潜水艦救難母艦「ちよだ」の深海潜水装置

 先週、神戸港で川崎造船の岸壁に潜水艦救難母艦 AS405「ちよだ」が停泊していた。後部デッキにヘリ甲板があるが船体は船首楼型で一見商船型に見える。武装は付いてないようだ。でも潜水艦母艦なので潜水艦の燃料、食糧、勿論魚雷なども積んでいるはずだ。
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基準排水量 :3,650t
主要寸法   :113x17.6x8.5x4.6m(長さ、幅、深さ、喫水)
船 型  :船首楼型
主機械   :ディーゼル2基2軸
馬 力    :11,500PS
速 力   :17kt
特殊装置   :深海潜水装置一式 深海救難艇×1
定 員   :120名

 この艦は名前の通り潜水艦が沈没した時に艦や乗組員の救援に使われる艦である。海上自衛隊ではもう1隻潜水艦救難艦「ちはや」がある。この艦は今、西太平洋のオーストラリア フリーマントル西方海域で行われている「オーストラリア海軍が主催する第4回西太平洋潜水艦救難訓練」に参加している。

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 「ちよだ」の船体中央部に深海救難艇などを運用する天井クレーンらしき装置と沢山の巻き上げ装置が見える。船体には深海救難艇(DSRV)の出入りする大きなセンターウエルがあるのだろうが外からは見えない。深海を自航出来る深海救難艇は格納庫の中のようだ。
 その運用デッキの端に「深海潜水装置」(↑右画像)がある。赤いやぐらに組み込まれた人員移送用カプセル(PTC)とそのデッキ下には減圧室がある。

 このフネは海の底に沈んだ潜水艦を救援する役目なので、いわばダイバーが主役の軍艦なのだ。そのダイバーも浅い海でお魚を観察していたり、アワビをこっそりと持って帰ってくるレジャーダイバーとは違って、いざといえば300mも潜って沈艦に救援の手を差し伸べる役目がある。スキューバダイビングは30mから深くても50mだろうがそんな浅い海で潜水艦は行動しないのだ。潜水艦が活動する深い海ではダイバーは飽和潜水方式で潜るという。

 自衛隊で飽和潜水は潜水艦救難、航空救難、遺失物の観察撮影、捜索、揚収などで活用している。民間では海底油田の採掘などにこの潜水方法が用いられているが、大がかりな装置や多数の人員を必要とするため、かなり特殊で専門的なスタイルの潜水であることには変わりない。詳しくは「海上自衛隊潜水医学実験隊」紹介のWeb記事をご覧下さい。
 
 沈没した潜水艦への人員移送用カプセルであるPTCの運用は、下図参照(続艦船メカニズム図鑑より)
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 PTOの通信ケーブルと保温用の温水ホースが母艦と繋がれている。ダイバーは深度約500mにも耐えられるヘルメット(バンドマスク)とレギュレータを装備して、PTCに収容されて、現場に派遣される。ダイバーは、潜水艦の詳細な状態を救難艦に報告する役目を担い、必要に応じて支援作業も行う。これら300mの飽和潜水をするダイバーは、作業開始前に、酸素とヘリウムの混合ガスを充填したDDC(艦上減圧室)にて三日間をかけて長時間の潜水作業が可能な状態に加圧し体調調節を行う。また、長時間の作業終了後も同様に、十一日間をかけて、通常の大気圧まで減圧し体調調節をおこなうので潜水隊員は約1ヶ月間狭いDDC内で生活することになる。

15mより深くは潜ったことがない軟弱ダイバーのボクには想像も出来ない世界だ!

 時々、ロシアの潜水艦などが遭難したとの報道もあったが、幸いなことに自衛隊の潜水艦で遭難が起きたことはない。でも、もしもの事故に備え充分の準備と訓練に励んで欲しいと、思っている。
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by pac3jp | 2007-12-03 10:53 | ウオッチング  

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