ジャイロ・スタビライザー

 人々は大昔から船乗ってきた。船の設計者達は船酔いをしない快適な船を求めて幾多の挑戦をしてきたのだった。そして時代はプレジャーボートなど小型船舶までもその恩恵を受けられるようになってきたようだ。

 新しい45フィートのモーターボートにジャイロを2台付けようか、という話を聞いた。その装置でボートの揺れを抑えて快適に走ろうということだろう。ボクはてっきりジャイロを利用したフィンスタビザイザーをつけるのかと思って聞いているとジャイロの重さが130kgもあるという。また、そしてそれを据え付ける場所がないとか言っている。フィンスタビライザーのジャイロは半導体センサーなのでケースを入れても1kgくらいだろう。どうもおかしい。さらによく聞くとモーターで円盤を回すものだと聞いてやっと分った。昔からある地球コマを利用した装置だ。普通の本船ではジャイロコンパスが装備されているが、同じような原理で動く仕組みなのだ。

船舶の安定化装置(ジャイロスタビライザー)

c0041039_911813.jpg ジャイロは、トルクを発生させることから船の動揺を防ぐための制振装置として使われている。図のように、ジャイロの外枠支持部が船の船体に固定されており、図のY軸周りに回転できるように支持されている。ジャイロの重心はY軸よりも下側にあって、コマはGX軸周りに高速回転している。
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 このジャイロスタビライザーは日本海軍が世界で最初(1928年)に当時最新のアイデアを盛り込んで造った空母「鳳翔」(排水量7470t)に搭載された。90tもある鉄の円盤を高速で回し、艦体のローリングを抑え、艦載機の発着が容易になるように装備されたそうだ。でもこの「鳳翔」は空母としては船の大きさが足りなく実戦では活躍できなかったらしいが、荒天航行時のローリングが少なく乗組員には好評だったと記録にあった。
 現在の海上自衛隊は空母は保有していないが、ヘリを運用する護衛艦はすべてフィンスタビライザーを装備している。

 数年前から三菱重工が船酔いの原因となる横揺れを防止する装置「アンチ ローリング ジャイロ」(以下ARG)を世界最大の豪華ボートメーカー イタリアのフィレッティグループから140台受注、順次納入した。と同社のWeb広報されていた。 以下はその抜粋

フィレッティグループは初めてARGを採用することから、社有艇「ナベッタ 30」(カスタムライン社製、全長約30メートル)にARGを搭載、半年以上にわたり米国製フィンスタビライザーとの間で減揺効果を比較検討してきた。加えてカンヌ、モナコ、ジェノバなどの国際ボートショーで市場調査を行い、最終的にARGが優れていると評価、採用を決めた。
このARGは航行中の船舶の揺れだけでなく、停船時の横揺れまで減少させることに成功した世界初の装置。船舶のどこに取り付けてもその減揺効果は有効なため、既存船への取り付けも可能という特長をもつ。
ARG を1台から複数台搭載することにより、排水量5トンから最大500トンまでの船舶の横揺れを抑えることができる。国内では、各県の漁業取締船・調査船、自治体の旅客船などに220台以上の納入実績がある。
当社は、今後の輸出市場としてボートメーカー向けだけでなく、各国の沿岸警備艇・警察艇などにも拡販を図っており、現在イタリア警察のプロトタイプ艇で評価試験中である。


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で、その広告コピーは・・・
◎フィンスタビライザーとは異なり船内に設置します。
◎停船時の横揺れを減揺します。
◎プレジャーボートから旅客船まで減揺致します。
◎既存船から新造船のどこにでも取付可能です。
◎電源さえあればスイッチを入れるだけで作動します。

 そのモーターボートには2台乗せると聞いたので三菱の一番小さい500型かもしれない。カタログを見ると思ったより電気を食わない。標準のジェネレーターでも賄えそうだが、↑画像の2000型で3.1kw AC 3φ200Vとなっている。

 セーリングクルーザーではヒールするのが普通の状態だが、そのヒールが嫌いなヨット乗りも時々いる。彼のヨットにはこの装置が有効だろう。風上航のヒールから追っ手のローリングまで随分減らせるだろう。でも3相200Vの電源と船に見合うい大きさのジャイロスタビライザーの置き場が問題だが、まぁ、メガヨットクラスなら充分可能かも・・・。



参考:以前の記事から「フィン・スタビライザー」    
          「フィン・スタビライザー part2」
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by pac3jp | 2007-03-09 09:33 | ボート  

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