ヨットの重さって?「排水量/長さ比」

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 少し前、上架ヤードに小さめの木造のヨットが上架してあった。前日はなかったので今日上げたのだろう。暫くすると作業していた人が帰ってきた。よく見ると昔からよ~く知っているヨット乗りだった。彼は大分前にそのヨットビルダーに転職し、今はもう一人前のヨット職人として働いていると言っていた。塗り残した塗料が乾く間の僅かな時間だったが、彼からクルージングヨットの好みのサイズとか乗り前とかの意見を聞かれた。


 ボクがシングルハンドで乗るときには長さは30f位の頑丈で重めのフネ(D/L比 300くらい)が好みだ。と答えた。



 ヨットがその長さのわりに重いか軽いかを示す数値に「排水量/長さ比」というのある。その数値で350以上は重排水量、300前後をやや重排水量、250を中排水量、200がやや軽排水量となる。計算式は D/L比=排水量(トン)/(水線長f)×3乗で求められる。

 例えば今乗っている艇のカタログ数値で計算してみると全長は11.3mで水線長は8.72メートル、換算して28.6フィート、排水量が7.50トンだから7.5÷(28.6× 3乗 )=0.000321となる。普通はこれを10の6乗倍して321を「排水量/長さ比」という。 

 船の重量はいわゆる完成重量に加えて乗員、帆やロープ、錨、食料、燃料、清水、その他全部を積みこんだ重さをとり、水線長もその時の吃水線の長さになる。この方式で計算すると最近の上架時にクレーンで量った船体重量は10.5トンで吃水線も多少は上がっているだろうが推定で計算すると「排水量/長さ比」は435となり超重排水量型になってしまう。

 ちなみに以前に乗っていた「スイング31」(上の画像)はざっと計算して「排水量/長さ比」は180くらいだった。確かにフネは軽くて微風でもよく走った。だが強風で波のある海面では乗り前が悪く、シングルハンドでロングクルージングするのはチョットキツイなぁと思っていた。そんなことで両艇の中間の「排水量/長さ比」をとり300くらいが良いかなと思って答えた。ただ中排水量という選択もあるがボク自身がそのタイプのヨットに乗ったことがないので何ともいえない。

野本先生の「スピン・ナ・ヤーン」にこんな文章がある。

重排水量のヨットは船体の吃水が深く、どっしりと水の中にすわっている感じで波の中の動きがやわらかだ。初めのうち腰は大して強くないが傾くにつれて復原力が増し、なかなか転覆しない。ヨットの究極的な生き残り能力を示す数値は「復原性消失角」だが、これが120゜と140゜とでは生き残り能力に大きな違いがある。排水量長さ比が300以上だと復原性消失角を140゜とか150゜にすることは可能だが、この比が250ではそれは難しいといわれている。
すこし昔風の重い船の方が最後の場面での生き残り能力が高いから安心だ。もうひとつクル-ザ-として優れた点は船体が深いから船内容積は大きく、もともと排水量も大きいから積載能力が高い。ここまではいいことばかりだが、しかし重排水量のヨットは軽い仲間のように軽やかに滑ることはできない。特に軽風のスピードはとても軽排水量にはかなわない。 風力4から5に近くなれば結構走るのだけれども。

シルバ-エイジ一人乗りには全長9メートルから10メートル、いくらか重い目の船が向いていると言ったが、この数値で言うと300前後だろうか。全長9メートルで全部積みこんだ重さ(排水量)が5トンから6トン、10メートルのヨットなら同じく6.5トンから7.5トンくらいになる。



c0041039_1033090.jpgボクもヨットで長らく遊んできてやっと野本先生がおっしゃる重排水量のヨットに辿りついた。重排水量のヨットを11年間クルージングで乗ってきたが波の中でも動きは柔らかだし、水や燃料その他の積載力も充分ありクルージングヨットとしては大いに満足している。だが、「排水量/長さ比」435のヨットは微風では軽快に走らない。でも、20ノット以上も吹いてくれば軽いヨットと同じように帆走できる。

前に小さなレースで偶然にも完全優勝してしまったこともあったのだ!!

参考:以前の記事 「ヨットのメッカのローカルレース」
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by pac3jp | 2007-01-26 10:14 | クルージング  

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