日本丸のチークデッキと無線室

 チークデッキといえば日本丸などの帆船上で大勢の練習生が並んでデッキを磨いているシーンを思い浮かべる人は多いだろう。
 セレブ派は豪華客船のプロムナードデッキかな。

c0041039_10553552.jpg ヨットやボートでもコクピットやデッキにソリッドのチーク材やチーク合板が張ってあるフネはある。「チークデッキはボウズリ(デッキブラシ)で磨いたらアカンで!」と先達から教えられた。でも、手入れの方法がオーナーによってまちまちなので中には無残な状態にしてしまうフネも出てくる。

 
 練習帆船のデッキ磨きには椰子の実を使っているとは聞いていたが、外観から想像したら堅そうなので、大勢のクルーがゴシゴシやればかなり分厚いデッキでも摩滅するんではと不思議に思っていたが、見学してみると1985年進水で23歳の日本丸でもキレイなもんですね。

c0041039_10562315.jpg 近くにいた士官にお聞きするとデッキの厚さは5cmはあるでしょうとのこと。椰子の実で磨いたくらいでは減りませんよと、実物を見せてくれたが、ボクも触ってみてガッテンした。デッキブラシよりズット細かい繊維がぎっしり詰まったデッキには優しそうな道具だ。これは遠洋航海でハワイに寄った時に仕入れてくるらしい。

 それより、「汚れた時には石で磨くのでそっちの方では減りますね」とおっしゃる。 どんな石だろうと思っていたら大阪市の「あこがれ」のデッキにカットした椰子の実と15cm×15cm×厚さ10cm位の砥石が置いてあった。これだなと、納得した。
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 船尾よりの右舷デッキを歩いていると、どこからか、かすかなトンツーの音が聞こえてきた。もう大分前にGMDSSの発効でモールスは使わないようになっているのにぃ・・・と思いながら音の出ている方向に行ってみると左舷の無線室から聞こえてくる。
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 中を覗いてみると当直の通信士が事務的なお仕事をされている。モールスは頑丈な架台にセットされた無線機から聞こえてくる。そして、手前の机にはいまだ現役らしい「電鍵」が載っている。

 一緒に覗いていたオバサンがトンツーを聞きながら「SOSはこれでするの?」と質問した。
 通信士氏は笑いながら「遭難通信などは人工衛星をつかったシステムでやっています」 「いま、流れているモールスはアマチュア無線ですよ」とおっしゃる。

 そうなんだ。ボクにとっては“とっても難しかった”和文のモールスを自在にこなすプロの仕事は、全ての船舶がハイテク通信システムに変り不要になってしまったのだ。
 いまではかってのプロたちがトンツーでお喋りする場所はアマチュア無線の世界だけになってしまったようだ。

 船ではモールス符号を今でも、発光信号などには使うとおっしゃるが軍艦ならいざ知らず、商船ではきっとVHFでしょうね。


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by pac3jp | 2008-07-02 11:13 | 帆船  

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