排気管からエンジンへの浸水

 エンジン内に海水が浸水する原因としては、冷却水回路のサイフォン現象によるものと、セーリング中に大波などでエキゾースト回路から海水がエンジンに逆流する場合と、大きくは二つの原因があると言われている。今回は後者、エキゾーストからの浸水を考えてみる。

c0041039_10145211.jpg ヨットのトランサムに排気口が付いているタイプのヨットは追い波の中をセーリングしていると海水が排気管を通ってエンジンのシリンダーまで浸水してエンジンの始動がしにくかったりシリンダーを傷つけたりする場合があると聞いている。大阪在住の大ベテランセーラーの書かれた航海記「列島ぐるりヨットの旅」の記述の中に、出港し、暫くしたらエンジンを止め、セーリングに移るとすぐに排気管に栓をすると書かれてあった。 多分、排気管からの浸水に悩まされていたからだろう。

 航海記によると福岡・芦屋港を出て風速15mクォータリー、波4~5m、玄界灘を快調に壱岐・石田港を目指して航海していた時、出港時の忙しさに取り紛れて排気口に木栓をするのが遅れてしまった。追手の風でかなりの速度が出ている。気がつくとトランサムが排気口まで含め1/4位まで没水していた。

 目的の港に近づき、エンジンスタートボタンを押すが「グィッ」といって予想通りエンジンは掛からない。シリンダーまで海水がはいってしまったのだ。さあ、困った。シングルハンドで初めての港に入るときエンジンは必需品だ。航海記はこれから著者が苦労してシリンダーに入ってしまった海水を排出するくだりが書いてあるが、これは省略。

 確かに排気口からエンジン本体へ、それもシリンダー内部まで海水がセーリング中に浸水するのはちょっと考えただけでは不可能の様に思うが、YS12など横置きタイプのエンジンや水線下に据え付ける場合が多いクラシックタイプのヨットにはよく起こる現象らしい。排気口下面と喫水線が殆ど同じ高さのモーターボートでは係留中に他船の引き波でエンジンに浸水した事例もあったそうだ。

c0041039_10163139.jpg 船尾から打ち込んだ海水は逆Uループにされた排気ゴムホースを通過し、ウォーターロックも越え、ミキシングエルボから排気マニホールドに至り、エンジンの排気弁の隙間からシリンダー内に浸水するのだ。エンジンを始動しようとするが回らなかったり、クランキングが固いように思うなどで、多分この現象の発見は早いので対処は速くできるだろう。

 対策はミキシングエルボを喫水線より上に持ってくる事だが、トランサム近くの排気経路にビータスの逆流防止トラップを入れることも効果的だ。野本先生によるとウオーターロックに排水弁を付け、セーリング中は開放していたと、ご本にある。この場合は打ち込んだ海水はビルジに出て、増えてくればキャビンが水浸しになるから気がつく・・・。

 いつもお世話になっているメカニックさんによると、ウォーターロックも船尾で排気管を逆U字に立ち上げてないフネも時々あるとの事。一度も見た事のない方は、これを機会にエンジンからの排気経路をご自分で確認されたらいかがですか。

 最近のヨットはトランサムに排気口がついたタイプは少なくなり、左右のスターンサイドに設けられたタイプが多い。ボクのフネも近頃は機帆船タイプの運用が多くなり、燃料費の高騰は心配だが、こちらの心配は少ないだろうと思っている・・・。
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by pac3jp | 2006-07-10 10:22 | シーマンシップ  

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