カテゴリ:特殊船( 37 )

 

神戸港に四代目の新しい大成丸が初入港した!

2014年4月23日(水)晴天微風の神戸港に消防艇の歓迎放水や満船飾のタグ「竜王}に迎えられ午前10時、予定通りに新港第一突堤に入港した。

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先代と比べると全長で34m短く、総トン数で1897トン少ないので大分小さく思えるるが、幅や深さは余り変わらないのでやや太めに見える。でもこの四世から大成丸の訓練内容が「内航船の船員を育成するため」と大きく変わり、主機はかって大型外航船で使われた蒸気タービンから内航用練習船として、内航貨物船などで一般的な主機の中速ディーゼルエンジンが搭載されている。

総トン数:3,990t
全   長:91.28m
幅    :15.50m
深 さ  :9.0m
機   関:4サイクル中速ディーゼル機関 1基
出   力:4,000/3,000 PS/KW
最大速力:16.2 kt
航海速力:14.5 Kt
竣工年月: 2014年4月1日

建造場所:三井造船玉野事業所
船舶所有者:航海訓練所・東京センチュリーリース(株)
※リース会社が共同所有者になっているが航海訓練所が独立行政法人になったのに関係があるのだろうか。
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突堤の先端には歓迎のUW旗が翻っている。以前には余り見なかったがこの頃は流行っているのだろうか。勿論、大成丸のマストにはUW1旗が上がっている。右端の人はUW2旗(入港を歓迎する)を振っている!

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岸壁には近くの幼稚園児が大勢見学に来ている。消防音楽隊の歓迎演奏を奏でている。
ギャラリーはさすがにお暇なシルバー世代が多い・・・。
大成丸は神戸港の常連でいつも一突に停泊していた。日本丸や海王丸ほど人気はない様だが、大成丸で訓練航海をしたというヨット乗りに時々出会うこともあった。

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ブリッジは殆んどの内航貨物船では船尾寄りにあるのを考慮して船体中央部に配置された。
煙突も先代タービン船が必要だった太い排気管は不要で煙突外観は大きいが、排気が必要な太めの主機用、それに3基の750KW発電機用排気管が3本、それに加えて焼却炉用など6本が収納されているという。

新しいライフボートは66人用が2艇と交通艇、訓練艇がある。この端艇甲板の後部は人工木材が張られた木甲板があり運動にも使えるそうだ。

c0041039_17264069.jpg機関室には、4000PSの主機と750KW×3の発電機を搭載している。
主機から減速装置を経て可変ピッチプロペラの組み合わせで中型内航貨物船の平均的な航海速力である15ノットを確保できる。また、750kWの主ディーゼル発電機3基は航海中・停泊中は1基、電力消費の大きい出入港時には2基運転し、船内のあらゆる場所に電力を供給できるし、調理もすべて電気で行う。
 
プロペラは4翼、直径3.50mの可変ピッチプロペラ(CPP)です。プロペラを一定方向に回転させた状態で、翼の角度を変えることにより、前進から後進まで推力を自由に変化させることができる。

シリング舵は従来の舵の2倍の舵角にあたる左右70度まで取ることのできる性能を持った舵です。舵角を70度とすると、船尾を横方向に動かす力が得られるため、バウスラスタを併用すると、船体は横方向に移動することが可能となり、離着岸など微妙な操縦の際に効果的です。(大成丸Webより)
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1981年に建造された先代の大成丸の丸い船尾形状と右舷に取り付けられた予備アンカーが帆船時代からの伝統を感じさせるなぁ・・・。

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最近の船舶の船尾形状はみんなよく似ている。幅が広く垂直のトランサムに屋根つきの船尾係留ウインチスペースがあり雨天や荒天の作業にも安全だ。その屋根の部分が客船並み?の木甲板になってる。ベンチが設置してあり寛ぐ場所に指定されている。てな事はないですよね。

舫いロープはさすがに真っさらなホーサーだ。擦止めのカバーももう消火ホースの再利用などしない専用のカバーがついている。


【参考Web】 独立行政法人 航海訓練所 大成丸
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by pac3jp | 2014-04-25 18:02 | 特殊船  

練習船「深江丸」を見学する

 神戸港の東はずれにある神戸大学海事科学部の専用港に停泊している深江丸の外観は良く見ていたが、船内の見学をする機会がなかったのだが、昨年、深江丸船長の矢野先生の「地文航法と天文航法」という難解?な講演のあと、希望者に深江丸の見学をさせて下さることになりボクも初めて見学乗船してきた。

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全   長:49.95m
型   幅:10.00m 深さ:6.10 喫水:3.75m  
総 トン数:449トン    
航行 区域:近海区域

航海速力:12.5ノット    
航続距離:3,000海里  
最大搭載人員:64名(船長・機関長・士官4・部員6・教官4・学生48)

主 機 関:4サイクルディーゼルエンジン×1基  
機関 出力:最大1,100kW (1,500HP)×720rpm  
発 電 機:ディーゼル発電機(250KVA×1,200rpm)×2基・軸発電機(250KVA)×1基  
推 進 器:4翼可変ピッチ スキュープロペラ×1/直径2.10m(一軸左回り)  
横移動装置:バウスラスタ(推力1.5トン)×1・スタンスラスタ(推力1.2トン)×1
 
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 見学はまず、定石とおりブリッジからとなった。画像は操舵コンソール左側に可変ピッチプロペラ(CPP)の制御レバーが見えている。

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 コンソールの前面窓からリピータこしにバウ甲板を見る。

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 右舷にはチャートテーブル、背後には国際信号旗の収納箱が設置されている。

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 ブリッジ内後部に機関制御コンソールが設置されている。

 上甲板から順次見学し、機関室に入る。今まで行った各種船舶の見学では殆ど機関室までは見せてくれなかったがここではエンジンのそばで色んな説明を聞いている人もいた。
 ボクも500トンクラスの練習船の機関室の設備概要などの知識がないのでただ眺めていただけだったが、大型船舶などにはよく装備してあると聞いていた軸発電機があったのにはちょっと驚いた。それも主機が1,100KWなのに250KVA の軸発電機が接続されているという。
 それに機関室に立派な電力制御室があることも気が付いた。

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 主機 ダイハツ 6気筒 1,100KW

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 軸発電機 富士電機 3相×225V 250KVA

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 電力制御室 発電機3台と非常用1台の合計750KVAの電力を統合して運用しているのでしょうか。

 船長さんに軸発電機の使用状況をお聞きすると「主に港内で使用する」との返事。港内航行で主機のパワーに余裕がある時に発電するのだろうと思っていたのだが、接岸作業にはバウスラスタやスターンスラスタを作動させるし、係留ウインチなども電気をよく喰うのでその補完かもしれないなぁ・・・とも。

 そういえば、軸発電機は推進用電動機にもなるので250KVAのDG1基の電力だけでも港内くらいは充分航行できるのだろう。そのためにパワーエレクトロニクスシステムが電力制御室にあるのだろう。
 たしかに深江丸は海事大学の練習船で学生の訓練や教材に必要な装備を搭戴しているので一般の500トンクラス船舶とは違って当たり前なのだと合点がいった。

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 最後に教室で全般的なお話を聞く。今年の神大海事科学部卒業者の就職率は理系大学では全国トップの成績だったとか・・・。
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by pac3jp | 2012-01-27 12:22 | 特殊船  

新しい南極観測船「しらせ」を見学する(3)

 海外からやってくるクルージングボートを訪問すると、彼らが過去に航海してきた地域を説明する時必ず地球儀を持ち出して教えてくれる。その地球儀が「ビニールふうせん」やボールなどサマザマで彼らの個性がでていて面白かったものでした。
 しらせのブリッジでも面白い地球儀を見つけた。

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 南極大陸がよく見れるように南北の地軸が横になった地球儀で見学者に航路の説明をされている。こんな地球儀は売っているのかと愚問を発したりしていたが、地球儀で南極をグルット眺めたのはこれが初めてだった。

 そして手持ちの電子チャートでリッツォ・ホルム湾のオングル島を表示してみるとさすがに付近の物標の名称は日本語読みのものが多いのに気が付いた。画像はオングル島付近の図だが詳細図はなかったのが残念だが、▲マークが公表されている昭和基地の座標と合う。左の方に弁天島が見える。付近の水深は50mくらい。(クリックすると少し大きく見えます)

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 定着氷縁から一年氷帯まで27マイルを3日で突破したが、多年氷帯の21マイルは厚い氷と積雪があるので、しらせは一回のラミング砕氷でたった10m~20mしか進出きず、10日を要しながらも弁天島をポートにみて連続砕氷が可能なオングル海峡側から昭和基地に接近したという。(H21.12)

c0041039_14422235.jpg ←画像 ブリッジの背面にヒーリングポンプの制御盤があった。両舷に設置された燃料タンクの燃料をポンプで片方に移動させて艦体をヒールさせて砕氷する装置かなと思っているが、3万馬力で押しつぶす方が手早いのできっと停泊時の結氷対策か予備の手段でしょうね。

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 しらせは輸送業務だけでなく海洋観測支援も業務のうちなので、艦体の揺れを抑える減揺タンクが装備されている。これは砕氷には関係はないが、波の高い外洋での海洋調査を実施するときに艦の揺れを抑える役目で結構大きなタンクが両舷に設置されている。

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 第一甲板の左舷艦尾に小さな危険物タンクが設置されている。良く見るとスタンションの外になっていてタンクの固定装置が緊急時にはリリースされるようになっている。ナゼだろうと思い近くの乗員にお聞きすると、タンクはスノーモービル用のガソリンタンクで、しらせにはたったこれだけの量しか積載していないらしいが、火災になるとこれでも大変危険なのでタンクを海上に放棄するためにそうしてあると教えてもらった。
 確かにガソリンは重油や軽油に較べて引火性が強いので慎重な扱いだなと感心しながら自分がとってきた安易な保管方法を反省したものでした。

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 飛行甲板がある01甲板にはライフボートが6隻ダビットに吊り下げられている。良く見ると吊上げウインチから舷側のスライドガードまで細いワイヤーに繋がったハンドルがついている。ここでライフボートを着水させる作業を操作するのだろうか。どうも電気がこなくても動かせるようになっているみたいなどと勝手に想像しているのだが・・・。

c0041039_1453304.jpg どの護衛艦にも艦名にゆかりのある神様を祭った神棚がある。「しらせ」には富士山本宮浅間大社のお札が祀ってあった。
 南極観測船は宗谷が海保の巡視船だったが、その後は海自が運用するようになった砕氷艦「ふじ」からの伝統で一隻しか持たない砕氷艦の神棚は代々富士山をご神体として祀っている浅間大社になっているのでしょうね。
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by pac3jp | 2011-10-16 15:02 | 特殊船  

新しい南極観測船「しらせ」を見学する(2)

 左舷後部の舷門から乗艦し、一段あがって01甲板の飛行甲板にでる。すぐに大型輸送へりのCH-101が駐機している。護衛艦の哨戒ヘリ(SH-60J)よりもかなり大きい。ポートサイドを見ると窓が5枚あり乗降用のステップが下がっていて乗客もかなり乗れそうだ。スタボー側には貨物の積み込み用の大きな開口部がある。床下には大型の貨物を吊るための太いフレームパイプが見えている。輸送機なのでキャビン後部に重量物の荷役に便利なランプドアもある。

艦戴ヘリコプター CH-101
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任 務:南極における人員、物資の輸送
機 体:全長 22.8m 全幅 18.6m 全高 6.6m
自 重:9.9t
全備重量: 14.5t
最大速度: 270km/h
航続距離: 約850km
最大搭戴量 :機内 3t 吊下げ 4.5t
最大搭戴人員:27名
エンジン:ロールスロイスRTM322-02/08 出力:2,150SHP×3
製 作: 川崎重工(ライセンス生産)
開発者:イギリスのウエストランド社とイタリアのアグスタ社が共同開発し、現在はアグスタ社傘下のアグスタウエストランド社が製造・販売している。

 しらせ本体と同じく文部科学省の予算で3機が購入された内の2機が搭載されている。機体は掃海・輸送ヘリコプターとして導入されたMCH-101と同一の機種で、外観的には機首と尾部のミサイル警報装置の有無程度しか差異は無い。CH-101の方はミサイル警報装置の基台だけが付いている状態である

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 機体後部から見ると、ローター固定具とキャビン後部のランプドア部分が見える。
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 ローター基部と2,150HP×3のエンジン部分

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 ローター先端 変わった形をしている
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 左右にバックミラーが付いている。ヘリには一般的についている属具かどうかは知りませんが、吊上げる貨物の具合を見るのに必要とのお返事でした。

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 飛行甲板と格納庫上の管制室。

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 01甲板の平面図には格納庫に大型ヘリ2機と小型ヘリ1機の計3機の収容される図になっているが説明は2機搭戴となっている。このスペースは南極観測隊が偵察等に使用するヘリのためのもので機体はその都度チヤーターして搭載されている。H21年度はオーストラリアのフリーマントルで積み込まれ帰りはシドニーで返却された。H22年度は日本でチャーターされたので全行程にわたり、しらせに搭載されていた。

 昭和基地への物資輸送に新型輸送ヘリCH-101へのパワーアップと輸送物資のコンテナ化でS-60A(先代)の2倍の輸送能力を発揮し約1週間掛かっていた本格輸送を3日で終了することができたという。
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 空輸第一便を歓迎する昭和基地の越冬隊隊員たち。(H22.12)
 【平成21年度 航空輸送の実績】
 物資輸送  481.8トン
 人員輸送  1678人

c0041039_14472520.jpg こんな光景も・・・南極の夏でもちょっと寒いかもね。(H21.12)

もし、ボクでも若い頃、その場にいたらきっとこの列に並んでいたなぁ!
・・・ホンマか?


【参考図書】:しらせ 小島敏夫著 成山堂書店
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by pac3jp | 2011-10-09 15:03 | 特殊船  

新しい南極観測船「しらせ」を見学する(1)

 2011年9月25日(日)、好天の神戸港第4突堤で開催された四代目の南極観測船である砕氷艦「しらせ」の一般公開に行ってきた。新しいといっても、平成21年5月の就役で、もう2回も南極観測支援の航海をしているがボクは初めての対面だった。

 砕氷艦特有のずんぐりと丸いバウを見ながら、左舷船首付近の受付で金属探知機と手荷物検査を済ませ、艦の後部から乗り込む。

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主要寸法 :長さ 138m×幅 28m×深さ 15.9m×喫水 9.2m
基準排水量:12,650トン
満載排水量:20,000トン
推進方式 :ディーゼル電気推進
軸出力  :30,000馬力
推進器  :固定ピッチプロペラ2軸
最大速力 :19.5ノット
巡航速力 :15ノット
定 員  :乗組員179名、観測隊員等80名

【砕氷能力】 
  連続砕氷 :氷厚1.5mまでの氷海を強力な推進力で3ノットの連続砕氷できる。
ラミング砕氷 :1.5m以上の氷は一旦艦を200m~300m後進させ、最大馬力で前進し、最大11ノットで氷に乗り上げ、艦の自重で氷を砕く。
ちなみに平成21年11月~平成22年4月の第51次南極観測処女航海では3,414回のラミングをしたと記録されている。

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新「しらせ」の特徴
1.船 体
c0041039_9324227.jpg◎砕氷する船首や喫水付近の外板部分にステンレスクラッド鋼を使用して、ラミング砕氷時などにおいて摩擦抵抗を低減。SUS部分は有害な船底塗装が不要になる。
※(ステンレスクラッド鋼とは高張力炭素鋼板にステンレス鋼板を貼り付け耐食性を上げた鋼板 JFE製)

◎融雪用散水装置の採用による冠雪抵抗の低減。ラミング砕氷時に海氷に積もった雪がクッションになり乗り上げ効果が落ちるための対策。

◎二重船殻構造に採用よる海洋汚染防止。

2.機 関 
◎ディーゼル電気推進方式による迅速な前後進切り換え
◎低速域でも高トルクを発揮する推進用電動機の採用
◎4台の発電機による統合給電方式によるライフサイクルコスト及び重量の節減。

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上の図は電気推進システムの図です。(クリックすれば大きな画像で見れます。)
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 4台のディーゼルエンジンが各々の発電機を回し、交流6,600Vの電力を発電し、高圧配電盤を経由して変圧器で交流1,050Vに落とし、電力変換機に入る。ここではコンバータとインバータで推進用モータの回転コントロールに必要な電圧と周波数に変換して4基のモータに供給する。そして左右2軸のプロペラが回転し船が進みます。右の画像はしらせの固定ピッチプロペラと舵板です。

 図には推進モータに接続された「バックパワー吸収抵抗器」があるがこんなものがいるんだと初めて知ったが、回生発電された電気はハイブリット車ならばしっかりとバッテリーにチャージされているのでちょっともったいない気もするが、海には下り坂や「しらせ」は帆船でもないから極まれにその状態になるのかな・・・。

 この日は機関室や操縦室などの見学は不可でコースは船首デッキから最上甲板の艦橋に上る。
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 艦橋は護衛艦などに較べてさすがに広くて明るい、結構な人数が入っているがそう混雑しているほどではない。新しいフネなので航海機器も最新のようだ。気になったのは大きな艦橋窓ガラス制御箱が4面も並んでいたことだ。窓ガラスの開閉ぐらいにこんな大きな制御装置が要るんでしょうかね。でも大きな艦橋の窓は広く極地の環境ではパワーのある装置でないと窓の開閉も出来ないのかもしれない。(つづく)

【参考資料】1:砕氷艦しらせ パンフレット 海上自衛隊
      2:南極観測船と白瀬ノブ しらせ 小島敏夫著 成山堂書店
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by pac3jp | 2011-10-02 10:10 | 特殊船  

3次元海底資源調査船「ラムフォーム・Wクラス」

c0041039_15125724.jpg  三菱重工業は、ノルウェーの資源探査会社大手ペトロレウム・ジオ・サービス社(PGS)から3次元海底資源探査船2隻を受注、14日に現地で契約調印した。2隻のオプションが付いており、2013年春から順次引き渡しの予定。

受注したのは、PGS社が“ラムフォーム(Ramform)・Wクラス”と呼ぶ新型の3次元解析能力を有する海底資源探査船で、全長約104mながら最大船幅が70mと広く、広範囲の探査能力を持つのが特長。ディーゼル発電機による電気推進であるため、航行時の静粛性にも優れる。 船尾から数キロメートルにおよぶ複数のストリーマー・ケーブル(ハイドロホンと呼ばれる振動センサーを内蔵したケーブル)を曳航し、音源から発した音波が海底面や地層境界に当たって跳ね返ってくる反射波を受信して、地層構造を3次元的に解析する。PGS社では新型の船尾幅を従来の探査船に比べ30m拡張することにより、ストリーマー・ケーブルを最大24本と大幅に増やして、一度に広い範囲を探査できるようにした。

 (三菱重工業ニュース 2011.4.15より)

 5月26日、南シナ海のベトナムのEEZ内で海底資源調査中の国営石油会社の探査船が中国の艦船3隻によって調査ケーブルを切断される妨害を受け、ベトナムは「重大な主権侵害」と強く非難し、南シナ海領有をめぐり対立する中国とベトナムの緊張が高まっていると報道されている。

 高価な海底資源調査船を持っている国は少ないのではと思っていたが、アジアでは中国が12隻に、韓国も4隻に保有数が増えているという。日本は上記のノルウェーPGS社から「ラムフォーム・ヴィクトリー」を買ってやっと1隻確保したのにべトナムは中国との対抗上自前でフネを確保したのか、とりあえず外国からの傭船だろうか。
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 南シナ海・東シナ海で小さな?バトルを繰り返す隣国の中国では保有する海底資源探査船の数は12隻と多いがストリーマー・ケーブルの数が2~4本と少なく探査の効率も悪いからか、今回、アジア最強の探査船「海洋石油720」を建造し、その引渡し式が4月22日行われたと報道している。
 この船はストリーマー・ケーブルの数は「資源」の12本と同じだがケーブル長さが8000mと長いのが特徴だという。

c0041039_15151372.jpg 一方、韓国では以前から日本海の竹島にも近い対馬海盆でメタンハイドレードの調査をしていたが、昨年、2010年にはフグロ社(本部オランダ)の海底資源調査船フグロシナジー(Fugro Synergy)号(左画像)で対馬海盆の水深約950mから水深約2,300mまでの約10地点でボーリング及びコア採取を行いその傭船料は3,700万ドルだという。
 日本が2006年に傭船した「ラムフォーム・ヴィクトリー」も1ヶ月あたり10億円だったが多分同じような相場金額なんでしょうか。でも長引くと大変だ!

 この調査船は3次元資源探査船と違い深海を掘削してコアを採取する機能があるフネなので大きなヤグラを持っている。最近進水したJOGMECの「白嶺」にもフグロ社の掘削装置が搭載されることになっている。装置納入と同時に当然必要な深海掘削作業のオペレーションのノウハウやその解析技術もきっと高いのでしょうね。

 日本の海底資源調査船は新しい「白嶺」もストリーマー・ケーブル装置を1本持っているがメタンハイドレード・熱水鉱床などの深海ボーリングやマンガン塊などの採取がメインになるだろう。「資源」は石油・ガス田の3次元探査が主になるのだろう。それに地震の調査もあわせてやっているというが・・・。
 漁船や航行する内航船舶も多い日本近海で6kmもある長いケーブルを12本も幅広く曳きながら航行する作業は大変です。たまには潜水艦に絡んでしまうこともありますしね。

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上画像 3次元海底資源探査船「資源」

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 12本ものケーブルを繰り出すシーブが並ぶ40mもある幅広い船尾。船体色が違うが以前の「ラムフォーム・ヴィクトリー」2006.9月撮影

 三菱重工さんでは今回受注したPGS社の探査船でも韓国の造船所と激しい競争になったと聞いている。以前はこのジャンルでは中・韓とも競合しなかったのに最近は国家の海底エネルギー獲得方針にあわせて中国や韓国も特殊船にも力を入れているようだという。

 確かに日本のメタンハイドレード開発は隣国との摩擦がない本州南岸の南海トラフだけでやっているが、日本海や東シナ海にも有望なエリアがあり隣国たちは着々と開発を進めているのに日本だけが何もしないと持っていかれてしまわないかとボクは大いに心配している。
 

【参考Web】:海底資源探査船 ラムフォーム・ビクトリー号
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by pac3jp | 2011-06-12 15:31 | 特殊船  

石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の新調査船「白嶺」

 2010.10月にJAMSTEC(海洋開発研究機構)の「ちきゅう」を見学したとき、沖縄海域の海底熱水鉱床からボーリングされたサンプルコアを見たことがある。それには日本が必要としている金属のうち銅、鉛、亜鉛、金、銀、それにレアメタル類も多く含まれているという。でも、熱水鉱床は700m~3000mの深海にあるので商業採掘は中々むつかしいらしい。

 「しんかい6500」でもその熱水鉱床を調査した画像などは見たことはあるが、それを資源として開発しようという雰囲気ではなかったなぁ。
 同じような海底調査船を運用しながら文部科学省所管ではどうも本来目的が違うようだった。

c0041039_16592821.jpg 海洋資源開発となるとやっぱり経済産業省所管で、石油公団と金属鉱業事業団を前身とする「JOGMEC」が運用する「第2白嶺丸」や「資源」が出てこなくてはならない。
 我が国は世界第6位の広いEEZをもち、その海底にはレアメタル等の金属鉱物資源やメタンハイドレート等が豊富に存在するといわれている。しかし、海底資源に目覚めた隣国から自国の権益を守るためにはしっかりとした調査が必要と目覚め、やっと日本にはなかった石油・天然ガス探査の三次元探査船「資源」を中古船ながら海外から購入した。
 でも自前だった海底調査船「第2白嶺丸」も建造からすでに30年がたち自動船位保持装置もないなど装備が古くなったので遂に新しい調査船を建造することになった。(船体220億円+調査機器75億円の合計295億円の予算がついた)

 新調査船は、平成22 年7月に三菱重工業株式会社下関造船所で起工し、平成23 年3月23 日に進水式が執り行われ、今後、調査機器の据付など艤装を経て、平成24 年1月末に完成、就航の予定であると報道された。

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 新海洋資源調査船「白嶺」の主な仕様
全  長: 118.3m、幅:19.0m、深さ:9.2m
総トン数: 約6,200t
航海速力: 15.5kt
航続距離: 約9,000海里
最大搭載人員: 70人(乗組員34 人,調査員など36 人)

 バルバスバウの後方には2組のトンネル型のスラスターと昇降旋回式(360°旋回が可能で、かつ昇降して船体内に格納可能なタイプ)のスラスターを装備する。一方、船尾部分の船底はバトックフロー船型(平らな形状)をしており、2基のアジマス推進器(360°旋回が可能)や船の直進性を向上させるためセンタースケグと針路安定フィンが設置される。

 また、停船状態や低速航走状態にて長時間のサンプリング調査や観測作業を行うことから、船体動揺を軽減するためのビルジキール及び減揺タンクを装備する。この結果耐航性能としては、最大風速15m/s、有義波高3mの気象海象条件下で、船体の横揺れを5度以内、縦揺れを2度以内、上下揺れを1.5 m以内(いずれも片振幅)に押さえることが可能である。

 船体中央部にはムーンプールを配置し、大型のつり下げ型調査機材の投入揚収が可能である。また、ムーンプールの船底部と作業デッキレベルにはそれぞれ2枚の蓋からなる扉を装備しており、巡航時やムーンプール作業等の状況に応じて扉の開閉(観音開き)が可能である。
また、新調査船ではこのムーンプールを利用して船上設置型掘削装置(取り外し可能)による掘削作業を予定している。

 新海洋資源調査船「白嶺」の発電・推進システムの諸元
■主発電機関(ディーゼルエンジン):最大出力2,635kW×720rpm-1×4基
(補助発電機関:最大出力860kW×900rpm-1×1基)
■主発電機:AC6,600V、60Hz、2,450kW ×4基
(補助発電機:AC450V、60Hz、800kW×1基)
(非常発電機:AC450V、60Hz、250kW×1基)
■推進電動機(プロペラ駆動用電動機):船尾アジマス推進器3,200kW×2基
■バウスラスター(トンネル式)790kW ×2基
■バウスラスター(昇降旋回式)820kW ×1基

 「白嶺」は電動機駆動による電気推進船であり、ディーゼルエンジンに直結させた発電機により、インバーター制御の電動機でプロペラを回転させて船の推進力を得る。この方式はプロペラの回転数の制御が容易で操縦性が良く、また振動が少ない等のメリットがあるため、調査船向きの推進システムである。さらに使用電力の負荷に応じて4系列の発電機関の運転台数を制御することで、効率的、経済的な運用が可能なパワーマネジメントシステムを備えている。また、エンジンで直接プロペラを回転させる方式では船体におけるエンジンの設置箇所に制約があるが、電気推進方式ではエンジン・発電機セットの設置箇所は自由にレイアウトすることが可能となり、調査船の用途に合わせた最適な船体の設計が可能となる。近年建造される世界の客船や海洋調査船の多くが、この電気推進システムを採用している。
 この船の発電機の総出力は10,850KWとなり昔の船とはえらい変わりようだ。

 搭載する装置の中でも特筆すべきものは、海底着座型掘削装置及び船上設置型掘削装置である。なお、掘削中の本船は2基のアジマスと3基のスラスタの自動船位保持装置(DPS)により総合制御される。

■海底着座型掘削装置の主な仕様
c0041039_1650336.jpg① BMS:深海用ボーリングマシン現有機(左画像)
稼働水深:6,000m
掘削長:20m
空中重量:4.8t(コア満載時)

② BMS50M:新型深海用ボーリングマシン
稼働水深:3,000m
掘削長:50m
空中重量:約15t(コア満載時)

○特徴
新型のBMS50Mは、AC3,000V、3φ、60Hzの電力を供給する38.1mmφの光・動力複合ケーブルにより接続され、海底に着座する水中部本体と、船上から本体をコントロールする船上部で構成される。 水中部は電動モーター、油圧ポンプからなる動力ユニット、パワースイベル等の掘削ユニット、ドリルビット・インナーチューブ等の掘削ツールを格納するマガジン状のラック(ストレージマガジン)などから構成される。本体の下部の3脚の接地脚が独立に垂直方向に伸縮することで、1mの段差、30度の平面傾斜地に設置可能。 

■船上設置型掘削装置の機能(下画像)
c0041039_16512580.jpg 船上部に掘削機本体を設置し、ムーンプールから掘削ロッドを海底に降ろして海底下を掘削する装置。掘削対象の土質条件に併せて、掘削ツールが変更可能である。圧力保持掘削ツールを搭載することで海底下に賦存するメタンハイドレート試料の採取が可能。

○主な仕様
稼働水深:最大水深2,000m
掘削能力:400m
掘削システム:ライザーレス、パワースイベル駆動

○特徴
マリンドリルのドリルデリックは、掘削機器及びダウンホールツール(ドリルパイプ内を通過する各種サンプル採取・測定装置類)を、安全かつ問題なく広く安定したサンプリングプラットフォームに装備し、動揺補正装置を備えた堅固なツインタワー形式の装置で、新調査船の中央部にあるムーンプールに合せて設置される。
通常、石油掘削など大規模・大深度の掘削の場合、ライザーと呼ばれるドリルパイプと掘削泥水が通る二重構造のパイプを船底から海底面に設置された噴出防止装置まで取り付ける「ライザー掘削方式」が採用されるが、本システムの場合、掘削深度が400mであり、ガスや石油の噴出の可能性が極めて低いことから、「ライザーレス掘削方式」、つまり、ドリルパイプだけを用いた掘削方式を採用している。

 我が国周辺海域では、島弧~海溝系に属する沖縄トラフ及び伊豆・小笠原海域において、多くの海底熱水鉱床が発見され、これらの内、いくつかは広範囲に分布することが確認されている。また、分布水深が700~1,600 mと世界的にも浅く、中央海嶺に分布するものと比較し金・銀の品位も高いことから、技術的・経済的にも開発に有利であると期待されている。

 現在JOGMECでは沖縄海域(伊是名海穴)及び伊豆・小笠原海域(ベヨネース海丘)を中心に、海底熱水鉱床の資源量を評価することを目的として、深海用ボーリングマシン(BMS)を用いたボーリングコアの掘削調査を実施中である。

 海底資源開発のうち、熱水鉱床については、10 年程度を目処に商業化を図ることが海洋基本計画に盛り込まれていて、平成30年には採掘に目途をつけるということだと思うがあと7年ですがさて・・・。

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 日本近海の海底熱水鉱床位置図


【参考Web】:JOGMEC 新海洋資源調査船の建造について  
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by pac3jp | 2011-06-05 17:11 | 特殊船  

中国 最新の深海調査船「蛟竜」

 昨年10月に神戸港で「しんかい6500」を見学したとき、会場で東シナ海の海底資源がらみで中国の7000m級深海調査船が話題になっていた。どんなフネだろうと思っていたら、既に完成し、船名が当初の「和諧」から「蛟竜」に改名されもう実際に中国近海の深海で潜水活動をしているという。聞いた覚えがある「蛟竜」という船名は太平洋戦争末期に日本海軍が水中の特攻兵器として開発・配置した小型潜水艇の名と同じですね。

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 2010年8月26日、中国の科学技術部と国家海洋局は、中国が自力設計・自主開発した初の有人深海調査船蛟竜が深さ3,000m級の潜水テストに成功したと発表した。これにより中国はアメリカ、フランス、ロシア、日本に続き深さ3,000m以上の有人潜水技術を確立した5番目の国となった。

 国家海洋局によると蛟竜は2010年5月~7月にかけて南シナ海の深度3,000m級の海域で計17回にわたり潜水テストを行い、最大深度は3,682mに達した。


 中国は「自力設計・自主開発」と発表しているが、中核技術である、耐圧殻の設計・製造はロシア、浮力材やマニピュレーター、水中投光器はアメリカ製で水中TVカメラ、デジタルカメラ、イメージング・ソナーなどは日本から導入している。

 チタン合金耐圧球は内径が2.1m、内部容積4.8立方m、材質はTi-6AI-4Vチタン合金製。完成品の真球度は0.4%で「しんかい6500」と同じグレードになっている。でも、成型方法は日本やアメリカの半球成型工法でなく、チタン合金の天板に6枚の側板をTIG溶接し、熱処理のうえで機械加工により研磨して半球を二個造り、これをさらにTIG溶接して球にしている。これはロシアの「コンサル(Consul)」と同じ方法で設計・建造に実績を持つロシア企業が製作を担当したという。

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 ↑ 画像はX字配置の舵と4基のベクトル合成駆動式の固定スラスタ。船体前寄りに上昇下降・旋回用の小型スラスタ2基と船首上部にトンネル式のサイドスラスタがある。

 バッテリーは酸化銀-亜鉛電池で110KWH(110V-800AH)が搭戴されていて日本の「しんかい6500」より30%容量が大きいので6時間の連続潜水作業が可能となった。日本も当初は酸化銀-亜鉛電池を搭載していたが2004年に軽量・高性能のリチウムイオン電池に取り替えられた。

 深海調査船と母船の間には画像伝送システムを持っているが伝送速度は80kbpsと遅くカラー画像1枚を送るのに30秒もかかるという。我家のインターネットは100Mbpsなので想像できない遅さです。

 中国の有人潜水船の開発目的は軍事技術の取得が第一で、海洋資源などの探査も計画されているといわれ、ボクもそう思っているが、このところ世界中で中国の鉱物資源・エネルギー獲得の勢いはすざましくこの深海調査船ものんびりと海底生物の科学調査などはやらずにズバリ、海底資源の探査とその利権の獲得が主目的になる深海調査船だろう。

c0041039_13594747.jpg 昨年の潜水テストではしっかり、南シナ海の3,759mの深海底に中国の五星紅旗を立てたという。日本やアメリカの6500m級を越す7,000m級深海調査船を持ったことで世界一の座についたという嬉しさか、いや、やっぱりこれも国威発揚なんでしょうかね。

参考データ
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 深海の海底資源の探査が主ならば4,000m級でも充分だが・・・。

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リストの中では中国の7,000m級「蛟竜」とアメリカの6,500m級「新アルビン」が最新型だがこの船はまだ進水していない模様?。


【関連記事】:有人潜水調査船「しんかい6500」
【参考Web】:海外における深海有人潜水船の開発動向と我が国の進むべき道
【参考資料】:「世界の艦船」2011年3月号 中国初の深海調査船「蛟竜」
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by pac3jp | 2011-02-13 14:11 | 特殊船  

4,000トン吊起重機船「洋翔」見学する Part2

c0041039_7485114.jpg 4,000トンもある巨大な構造物を吊り上げる「洋翔」の強力な腕であるジブを下から見る。
ジブの構造はボックストラス構造で長さは146m、1基の重さは1,850トンあるという。

 高い所に重量物を吊り下げる4個のフックが小さく見えるが、1個で1000トンの荷重を受け持ち、あわせて4,000トンの吊上げ能力を持っている。そしてフックに接続したブロックの内に数多くの滑車がありパワーは20分の1に減らされ、直径64mmのワイヤー1本当たり50トンの荷重になりウインチ室の72トンの主巻きウインチで巻き上げられる。

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 1,000トンフックも下から見ると小さいがデッキに置くと大きいものだ。重量は60トンある。右の画像はジブを起伏させるワイヤロープの見本だが直径64mm(破断荷重3,390KN→340t)と表示がある。主巻きも同じ64φサイズのワイヤーを使っていて一本の長さは7,000mあるという。因みに起伏用は一本が3,000m。
 隣に玉掛ワイヤーの見本もあるがこちらはもっと太くて直径120mmとなっている。これらの作業ロープだけでも相当な重さだなぁ!

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 左舷ジブの下部にジブの傾斜角度と吊上げ荷重、フックのアウトリーチの関係がわかるクリノメーターが付いている。一杯、73°まで起こして4,000トンでリーチを最大に伸ばすとたった?40トンになる。半分の2,000トンでは53.4°、リーチ72.5mになるようだ。

 右舷ジブの下部にジャンクションBOX風の箱が6個並んでいる。ジブの先端や各所に取り付けられたセンサーなど各種機器の電源や接続点の点検BOXだろう。点検の都度、146mも上るのは大変だからこの場所で粗方のチェックは可能になっているのかな。

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 「洋翔」の一番の特徴はジブ・スライド格納式だ。両舷とも基部は移動用の走行台車に乗っている。左舷は横から見たところでジブの支点になる直径600mm×3.5mのピンの位置が確認できる。各種ケーブル類もこちらの台車から接続されているように見える。

右舷台車の後に見える黄色のガイドが台車走行路になっている。その下の画像は船尾側の台車固定台だ。右下の画像はジブが収納された状態で、回航や台風避泊などにも都合がいい状態ですね。

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 船首には2基のウインドラス(40t)がある。左画像は左舷用、右は船尾ウインドラス1基(100t)チェーンは600m、アンカーは30トンのサイズである。アンカーをワイヤーで使う操船ウインチに較べて操作が難しいと説明されているがチェーンで船位の微調整は大変でしょう!

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 タグボートが舷側につながれている。HOSHO-MARUと船名表示がある。クレーン船は新造だがタグはそうではないようだ。大型起重機船の曳航用か船首ウインチが2基あるタイプで港内作業用とは大分違う艤装になっている。

 他に、甲板に50tトラッククレーンが一台据え付けられている。着火船や係船アンカー・ワイヤーなどの積み込み、それに重い玉掛ワイヤーなどの甲板取り回しにも必要なのでしょうね。

【関連記事】:4,000トン吊起重機船「洋翔」を見学する Part1
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by pac3jp | 2010-12-12 08:01 | 特殊船  

4,000トン吊起重機船「洋翔」を見学する

 12月4日(土)、神戸に本社を置くマリコン、寄神建設(株)が新しい大型起重機船「洋翔」を建造し、神戸港・ポートターミナルで一般公開されたので見学してきた。ポートターミナルは本来外航客船のターミナルなので大きいとはいえ「作業船」の一般公開で使われるは珍しいなぁ、と思いながら送迎デッキから「洋翔」を眺めるとさすがに大きい!

 大きいはずだ、主要目から単純に計算すると最大荷重時の排水量が約3万トンになるもんね。

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長 さ:120m
船体幅:44m
深 さ:7m
喫 水:5.7m(最大荷重時平均)
定格能力:4,000トン
巻上高さ:125m(前フック水面上)

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 この新しいクレーン船は長くて高いジブがフライングジブから折りたたみ出来、バックタワーとほぼ同じ高さ(58m)まで収納出来る構造を持っている。このような構造だと航路に架かる多くの橋梁の下も航行が可能になり工事受注のチャンスも増える?それに長距離の移動も楽になるのだろう。収納には画像手前の両ジブ走行台車のピンを外して船尾のほうに伸びた黄色いガイドレールにそって台車を移動させる。
 甲板に装備されたウインドラス&ウインチ類は10t~100tクラスが18台もある。ジブ基部台車横にウインドラスが見える。

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主巻ウインチ 能力:72t×20/40m/min ×4台
起伏ウインチ 能力:72t×20m/min ×4台

 「洋翔」のウインチは全て油圧モーターで駆動される。操船ウインチやウインドラス、アンカーウインチは甲板に配置されているが、主巻きウインチ4台とジブの起伏ウインチ4台は屋内にある。↑画像は3番主巻きウインチ、荷重1,000t分を受け持っているのに72t用とは小さいなと思ったが、ウインチは滑車で20:1になっているのでパワーはこれでOKでとか。でも巻いてあるワイヤー64mmφもある立派なものが3000mも必要とか。

 パワーのいる主巻きウインチ4台の油圧モーターに供給されるオイルはかなり温度が上がるのだろう。2番ウインチの右側にある大きなオイルクーラーで冷却されいる。(上画像の下)

 主巻きウインチ室は公開されているが後部にある起伏ウインチ室と機関室は見学できなかったが、機関室には下記の設備があり440VのACモーターで大型油圧ポンプを数台?を駆動し、全てのウインチに分配しているのだろう。

この起重機船「洋翔」は合計5,600KVAと大きな発電能力を持っている。
主原動機:3,000PS×2基 発電機:2500KVA-440V×2基 
補助原動機:360PS×2基 発電機:300KVA-440V×2基

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 ブリッジにはこのシステムのコントロールデスクがあるのだが関係者のみ見学可能らしく人影も見えたがボクは只の人なので不可。数多くのウインチをどうコントロールしているのか、それに油圧の系統や電力システムなど聞いてみたかったなぁ。

 船を降りると休憩用のホールでは会社の紹介ビデオや所有船などの掲示物があり、詰めている中堅社員らしいスタッフに「洋翔」建造にに掛かった費用をお聞きすると凡そ60億円だということだった。高いのか安いのか分らないけど、年商の1/5の投資だなと思ったがマリコンのお仕事はお天気次第で採算が変わると昔からよく聞いたのでこのところ台風が来ないので業績は順調なのかもしれない。

 神戸港には今日も仕事がないのか寄神さんの大型クレーン船らしき2隻が摩耶埠頭沖に泊まっているのが望見できる。どちらかが4100トン吊りの「海翔」だろうか。

【関連記事】:4,000トン吊起重機船「洋翔」を見学する Part2
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by pac3jp | 2010-12-06 05:46 | 特殊船