カテゴリ:シーマンシップ( 65 )

 

南方位標識

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 南方位標識の北側の干出岩にキールがすっぽりと挟まって干潮を迎え、一本足で立ってしまった中型のプロダクションヨット。
 スターンからアンカーラインが出ているので満潮時に艇が流れてしまわない用心だろうか。それともこの場所が可航水域だと勘違いし、アンカリングしてお昼寝を楽しんでいたのでしょうか。どっちにしても地元のヨットではなく海図も持たずにやってきたビジターヨットだろう。

 干出岩の上に設置された南方位標識は黒と黄色の塗色もなく夜間用の灯器も無いようだし、どうもIALAの基準を満たしてない標識みたいだ。勿論、日本でなく外国の沿岸だろうと思う。
 でもヨット全重量がキール取り付け部に掛かっているので、キールの陥没など、もうかなり大きなダメージが出ていると思うね、そんな頑丈に造ってあるヨットには見えないから。(画像はギズモード・ジャパンより)


 ボクも長らく大阪湾や播磨灘方面で遊んできて、港域・航路では数多くの航路標識を見てきたが、方位標識は割合少ない。大阪湾には垂水・平磯(南方)と淡路・由良(東方)の灯標が2基だけ。明石海峡を西に抜け播磨灘に入ると播磨灘北航路沿いのカンタマ瀬に南方位浮標が、播磨灘南航路には有名な浅瀬「鹿の瀬」には南方位と西端に西方位浮標が設置されている。

 乗り上げ事故が多いのは幹線航路に面している「鹿の背」だ。大型船・小型船を問わずよくニュースになっている。昔は練習艦隊旗艦までが乗り上げたことがあった。底は砂地なので船底の損害は少ないが冬はノリ網が入りこれに乗り上げると損害は大きいですよ。

 方位標識は割合少ないので見慣れないヨット乗りの中には標識の上に付いている▲×2個の読み方をよく知らない人もいるようだ。

老婆心ながら・・・以下の表をもう一度ご覧下さい。
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            (画像をクリックすると大きくなります)

 それにこの標識はIALA(International Association of Lighthouse Authorities )でIALA海上浮標式として採択され、1982に発効したことにより国際的にほぼ統一された。日本では1983年にIALA海上浮標式が採用され初めて使用されたというので、もう27年もたっているがボクの感じではそんな昔から浮標などに▲マークが付いていたかなぁと思っているのだが・・・。
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by pac3jp | 2010-09-21 06:01 | シーマンシップ  

バイキングの太陽コンパス

c0041039_17101978.jpg 磁気コンパスもなかった今から一千年もの昔、アメリカ大陸を最初に発見したといわれるバイキング達はどのようにして太洋を航海していたのかとその航海術を解明するテレビ番組があった。

 ノールウェーのべンゲルから北海を渡り400km先のシェトラント諸島までの北海を復元した大型のヴァイキング船「クナール」に乗り組み古代の航海術で航海するのだ。ナビゲーターには英国の「サー」の称号を持つ有名なヨットマン「ロビン ノックス-ジョンストン卿」が乗っている。そしてその針路を決めるのはバイキングの「太陽コンパス」だった。

c0041039_17115749.jpg 太陽コンパスの発見は1948年デンマークの考古学者がグリーンランドの遺跡から用途の分らない16個の目盛りがついた木製半円盤を発掘したことから始まった。最初はコンパスカードなどの方位板ではないかと研究され「ヴァイキングの航海」という本に纏められたが、当時は否定的な意見が多く結論にはいたらなかった。その後、30年がたち、1978年スウェーデンの天文学者が興味を持ち調べた結果、半円盤の表面についていた引っかき傷がノーモンの線であるという確証をえた。

c0041039_17131259.jpg この線は日時計の中心の棒(Gmonom)の先端が描く軌跡であり、ノーマン線がノーマンに最も近い時の影は南北を示すことになる。これを基準として方位が定められるから、この線を持っていれば、この円盤を水平に置き、ノーマンの影の先端がノーマン線に接するようにすればその影の方位が太陽の方位を示すことになるのだ。

 このノーマン線はこのコンパスを使用する海域の緯度と太陽赤緯それにノーマンの高さによっと異なるから、季節、場所によって多くの曲線群が用意されなければならない。

 太陽コンパスを実証するためにデンマーク国立博物館のアドバイザーだったテアンド船長が自作のコンパスで海上実験した。特に1991年、3隻の復元ヴァイキング船が大西洋を横断した時、この太陽コンパスも使われ良好な成績を収めた。

c0041039_1715586.jpg また、今回のナビゲーターだったジョンストン卿は彼の「スハイリ号」でグリーンランドへの航海にもこのコンパスを使用した。そして充分に使えるとの確信を得て、その後に行われたカティサーク・帆船レースの会長として2500台もの太陽コンパスをデンマークのテアンド船長に発注して各艇に使用させた。このようにしてこの遺物は確かにバイキングが使った太陽コンパスであり、充分実用に耐えることが証明されたのである。

 現在の天測では時間に対応する太陽の高度方位角の計算を行うが、太陽の高度に対応するノーモンの影の先端の軌跡を描けば、それが、ノーマン線となる。今考えれば我々が日常行っている計算と同じことをバイキングはアナログ的に実行していたわけで、この太陽コンパスの精度のよいのは当然である。(航海技術の歴史物語 飯島幸人著 より)

c0041039_1721960.jpg また、バイキング達はいくつかのサガ(北欧中世の散文物語)のなかにグリーンランドへの水路誌のようなものもあり、それには島の形状、浅瀬の場所、海流の性質や海洋生物の存在など、船乗り達が幾世紀にもわたって語り継いできたものをまとめたものようだという。

 しかし、バイキングがこのような太陽コンパスを一千年前に使っていたことが分ったのが、つい30年前だったいうことが意外だったなあ。
 でも、大西洋をオープンボートに乗り、太陽がでない雨の日も星が見えない白夜もあるのだ。そんな太洋をコンパス一つで渡ってゆくのは大変な勇気がいったでしょうね!!

【参考Web】:サー ロビン ノックス-ジョンストンさんのHP
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by pac3jp | 2010-02-11 17:26 | シーマンシップ  

クランプ付テスタを使い回路の電流を測る

c0041039_11443958.jpg 最近のヨットはGPSやオーパイ・冷蔵庫それにテレビ・パソコンなど電化が著しい。桟橋で陸電が使えたら全く問題はないが、一旦航海に出ると一般的にはエンジン付属のオルタネーターで発電し、エンジンスタート用を除き船用バッテリーに蓄えられた電力が唯一の電源になる。

 夏はどうしてもビールだけは冷やしておきたいという人、テレビの連続ドラマを必ず見なければ寝れない人、インターネットをチェックしなければ不安になる人と様々である。バッテリー容量が充分あれば全て可能だが、実際は限られた容量のうちどれを優先して使うかが問題になる。

c0041039_114573.jpg バッテリーの容量から各機器の消費電流(Ah)を差し引けば使える時間が計算できる。カタログ値でもいいが実際に自艇にセットされた状態で測定するのが確実である。それにはスイッチパネルから回路の直流電流を簡単に測定するテスターが必要になる。
 左上の画像は12V用のMgSWを動作させる電流をクランプ式のテスターで測っている。接続された電線の外からフォークを挿し込んでDC電流を測定し、表示は0.6Aと出ている。操作は簡単である。
(ちなみに今使っているパソコンの消費電流を測ってみると2.5A~4.5Aの間で動いている。メーカーは23W(max60W)と表示しているがそれより少し多いようである。)

 一方、普通のテスターを使って測っているのが左下の画像である。電源線を端子から外し、その途中にテスターのリードを挿入している。スイッチパネルだったらブレーカから端子を外さなければならないので作業の手間がかかる。でもクランプテスターの精度により細かい数値も表示できる。

 このようにして各回路の電流を測定し、表にしておけばバッテリーの管理に便利だと思う。

 もう一つ、バッテリー容量を直接監視する簡単な方法がある。これは標準で装備されているヨットもあるがアバウトであったりする。
 それは無負荷の時にデジタルテスターでバッテリーの端子かスイッチパネルのメンスイッチ端子で電圧を測ってみることで以下のことが分る。

12V鉛蓄電池の簡易な容量計測法(電圧を測る)
端子開路電圧(V) 推定残容量(%)
 12.7 以上     100
 12.46        80
 12.10        50
 11.86         30
 11.62         10
 11.50         0に近い
ただし、充電中、充電直後は不可。機帆走した時は数時間後に計測すれば可。

 ボクはバッテリーの電圧が12.0Vになると充電していた。この表で見ると残量40%という感じかな。バッテリーの規格では放電終止電圧は10.5Vとなっているが、ここまで放電するともう充電が出来ない状態になる可能性が多くなるので60%くらい使ったら充電する方が長持ちする使い方だろうと思っている。

【参考Web】:共立電気計器 「クランプ付ポケットテスタΦ6」の仕様・使い方
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by pac3jp | 2009-10-16 11:59 | シーマンシップ  

大航海時代の天測器具

 航海者は沿岸から離れて太洋に乗り出すとき、太陽や北極星の高さを観測し、緯度を求め、船の位置や針路を定めていた。そのための航海器具が次々と現れ改良されていった。

c0041039_15344413.jpg 最初に使われた器具は「コードランド」(画像左上)と呼ばれる、木か金属で出来た分度器を半分にした円の四分の一の形をしていて、その直角をなす中心線から錘が吊り下げられている構造をしている。
 使い方は図のとおりで、角度は目盛りで読むのだが初期の頃は字が読めない船乗りも多くいたので海上で計測するというより船が出航する港の緯度を覚えておくという使い方であり、目盛りより船が立ち寄る主要な港の緯度が記号などで書き込まれていたという。航海に使われ始めたのは1460年頃と記録にあるが実際はそれより30年くらい前から使われ始めたようだ。

 その後、天文学者用から船舶用に改良された「アストラーベ」が現れ、「コードランド」と両方がコロンブスの航海につかわれたとあるが、重くて使いにくい「アストラーベ」で観測をしたという記述が航海記のどこにも見当たらないという。

 「クロス・スタッフ」(画像左下)は構造簡単な器具でB.C.400年頃すでにカルデアの天文学者が使っていてたといわれている。形が十字架に似ていることから「ヤコブの杖」と呼ばれていた。航海用としては1514年に提案されたが当時は長い木の棒に長さの違う四枚の板の一枚を通す構造になっていて、観測者は角度に適した一枚を選び図のように観測した。
 太陽を観測するには油煙の付いたガラスを通すなど改良が進み、やがて1530年頃から可動板とクロス下辺の目盛りを読む形になってきた。この「クロス・スタッフ」の測角範囲は3度~60度で太陽が高い低緯度や高緯度で北極星の観測が出来なかった欠点があった。
 そして、1594年にクロス・スタッフから格段に進歩した「バック・スタフ」が発明され、次つぎと現代の六分儀へと進化してゆく。

c0041039_1537585.jpg 「クロス・スタフ」は誰もが体験できるように六分儀と一緒に台の上に並んでいる。担当スタッフはボクにこちらをとセクスタントを指差したが、構造簡単な方のクロス・スタッフを選んで挑戦してみた。

 向かいの壁の模擬天体の北極星を狙ってみる。棒の端から覗いて可動板を手で動かし、北極星を見るわけだが簡単なようで正確に測るのは目の位置など難しい。この器具は水平線側は固定されているのに、この調子では動く小型船内での観測はとても難しそうだと思った。

 利点はその簡単な構造だ。勿論自作もできそうだ。棹が長いのがちょっと邪魔だが横に使えば角度を測ることも出来そうだし・・・。

c0041039_15375912.jpg 道具さえあれば割合正確に天体の角度は測れるが、天測道具をもたなかった古代の航海者も北極星が緯度を示すことは知っていた。そこで彼らは腕を一杯に伸ばし、指を横にして1本の幅を単位として角度を測った。この単位を「イスパ」といいおよそ2度である。

 手のひらを開いて親指と中指は10イスパで約20度、画像の人差し指と親指は約15度で拳の幅は10度である。このように自分の体を使って角度を求める方法は航海術のおまけのお話として時々書かれていますね。
 いざという時に役立つのは間違いないのでしっかりと覚えておこう。

【関連記事】:セクスタント(六分儀)
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by pac3jp | 2009-03-25 15:43 | シーマンシップ  

ノクターナル(星時計)

c0041039_1734046.jpg 航海計器の歴史には前から興味があり、本など割合い注意して読んでいるが、昨日、「なにわの海の時空館」で、星で時間を知るノクターナルを体験してみようというコーナーがあり、初めてその名前と器具にふれた。

 ノクターナルをWebで検索するとスウェーデンのヘヴィメタルバンドに関するWebページが大量にヒットし、この名称がもう航海計器としては一般的ではないのを確認した。改めて調べてみるとボクの書棚の「航海技術の歴史物語」にちゃんとその項目があった。読んでるはずなのにもうすっかり忘れていた。

 星時計とロマンチックな名前がついたこのノクターナルは中世、まだ時計がない頃、夜間の時刻を知る道具として使われたもので13世紀頃から用いられてきて16世紀には広くゆきわたっており、1581年にはミッチェル・コイネットにより発表された文献がある。

c0041039_17343727.jpg その原理は北極星の周りを回る星は時刻によって位置が決まっているからである。そしてこれは北極星と、同じ小熊座の※コカブとの角度で時間を測定する。

コカブ(Kochab)はこぐま座β星である。北斗七星より一回り小さな、こぐま座の小北斗七星ともいえる星の並びの中にあり、ひしゃくの水汲みの先にある。

 使用法はまず、内側の小円盤の指針を日付を合わせる。次いで中央のナットの穴から天の北極星を覗き、長いアームを小熊座のコカブに合わせる。この時の時刻はアームが指差している内側の小円盤の時間目盛りを読めば現時刻が分かる仕組みだ。

 体験コーナーの壁にはここ時空館の位置である北緯34度38分に北極星の固定ランプが光っているが、指針をさす相手の小熊座のコカブは固定という訳にもいかず係員が動かすレーザーマーカーをコカブの位置と考え皆さん測定する。経験豊かな係員が正確にマークしているのか割合正確な時間がでる。

 この便利な道具も、恒星も地球の歳差運動により赤径が変化してゆくから永久には使えないというが、コカブの位置が変わるのは1000年単位だろう人の一生や半生位は充分使えるはずだ。 でも、やがて時計が発達して夜間の時間を星で測定する必要もなくなってしまいこの器具はこの世から消えていった。
 ノクターナルは前記の星時計として最も多く使用されたが、この他に潮時を知るものや日出没の時刻を知るものがあったようだ。

 これはハンド・ログ同様の自作可能な航海計器だろう。大小2枚のプラ円盤を用意し、大カードには1月~12月の目盛りを切り、小カードには24時間の目盛りを切り、中心に覗き穴とアームを付けたらもう出来上がりのように思いますが・・・まぁ、そんなに簡単ではないか。

 自作が苦手な人には・・・「なにわの海の時空館」のものは日本語表記だったので、もしかしたら国内で商品としてあるのかもしれないですね。

【関連記事】:ハンド・ログ
【参考資料】:航海技術の歴史物語 飯島幸人著 成山堂書店
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by pac3jp | 2009-03-23 17:45 | シーマンシップ  

北太平洋の天気図

 寛平さんを乗せたエオラス号は順調に航海しているようです。昨日は飛魚が飛び込み大喜びでしたが、今日は待望の日付変更線を越えたようです。ブログには「日本時間 2月2日12時6分 N30 54 W180 00 天気曇り 東南東23ノット 進路75度」と書いてあります。

 映像をみると寒くはないようですが、波は結構あるようにみえます。これからのお天気具合はどうだろうと日本語の天気図を捜してみるが日付け変更線付近は日本の気象庁のサービスエリアから外れてしまうので丁度良い天気図は出てこない。

 台風の情報もグアムにある米軍の台風情報が早くて正確だとヨット乗りの間では評判だが、太平洋の気象情報はやっぱりアメリカの「NOAA」だろうと思っていたら、ちゃんと仲間のお一人が捜していた。

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 NOAAの「Ocean Prediction Center」にアクセスして東あるいは西太平洋のエリアを指定すれば24hourから96Hourの予測天気図が動画で出てくる。広大なエリアの天気図にはあちこちに等高線の混んだ台風クラスやゲール、ストームと表示された低気圧があり、冬の海は怖いなぁと思いながらがエオラス号がいる位置、「北緯30.54 西経180.00」をマークしてみる。
 アニメーションで天気図を動かしこれから現れる太平洋の海を想像してみる。ヨットは小さくて遅い、それに逃げ込む港もない大洋なので嵐にぶち当たりそうになってもなんとか、かわしながら凌いでいくしかないのだろうと、ボクなどそう思ってしまうが、エオラス号は運を天に任すような航海ではなく、ちゃんと気象のプロが情報を解析・予想して安全なヨットの針路までアドバイスしているようだ。

 この天気図は「国際式の天気記号」で表示されていて風速はノットで表される。棒の方向は風向で日本と同じだが一本の短矢羽が5ノット、同じく長矢羽が10ノット、旗矢羽が50ノットである。台風並み低気圧の左下には旗矢羽で60~70ノットの表示があった。詳しくは下のリンクをクリックしてください。

【参考Web】:PDFファイルです「国際式の天気記号」
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by pac3jp | 2009-02-02 16:35 | シーマンシップ  

デッキカバーを繕う

 衣類など普通の繊維製品などは半年も外に出しておくとUVでボロボロに風化してしまう。それに比べデッキカバーの丈夫さにはいつも感心している。輸入品のサンブレラも強いが国産のモダクリル原着染のボートカバー生地も中々のものだ。
 ボクのデッキカバーは近くのテント屋さんで作ってもらった。セールメーカーのようにぴったりの良い仕上がりではないが、それでも紫外線は充分に防げる。それに製作費はセール屋さんの多分、半分くらいの費用で納まった。生地は安いB反で作ってもらったが10数年もの間、ハーバーで雨、風そして海浜の強力な紫外線からチークデッキとデッキ艤装品を守ってきた。

c0041039_13194465.jpg 紫外線にはスッゴク強い生地だが擦れには弱い、時々は擦止めのパッチを縫い付ける。今週はバウデッキのカバーを繕う。修理箇所はカバーの外縁に細いロープが入っているがそこに40cmほど生地が破れたのを繕う。それにバウハッチのアルミ枠に擦れる部分が弱っているので内側から大き目のパッチを当てる。

 ミシンは奥様から重すぎるということで払い下げてもらったプロ用である。かっては洋裁店で使われていた動力ミシンを丈夫過ぎる架台と強力モーターを外し、ポータブルにしたのだが、モーターは小型の家庭用になってしまったので残念ながらパワーはない。
 でも、メカはオール金属製でプラスチック部品は全くないのでボクが手で加勢すれば厚手の生地を6枚でも重ねて縫え、針が折れることはない。

c0041039_132064.jpg お裁縫仕事も最近はカバーの繕い専門になってきたが、前には色々と作ってみたこともある。一番気にいっているのが右画像のフェンダーカバーだ。涙滴型のフェンダーは割りに紫外線に弱く、首に近い上部からUV劣化が進んでくる。そこで球形のカバーを素人風に作ってみた。
 まず、大まかに裁断した生地をフェンダーに被せホッチキスで仮縫いし、あと余分な部分をカットして縫いつけ、裾にロープを通したら見栄えはともかく効果抜群?のフェンダーカバーの完成だ。

 このカバーも長らく使っているが、よく見ると舫いのスプリングロープと擦れて一部補修が要る、次のお裁縫仕事になりそうである。

【関連記事】:ひと工夫 part2(シルバーシートのお裁縫)
【関連記事】:フェンダーいろいろ 

【参考資料】:「コーラル」 国産唯一のモダクリル原着染繊維を使用。きわめて優れた耐紫外線、耐色あせ性能を持ち、さらに裏側にアクリル加工を施したボートカバー用生地です。熱切断加工しなくてもほつれがほとんどなく、家庭用ミシンで縫うことができるため、自作にはうってつけ。セールカバー、オーニング、ウインチカバーその他、出来合いの製品に満足しない自作派にぴったりです。
重量:1平方メートル当り285g/厚さ:0.54mm/抗張力:縦75kg、横40kg/幅:約1.15m/縫製用ポリエステル糸付
販売価格:5mで \ 15,196(税込)舵社 通販HPより
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by pac3jp | 2009-01-21 13:22 | シーマンシップ  

冬は浅瀬にご注意!

c0041039_114830.gif 師走12月、季節は冬だが厳しい寒さはまだまだ先だ。

 瀬戸内で冬のグルメクルージングと言えばまず「牡蠣」だろう。仲間内でお一人、牡蠣が特に大好きなヨットマンがいる。彼の大好物は「焼き牡蠣の食べ放題」である。いつでも100個は食べられると豪語している。

 そんな彼が「今年も赤穂に牡蠣を食いに行こうぜ!」といっていた。ところが彼は「オンザロックの○○」と自称するほど乗り上げ経験が豊富?だ。幸い沈没に至るほどの重大な事故はなかったらしいが一度は海難審判まで行ったとか・・・。

 冬のクルージングでは寒さも大変だが、冬は年間で最も潮位が低くなる時期だといわれ海保から下記のような注意が出ているので浅瀬が苦手の「オンザロックの○○」さんに教えてやろう。


冬は浅瀬に注意!

冬は、年間で最も潮位が低くなる時期です。
潮位が低い時には、海図に記載されている水深より実際の水深の方が浅くなることがあります。そのため、冬季には浅所を十分に避けた慎重な航行計画が必要となります。
また、潮位が低い時には水面から岸壁までの高さが非常に高くなるため、船舶の係留にも十分な注意が必要です。

大阪湾において、冬季(11月~ 2月)に潮が大きく引くのは、11月15日(土)頃、12月14日(日)頃、1月12日(月)頃、2月9日(月)頃の深夜から未明にかけての時間帯で、更にこの時期で最も潮位が低くなると予想されるのは、1月12日(神戸:マイナス34cm、大阪:マイナス35cm)です。

このほかにも、潮位がマイナスになる時期がありますので、航海の際には海上保安庁刊行の潮汐表を使用して下さい。
航海を目的とした利用はできませんが、各主要港湾における潮汐の推算曲線が、下記インターネットアドレスから入手できます。

海上保安庁海洋情報部のHP
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/


 湾奥の埋立地に設置されたヨットハーバーの桟橋は充分の深さがあり、デプスで見てもいつも10m以上の水深がある。そんなハーバーでヨットを置いていると潮汐や潮流などに鈍感になってくるようだ。でもクルージングにでると、海峡の潮は早く、漁港の岸壁は潮が引くと思いもよらず浅い時もある。ハーバーの浮き桟橋のようにやさしい場所は少ない。

 日頃からよくお月さん眺めて、今日の潮も予想しておく習慣が必要かも。それと同時に海図やGPSに表示されている水深より浅くなる時期もあるわけだ、しっかり情報を集め安全にクルージングしたいもんですね。
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by pac3jp | 2008-12-11 11:08 | シーマンシップ  

ドジャーの防水強化

 クルージングヨットにとって今や必需品になった感があるドジャーだがビルダーがオプションで取り付けてくれる純正品からセールメーカーやドジャーなどキャンバス製品を専門に製作する業者まで様々なタイプのドジャーを作り提供されている。
 ドジャーがあることを前提にデザインされたデッキにビルダー純正品のドジャーが想定している条件といえども「波穏やかな季節に沿岸を数日のクルージングを快適に過ごせる程度」と規定しているのだろうか。

 風が吹き上がり、波が高くなると打ち込む海水がデッキを流れ、ドジャーとデッキの隙間から遠慮なくコクピットに流れ込んでくる。普通はここがコクピットで唯一のドライな空間なので何やらと物を置いているがやむなく移動。ドジャーの隙間にタオルを押し込み、水を止めようとするが効果なし。と、このような経験をお持ちのヨットマンは多いと思う。普通のドジャーは荒天など全く想定もしてないのだ。

 ボクのお仲間に小笠原・母島に毎年シングルハンドでクルージングしているヨットマンがいる。彼のヨットはその厳しい外洋航海の戦訓を取り入れ毎年改良され、翌年その効果が試され正式採用になる。そして、ヨットは小笠原スペシャル仕様艇としてに磨きがかかってゆく。

 今年4月、7回目の航海は並みクラスの時化ではあったが、稀に発生する大波に襲われ横転してしまった。その時、艇内では頭上からベルトを引きちぎった電子レンジが、そして色んなものが棚から飛んできたとおっしゃる。ヨットが起き上がると、寝ていたバースは棚の物品や食器の破片でもう一杯。仕方がないのでタックを変えて反対バースで一寝入れする。
 荒天の夜が明けてデッキを見ると横転のため、落水防止に張ってあるネットの水圧で2本もスタンションが曲がっている。そして、ドジャーの裾から大量の海水が打ち込み、まず裾のスナップ部分が3ヶ所破れ、ドジャー前面のボルトロープがグルーブから外れてしまったのだ。荒天の海でドジャーを失うとつらい。その後、なんとか応急的にリカバリーして航海を続けたとおっしゃる。

 今年の小笠原スペシャル艇の改造テーマのまず一つはドジャーの防水強化と決まり、工事が始まったので、度々見学させてもらった。

c0041039_9414919.jpg

画像1.出港まえのドジャー左舷側。これでも前方から海水の打ち込みには充分耐えていた。キャンバスはシリコンを含浸させ防水を強化してあるが埃は付きやすい。
画像2.ドジャー左舷裾の下から波が打ち込み取り付けスナップ部分が破損して前面のグルーブが壊れる原因になった。
画像3.ドジャーとデッキの隙間を埋める木製ベース。
画像4.コントロールラインが通る最小の穴を開けたアクリル板を長めに張りつけ同時にドジャーのボルトロープを通すタフラグを取り付けてゆく。

c0041039_94273.jpg

画像5.アクリル板とデッキの隙間を埋め防水する。ドジャーをセットし確認する。
画像6.ドジャーの裾沿いにウオーターブレーク用のチーク材を両舷共ビスで貼り付けてゆく。
画像7.ドジャー前面、アクリル板とタフラグ、それにデッキのカーブに合わせてを幅広のシートで張りつける。後からロープ用の穴を開けロープを通す。完成画像(前面)
画像8.ドジャーの裾沿いに貼り付けたチーク材の上からドジャーの下から海水が入らないようにアクリルのカバーをつける。同時にハンドレールが貫通する部分にも水止めの処置をする。完成画像(側面)

 ドジャーの防水補強が出来ましたねと、お話しをしているとコクピットに真新しいチークのバラ打ちシートが出来ていた。濡れたコクピットはお尻が濡れて気持ちが悪い、これがあれば快適だとおっしゃる。殆どオーパイなのになぜ?と思ったが、どうもインショア専門のお仲間の工事見本に作ったみたい。・・・仕事が早い!!

 来年の8回目の航海まであと半年、まだ色々と興味ある改造ネタが出てきそうなのでこれからもよろしくお願いいたしますよ。
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by pac3jp | 2008-11-14 09:44 | シーマンシップ  

ノリ網にご注意!

 毎年9月中頃になると須磨から明石海峡を越え播磨灘沿岸をずぅ~つと長く大きなノリ網群の設置があちこちで始まる。夏の間自由に航行できた海に区画漁業権をもつ漁業者たちが海面にロープを張り巡らせて自分たちのエリアを確保し始める。設置作業中は安全な航路を示すブイもまだまだ少ない。
 また、この網も毎年同じ位置で設置してるわけではないようで許可を持っている海面の中で沖に出したり岸に寄せたりして海苔がよく生育する場所に移動しているようだ。

 10月になるとロープも張り終わり黄色いブイも入っているが海苔はまだ付いてないので海面は何も無いように見える。要注意だ。

 ところが先日、ボクの前に係留している釣好きのボートオーナーが桟橋に帰ってくるなり「えらい目に遭いました!」「去年は無かったところに海苔網があって、ロープが一杯張ってあり出れなくなってしまった」とおっしゃる。彼は昼間だったので漁船の方も気がついて両手でバツ印をだし、親切に誘導してもらって無事に出れたという。

 だが、もっと運が悪かった彼のお隣さんの場合は、まだ夜が明けきらない早朝、いつものコースで釣り場に急いでいたが、まさかそんな所に海苔網があるとは夢にも思わず、ブイを見落としプロペラにロープを絡めて動けなくなってしまった。

 神戸海上保安部のHPに「海苔養殖施設への進入事故の防止について!!」
平成19・20年神戸海上保安部管内等の海苔養殖施設への乗揚げ海難発生状況】と下図が掲載されていた。

c0041039_9503261.jpg

 上の図は今年の9月26日~10月5日のたった10日間に神戸保安部管内でプレジャーボートが4件の海苔網乗り上げ海難を起こしたと、その位置を示している。この図を見ているとボクの仲間内では須磨や塩屋の沿岸で困った話は聞かないが、大阪湾で神戸港の大分沖にあるノリ網に行き当ったり、明石市の西側のかなり沖に張り出した海苔網群に迷い込んで困った経験をもつヨットマンは多い。

また、須磨~塩屋沖方面を通航するプレジャーボート等を運航する皆さんへ「海苔網(のりあみ)等養殖施設に乗り揚げないよう注意して下さい!!」というPDFの記事も掲載されていた。

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 上の図はご近所のボートが乗り上げたらしい神戸・須磨沖のノリ網の位置と灯火の配置図だが、西宮を出て、ずっと岸よりのコースを取ればここで大きく沖に出なければ網に引っかかることになる。ヨットの場合は神戸空港の沖を通過し、垂水・平磯灯台沖を目指すのでノリ網は大抵クリアできる。

 どっちにせよ、このシーズンは沿岸を航行するヨットやボートは予めノリ網の位置を調べ、見張りを厳重にする必要はあるし、港へのアプローチもショートカットは事故の元、ちゃんと大回りして直角にコースを引くことが大事ですね。

c0041039_9434993.jpg 左の画像はレスキューに曳航されるヨットと海保の巡視艇が同時に写っているが、どちらもお世話になりたくないフネですね。
 皆さん、これからは海には大きな障害物があるし、季節風も強くなるシーズンが近づいています。
 セーリングやクルージングも慎重に楽しみましょうか。

【関連記事】:お香の匂う港 淡路江井港 
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by pac3jp | 2008-10-24 09:52 | シーマンシップ