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セルフタッキングジブのクリュー

 あるとき、ボートショーで売れ残って近くに係留している「ハンゼ34」のファーリングされたジブのクリューに付いている5個のクリングル(鳩目)はなんためにあるんだろうと聞かれたことがあった。

セルフタッキングジブのクリュー_c0041039_3224682.jpg 普通のヨットではジブセールもメンセールもクリューにあるクリングル(鳩目)は1個だけである。急に聞かれても「はて・・・?」と思うが何もでてこなかった。でも、どこかで同じように作られたクリングルを見た記憶はあった。

 このヨットの場合、1本だけのジブシートは上から2番目のクリングルにつないである。

 想像力を働かせて推理をしても大していい答えも出そうにないので、知り合いのセールメーカーに聞いてみた。
 それはセルフタッキングジブのクリューに通常ついていてジブシートのシーティング角度を調整してセールを効率よく展開する為にいずれかのクリングルを選んで使うのだと教えてくれた。

 そうか、ジブのリーダーの機能があの上下に並んだクリングル位置なのだ。でも風が強くなってきてジブをファーリングし、少し高目の角度にしたい時にはリーダー場合はカーを前へ持っていったらOKだが、このシステムではジブシートを上へ結び替えなくてはならない。

 メンドクサイもんですねと言うと、クルージングで乗っていて調整する人は少ないですとおっしゃっていた。そりゃーそうだろう。ジブのリーダー位置が調整できてもそのまま走っているヨットもよくあるからね。

セルフタッキングジブのクリュー_c0041039_3165365.jpg セルフタッキングジブは名前のとおり、タックの際は舵を切るとジブは勝手にタックしてくれる。ジブシートを入れ替え、ウインチで巻き上げる手間は必要ない。省力的ではあるが、半面ジブのエリアが小さく、メンが大きくなる。追っ手でジブのみの帆走ではパワーがでないなどマイナス要因もある。画像はハンゼ34のセルフタッキングトラック。

 以前はデヘラーヨットにも装備されていたが、今はどうなっているのか知らない。このハンゼ34は微風域ではオーバーラップジブも使えるような艤装になっている。

《セール関係用語の説明》
クリュー
セイルの後方下隅の部分。 メインセイルではアウトホールを結び、ジブセイルではジブシ-トを結ぶ。
クリュー・クリングル
クリューに取り付け、ジブシートをつけるための鳩目穴。
タックセイルの前方下隅部分。メインセイルはグースネック(マストとブームの接合部)に、ジブセイルは船首のタック金具に取り付けられる。
ジブシート・トラベラー(リーダー)
シート・トラックをスライドする金具で、ここにブロックやシート・リーダーが付きジブセイルを引く位置を調節する。スライドカーとも呼んだり、全体を指してリーダーと呼んだりする。

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by pac3jp | 2008-05-16 03:25 | ヨットの艤装と艤装品  

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