中国 最新の深海調査船「蛟竜」

 昨年10月に神戸港で「しんかい6500」を見学したとき、会場で東シナ海の海底資源がらみで中国の7000m級深海調査船が話題になっていた。どんなフネだろうと思っていたら、既に完成し、船名が当初の「和諧」から「蛟竜」に改名されもう実際に中国近海の深海で潜水活動をしているという。聞いた覚えがある「蛟竜」という船名は太平洋戦争末期に日本海軍が水中の特攻兵器として開発・配置した小型潜水艇の名と同じですね。

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 2010年8月26日、中国の科学技術部と国家海洋局は、中国が自力設計・自主開発した初の有人深海調査船蛟竜が深さ3,000m級の潜水テストに成功したと発表した。これにより中国はアメリカ、フランス、ロシア、日本に続き深さ3,000m以上の有人潜水技術を確立した5番目の国となった。

 国家海洋局によると蛟竜は2010年5月~7月にかけて南シナ海の深度3,000m級の海域で計17回にわたり潜水テストを行い、最大深度は3,682mに達した。


 中国は「自力設計・自主開発」と発表しているが、中核技術である、耐圧殻の設計・製造はロシア、浮力材やマニピュレーター、水中投光器はアメリカ製で水中TVカメラ、デジタルカメラ、イメージング・ソナーなどは日本から導入している。

 チタン合金耐圧球は内径が2.1m、内部容積4.8立方m、材質はTi-6AI-4Vチタン合金製。完成品の真球度は0.4%で「しんかい6500」と同じグレードになっている。でも、成型方法は日本やアメリカの半球成型工法でなく、チタン合金の天板に6枚の側板をTIG溶接し、熱処理のうえで機械加工により研磨して半球を二個造り、これをさらにTIG溶接して球にしている。これはロシアの「コンサル(Consul)」と同じ方法で設計・建造に実績を持つロシア企業が製作を担当したという。

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 ↑ 画像はX字配置の舵と4基のベクトル合成駆動式の固定スラスタ。船体前寄りに上昇下降・旋回用の小型スラスタ2基と船首上部にトンネル式のサイドスラスタがある。

 バッテリーは酸化銀-亜鉛電池で110KWH(110V-800AH)が搭戴されていて日本の「しんかい6500」より30%容量が大きいので6時間の連続潜水作業が可能となった。日本も当初は酸化銀-亜鉛電池を搭載していたが2004年に軽量・高性能のリチウムイオン電池に取り替えられた。

 深海調査船と母船の間には画像伝送システムを持っているが伝送速度は80kbpsと遅くカラー画像1枚を送るのに30秒もかかるという。我家のインターネットは100Mbpsなので想像できない遅さです。

 中国の有人潜水船の開発目的は軍事技術の取得が第一で、海洋資源などの探査も計画されているといわれ、ボクもそう思っているが、このところ世界中で中国の鉱物資源・エネルギー獲得の勢いはすざましくこの深海調査船ものんびりと海底生物の科学調査などはやらずにズバリ、海底資源の探査とその利権の獲得が主目的になる深海調査船だろう。

c0041039_13594747.jpg 昨年の潜水テストではしっかり、南シナ海の3,759mの深海底に中国の五星紅旗を立てたという。日本やアメリカの6500m級を越す7,000m級深海調査船を持ったことで世界一の座についたという嬉しさか、いや、やっぱりこれも国威発揚なんでしょうかね。

参考データ
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 深海の海底資源の探査が主ならば4,000m級でも充分だが・・・。

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リストの中では中国の7,000m級「蛟竜」とアメリカの6,500m級「新アルビン」が最新型だがこの船はまだ進水していない模様?。


【関連記事】:有人潜水調査船「しんかい6500」
【参考Web】:海外における深海有人潜水船の開発動向と我が国の進むべき道
【参考資料】:「世界の艦船」2011年3月号 中国初の深海調査船「蛟竜」
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by pac3jp | 2011-02-13 14:11 | 特殊船  

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