旅の出会い

 9月17日~19日の3連休のクルージングで前から気に懸かっていて、一度は入って見たいと思っていた備前片上港を訪れた。
 日生港の手前の「かたかみ2」の赤ブイから西へ変針。島と陸地に挟まれた浅くて狭く、途中でクランクになった航路を海図で水深とブイを確認しながら辿って行く。海図でも煙突のマークが多いが、岸沿いには耐火煉瓦の会社が軒を連ねている。5マイル半、1時間くらいで正面に古びて寂れた岸壁が見えてきた。当然、沖の防波堤はない。10ノットの追手でアプローチする。
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 初めて入る港、岸壁で作業をしている人に声をかける。「こんにちは。今晩一晩どこか留めるところはありませんか?」とその土地での第一声を発する。「向こうの岸壁の端が空いているので着けたら良いわ」と具体的に場所が指定されたら一安心だ。舫いを取り、デッキが片付いたらとりあえずほっとする。周りを観察するとコンクリートや鉄骨パイプ製の煙突が13本見える。この町の産業構造が想像できた。
 暫くすると港を散歩する好奇心がありそうなヒトから声がかかる。「どこから来たの?」・・・そんな風にして、地元の人達と会話が始まる。

 港の前を通る幹線道路からマストが見えたのか、魚釣りでも散歩組でもない人が岸壁に来てヨットを眺めていたが、やがて声をかけてくれた。コックピットに招いてお話をお聞きすると彼はかって、この付近の泊地に27fのモーターボートを持っていたそうで、海の遊びは良くしたようだが、ヨットは余り見たことがなかったのか、デッキやキャビンを見渡してクルージングヨットに興味がありそうだった。

 しかし、それ以上に彼の興味を引いたのは我々中年2人の職業についてだった。3連休の中日に遊んでいるのは大抵は普通の堅気の仕事をしている人に見えるだろと思うがそうは見えなかったのか、興味深々の感じだった。彼は隣町の備前市伊部(いんべ)に住む備前焼の作家で、門外漢のボクに備前焼の粘土の採掘方法から窯の焼き方まで詳しく説明してくれた。クルーは岡山県人なのでそれなりの基礎知識はあるようで会話にはなっている。

 一番記憶に残ったのは、この焼き物は釉を使わないで焼くので炎と灰がデザインのポイントらしく、主な燃料は松材だが、アクセントに他の木材も混焼して焼き物に味を出すそうだ。そこで、その木材を安く、あるいは産排として無料で手に入れる苦労話に花が咲く。あるとき四国の田舎でウオールナットかクルミのチップが手に入りそうなので出掛けてみると、工場の片隅から銃声のような物音がするので聞いてみると、ライフル銃の試射をやっているとか、そのチップはライフルの銃床を削って出た木屑のようだ。危険な道具も製造工程から出る物はそれなりに役に立つているね。

 又、あるときはTVドキュメンタリーの撮影で登り窯の覗き窓から見える炎の色が赤くなるようにして欲しいと要望があったそうだ。窯の温度は1200度。炎の色は白い。カメラマンは白だと炎らしくないので赤を撮りたかったのだろうが、これはおかしい。炎の色が赤だと焼き物は焼けないからね。ドキュメンタリーは報道なので正確に撮って欲しいもんだ。

 まだまだ、デッキでビールでも飲んでお話をしたかったが、車なのでビールは駄目で仕事の時間もあるのでお帰りになったが、記念に備前焼の作家にこんな根付を頂いた。色んな陶土を混ぜて、ひねって、創ったそうです。
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 今度、伊部の町を訪れた時は備前焼のぐい飲みくらいは買って見ようと思っている。
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by pac3jp | 2005-09-22 14:40 | クルージング  

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