新しい南極観測船「しらせ」を見学する(1)

 2011年9月25日(日)、好天の神戸港第4突堤で開催された四代目の南極観測船である砕氷艦「しらせ」の一般公開に行ってきた。新しいといっても、平成21年5月の就役で、もう2回も南極観測支援の航海をしているがボクは初めての対面だった。

 砕氷艦特有のずんぐりと丸いバウを見ながら、左舷船首付近の受付で金属探知機と手荷物検査を済ませ、艦の後部から乗り込む。

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主要寸法 :長さ 138m×幅 28m×深さ 15.9m×喫水 9.2m
基準排水量:12,650トン
満載排水量:20,000トン
推進方式 :ディーゼル電気推進
軸出力  :30,000馬力
推進器  :固定ピッチプロペラ2軸
最大速力 :19.5ノット
巡航速力 :15ノット
定 員  :乗組員179名、観測隊員等80名

【砕氷能力】 
  連続砕氷 :氷厚1.5mまでの氷海を強力な推進力で3ノットの連続砕氷できる。
ラミング砕氷 :1.5m以上の氷は一旦艦を200m~300m後進させ、最大馬力で前進し、最大11ノットで氷に乗り上げ、艦の自重で氷を砕く。
ちなみに平成21年11月~平成22年4月の第51次南極観測処女航海では3,414回のラミングをしたと記録されている。

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新「しらせ」の特徴
1.船 体
c0041039_9324227.jpg◎砕氷する船首や喫水付近の外板部分にステンレスクラッド鋼を使用して、ラミング砕氷時などにおいて摩擦抵抗を低減。SUS部分は有害な船底塗装が不要になる。
※(ステンレスクラッド鋼とは高張力炭素鋼板にステンレス鋼板を貼り付け耐食性を上げた鋼板 JFE製)

◎融雪用散水装置の採用による冠雪抵抗の低減。ラミング砕氷時に海氷に積もった雪がクッションになり乗り上げ効果が落ちるための対策。

◎二重船殻構造に採用よる海洋汚染防止。

2.機 関 
◎ディーゼル電気推進方式による迅速な前後進切り換え
◎低速域でも高トルクを発揮する推進用電動機の採用
◎4台の発電機による統合給電方式によるライフサイクルコスト及び重量の節減。

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上の図は電気推進システムの図です。(クリックすれば大きな画像で見れます。)
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 4台のディーゼルエンジンが各々の発電機を回し、交流6,600Vの電力を発電し、高圧配電盤を経由して変圧器で交流1,050Vに落とし、電力変換機に入る。ここではコンバータとインバータで推進用モータの回転コントロールに必要な電圧と周波数に変換して4基のモータに供給する。そして左右2軸のプロペラが回転し船が進みます。右の画像はしらせの固定ピッチプロペラと舵板です。

 図には推進モータに接続された「バックパワー吸収抵抗器」があるがこんなものがいるんだと初めて知ったが、回生発電された電気はハイブリット車ならばしっかりとバッテリーにチャージされているのでちょっともったいない気もするが、海には下り坂や「しらせ」は帆船でもないから極まれにその状態になるのかな・・・。

 この日は機関室や操縦室などの見学は不可でコースは船首デッキから最上甲板の艦橋に上る。
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 艦橋は護衛艦などに較べてさすがに広くて明るい、結構な人数が入っているがそう混雑しているほどではない。新しいフネなので航海機器も最新のようだ。気になったのは大きな艦橋窓ガラス制御箱が4面も並んでいたことだ。窓ガラスの開閉ぐらいにこんな大きな制御装置が要るんでしょうかね。でも大きな艦橋の窓は広く極地の環境ではパワーのある装置でないと窓の開閉も出来ないのかもしれない。(つづく)

【参考資料】1:砕氷艦しらせ パンフレット 海上自衛隊
      2:南極観測船と白瀬ノブ しらせ 小島敏夫著 成山堂書店
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by pac3jp | 2011-10-02 10:10 | 特殊船  

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