レーダーリフレクター

 数日前、濃霧の播磨灘、本船航路沿いの富島沖で大型カーフェリーと小型底引き漁船が衝突したと新聞の記事に出ていた。双方に怪我人は出なかったが、漁船は航行できなくなり僚船に曳かれて帰ったとあった。衝突の原因は未だ不明だが大型カーフェリーのレーダーに漁船が映らなかったのだろうか。この海域は西側に有名な浅瀬「鹿の背」があり、淡路との狭い海域に明石海峡に向かう本船航路が通っている。勿論、漁船も多い。ボクたちも四国方面にクルージングする時の常用航路でもある。

c0041039_9143578.jpg 港にいる時に濃霧が発生していれば霧が晴れるまで出航しないが、航行中にガスが出てきたら大変だ。レーダーがあれば自分で付近の障害物をしっかり見張る事もできるが、もしなければ、レーダーを装備した本船から自分のヨットを見つけてもらわなくてはならない。FRPで造られたヨットやボートはレーダーに映りにくいといわれている。そこで、レーダーリフレクターの出番になる。ボクもシュラウドに50Φ×520mmのヨット用レーダーリフレクターを付けているが、カタログによると、レーダー反射面積は2㎡らしい。JASF-SRによれば10㎡が必要でとあると規定されている。ヨット用では頼りないので船検備品のアルミ8面体のリフレクター(多分6㎡)を上げたこともある。

 船検では沿海区域を航海するヨットはレーダーリフレクターを安全備品として必ず装備しなくてはならないとして定められている。
 小型帆船で、レーダー反射器(最高レーダー断面積が6㎡以上のもの又はいかだのぎ装品として備え付けられるもの)を備え付ける場合は不要。と、レーダートランスポンダーの代用に認められているが、レーダーリフレクターの必要面積の規定は法定備品のリストからは見つからなかった。通販の某マリンショップによればプラチスモのモデルは全部をJCIが認めていると表示してあるが、詳細は確かめてないので不明。

 外洋ヨットレースのJASF-SR 2005-2006の規定では 8面体のものは対角線が少なくても456mm以上。その他の形状のものは断面積が10㎡以上なくてはならない。そして、レーダーリフレクターが機能する最小有効高さは海面上4mである。

 それに、ヨットからの最も効果的なレーダー反射はRTE(rader target enhancer)を使用することによって得られる。この装置はレーダーリフレクターに補足して装備されると良い。RTEはITU-R1176の推奨に適合する。RTEの使用を強く推奨する。と書かれている。

では、RTE(レーダーターゲットエンハンサー)とは何だと調べてみると、

英国などでレーダ電波の反射波を増幅させる装置が市販されている。
これはアクティブなレーダーターゲットエンハンサと呼ばれている。
構成は、送信アンテナ、受信アンテナとマイクロ波増幅器から成り、
レーダ電波を受信するとそれを単に増幅して送り返す装置である。
「受信した舶用レーダ電波に応答して受信信号を単に増幅し、自動
的に送信するもの」と規定されている。従来のレーダレフレクタに
代わって、航路標識やその付属施設としても有効な利用が期待され
ている。小型で簡便であることからさらに用途が広く、魚網ブイや
海上構造物等へ幅広い利用が予想される。

 なるほど、FRP製小型船など大型本船のレーダーに映りにくい船舶の、夜間や濃霧中の航行にはもってこいの装置だ。でも、日本の電波法では難しい手続きがいるかもしれない。電波を発射する装置は「無線局」である。よって、電波の質はこうこうではなくてなならない。当然、電波を出すので電波利用料も納めてもらう・・・てなことになるのかな。安全な航海の為のレーダーやVHFを検定というガードを作り、アメリカで買える同等品が数倍の値段でないと当の生産国で買えない矛盾が今もある。

 でも、このような装置が安く提供されるようになれば我々のクルージングには大いに助かる。出来るだけ早く輸入されて使えるようにして欲しいものだ。


(参考文献)
JASF-SR 2005-2006:JSAF 外洋 特別規定2005-2006 モノハルおよびマルチハルの外洋レーシングヨットにおける構造上の特徴、ヨットの装備品、乗員の装備品および訓練の基準
イラスト:サクセスフルクルージング Vol.2 舵社
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by pac3jp | 2006-06-30 09:17 | ヨットの艤装と艤装品  

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