
●エンジン:ディーゼル2軸 出力:1500PS
●速力:約15kt
●船質:鋼
●建造:H.15.03.14
●所属:沖縄水中処分隊 勝連港

 次の日に港外の爆弾を爆破処理する予定だと聞いた。沖縄では太平洋戦争で山の形が変わるほど爆弾や砲弾が打ち込まれたという。この座間味でも酷いものだったのだろう。あちこちに不発弾が見つかり沖縄の皆さんは今も迷惑しているのでしょうね。沖縄のチャートを見ると本島のすぐ太平洋側の深い海に爆発物を投棄する海域が指定されているが、今はもう簡単な海洋投棄は出来ないので爆破処分以外は陸上での処分になっているはずです。

 港外の爆破処分の見物もしてみたかったが、クルージングの予定を1日延ばすほどのことでもないので予定通りに早朝に出港した。
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by pac3jp | 2009-08-07 17:43 | 特殊船  

遣唐使船の島 広島・倉橋島

 久し振りに神戸・元町の海文堂書店に寄った折、二階の海事関係の書棚で小さなタウン・マガジンを見つけた。雑誌名は「港町から」そして「瀬戸内海 倉橋島」を特集した創刊号のようだ。副題に遣唐使船の島と書かれている。

c0041039_13571620.jpg 倉橋島は九州方面クルージングの途中で数回寄港したことがあり、そこには古くは遣唐使船を建造してきた古代から木造船に関わってきた島の歴史が展示されている「長門の造船歴史館」があり、施設の中央には復元された遣唐使船が展示されていた。
(画像は復元遣唐使船の模型)

 遣唐使船は奈良~平安時代の1200年も昔、平均して一隻に150人が乗り組み4隻船団で600人が南シナ海を渡っていったと聞いていた。それを見て、150人乗りとしてはボクの想像よりもずっと小さかったが船体のつくりが立派なのが驚きだった、それに遣唐使船の派遣が菅原道真の建議で中止になってからその造船技術は全く途絶えてしまったという。そんな資料が乏しい古代の船舶をどのようにして復元したのだろうとズーッと思っていた。

 そんな疑問も見つけた小さな雑誌でみんな解消した。

この↓復元遣唐使船は20年前「'89海と島の博覧会・ひろしま」のメイン展示物として建造された。
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長さ :25m
幅  :7m
帆柱高:17m 
平成元年(1989年)建造

 「一枚の絵巻から復元した遣唐使船」には 設計及び建造監修者 松木 哲さん(神戸商船大学教授=当時)に取材した記事があり設計の意図も分かった。絵巻は吉備真備が乗った遣唐使船を描いた有名な法隆寺の絵巻「吉備大臣入唐絵詞」のイメージで外観は設計された。船の大きさは、一人寝るには畳み一畳は必要というところから100人~120人が同時に寝るとすると大体25m位の大きさになる。当時の中国船も凡そ25m位だったのでそれにも倣った。

 船体構造については、遣唐使船も前期は壱岐・対馬から朝鮮半島の沿岸を航海できたので内海用でも良かったが、白村江の戦い以降は友好国だった百済が新羅に破れたので外洋を航海し、唐に直行しなくてはならなくなり遣唐使船は耐航性のある構造船に変わっていったと考えられる。

c0041039_13585415.jpg 最初、復元船は展示物なので一番大事なのは外観だ、ということで内部構造は地元の船大工さんが手馴れた木造機帆船の構造になった。そして建造は桂浜の洋式ドック跡(画像右)で始まった。
 この建造を取り仕切った船大工の棟梁はフレームは全て檜、外板は杉、それも最高の日向弁甲を選び、棟梁以下船大工12名、槙皮職2人、帆職人、宮大工など17名のスタッフで8ヶ月にも及ぶ建造に取りかかった。

 やがて、船がドックでその姿を現せてくると展示物は海に浮かべようということになり本物の船になってしまった。その時期、広島で和裁教室を開いていた女性から「自分の70歳の記念に当時の衣装を全部作って差し上げましょう」という申し出があり、わざわざ京都まで調べに行って正一位から漕ぎ手までの衣装を作ってくれた。
 そして、はれて進水の日を迎え、鮮やか船体を海に浮かべ会場に向け出航するときには、古式豊かな古代の衣装に身を包んだ関係者達をのせ瀬戸内海を航海していった。船上には最高位、性一位に衣装に太刀を佩いた設計者の姿もあった。

 そんな復元遣唐使船も今は倉橋町の「長門の造船歴史館」に保存展示されていて、地元は遣唐使船と倉橋に関する歴史と文化を「くらはし遣唐使まつり」などで次代に伝承してゆくという。


【関連記事】:古い碇
【関連記事】:「合いの子船」 
【参考資料】:「港町から」第1号 08年10月30日発行 株式会社 街から舎
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by pac3jp | 2009-02-25 14:18 | 特殊船  

地球深部探査船「ちきゅう」見学 番外編

 前2回の記事で深海底の掘削装置と採掘されたコアの難しそうな研究の一部をご紹介したが、今度は門外漢のボクがこれなんだろう?と思ったもの3件をご紹介する。

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 まず、「ちきゅう」の傍によると後部デッキサイドから太い浮力体が付いたホースが幾本も出ていて、上部デッキのホースハンガーらしきものに引っ掛けられている。そして少し前方には船内から太いパイプが船外に伸びていて、その先は頑丈なゴムホースに繋がり端は手すりに止めてある。
 本船は停泊すると給油・給水それに陸電を給電するホースや電源ケーブルなどをつないでいることはあるが、大抵は船側に各種接続口がありホースをぶらぶらさせていることはない。画像は左舷の岸壁側だが、ヨットで沖から眺めても右舷の同じ位置にもホース類のハンガーがあった。

 近くにいた女性クルーにホースの用途を聞いてみるとセメント、水、燃料など用です、と教えてくれた。油と水は普通だが、そうか、海底に穴を掘るとパイプを固定するのに大量のセメントがいるんだ、とあの太いホースを見て納得する。

 「ちきゅう」がライザーパイプで掘削中は海底と直径50センチもある太い金属パイプで繋がっている。流されたら全てパーだが、船はGPSやその他の位置センサーで6基のアジマススラスタを制御して風波や黒潮などの潮流をものともせず、ちゃんと定位置を保っている。

 一方、数ヶ月にも及ぶ掘削では人員はヘリで交代し、燃料や水、セメントなど重い物資は補給船が運んでくる。補給作業は「ちきゅう」に横付けして積みかえれば良いと思っていたが、そうではないらしい。補給船が接舷すると本船のコントロールが難しくなるため為、同じDPS(自動船位保持装置:Dynamic Positionig Sistem)を装備した船でなくてはならないらしい。そうか、舫いを取らずに積み替えるのだ。そのためより条件のよい舷側から補給するため、両舷にホースが用意されているのかな。このホースは航海中も舷側にセットしたままのようだなぁ。

c0041039_1736963.jpg もう一つ、岸壁から「ちきゅう」を見上げているとデリックエリアの一部分だけ木製の大きな壁がある。船内の居住区も鋼板白ペイント仕上げで防火完備のオイルリグのようなフネなのに何故ここだけ可燃物の壁になっているのだろうと不思議に思った。
 赤いユニフォームを着た掘削チームの持場らしいので近くにいたリーダーらしい人に聞いてみると、「あれはドリルパイプを海底から次々と引き上げてゆく時、まず、壁に当ててパイプを揃えてゆくためだ」という。「木製の壁だと柔らかいので当ててもパイプに損傷が起きないからね。木の壁は寿命がくれば張り替えるのも簡単だよ」とおっしゃる。それはそうだ、それに機械装置ばかりの中でこの木質の温かみはとっても気分がいいね。

c0041039_17363480.jpg 最後の1件、この「ちきゅう」は150人が乗組む船舶なので左右4艇と船尾に1艇の5艇の救命艇が搭載されている。画像の30フィート75人乗りの救命艇は3番艇なので右舷の前から2番目に装備された救命艇だが、上から見るとキャビントップにダビットからやり出したポールから細いセンサーのようなワイヤーリードが艇内に引き込まれている。何のためのリードだろうと一瞬考えていたが、見学の行列に押されて通り過ぎてしまった。今、画像を見てもよく分からない。これからも救命艇を上から眺める機会は割合少ないけど・・・でも、まぁいいか。
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by pac3jp | 2009-02-21 17:38 | 特殊船  

地球深部探査船「ちきゅう」見学 Part2

 この船は海底油田を掘削するオイルリグに自力で航行できるディーゼル電気推進システムと掘り出したコアを調査研究するための大規模な研究室が設けられているのだ。

c0041039_16365012.jpg 赤い作業服を着たドリルマンと呼ばれている人達は映画などで偶に見る中東の油田で働いている技術者とイメージが重なる。この船を運航する官庁船らしい船員と荒っぽそうなドリルマン、それに世界各国からやって来る優秀な研究者達と毛色の違った人々が集まって未知の地球内部を明らかにしようとしているのだ。
 特に日本の地球物理学者や地震学者は近く熊野沖の南海トラフで発生が確実視される南海地震の発生メカニズムの研究やその実証に力が入っているようだ。

c0041039_16385886.jpg ラボを見学すると、どこの病院にもあるCTスキャンが設置された部屋がある。掘削され、地底のままに密封されたコアの中身をCTスキャンで素早くチェックする。このCTは人用でソフトも共用なのでモニター画面には人型のシンボルが出てくるとか。ベットに乗っているのが採掘されたコア。
 最近では犯罪など死因の確認にもこれを使いたいと言っているらしいが、死体はもう健康保険に入ってないので費用の出所がないので当分は駄目でしょうね。

 ボクが面白いと思ったのが地球内部の生命(微生物)活動を調べる「生命探査」の分野だ。地球の約7割を占める海洋、深海底のさらに奥深く、海洋地殻とよばれる地球の内部環境にも、実は小さな生物(微生物)が大量に生息している。「海底下生命圏」という。そこは太陽の光が届かない暗黒の世界である。そこに生きる微生物の食べ物は海水から沈降する有機物を食べるので従属栄養微生物と呼ばれている。

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 それらは地質学的スケールで生息している。一代が数百年~数千年生き続ける、とっても長生きな生物なのだ。確かに地底深くで生息していると海水に溶けた栄養が地中まで届くのに時間がかかるし、地中を自由に移動できないので、彼らはずーっと腹を空かしたまま静かに生きているんだ。なかなか子孫を増やそうという気が起こらないのは当然だね。

 火星に生命は存在するのかと、昔から盛んに論議されているが、我々が住むこの地球のどのくらい深いとこまで生命が存在するのかはこれからやっと議論が始まる。海底下の深部に広がる「生命圏の果て」を知る手段は今のところの日本とアメリカが主導する「ちきゅう」の掘削にかかっているという。

 昨年、八戸沖80kmの海底で、石炭層の上にある深さ350mのメタンハイドレートを含む火山灰層から極めて活性の高いバクテリアの凝集構造が検出されたというお話があり、そしてこれらのバクテリアの数を正確かつ自動的に計数するモデルを開発して有名な「ネイチャー」にその論文が掲載されたと、ちょっと自慢げな話もあった。

 論文に詳しいボクの友人にこの話をすると「論文はネイチャーに掲載されるのが値打ちではなく、どれだけ皆さんに引用されたかが大切なんだ」とおっしゃる。
 それは勿論そうだ。生命探査のような未知の分野では、まだまだ面白い発見も多そうだし、ネイチャー好みの新しいネタもある。でもこの分野の研究者はまだ少なそうなので引用数はどうでしょうかね。

 でもボクは結構面白い分野の研究だと思いましたがね・・・。

【参考資料】:人類未踏のマントルを目指して-「ちきゅう」の科学的成果- セミナーのパンフレットより
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by pac3jp | 2009-02-19 16:43 | 特殊船  

地球深部探査船「ちきゅう」を見学する

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 2月15日(日)修理中のアジマススラスタもやっと直り、出港を控えた昨日、神戸港六甲アイランドで「ちきゅう」の一般公開があった。
 風はなく日差しが暖かい絶好の見学日和になったので見学者が続々と埠頭の岸壁に集まってきた。ボクの近くには群馬や愛媛ナンバーの車も止っている。今朝の地元新聞によると9300人の見学者が詰めかけ最大3時間待ちだったそうだ。

 ボクも1時間くらい並んで船内に入った、57000トンは大きな船だった。国(日本)が今までに造った船では「戦艦大和」以来、2番目の大きさだという冗談がお偉方スタッフから出ていたくらいの大きさである。

c0041039_1725427.jpg タラップを上り、まずはDVDの映像で海底掘削の仕組みを予習してから高い位置にあるブリッジへ、その後、安いビジネスホテル風の居住区を通り中心部の掘削装置がみえる場所で、DVDを見て浮かんだ素朴な疑問を掘削スタッフに聞いてみた。

 この船は水面下2500mの海底から地中を深さ7000mまで掘ることが出来るという。そのため最初は次々ビットやパイプのサイズを換える作業をする。ライザーパイプと噴出防止装置が繋がり船と海底が一本のパイプで直結すれが幾ら掘削ビットや小さいパイプを差し込んでも問題ないが、それ以前の海底の穴と船の間がただの海の場合が問題だ。
 船から2500mも下にある海底の穴に再度ビットやパイプをどう挿入するのだろうと考えてしまった。海には潮流もある。まして「熊野灘」は黒潮が流れている。それに深海は真っ暗だ。さて、どうするのかな・・・。

 それに、通常、掘削作業は長期間洋上で留まって作業する。相当な気象条件まで作業は可能だが台風がやってくることになれば海底に噴出防止装置のバルブを閉め機材を残し、長いライザーパイプは撤収して「ちきゅう」は安全な海域に避難する。台風が過ぎればまた元の場所に戻りパイプを繋ぎ作業を続ける。その時も場所の特定はビーコンらしいが装置にパイプ類やケーブルを接続するのはリモコンの手探りではきっと大変だろうと思っていたが・・・。

c0041039_174174.jpg お返事は「穴の近くにカメラを搭載した無人潜水艇(右画像)を配置し、様子を見ながら作業をしています」とおっしゃった。そういえばこの船を持っている「海洋研究開発機構(JAMSTEC)」は「しんかい6500」や「かいこう7000」など多くの深海調査・探査船をお持ちで機材もノウハウも充分だ。これくらいの深さなら大したことではないのだろう。
 まず一つの疑問は解消した。

c0041039_1761039.jpg 画像はラックにのったライザーパイプのフランジ部分 長さ27mあって全部で2500m分で90本積んでいる。イメージ図にもあるが、ストレスを吸収するゴムのパイプ部分もある。
でも重いパイプを90本も繋いでぶら下げると海水の浮力を考えてもかなり重そうだが、ヤグラや巻上げシステムも大丈夫なのかちょっと心配した。
 でもちゃんと安全係数をかけて設計してあるからボクが心配することはないでしょうね。

【関連記事】:地球深部探査船「ちきゅう」が神戸港で修理中
【関連Web】:地球発見
【関連Web】:ライザー掘削(動画)※重いです
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by pac3jp | 2009-02-16 17:17 | 特殊船