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「Whisper GEN」神戸国際ボートショウ 2007 Part2

【静かに動くジェネレーター】
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 ボルボエンジンを展示していたミズノマリンのブースで面白い物を見つけた。外観はライフラフトを縦にしたような大きさで台の上に載って動いているようには見えなかったが、稼動中のマリン用DC発電機だという。100Vの電球が数個天井で点灯している。
 エンジン音がしないのでどんなエンジンかと聞いたら「スターリング・エンジン」と返事があった。どっかで聞いたことはあるがよく思い出せないが、外国の潜水艦がそのような技術を使っていたようだった・・・と、そこまでは古い記憶から出てきたが、仕組みまでは分らない。
 ミズノのスッタフに詳しく聞くと、なんとか概要は理解できた。普通のエンジンはシリンダーの中で燃料を燃やしてエネルギーを発生する内燃機関だが、スターリングエンジンは加熱・冷却したガス(空気や窒素など)をシリンダーに送り込み、そのピストンの動きを回転力に変換にて動力を取り出す外燃機関なんだ。

商品名は「Whisper GEN」。“ささやくような発電機”とでも訳すのだろうか、やかましいディーゼル発電機に較べてずっと静かなんでしょうね。そう言えば大昔に聞いたスチームエンジンの音は割合静かだった記憶がある。
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 で、凡そのシステムの概要
燃料ディーゼル→ バーナーで燃焼→ スターリングエンジン・ジェネレーター→ DC12V出力(800W)→ バッテリーバンクに充電→ インバータ→ AC出力となる。  エンジン運転に伴う熱源から温水ボイラーやルームヒーターを使うことが出来る。

 メーカーのWebに詳しい原理や装置の詳細が解説されている。また、ボートやヨットへ多くの搭載実績のリストがあった。日本の代理店によれば、まだ価格がチョット高いので実艇装備の輸入実績はない様である。スターリングエンジンは非大気依存推進機関(AIP)と呼ばれていて、運転音が静かで高出力はでないが、バッテリー充電のように低出力で長時間の運転や、暖房などで熱源の再利用が可能なのでヨット・ボートにも最適だ。でもこの展示されているタイプは小さな排気ガスの煙突がついていた。
 一方、軍用にはディーゼル潜水艦のエンジンに併設して充電しながら長時間の潜航が可能となる大きなメリットがあるらしい。



日本の海上自衛隊でも16年度計画の2900トン型潜水艦(16SS)で採用されることになっている。その狙いは、ディーゼル/電池推進機関に加え、初めて「非大気依存推進機関(AIP)」のスターリング・エンジンが搭載されることでこれまでにように潜水艦は海面近くまで浮上して外気をシュノーケルで取り込みディーゼル機関を運転して発電する必要がなくなり、頻繁に浮上して電池を充電する必要が減ることから、被探知の危険も減らすことができる。外燃機関であるスターリング・エンジンは燃焼時に大気※を必要としない。このため潜ったままでも充電が可能となる。同エンジンはスウェーデンのコックムス社製(川崎重工がライセンス国産)が4基搭載される予定だ。

世界で最初にスターリングエンジンを搭載した潜水艦を実用化したのはスウェーデン海軍のゴトランド級潜水艦だ。この艦は設計当初からスターリングエンジンによる非大気依存推進を用いる潜水艦で、数週間程度連続して潜行を続けることができる。機関が静粛である上、反響を抑える特殊な外殻を持っているため、ソナーによる探知はきわめて困難であるとされている。建造は1992年に始められ、就役は1995年から1997年にかけて行われた。現在までに3艦が就役している。現在一番艦のゴトランドは米海軍に貸与。
※酸化剤は液体酸素を使うといわれている。


「Whisper GEN」神戸国際ボートショウ 2007 Part2_c0041039_1071648.gif 昔に較べてずっと電気の消費が多くなってきた最近のクルージングヨットも常時稼動の静かなジェネレーターが欲しいフネもあるだろう。特に寒い地方へクルージングするヨットは発電しながら暖房できるシステムは絶好だね。燃料もポータブル冷蔵庫をカセットガスで動かしているイワタニの商品などもあるが、フネではガスよりもディーゼル燃料の方が安全だし備蓄も多い。
右の図はヨット内の機器配置のイメージ図です。→
(クリックすれば大きくなります)

 初物装備に興味のあるヨット・ボートのオーナーさま、一度お試しになったらいかがでしょうか?

by pac3jp | 2007-04-11 10:30 | ヨットの艤装と艤装品  

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