カテゴリ:貨物船( 23 )

 

船舶の解体

 大型船舶を解体している画像↓をWebで見つけた。こんなに見事に切断されながら解体されているのを見るのは初めてだ。(画像をクリックすれば大きくなります)

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 この写真はバングラデシュのチッタゴンにある、世界で二番目に大きな船舶解体現場でJana Asenbrennerovaさんが撮影したものです。作業員の人たちは、この船をほとんど手作業で1パーツずつ解体していくという。

 1980年代、もう大分昔になるが播磨灘に面した相生湾内にある石川島播磨重工(IHI)相生造船所の対岸に粗末?な船舶解体工場があり大小の船舶がクレーンや重機で解体されているのが近くの道路から良く見えていたなぁ・・・と、画像を見ていると突然そんな古い記憶が蘇ってきた。

 日本でもあの時代は世界中からスクラップにするために廃船が回航され、あちこちで解体されていていた。船舶用の無線機やレーダーのパーツ、真空管などの面白そうなジャンクが山積されたジャンク屋がボクの近くの町にもあった。

 しかし、20世紀終わりには日本の船舶解体業の国際競争力はなくなり低賃金を武器にインド、中国、バングラデシュなどにその主体は移り変わっていった。下の画像はインドのアランにある遠浅の長い海岸線に乗り上げて解体されている船舶群の一部(グーグル衛星写真)

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 解体される船舶は最後の航海で、満潮を利用して砂浜に全速力で乗り上げて放置される。解体場となる遠浅の広大な浜辺では、タンカーなどの廃船数百隻が幽霊のように浮かび、大型動物の死体のように、少しずつ解体され分解してゆく非現実的な光景が見られる。
 しかし鉄の船を切り刻み、スクラップを人力で担いで陸地に運ぶ作業は危険なため、ある一つの会社だけで、年間360人以上の割合で多くの死者を出している。安全対策は貧弱で作業員はヘルメットをかぶるものは少なく、ほとんどが素手に素足で作業する。危険ではあるが、「飢餓で死ぬより働いて死んだ方が良い」とし、労働希望者は多数存在する。
 (Wikipedia)

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 ↑画像はバングラデシュのチッタゴンの海浜で船舶解体に従事する人々。薄いシャツに裸足やサンダルなどの軽装で作業をしている。人間の安全対策もとられてないので解体船舶から排出されるオイルやアスベストなど環境を汚染する物質などの排出規制はあってもきっと無視されているでしょうね。でも、他国のお仕事とはいえ、この廃船たちはかって日本の船会社が運用したかも知れないのだ。解体によってこの地球の環境を少なからず悪化させているのは間違いのない事実なので関心をもって見守っていく必要はあります。


【参考Web】1.:船舶解体 Wikipedia 
【参考Web】2.:Beaching Point
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by pac3jp | 2011-03-04 11:37 | 貨物船  

女性キャプテンの内航コンテナ船

c0041039_1644723.jpg 3月3日、神戸と広島を結ぶコンテナフィーダー船で498総トン5人乗り組みの「翔洋丸」の女性キャプテンが主役のドキュメントがあった。

 神戸港を午後に出港し、翌日の朝に広島港到着する航海で、真夜中に来島海峡を通過する「ドロボー・ワッチ」にあたる時間に船長がブリッジで操船する様子を撮っている。
 本船のブリッジで目につく航海計器はレーダーが2台、1台にはチャートは出なかったが他船の方位、速度、AISの情報も出る。それに正面にGPSのプロッターが見える。

 ボクも何度かこの燧灘の航路を昼間に通ったことがあるのでブリッジのオートパイロットに表示されている針路が写ると周囲の島々が少しは想像できる。来島海峡は潮流が早く、それに船舶の航行も多い、さらに航路は西水道と中水道があり潮流の向きで通過する航路が変わる特殊な航路である。ルールは「順中逆西」となっていて中水道は狭いので必ず順潮で通過するようになっているようだ。南流の場合は左側通行になるので充分注意がいるのだ。

 ヨットは航路を航行する義務はないのでボクはいつも憩流時に西水道の四国側の航路外を航行している。でも大三島に泊まることが多くなったので小型船が常用する「船折瀬戸」を通ることが多くなった。

 くるしまマーチスのHPにはこの海峡で起こった海難の事例が数多く記載してあるが、日本の海に慣れない外国船が引き起こした、あるいは引き起こしそうになった事例が結構多い。外国船には特に注意が必要だ。

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 寺田キャプテンが操船する「翔洋丸」も南流で西水道を先行する外国貨物船に海峡内で追い越す時、近寄ってくる外国船に注意喚起のサーチライト照射をしている。船長がブリッジの天井に付いているスイッチレバーを素早く操作して注意信号を送っていた。
 突然、ボクも昔、夜間航行中にガット船からサーチライトを照射されたことを思い出した。そのときは相手がボクをレーダーか目視で確認していたので「びっくりした」だけ済んだが衝突していたら大変だった。

c0041039_16453753.jpg 来島海峡を過ぎたあとは、船長さんの大事な仕事は広島港の接岸作業だ。穏やかな日和で接岸は簡単だろう見ていたが、1410トン積みのコンテナ船は流石に大きく重い、その船体を高いブリッジからの操船するのは、ヨットとは随分違う。1軸エンジンとバウスラスタを使っての接岸操船をカメラはブリッジ目線で撮っている。自分がやっているようでちょっと緊張する。バウとスターンにはオールハンズでクルーが立ち、ホーサーはウインチで巻きとるので力はいらないがチームとしての連携作業が必要で船長の腕の見せ所でもある。

 彼女の夢は外国航路の船長さんになってパナマ運河を通って見たいとおっしゃっていたが、安全運航を続け、スキルアップして是非とも貴女の夢を実現させてください!
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by pac3jp | 2010-03-04 16:56 | 貨物船  

内航コンテナ船女性船長、テレビに出演!

c0041039_9331244.jpg ボクは神戸港と広島港を結ぶコンテナフィーダー船「翔洋丸」の女性船長を注目してきたが、今度はNHKの新しい番組「カンテツな女」に登場するという。

 最近は若い男性に比べ特に女性の元気が良い。昔は建設現場などには現場事務所の事務員さんと食堂のオバちゃんしか女性はいなかったが、いまは現場作業でも女の子が活躍しているという。町中でも大型ダンプの女性ドライバーをよく見かける。

 そんな元気に働く女性のうち、《深夜0時。多くの人が眠りに落ち、あるいはテレビの前でくつろいでいる時にも、懸命に働く女たちがいる。夜を徹して働き、朝を迎える女、名づけて「カンテツな女」》・・・こんな番組に内航コンテナ船船長 寺田美夏さんがNHK総合テレビ、2010年3月3日(水) 午前0時10分 (火曜深夜)に登場する。[再放送]は 2010年3月7日(日) 午前3時08分(土曜深夜)

番組ホームページは → ☆第7夜 貨物船船長 寺田美夏

【関連記事】1:内航コンテナ船に初の女性船長が 
【関連記事】2:女性船長の仕事ぶり見学 

【参考Web】:コンテナフィーダー輸送とは 
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by pac3jp | 2010-02-20 09:04 | 貨物船  

女性船長の仕事ぶり見学

 12月8日、地元の神戸新聞朝刊に↓の小さな記事が載っていた。

【女性船長の仕事ぶり見学】  
神戸ー広島航路で国内初のコンテナ船の女性船長を務める寺田美夏さんと交流する「神戸・みなと体験」が12日、中央区のポートアイランドコンテナターミナルで開かれる。神戸市や神戸港の海事関係団体でつくる「神戸海事地域人材確保連携協議会」が主催。
当日は午前8時半に同区の勤労会館前に集合。寺田さんが船長を務める三原汽船の「翔洋丸」を見学し、日々の仕事や体験談を聞く。
対象は市内の小学4年生から中学2年生とその保護者。定員は10人程度。申し込みは市みなと総局振興課へ。


 彼女が会社からコンテナ船の船長に任命されてもう半年たったが、その間でも広島ー神戸の海域で本船や漁船などが関係する海難事故をたびたびニュースで聞いた。そんな過密な瀬戸内海の運航で新人の船長さんはさぞ大変だったろうと思う。

 でも、何でも日本初のお仕事に就いた女性は大変です。

 今週末にはカッコいい女性として「神戸海事地域人材確保連携協議会」と長い名前の団体からは広告塔としてのお仕事を頼まれている。今回は小学4年生から中学2年生の少年・少女が参加者で、多分彼らはコンテナ船を初めて真近で見るのだろう、小型とはいえ船体長が76m、1400トン積の船は大きい。そんな船を自在に操船する女性キャプテンをきっと憧れの対象として見るでしょう、「すごいなぁ!いつかじぶんも船長さんになってみたい!」と。

 将来、内航船や近距離フェリーの船長さんは女性の職業として認知されれていくかもしれないなあ。

c0041039_16531659.jpg しかし、アメリカでは体力や経験の必要な外洋マグロ延縄漁船の船長をしている女性もいるが日本ではどうだろう。(当ブログ右下のライフログに「わたしは女わたしは船長」参照)

左画像はリンダ・グリーンロウさん2冊目の本である。

 クルージングヨットはカップルで航海しているフネが多いが中には女性の方がはるかに適性があるようにみえるカップルもいるので、こちらはずっと早く出現するかもしれないが、残念ながらこちらは「職業」にはならないもんね。

【関連記事】1:内航コンテナ船に初の女性船長が。 
【関連記事】2:6級海技士 
  
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by pac3jp | 2009-12-11 17:08 | 貨物船  

近未来のコンテナ船《NYKスーパーエコシップ2030》

 船舶が排出する二酸化炭素(CO2)は年間10.5億トン(07年)で、世界の総排出量の3.3%を占めている。これは日本一国の8割以上に相当する量である。日本郵船(NYK)は08年度には1674万トンも排出し、製鉄やセメント会社並みの排出量になっているという。海運各社はIMOが検討しているCO2排出量規制の導入の動きも見ながら地球環境に優しい大型エコシップの開発を目指して次々と手を打っているようだ。
(↓画像はNYK HPより)
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 日本郵船は「近未来の省エネ技術を結集させた」コンテナ船としてCO2の排出を69%削減した 《NYKスーパーエコシップ2030》のモデルを公開した。上の画像。

 従来の船舶はディーゼルエンジンが主の原動機だったが、NYKが考える次代の船舶はLNGを燃料に使う、取り外し可能なコンテナタイプの燃料電池を採用し、電動モーターで推進。広いコンテナデッキを覆う太陽光パネルと、貿易風として大昔から船の運航に使われていた風をエネルギーに換える8枚のウインドサーフィンタイプの可倒式セールが印象的だ。

 幅広の船体デザインは船体重量を軽くし、海水の摩擦抵抗低減による推進エネルギーの削減を図た船型になっている。海水と船体の摩擦抵抗の軽減に泡を使うなど潜水艦のマスカー装置のようだが、専用の機器ではなく可動式のバウスラスタのペラをを航海中は遊転させて空気を送り込むという。

c0041039_13451369.jpg 画像1は朝、ソーラーパネルは巻き取られデッキはセールだけが見える。日の出と共にソーラーパネルがデッキ上に展開される。

 画像2はセールは風向にあわせて角度を付け、最も推進効率のいい角度にセットされる。しかし、ソーラーパネルが影にならない配慮も必要だが、シップモデルの画像(上)には船体中央にジブのような大きなセールが展開されている。

c0041039_13482846.jpg 画像3は船体側面のソーラーパネルは船の進行方向によっては日陰になるので3分割された部分が角度を調整して太陽光を最大に受けるようになる。

 画像4は機能一点張りのハイテクエコシップも船員の憩いの場が必要だと船尾区画に樹木を植えるという。神戸港に出入りする艀の船尾デッキで鉢植えを育てていたのは見たことはあるが、7万トンのコンテナ船だとちょっとした小公園でもできそうだ。

20年後の丸シップにどこの国の人が乗っているのか分らないがそんな船員さんがうらやましい!

 2030年といえばあと20年だ、遠い未来ではなくボクでも精進潔斎の日々を過ごせば見届けることはできる時間距離のように思うが・・・。
「もう遅いで~!」とは陰の声。


【参考Web】:《NYKスーパーエコシップ2030》 
【関連記事】:省エネ帆装船の今昔(3)
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by pac3jp | 2009-11-27 14:00 | 貨物船  

内航コンテナ船に初の女性船長が。

 神戸港・六甲アイランドのコンテナターミナルには大型コンテナ船がずらりと並びコンテナクレーンが忙しく動いている。そのバースの端の方に「IMOTO」と船体に大きな社名をいれた499トン型の内航コンテナ船がよく空船で泊っている。
 全長の割りにブリッジの背が高く変なスタイルの船なのでよく覚えている。この間は宮崎・都井岬の沖で行き会ったが、なにか知り合いに会ったように懐かしかった。

 そんな折、神戸港を拠点にしている内航コンテナ船で初めて若い女性の船長があらわれたと地元新聞が報じていた。



内航路コンテナ船で国内初の女性船長 神戸-広島

c0041039_9531889.jpgコンテナ船で国内初の女性船長に就任した寺田さん

 神戸-広島を結ぶ内航路のコンテナ船で、国内初の女性船長が誕生した。通常はおよそ10年はかかるといわれる船長就任。男性が9割以上といわれる業界の中で積極性や人柄が評価され、わずか5年のキャリアで異例の抜てきを受けた。「船にいる時間が何より好き」と話す女性キャプテンは真っすぐ海を見据えてかじを取る。(前川茂之)

 香川県観音寺市の三原汽船に勤める寺田美夏さん(28)=千葉県市川市。高校3年生のとき、雑誌に出ていた船員の姿に目が留まり、船員を志すきっかけとなった。「体と頭を両方使うのが船乗り。かっこいいと思った」という。静岡の海上技術短期大学に入学、卒業後同社に入社した。
 当初は船酔いが治まらず、年配の男性船員には「どうせ結婚したら辞めるんだろう」と、見られたこともあった。それでも海に出れば気持ちは自然と前向きになれる。大海原から昇る太陽や疾走する船の周りで飛び跳ねるイルカ、瀬戸内海に浮かぶ緑の島々…。「船に乗る時間が本当に好きでたまらないんです」と笑顔を見せる。
 そんな寺田さんを同社の三原康作専務は「常に積極的に取り組む姿勢が素晴らしい。今後の業界を背負っていく存在」と評価。7月27日付で井本商運(神戸市)とマロックス(広島市)が共同運航する貨物船「翔洋丸」(499トン)の船長に任命した。

 乗組員は寺田さんを含め22~30歳の6人。「船はチームワークが最も大切」といい、誕生日パーティーやクリスマス会などを次々に企画、乗組員とのコミュニケーションを図る。年代が近いこともあり、船内は常に笑い声が絶えないという。
 2年前には結婚し「ママになってもずっと船長をやっていたい」と張り切る寺田さん。「女性船長や船員がもっと増えてほしい。海の良さを知ればきっとはまるはず」と目を輝かせた。
神戸新聞 (9/1 16:00)


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 内航コンテナ船「翔洋丸」

G/T:498t D/W:1410t 航行区域:沿海
全長 :76.68m  型幅 :13.00m 型深 : 6.62m 乗組員数: 5名
主機 :2000PS  主機メーカー:新潟原動機
進水年月日:2008年7月 船舶所有者:三原汽船

 499トンはコンテナバースでは小さいですが航路で行き交うとかなり大きな船ですよね。今まで女性船長と言えば港内の遊覧船や巡視艇の船長さんなど小型船ではいらしたようですが、いよいよ本船のキャプテンが現れましたね。

 これから六アイのコンテナバース付近で女性船長の「翔洋丸」に出会うかも知れないなぁ、もし出合ったらエールを送ることにしょう!


【関連記事】:6級海技士
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by pac3jp | 2009-09-04 10:05 | 貨物船  

大型コンテナ船の進水式を見学しませんか!

 神戸港では三菱重工・神戸造船所が大型コンテナ船を、川崎造船・神戸造船所はバラ積貨物船を連続建造している。ボクも両社の進水式を見学させてもらったことがあるが、小型船とは迫力が違います、一度は見学する値打ちは充分ありますよ。

「大型コンテナ船 命名・進水式」見学会参加者募集

神戸造船所では(社)神戸港振興協会との共催で、市民の方々にダイナミックで感動的な新造船誕生の瞬間をご覧いただくため、「大型コンテナ船 命名・進水式」見学会を開催いたします。
 参加要領等詳細は次のとおりですので、奮ってご応募ください。

c0041039_17441468.jpg【日時】 2009年7月7日(火)午前9時進水
    (セレモニー:午前8時50分~9時)
【場所】 三菱重工業(株)神戸造船所
      神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1号
【船の概要】
 船 種      コンテナ輸送船
 全長       約302メートル
 幅         43.4メートル
 総トン数     約78,000
 コンテナ搭載個数 6,724個
【募集人員】300人

【応募要領】 「官製往復はがき」に5人までを1組として、参加希望者全員の①氏名②年齢③住所④電話番号を明記の上、6月19日(金)必着で下記までお申し込みください。なお、応募多数の場合は抽選となり、当落は応募者全員に返信用ハガキにより通知いたします。

〒650-0042
 神戸市中央区波止場町2-2
社団法人神戸港振興協会「三菱重工進水式」(ホームページ)係


 進水式を初めて見学する人には見学場所の広さとか、普通に見れない史蹟の和田岬砲台も構内にあり、あわせて見学できるメリットは三菱神戸の方にあると思います。朝早くの行事なので後の時間は神戸の観光などしてお楽しみください。神戸の新型インフルはもう大丈夫だと知事さんも言っていますので安心してお出かけください。


【関連記事】:3月18日大型コンテナ船 MOL MAGNIFICENCE号の進水を見学する
【参考Web】:「大型コンテナ船 命名・進水式」見学会参加者募集
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by pac3jp | 2009-06-12 17:55 | 貨物船  

川崎造船の進水式

 3月18日には三菱神戸造船所で大型コンテナ船の進水式を見学して、引き続いて3月31日に神戸港のもう一つの大型船造船所である川崎造船で55,000トン積のバラ積運搬船の進水式を見学してきた。

 川崎造船は神戸港内からドックや船台を裏から眺めたことはよくあるが正門から正式に入るのは今回が初めてだった。その日進水する船はシリーズで同型船が数多く建造されていて艤装岸壁にはいつも同じ船が作業しているように見えていた。

c0041039_1013897.jpg 進水式がある第四船台に行くとクレーン下の狭い通路が一般見学者の場所に指定されている。船首側には紅白の幔幕が張り巡らされバウの下部は見えなくなっている。幔幕が途切れたところから少し船尾よりはもうロープが張ってあり通行禁止になっている。三菱に較べて一般見学者の観覧席は大分狭いようである。

 船台に乗った船を滑らす方法は会社によって違うのか確かめたくて、近くの社員スタッフに「ローラーで滑らすのですか?」とお聞きすると、それは三菱さんで、ここでは「滑らすのにはせっけんを使っている」とのお返事。お風呂で使う石鹸も濡れるとヌルヌルして銭湯などで誤って足で踏みつけたらすってんころりと転倒は間違いないほど良く滑るし、海水汚染の問題はない。グリスでもよさそうだが海面がオイルで汚染される恐れがあるからなぁ。進水方法も造船所によって様々のようだ。

c0041039_1024266.jpg バウの左右に大きなアンカーがぶら下がっている(左画像)。一見、進水後の本船のブレーキに使うのかと思ったが、進水時にバウを支えた船台を水中に入ってから船底から引き離すアンカーらしい。船尾よりの両舷側に大きな錘が5個ずつぶら下がっている(下の画像)。これを投入して船足を止めるのだという。

 時間がやってきた。式典は国歌演奏・国旗掲揚からオーナー会社の社長が「KOMATUSHIMA STAR」と命名し、引き続き令夫人か、あるいはご令嬢が支綱切断となるところだがアナウンスはご母堂がそれを取り仕切るといっている。こちらからお顔は見えないが社長の年齢から考えても大分年配の女性だろう。独身のオーナーならそうするのが恒例かも知れないが、色々と下世話な憶測してしまった。

c0041039_103513.jpg 川崎造船の第1615番船の進水作業は笛の音と腹砂盤木を外す「ダーン、ダーン」という音とともに進み、オーナーご母堂の支綱切断で巨大な船体が動き出し、クス玉が割れ、船首は五色の紙吹雪に包まれ、子供たちの歓声に送られながらゆっくりと神戸港に滑り込んでいった。

 このバラ積運搬船は徳島の海運会社の船なのでオーナー地元のお客さんが大勢乗ってきたのか徳島ナンバーの観光バスが近くに駐車していた。
 工場を出てハーバーランドの岸壁まで歩いてくると、港内ではさっき進水した船をタグボートが方向転換させ、艤装岸壁に曳航してゆくのが見た。船台で見上げていたら大きいのはよく分かるが、長さの実感はない。でも横から見ると随分長く見えるもんですね。

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 このように大勢の祝福を浴びて進水する船もある一方、関係者だけで密やかに進水するフネもある。昨年の10月15日、同社神戸工場第一船台においてAIP潜水艦の2番艦「うんりゅう」が進水した。防衛省によると1隻の所要経費は約604億円(後年度負担額を含む)という。
 基準排水量2,900トンの小振りな艦体だけでも350億円以上もするので造船所にとってはきっとドル箱でしょうね。会社は商船の建造で発生する損失を潜水艦の儲けで穴埋めしてるなど聞いたことがあるなぁ。

【関連記事】1:3月18日 大型コンテナ船の進水を見学する
      2:新鋭AIP潜水艦 501「そうりゅう」
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by pac3jp | 2009-04-15 10:11 | 貨物船  

3月18日 大型コンテナ船 MOL MAGNIFICENCE号 の進水を見学する

 神戸港では川崎造船がバラ積み貨物船を、三菱神戸造船所が自動車運搬船やコンテナ船などの大型新造船を建造している。それに両社とも大日本帝国海軍の時代から引き続き現在まで潜水艦の建造もしている。

 ボクも神戸港で貨物船の進水式をやっているのはよく知っていたが、週日だったりして今まで一度も見学の機会がなかった。ところが先日応募した大型コンテナ船命名進水式見学募集に当選し昨日の18日、三菱重工神戸造船所で大型船の進水式を初めて見学してきた。

↓デジカメ動画で撮ってきましたのでご覧ください。映像に入っているタイトルの日付が2008年は間違いで今年2009年です。



c0041039_16293558.jpgコンテナ船「エムオーエル・マグニフィセンス」の完成予想図。
頂いた絵はがきより。

船主:株式会社 商船三井
起工:平成20年 10月 3日
竣工:平成21年 8月下旬
全長:約302メートル
幅 :43.4メートル
総トン数:約78,000トン
コンテナ搭載個数:6724個「ISO 型20f換算」
航海速力:約24.5ノット

c0041039_16302129.jpg 当日は朝、8時20分までの受付なので造船所の人たちと一緒に早々と正門からの出社となったが、年頃や服装で殆ど見分けが付く。本日の進水が行われる第3船台は正門から遠く、1300人もいる見学者の列は長く続いている。現場に着くと頑丈なコンクリートの船台はきれいに片付いて巨大な船体が静かに船台に載っていて、傍らに観覧席が設けてある。見学通路から船首を仰ぎ見れば確かに海で見るより遥かに大きい。大きなビルをみているようだ。

c0041039_16323339.jpg バウ付近の船底には船尾やミジップと違った鉄骨の船台がセットされていてデッキからブイの付いたワイヤーで吊られている。数えて見ると片舷15本ほどある。なんだろうと思って考えると、ミジップは船幅43mでデッキまでの高さも40mはありそうなので船台の上でも安定だが、バウは船底の幅が狭くて船尾からゆっくり船体が進水してゆくと船尾が浮き、バウの狭い船底部分に一時大きな荷重がかかる時があり、その対策で入っている治具だろうと素人考えで想像した。

c0041039_16361742.jpg 進水準備が始まると船主招待席の前には進水制御卓を中心に4人のチームが並び、三菱神戸が今日進水させる第1282番船の進水作業の指揮を執る。まず、ミジップでコンクリート船台と船とを固定してあった木のくさびを外し主綱一本だけにし、合図とともに船主会社のお偉方の奥方が支綱を切断し、セットしてあった特大シャンパンだろうか、そのお酒のビンが船体に当たって砕けると、静かに船は動き出した。

 造船所のカメラマンは船首と同じ高さのゴンドラに乗ってビデオを回している。あそこは撮影には一等場所だと思うが部外者は到底無理でビデオは船が完成した時の竣工図書の一部になるのだろう。

 見学者の歓声に送られて無事進水した船のバウからしばらくして、バシャ!という大きな水音と両舷から高い水柱がたった。バウから吊っていた進水用の治具を一斉に海に落とした音だった。

c0041039_163866.jpg 船がいなくなった船台にはソフトボールよりも大分大きい鋼鉄のボールが80個も並んだプレートが片舷に十数枚ほど残っている。触ってみるとグリスが付いているが軽く動く。この上を鋼鉄の台に乗った数万トンもあるコンテナ船が滑っていったのだ。

 そして後で海に落ちた船台や治具など進水設備はダイバーが回収するのでしょうね。進水式は後片付けも大変みたいだ。
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by pac3jp | 2009-03-19 16:44 | 貨物船  

新型、省エネ船のプロペラ

 神戸港の西側、和田岬には三菱重工・神戸造船所がある。そのポンドでは数隻の潜水艦が艤装工事や定期検査だろうかひっそりと泊っている。その向うの船台にはこのところNYKの大型自動車運搬船が連続で建造中である。

 地元新聞が地球温暖化防止のキャンペーンなかで人々の暮らしを支える裏方の世界でも省エネ対策が着実に進んでいると自動車運搬船の新型推進システムを紹介していた。
c0041039_9325152.jpg それは画像でも分かるがプロペラの後、舵スケグの前に省エネにつながる「ステータフィン」と呼ばれる固定の羽根車を取り付けている。
 これは通常、船舶が航走することにより捨てられるエネルギー(プロペラ回転流)を回収して推進効率の向上をはかる装置で、ボルボペンタ搭載のモーターボートでもよく使われていて皆さんご存知の二重反転プロペラ(CRP)は最も効率よく旋回流を回収できるが、複雑・高価なため一般の貨物船には用いられていない。それに比べ「ステータフィン」は、CRPの後方プロペラを固定したものでCRPと比較して簡便・安価である。そしてこの翼のデザインは複雑な計算で割り出したもので三菱重工の特許になっているという。

 ステータフィンとはプロペラ後方の舵に設置してプロペラ回転流を回収する、高速・痩せ型船に適用可能な省エネ装置である。自動車運搬船を対象に、ステータフィンの設計と、理論計算及び模型試験による評価を行った。さらに、実船において、速力試験のほかに、信頼性及び性能の確認とステータフィンの基礎データ取得を目的としてフィンの応力計測、振動計測及び作動状況観察を実施した。その結果、省エネ効果のほか、強度・振動面で問題の無いことを確認した。当社建造の自動車運搬船では、ステータフィンが標準装備となりつつある。今後は、コンテナ船等、さらに高出力主機装備船への適用を検討していく。(三菱重工技報より抜粋)


c0041039_9341839.jpg 一方、省エネ推進装置のなかでも高級なシステム、ハイブリッド型CRP ポッド推進方式(イメージは左画像)は 2004年6月に就航した新日本海フェリーの総トン数16,800トン、最高速力32ノットの“はまなす”“あかしあ”に採用され、この2隻は在来型の2軸推進方式を採用した場合と比較して13 %の燃料消費量低減を達成し、運航コストの改善とCO2 排出量の削減に貢献しているという。だが残念なことにこれらの船の主要機器は大型クルーズ客船で実績のある外国製だった。

ディーゼルエンジン:フィンランド  ワルチラ 12V46C 12,600kW×2基
電動ポッド推進器 :フィンランド  Azipod  17,600kWx1基

 ポッド推進器とは、ポッド状の容器の中にモータを組み込み、モータに直結したプロペラを駆動させる推進ユニットである。“あかしあ”はポッド推進器を主プロペラの軸心延長線上に配置して、主プロペラとポッドプロペラを1組の二重反転型プロペラ(CRP)とするよう近接して配置している。近接した2つのプロペラをお互いに反転させることにより、プロペラ回転流回収効果が得られる。主プロペラは可変ピッチプロペラで、クラッチ付き減速機と中間軸を介して2基の中速ディーゼル主機関により直接駆動される。後方に位置するポッドプロペラは主発電機からの電力によりポッド内の電動モータで駆動される電気駆動式である。(三菱重工技報より抜粋)

 地球温暖化防止のためにヨット乗りは何をすればいいのだろう。ヨットの省エネって、何だろうと考えてもやっぱり、エンジンに過度に頼らず今まで以上に風の力を利用してフネを走らせることでしょうね。僅かな風でも前進力にする良いセールと抵抗の少ない船型、レースで早いXヨットみたいなフネが良いのかなぁとも思うが、でも、やっぱりセーリングの腕を磨くのが一番か。

【参考Web】:PDFファイルです→高精度パネル法を用いた高性能ステータフィンの開発
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by pac3jp | 2008-11-21 09:49 | 貨物船