karano7 艇名の由来

 新しくヨットを持とうとしているとき、そのヨットの名前をどう付けるかは本当に楽しい悩みである。ご近所のヨットのオーナーに由来をお聞きすると、① 奥方のお名前 ② 娘さんの名前 ③ お孫さんの名前 ④ 飼い犬の名前や犬種名 ⑤ 思い入れの深い楽曲、地名、その他 ⑥ 星・星座名 ⑦ 縁起の良い軍艦名なども多いのだろうか。あと、ユーモア系、おふざけ系の名前もある。 昔の彼女の名前・・・これを艇名につける度胸のあるオーナーは今時少ないだろうネ。

 南極探検で有名なシャクルトンのエンデュアランス号はシャクルトン家の家訓「不屈の精神(エンデュアランス)によって勝利する」から取ったそうだが、我が家にそんなカッコいい家訓は勿論ありはしない。

 ボクは ①~③の艇名はチョット気恥ずかしい。⑤は昔に2度も使ったことがある。だが今度の艇名は出典が明らかで、ちゃんと説明できる名前にしようと前から思っていた。そして、歴史上のあるいは日本の神話から名前をつけようと調べていると古事記に丁度、大阪湾と淡路島と琴の3ツのキーワードでつながる船の名が出てきた。

「古事記」下巻 仁徳天皇の章で、《枯野》 という速く走る舟のはなしが出てくる。

 この御代に、兎寸河の西に一つの高樹ありき その樹の影 朝日にあたれば淡路島におよび、夕日にあたれば高安山を越えき この樹を切りて船を作りしに いと早く行く船なりき 時にその船を名づけて枯野と謂ひき この船を持ちて 朝夕に淡路島の清水を汲みて、大御水、献き この船破れ壊れて塩を焼き その焼け残りし木を取りて琴に作りしに その音七里に響みき ここに歌ひけらけ

【この船を使って朝夕、淡路島の清水を汲んできて、天皇のお飲みになる水として献(たてまっ)。長いことたってこの船もようやく壊れたので、塩を焼く薪にした。その焼け残った木で琴を作ったところ、その音は遠くまで響き、七つの村に聞こえた。そこでこんな歌がうたわれた。】

枯野を 塩に焼き 
其が余り 琴に作り かき弾くや 
由良の門 門中の海石に 
触れ立つ 浸漬の木の さやさや 


【船の枯野で塩を焼き その余りで琴を作ってかき鳴らせば
 由良の門(紀淡海峡)の隠れ岩に 生えている藻のように さやさやと鳴りわたるよ】


 このようにボクが長くヨットライフを過ごしてきたエリアと「琴(筝)」が筝曲を奏でる演奏家であるパートナーとも関わりがあることもあって枯野と命名する事にした。でも「枯野」は読みにくいので表示はローマ字の「Karano7」にした。登録名はカタカナで「カラノ七」。末尾の数字は今まで大小、共同も含めて8隻のフネに乗ってきたが、今のラッキーセブンの7が気に入っている。

でも、このお話しの最後が、いつも心にチョット引っかかるのだ。

 枯野を 塩に焼き 其が余り 琴に作り・・・

Karanoは最後に「お琴」になってしまうか、いや、されてしまうのだろうかと・・・。

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画像は古事記伝承の名水 淡路島・佐野 御井の清水
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by pac3jp | 2006-09-22 10:19 | 徒然に  

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