南紀ビックファイトトーナメントの余禄
翌、日曜日は待遠しかった梅雨明けだ。晴天で微風だが、大勢ボート・ヨットがハーバーから出掛けていった。ボクは神戸空港の高速船桟橋と神戸港西の兵庫運河南出口と、同じく遠矢浜町と吉田町に挟まれた水面の偵察に行くことにした。偵察が終わり、西の須磨方面へ向かう。須磨海岸沖から暫く沖へ。あと、ぐるっと回り微風のセーリングで東にコースをとる。追手の風なのですごく暑い。マストの前に回り、セールの日陰で休むが、今日梅雨明けしたばっかりなのに、最早秋風を待っている自分に驚いた。
ハーバーに帰り早速水浴びをするが、ホースの水は温水だった。でも何となく涼しくなった。ハーバーウォークに止まっているクレーンのブームは立ったままだ。カジキは未だ帰ってないらしい。
やがてトーナメント参加旗を掲げた最初のボートが意気揚々と帰ってきた。クレーンで吊り上げお立ち台で100kgの獲物と並んでインタビューを受けるオーナーの嬉しそうな、そして晴れがましい笑顔。ヒットしてから40分間ファイトしたそうだ。見物の皆さんも拍手をおくり健闘をたたえる。カジキはお立ち台から降ろされ魚拓取りが始まった。2mを越える大物だ。ハーバー職員が大勢で作業にあたっている。
セレモニーが終わった獲物は角と尻尾が切り取られ、解体が始まる。解体はプロの職人が当たる。鋸と刀のような包丁と大きな出刃包丁が道具である。内蔵を取り、頭を切り取り、二つに切り分け、トロを外して大きなブロックになる。この魚は釣ったオーナーの物だがオーナーによっては自分が必要な分を取った後の部分は見物している人たちに分配してくれる。見物人はこれを目的に集まっているので、次々揚がってくるお立ち台のインタビューを見るより、今真に解体中の作業に興味が移ってしまっている。2隻目のオーナーの釣ったカジキのほうが10kgも大きかったが、注目度は低かったね。やっぱり待っている時に一番に帰ってくる船の注目度は高いね。
ボクも「ハイ、これバター焼き用、500円!」と、かけ声をかけられて一切れ貰ってきた。カジキマグロは美味しくないとの定評だが奥さんへのお土産にしようと思い大事に持って帰る。
このハーバーにもアウトリガーと大きなツナタワーを持ったフィシャーマンが多数係留しているが、ヨット乗りとの接点は余りない。話しには聞くがどんなおっさんがやっているのかまったく知らない。でも、こうして地元の人達も通行する公共の岸壁で表彰と漁獲物の分配をする事はボートの遊びも理解してもらえるし、ボク等は彼らの顔も見れる。
そうか、このマグロの一切れはフィシャーマンからご挨拶の名刺代わりだったのか!
でも、毎年夏のこの催しは大変いいイベントだとボクは思っているのだ。
by pac3jp | 2006-08-02 08:52 | ボート