フネがないヨットレーサー

 週末の夕方、この暑いのに上着とネクタイを締めたビジネスマン風のおじさんと彼より少し若い二人連れがボク達がたむろするヨットのコクピットにやってきた。ヨットレースの世界では有名なレーサー「の○ーぞ」のオーナーと彼のフネの先任クルーだ。同じハーバーにいるがヨットの遊び方が違うので殆ど出会わない。

 実は今、彼ら(オーナーだけだが)が乗るヨットはないのだ。オーナーが新艇に乗り換えようと思う動機は様々だが、新艇が入ってくる時期に合わせてタイミング良く今乗っているヨットが処分できれば良いなと思っている人は多い。中古艇の場合は現物を見て決めるのでその納期は比較的短い。でも、世界的に人気のある新艇を手に入れようとするときは「最低2年待ち」とディラーに言われたと聞いたこともある。

 彼の新艇はデンマークのヨットビルダーに発注しているが納期は1年、進水は来年の6月らしい。本当なら今まで乗っていたフネをもう少し乗ってから余裕をもって売却の準備をしたかったようだが、すぐに買い手がついてしまったのだ。ヨットも我が家の娘と同じである。「番茶も出花」、あるいは貰い手がある時が売り時でもあるのだ。オーナーの決断は早かった!

 ボクはこれと全く反対の状況に嵌ってしまったことがあった。発注した新艇は着々と建造が進み、予定の期日に進水できることになっているが、今まで乗っていたヨットが中々売れないのだ。中古ヨット市場に同型ヨットが数艇売りに出ている。購入希望の問い合わせはあるが、契約までまとまらない。そうこうしているうちに新艇が入ってきた。マリーナには2隻分の係留料は支払わなくてはいけないし、それなりの掃除や整備も欠かせない。結局半年くらいたち、価格は安く買い叩かれてしまったが2隻のオーナーから脱却できたときは本当にホットしたもんだった。

c0041039_9422851.jpg でもそういえば彼はこの前も今、ヨットがないと言っていたなぁ。昔はヨットセールスの経歴もお持ちなのでやっぱり売り払うのが上手なんでしょうね。

 コンピュータグラフィックスを見ただけで発注した新艇の来年のレース計画はと水を向けると「そうやなぁ まず、東方面から鳥羽レースに勝って、東京カップも頂いて、帰って久しぶりの阿波踊りレースでも・・・」と勝ち星を指折り数えていた。取らぬ狸の皮算用ともいうが、ご本人曰く「日本一の嫌われヨットになってしもうた!」とおっしゃる。口の悪い昔仲間はどさ回りで・・・とか言っているが「悔しかったら勝ってみな」と返されるとぐうの音も出ないかも。

 レース界のことは良く知らないが大型レーサーでも外洋レースはせずブイ回りしかしないヨットもあるそうだ。ヨットの性能は良くなっても乗り手の意欲や、厳しさや辛さに耐える「根性」とかいったものが若い人達になくなってきたのでしょうかね。

 勿論、ボクもとうの昔にそんなものは無くなってしまっているけど・・・。
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by pac3jp | 2006-08-30 09:48 | ウオッチング  

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