キールに付ける保護亜鉛(ジンク)

 少し前にヤードで作業中の大型アルミヨットの深いキールを見ていてなんか変な金物が付いているなと思っていた。昔、キールにトリムタブをつけていたヨットの話を聞いたことがあるが、それかなとも思うがヒンジに当たる金具が一つでは駄目だしなぁ・・・。普通キールの表面はつるつるに仕上げるものだ。乱流を起す突起物などとんでもない。でもこの元レーサーはボルト穴が開いたプレートが後ろエッジに付いているのだ。(後ろならOK?)
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 作業中の人にお聞きすると「ジンクを付けるところです」とおっしゃる。ヨットのジンクは一般的にはプロペラやシャフトに付けられているのにね。よく見ればその4mもありそうな細くて長いキールの先端に大きくて重そうな鉛のバルブが付いている。そして船体とバルブをつないでいるには特殊鋼のストラットだ。そしてバルブのすぐ上辺りにプレートが付いている。そうか、船体はアルミだがキールは鉄と鉛で出来ている。その電食を防ぐジンクなんだと思いあたった。

 普通、金属製の船体はしっかりと分厚く塗装されている。アルミのボートは停泊中デッキからジンクのワイヤーを何本も海中に垂らしているし、スチールのボートはスターンに特大のジンクをつけて電食の防止を図っている。

 二種類の金属が海水中に浸かると電気が流れ、陰極になる方の金属が電食することはよく知られていて、鉛と鉄の場合は鉄が減ってくる。
 ボク達が乗っているFRP製ヨットの船体は金属ではないので船体の電食は起こらない。でも海中に出ているプロペラ、シャフト、スルハル、ラダー金具など防水できない金属部品を保護亜鉛を付け電食から守ることは必要だ。キールは鋳鉄や鉛で出来ているが、FRPで巻かれ海水から絶縁されていたら電食はおきないだろうが、経時的変化や座礁などで防水層が破壊されたら鉄キールはサビが発生する。多分電食も起こり、ジンクの消耗が増えるのかもしれない。だけどキールが電食で減って無くなってしまう心配は全くない。

 一般的な電食はジンクがなくなるとゆっくりと、しかし、しっかりプロペラやスルハル・バルブを腐食させるが、陸電からの漏電は適切なアースや保護回路がないと「あっと言うまにスルハルは溶けて無くなりフネは沈没だよ」と、この道の先達によ~く聞かされている。どっちにしろ見えない電気はややこしくて難しい。ご用心!ご用心!
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by pac3jp | 2007-02-07 09:37 | ウオッチング  

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