初めてのスピンラン

c0041039_911079.jpg ボクのいる桟橋にも「まだヨットを始めたばっかりです」とおっしゃる新人ヨットマンが増えてきた。年代は団塊世代の方々だ。

 数年前からリタイヤした団塊世代がヨットの世界にどっと入ってくるだろうと予想していたヨットディーラーたちは彼等に見栄えがよく、値段の安い?、新艇や中古艇を売り込もうとしのぎを削っているのだろう。

 でもそのヨットは彼等が本当に欲しいヨットとは限らないのだ。ディーラーの甘い言葉と先輩や周りの思惑で決まってしまったヨットが自分のヨットライフにとって本当にこれでよかったのかと思い返すには少々の時間がかかる。

 先週末、ヨットを始めて2年になるというオーナーさんが初めてスピンを揚げるというので仲間とお手伝いに行った。彼が手に入れたヨットはCRUISINGと表示はあるが外観をみると細身のレーサーという印象の「C/R」タイプだ。以前はクラブレースに使われていたフネでスピンポールはちゃんと「カーボン製」、セールはケブラーが一式積んである。レース好きが買えばぴったりだが、レースに興味がないオーナーにはケブラーセールも「猫に小判」。でも、白いセールでも順風のセーリングは誰にとっても楽しい。手が揃っていればスピンランは最高だ。



 今朝から結構なNEのブローが吹いている。午後からはもっと強くなる予報だ。
 とりあえず、ハーバー内でスピン用艤装品を確認し、スピンをセットして揚げてみる。オーナーはブローが鳴らすリギンの音で海に出たくなさそうだったが、久し振りにスピンに触れた面々はもうすっかりやる気満々になっている。

 ハーバーを出ると既に追っ手の風、波は小さい。メンを上げ、ジブを出してセーリングを始める。N~NE15ktくらいで20ktほどのブローが入る海面だ。早速スピンをUPする。艇速がぐっと増し、ブローでは8ktを越えたとGPSを見ていたオーナーが叫んでいる。彼もはじめて見る自分のスピネーカーだ。「これは写真をとらなくては!」とデッキのアチコチでデジカメを構えている。

 ブローが入り緊張するデッキで「だれか外から撮ってくれないかなぁ!」とオーナー氏がいうと「帆船は見ている分には優雅でキレイけど乗ってる方はいつも大変ですよ!」と昔、日本丸で航海した経験もある雇われクルー氏が言っている。

 今日は岸からの風で波は小さいが、本当によく振れる風だ。
「スピンランは首が疲れるね!」とはスピントリマーの声、ヘルムスマンもマストトップの風見が頼りなので同じ感想。
 30~40分も走ると沖の目的地付近に着き、スピンを下ろし、クローズホールドのコースに入る。上りはヘルムスマンとコクピットにいるトリマーの受け持ちだ。レース中なら風上に並んでハイクアウトだが今日は適当なところで寛ぐ。

 やがて、本日の昼食場所の北港ヨットハーバーが見えてきた。風も強くなってきたので帰りのスピンランはもう無理だろう。ランチはビール片手にゆっくりとお喋りしてすごす。

 ヨットの好みは様々だ。ヨットは早くなければならないと考える人。ヨットはスピードより乗り心地が一番という人。一人で乗る人、大勢で楽しみたい人。早くて快適、大勢でも一人でも乗れて価格の安いヨットが欲しいなど欲張りの人もいる。本当に人の好みは百人百様だ。

 縁あって手に入れたヨットの個性と自分の好みを擦り合わせ、必要なら大胆な改修をも含めてしっかり手を入れ、新人ヨットマンの皆さんが長くヨットライフを楽しんで欲しいと思っている。

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by pac3jp | 2008-05-14 09:17 | ウオッチング  

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