国際VHF

c0041039_16292694.jpg つい先日の3月20日、朝日新聞「私の視点」に今回のイージス艦事故の背景に「大型船と漁船やヨット・ボートなどの小型船との間に共通の通信システムがない」ことがあると訴え、小型船にも簡単な手続きと軽い費用負担で国際VHFを開放して欲しいというヨットマンの署名入りの記事が出ていたと友人が教えてくれた。ボクは大新聞が国際VHFについて発言したヨットマンの意見を記事にしたのを見て大いに驚いた。
 世の中変わりつつあるのかな、と。



◆イージス艦事故  共通の通信システム作れ 

朝日新聞 opinion  2008.3.20

岡 敬三 (元会社経営者・小型ヨットオーナー )

海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船清徳丸が、2月19日早朝に衝突事故を起こしてから1ヵ月が過ぎた。この間、関係者の手で事故原因の究明が進められているが、背景には、発見の遅れとともに、大きさや目的が異なる船種間での交信が難しいという、日本に特有の事情があったように思えてならない。事故を教訓に、気軽に連絡を取り合える共通の通信システムを構築すべきではないか。

大型の船舶は、世界共通の規格である国際VHFという近距路用無線電話を積んでいる。国際ルーールでは常時、「16チャンネル」という特定の周波数を受信することとされ、緊急時はこのチャンネルで呼びかければ相手船や周辺の船と交信できる。

漁船の多くや小型レジャー船はこのルールの対象外だが、米国やカナダ、ニュージーランドやオーストラリアなど多くの国は、そうした船にも16チャンネルの常時受信を奨励している。共通の通信基盤こそが海難防止の基本だからだ。

そのために、米国では国際VHFと同じ規格で、出力だけを弱めた「小出力型国際VHF無線機」が1万円程度で販売されている。この無線機は無線免許の取得が不要で手数料も安いので、小さな漁船やレジャー船も手軽に利用できる。

ところが、日本はこうした流れとは一線を画し、いまも船種ごとに縦割りの通信システムを守り続けている。

日本の漁船は、国際VHFとは別の周波数帯の漁業用無線を使うことが一般的で、大型船と気軽に呼び掛け合える状況にはない。

小型レジヤー船向けには、16チャンネルを使って国際VHFとも通信ができる「マリンVHF」というシステムがあるが、高額な費用負担などが敬遠されてほとんど普及していない。

これは、88年に起きた海自の潜水艦「なだしお」と大型の釣り船第1富士丸の衝突事故で、共通の通信システムがないことが問題視されたため91年末にできた。国際VHFで使う周波数の一部だけを使えるように機能を絞ったものだが、販売されている無線機は1種類しかなく、価格は20万円近くする。電波利用料や数年ごとの再免許手数料などもかかるため、小型レジャー船のオ-ナーの多くは高額な費用負担や面倒な手続きを避け、アマチュア無線や携帯電話を使っている。

当時から、多くの船が国際VHFを気軽に使えるようにすれば海難防止につながる、という指摘があったが、関係省庁に顧みられることはなかった。

その結果、20年も前に提起された問題は、いまも解決されていない。私は20年以上にわたり、アマチュア無線機を積んだ型ヨットで国内外を航海しており、4年前の夏には、濃霧の北海道・日高沖で、30隻以上の漁船団と出くわして恐怖を感じたことがある。この時はレ-ダーに映った船団が急接近してくるのに気づきながら、呼びかけ合う手段はなく、相手が避けてくれるのを祈るしかなかった。

米国などのように、漁船やレジャー船に小出力型の国際VHFが普及していれば、私は16チャンネルで呼びかけ、こちらは速度の遅い帆船であり注意して欲しいと伝えられただろう。そうすれば、相手もレーダーに映る船の正体を理解できて安心できただろうし、衝突の予防にも有効だったと思う。

再び悲劇が繰り返される前に、日本も簡単な手続きと軽い費用負担で、漁船や小型レジャー船などあらゆる船種に小出力型の国際VHFを開放する政策に転じるべきだ。私には、縦割りの仕組みと複雑な制度が、海上交通の危険を高めているように思えてならない。


 海の上では小型漁船もプレジャーボートもごく小さいフネなので衝突事故が起これば一番弱い立場にある。航海中、大型船の航法に疑問があればVHFで相手に確認し退避する用意もできる。欧米など先進国ではVHFは安全備品の一つであってだれでも使える道具として価格も安くて普及している。ボク達だって安全が一番だと思っているし、手軽に国際VHFが使える環境が実現できれば大変うれしい。

c0041039_16273217.jpg 日本では1988年に起きた潜水艦「なだしお」と大型つり船「第一富士丸」の衝突事故で共通の通信システムがないことが問題化し日本独自のマリンVHFが出来たが出力は5Wで価格は20万円もするとかで普及せず現在に至っている。左画像がフルノの5Wで20万円のマリンVHFだ。

 ボクの周辺でも昔はハンディのマリンVHFを持っていた人もいたがこの頃はまったく見かけなくなったし、メーカー主催の3級海上特殊無線技士の講習会も開かれなくなってしまった。この通信システムすでに過去のものになってしまったようだ。

 旅客や貨物を運ぶ船舶は航行区域と大きさに準じた通信設備の設置が法律で定められていて、船の建造時にセットされトータルの船価となっている。

 一方、個人が楽しむために買うヨットやボートはオーナーの遊び方に応じた装備を後から自由に追加して行く。勿論、外洋レースなどは無線機の搭載が義務化されているので価格が高くて手続きが面倒でも装備する。でも、義務もない普通のヨットやボートに安全装備として普及させようとした時は「便利で安い」がキーワードになるだろう。

 昔、携帯電話が現れた頃はレンタルでも高いモノだった。やがて普及が進み、小型化してきたが、爆発的に増えだしたのは規制が緩和され価格が劇的に安くなってきた頃からだ。国際VHFも技適などの規制を緩和するだけで、現在国際VHFとして充分こなれた価格と思われる150ドル前後から数多く販売されている。機種はアイコムなど日本のメーカーのものも多いので技術的には何の問題もないと思う。
 実際、個人輸入のVHFを根性と努力(資金も)で開局している先達は大勢いらっしゃる。出来ないと言うのは役人OBが天下る先の利権守りがまず優先されるのかもしれない。

 この問題は前から各方面で議論されている。Webで検索するとNPO法人「海の会」などの掲示板に色んな意見が交換されている。ご参考に。
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by pac3jp | 2008-03-31 16:41 | ヨットの艤装と艤装品  

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