海洋環境船「Dr.海洋」

 風の弱い瀬戸内をヨットで航海していて一番気を使うことはペラにゴミを巻きつけてしまわないようにすることだ。もし、ビニール袋1枚でも巻きつけば小馬力のエンジンではすぐに漂流だ。潮は早いし、本船やノリ網など障害物も多い。寒い海でも潜って除去するしかない。

 そんな海面のゴミを回収してくれているありがたい船が海面清掃兼油回収船などだ。播磨灘や大阪湾にゴミがまったくなくなったわけではないが少なくなってきたのは実感している。

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 この船は国土交通省近畿地方整備局神戸港湾事務所と長い名前のお役所が運用する最新の海洋環境船「Dr.海洋」(07.4進水)だ。
 通常は大阪湾及び播磨灘の一般区域でゴミや油などを回収する任務をしているが広域防災訓練などイベントなどでよく見かける。

主要目

船 種:海面清掃兼油回収船  最大速力:15.4ノット
船 型:双胴型        機関出力:1.324kW×2基
全 長:33.5m        推進器:4翼可変ピッチプロペラ×2
全 幅:11.6m        回収油タンク:20立方メートル×2
総トン数:196G/T      ゴミコンテナ:12.5立方メートル×4個

 ブリッジから見学すると流石、地元の船だと思わせるようにFURUNOの最新の航海・通信機器がずらっと並んでいる。機関室のエンジンなどを4分割の画像でモニターでききる。そうか、カタマランなので機関室は2ヵ所に別れているのでこれが正解か、など感心する。
 ゴミを回収するコンテナの近くにいたクルーに「この頃、どこが一番ゴミが多いの?」お聞きすると、大和川の河口だとおっしゃる。淀川も大きな川だがそれよりもっと多いらしい。大雨や台風の時期が酷いという。10年位前、ハーバー内に隙間なくゴミが溜まりえらい事になっていたが、その年は2,640立方メートルの浮遊ゴミを回収したとパンフレットに載っていた。

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 上の画像はゴミ回収コンテナ。カタマランの中央船底に吊り下げてゴミをすくいとる。右は水質調査装置。水質、底質等を調べるダビットだ。

 ゴミは潮目に集まってくる。当然そこにはサカナも集まり、それを狙って漁師もカモメなど鳥たちもやってくる。そこで、ちょっと潮目のお勉強をしてみる。

c0041039_11282158.jpg 左の画像は大阪湾で代表的な3つのタイプの潮目(フロント)を表示しています。

■1つは淀川や大和川の沖に出来る「河口フロント」と呼ばれる潮目です。1年中存在し、海水に比べて比重の軽い淡水は海水の上を広がり、その先端に潮目が出来るのです。
■2つ目は「潮汐フロント」と呼ばれる潮目です。海面が加熱され、そこに強い潮が流れて成層が破壊された海域と、潮流が弱い成層の海域との境目に発生します。この潮目は春から夏にかけて発生し、秋には消滅します。
■3つ目は「熱塩フロント」と呼ばれる潮目で、これは冬に、低温・低塩分の沿岸水域と高温・高塩分の沖合い水塊の境界に発生します。 

 
 その潮目を捜すのは長年のカンと気象情報だろうと思っていたら、本部で「浮遊ゴミ予測システム」でシュミレーションして分布予測をしているという。それに陸上に設置する24Mhzの海洋短波レーダーでの流況観測情報を追加して予測精度の向上を目指しているとか。
 ゴミの回収にもお金が掛かりますね!
 
でも、こんな役割も担っている。

 神戸大海事科学部では阪神大震災の教訓を生かし、海上ルートで人工透析患者を搬送するシステム作りを進めている。
 その支援システムでは、大阪湾沿岸で災害が発生した場合、同大学がGPSや衛星携帯電話を使って各自治体に連絡。治療可能な医療機関を探して登録された船舶で患者を搬送する。
 登録船は、同大学の練習船「深江丸」や、国の海洋環境船「ドクター海洋」、大阪市の広報船「夢咲(ゆめさき)」など。

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by pac3jp | 2008-07-04 11:38 | 特殊船  

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