クラシックな木造ヨットの修理

c0041039_17281184.jpg 昔からずっとお世話になっているマリーナに久し振りに寄ると“船大工”さんは古い木造ヨットのスライドハッチ部分の修理中だった。
 それは古い木造ヨットの宿命?である、デッキやハードトップからの雨漏りがスライドハッチやその収納部の一部に腐りが出たので今、改修工事をしているという。

 スライドハッチはFRP艇では主にFRPで成型されたものや、ぶ厚いアクリルパネルがよく使われている。そしてどれもがある程度のキャンバーをもったアーチ状をしている。普通はスライドハッチに人間が乗っても充分耐えられる強度を持っている。

 修理中の凡そ横幅60cm×奥行80cm×厚さ18mm位の木製スライドハッチもちゃんとキャンバーがついているので、この合板にキャンバーはどうつけるのかお聞きすると、薄いタイプⅠの合板をアーチ状の型に合わせて幾枚もエポキシなどで積層して造るんだとおっしゃる。

 今から考えるとこんなオープンデッキで可動の部材は腐らないFRPで成型したら簡単に出来るのにと思うが当時はまだFRP成型技術が普及していなかったか、オーナーが木に拘ったかどっちかでしょうね。作業台には同じキャンバーがついた型が1組あったのでハッチ収納部分は腐らないFRPで作り直されたのかも知れない。

 木造ヨットは殆どがワンオフなので修理の為に部材を取り外していると昔、建造に携わった職人さんの仕事振りも良く分るらしい。普通だったらここの収まりはこうなっているはずだが・・・はて、と思っているとあとでそれがリカバリーのせいだったりするらしい。実は我家の屋根裏にも大工さんの失敗の跡がある・・・。

 雨漏りの修理は腐った部分を取り替えることだけではなく、勿論雨水が流れ込まないような構造に改修すると同時に場所によっては水に強い材料に交換が必要になるという。このヨットはコクピット内にも外装材にも耐候性に劣るマホガニーが使われていたそうで、既に外装材はチーク張替えられているし、今回はスライドハッチの両側ガイド部分がチーク材に取り替えられた。

 ボクが前に乗っていたフネは内装はマホガニーだったが、コクピットからキャビンに入る経路で濡れる可能性がある部分は当然チーク材が使ってあったなぁ。

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 話は変わるが、バウスプリットを持つ手頃なサイズのクラシックヨットもアメリカの中古ヨット市場などには結構出ている。そんなヨットを個人輸入したオーナーが近くに係留していたので見ていたら、オーナーもクルーもヨットは初めてのようで操船技術も古いヨットの維持に必要な知識やメンテナンス技術もお持ちでなく、エンジン故障やデッキの雨漏りも専門業者に修理依頼することもなくホームセンターで手に入いるコンパネや住宅用のプラスチック床材と安いシリコンでやっつけてしまうなど見ていて悲しいぐらいのものだった。

 やがて彼等はギブアップして安値で艇を手放すことになったようですが、『ヨット』は手放されたことで喜んでいるでしょう。きっと。

 結局、クラシックな木造ヨットや木造デッキ艇を維持できるオーナーの資質はしっかりメンテナンスできる腕と資金、そしてその作業を楽しみに出来る人ということでしょうか。
 でも、クラシックヨットが大好でかつ、充分に専門業者にメンテ費用を支出できる方というのも当然OKでしょうね。
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by pac3jp | 2010-11-08 17:33 | ウオッチング  

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