黒色円すい形形象物
漁船は鼓形形象物やカゴをマストから吊っているので漁労中と分る。でも、揚げっぱなしの漁船も多いみたいだが。
小型帆船の法定備品の内、航海用具には黒球(黒色球形形象物)3個、黒色円すい形形象物1個と定められている。黒球は釣りなどでアンカリングする時に1個掲げる。エンジンや舵の故障で潮や風に流され運転不自由船になると黒球2個掲げる。不幸にも船位を見失い浅瀬に乗り上げると黒球3個を上げて救助を待つ。
と、そこまでは割合分りやすいし、アンカーを打ち、釣りをしていて巡視艇から黒球が揚がってないと指摘され、お目玉をくった話は聞いた事がある。
船検の度にキャビンテーブルに並べながらこの「黒色円すい形象物」は何に使うのだろうと思っていた。ところが最近海難審判庁のWebで気になる海難審判の記録を見つけた。
「単独で機帆走中、キャビン内で食事の準備をしていて貨物船と衝突」 詳しい内容はここをクリック。
ボクの仲間でも数人のシングルハンダーはいる。貨物船と衝突しそうになった話もよく聞くし、また、瀬戸内などは風が弱く潮は早いので多分機帆走のクルージングが多いだろう。夏など行き交うヨットは殆どが機帆走で走っているが、機帆走にはちゃんとそれなりの規則があったのだが・・・。
海上衝突予防法によれば帆船(ヨット)の機帆走は「昼間航行では特別な状況下にある船を認識できる形象物」を掲げなければならないと定められている。ボクも長らくヨットに乗り、よく機帆走もしているが、うかつにもそれが「特別な状況下にある船」であるとは思っていなかった。
でも、逆に帆船以外の動力船から見ると、例えば左から来る帆船が帆走しているので進路を譲るべきか、エンジンで機帆走の場合は保持船の進路を保つべきかの判断をする表示が必要なのだ。
規則:機帆走する帆船は黒い円すい形形象物を、頂点を下にして、掲げなければならない。
規則:動力船は帆船に進路を譲らなければならない。
ただし、帆船がエンジンで航行している時は、その帆船は、普通の動力船と見なされる。
昔勉強した小型船舶操縦士教本を開いてみると、法規のページに「機関及び帆を同時に用いて推進している動力船は円すい形形象物 1個」と書かれた箇所に赤丸で印をつけていた。試験の時はきっと覚えていたのだろうが、もうすっかりと忘れていた。
全てのヨットが機帆走では、ちゃんと形象物を掲げるようになると、セーリング中のヨットに他の動力船は進路を譲ってくれるようになってくるんでしょうね。いつか・・・。
by pac3jp | 2008-02-27 10:19 | シーマンシップ