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重排水量のヨット

 前回ヨットの「排水量/長さ比」について我艇に当てはめて計算してみたが、ヨットの係数はもう一つある。それはセール面積と帆走性能を関係づける数値に「帆面積/排水量比」がある。この数値はさきの「排水量/長さ比」と並んでヨットの仕様としてカタログ等によく表示してある。

 「RSAT/DSPL^2/3」の方は帆面積を排水容積の2/3乗で割ったものだ。 排水容積の2/3乗を使うのは、船体に働く水の抵抗がこの容積の2/3乗にほぼ比例するからで、この比が大きいほど、前進抵抗の割に帆にかかる推力が大きく、したがって高い速力が期待できる。
この比が14は少な目の帆、16は普通、18でやや大きい帆と言われている。(スピン・ナ・ヤーンより引用)

 ボクのヨットは「排水量/長さ比」はカタログ数値で321 満載時は435となりかなり重い。同じく「帆面積/排水量比」はカタログ値で18.20でやや大きめ、満載時は14.64でやや少なめのセールエリアになる。

重排水量のヨット_c0041039_165511.jpg 昨日、ダナ24のオーナーと後進の操船についてお喋りしていたが、このヨットもフルキールで重排水量タイプのフネだ。ちなみに同じくカタログ数値から計算すると「排水量/長さ比」 362、もし、1トンの積載があるとしたら462となる。そして「帆面積/排水量比」はカタログでは14.4、燃料+水+乗員=500kgを加えると12.98になるので全体に小さめのセールエリアといえるのだろう。

 重排水量のヨットが微風でも充分なスピードを稼ぐには大きめのセールエリアが必要で、そのためには長いバウスプリットを突き出し、大きなジブを揚げることでセールエリアを稼いでいるのだ。dana24も1mほどのバウスプリットがついている。有名なファルマス・カッター29などはデッキ長は29fだが全長は40f近くある。ご近所のフジ32タイプも長いバウスプリットを持っている。

 でもこのバウスプリットは都会のヨットハーバーではちょっと辛い思いをしている。ハーバーの経営者は何故バウスプリットが付いているのかその意味が全く分ってないのだ。ここ新西宮ヨットハーバーでも係留料の計算は付属物も含めた全長で料金を計算する。知り合いのオーナーも船体長さは40fで12m級なのにバウスプリットがあるので年間40万円高い15m級の係留料を取られるのが嫌で、デッキ長で計算してくれるマリーナに替わっていった。
 dana24のオーナーも9m、30fの料金を払っているとおっしゃった。ハーバーの係留料は累進料金なのでヨットが大きいほど、バウスプリットが長いほどその差が大きくなる。

重排水量のヨット_c0041039_1626694.jpg この料金システムはクラシックなヨットを持ちたいオーナーを差別しているものだし、デザイナーが設計したオリジナルのデザインからバウとスターンをカットし係留料金を意識して改造された変なフネを見かけることもある。(これはチョット違う?)

 確かに全てのヨットハーバー・マリーナが同じ料金システムではないので自分の好みの処に行けばいいのだが、そうも言えない事情もあるのでなお辛いのだろう。前にお世話になっていたところはヨットビルダーのクラス名かデッキ長だったか忘れたがヤマハ30ではバウスプリットが付いていても30f料金。牛窓YHではビジター料金は船検長さで支払った。バウスプリット分を取られた話はいままで聞いてない・・・。

 野本先生が中高年の一人乗りにお勧めの「全長約9メートル、満載排水量長さ比300、帆面積排水量比16、マストトップリグのカッターでかなり長いボウスプリットをもつことになるかと思う」と述べられているが、まず、ボクの周りではハーバーの係留料にその普及のネックがあるね。

 拝啓 ハーバー管理者殿、丈夫で頑丈なヨットは重くなるのです。高いマストの代わりにバウスプリットをつけて帆走しているのです。その分まで料金を取らないで下さいな。

by pac3jp | 2007-01-29 16:27 | クルージング  

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