新しい貨物船の船型
先日、神戸港で垂直に立ったステムとバルバス・バウがない新造のばら積み貨物船が川重の艤装岸壁にいた。
この船はパナマ船籍で、ドイツの海運会社が31隻発注したものの1隻のようで、全長190m、幅32m、総トン数31,000トン、積載量は55,000トン。穀物や石炭、鉄鉱石などを運ぶ。そして、船体は船首を細くして波の抵抗を受けにくく、従来船より燃料を節約できるという。
現在の船は、大、中、小型船舶、漁船に至るまで殆どの業務用船舶にバルバス・バウが付いている。
バルバス・バウ(球状船首)とは、船の造波抵抗を打ち消すために、水線下船首に球状の突起を設けるもので、この突起によって造られる波を用い、航行中の船体が海水をかき分ける時に生じる波と相反する波形を生じることで波を相殺して造波抵抗を抑制する。燃料効率や速度の向上を図ることができ、幅広い船型に特に有効。
そんな効果があるバルバス・バウをなくしたのはそれ以上に運航効率が良い船首だということだろう。目立つのは船首に膨らみがある垂直に切り立ったステムだ。昔の船、帆船から汽船になった頃はこんな船首だったな、と見ていると、同じ理由かどうかは知らないが現在のレーシングヨットのステムも同じような形になってきた。
好況の海運会社は同型船を大量に発注して、設計コストや艤装品の単価を下げ、合わせて安い船価で商船隊を調達する方針のようだ。港内の造船所ではいつまでも同じような船がドックで建造中のように見えるが、実はどんどんと新造船が出来ているのだと実感した。
以前の記事から:バルバス・バウ
by pac3jp | 2007-08-10 09:16 | 貨物船