3次元海底資源調査船「ラムフォーム・Wクラス」

c0041039_15125724.jpg  三菱重工業は、ノルウェーの資源探査会社大手ペトロレウム・ジオ・サービス社(PGS)から3次元海底資源探査船2隻を受注、14日に現地で契約調印した。2隻のオプションが付いており、2013年春から順次引き渡しの予定。

受注したのは、PGS社が“ラムフォーム(Ramform)・Wクラス”と呼ぶ新型の3次元解析能力を有する海底資源探査船で、全長約104mながら最大船幅が70mと広く、広範囲の探査能力を持つのが特長。ディーゼル発電機による電気推進であるため、航行時の静粛性にも優れる。 船尾から数キロメートルにおよぶ複数のストリーマー・ケーブル(ハイドロホンと呼ばれる振動センサーを内蔵したケーブル)を曳航し、音源から発した音波が海底面や地層境界に当たって跳ね返ってくる反射波を受信して、地層構造を3次元的に解析する。PGS社では新型の船尾幅を従来の探査船に比べ30m拡張することにより、ストリーマー・ケーブルを最大24本と大幅に増やして、一度に広い範囲を探査できるようにした。

 (三菱重工業ニュース 2011.4.15より)

 5月26日、南シナ海のベトナムのEEZ内で海底資源調査中の国営石油会社の探査船が中国の艦船3隻によって調査ケーブルを切断される妨害を受け、ベトナムは「重大な主権侵害」と強く非難し、南シナ海領有をめぐり対立する中国とベトナムの緊張が高まっていると報道されている。

 高価な海底資源調査船を持っている国は少ないのではと思っていたが、アジアでは中国が12隻に、韓国も4隻に保有数が増えているという。日本は上記のノルウェーPGS社から「ラムフォーム・ヴィクトリー」を買ってやっと1隻確保したのにべトナムは中国との対抗上自前でフネを確保したのか、とりあえず外国からの傭船だろうか。
c0041039_15142548.jpg

 南シナ海・東シナ海で小さな?バトルを繰り返す隣国の中国では保有する海底資源探査船の数は12隻と多いがストリーマー・ケーブルの数が2~4本と少なく探査の効率も悪いからか、今回、アジア最強の探査船「海洋石油720」を建造し、その引渡し式が4月22日行われたと報道している。
 この船はストリーマー・ケーブルの数は「資源」の12本と同じだがケーブル長さが8000mと長いのが特徴だという。

c0041039_15151372.jpg 一方、韓国では以前から日本海の竹島にも近い対馬海盆でメタンハイドレードの調査をしていたが、昨年、2010年にはフグロ社(本部オランダ)の海底資源調査船フグロシナジー(Fugro Synergy)号(左画像)で対馬海盆の水深約950mから水深約2,300mまでの約10地点でボーリング及びコア採取を行いその傭船料は3,700万ドルだという。
 日本が2006年に傭船した「ラムフォーム・ヴィクトリー」も1ヶ月あたり10億円だったが多分同じような相場金額なんでしょうか。でも長引くと大変だ!

 この調査船は3次元資源探査船と違い深海を掘削してコアを採取する機能があるフネなので大きなヤグラを持っている。最近進水したJOGMECの「白嶺」にもフグロ社の掘削装置が搭載されることになっている。装置納入と同時に当然必要な深海掘削作業のオペレーションのノウハウやその解析技術もきっと高いのでしょうね。

 日本の海底資源調査船は新しい「白嶺」もストリーマー・ケーブル装置を1本持っているがメタンハイドレード・熱水鉱床などの深海ボーリングやマンガン塊などの採取がメインになるだろう。「資源」は石油・ガス田の3次元探査が主になるのだろう。それに地震の調査もあわせてやっているというが・・・。
 漁船や航行する内航船舶も多い日本近海で6kmもある長いケーブルを12本も幅広く曳きながら航行する作業は大変です。たまには潜水艦に絡んでしまうこともありますしね。

c0041039_15162599.jpg

上画像 3次元海底資源探査船「資源」

c0041039_1517459.jpg

 12本ものケーブルを繰り出すシーブが並ぶ40mもある幅広い船尾。船体色が違うが以前の「ラムフォーム・ヴィクトリー」2006.9月撮影

 三菱重工さんでは今回受注したPGS社の探査船でも韓国の造船所と激しい競争になったと聞いている。以前はこのジャンルでは中・韓とも競合しなかったのに最近は国家の海底エネルギー獲得方針にあわせて中国や韓国も特殊船にも力を入れているようだという。

 確かに日本のメタンハイドレード開発は隣国との摩擦がない本州南岸の南海トラフだけでやっているが、日本海や東シナ海にも有望なエリアがあり隣国たちは着々と開発を進めているのに日本だけが何もしないと持っていかれてしまわないかとボクは大いに心配している。
 

【参考Web】:海底資源探査船 ラムフォーム・ビクトリー号
[PR]

by pac3jp | 2011-06-12 15:31 | 特殊船  

<< 被災地ヨット部にスナイプ新艇7... 石油天然ガス・金属鉱物資源機構... >>