伊能図のコンパスローズ

 コンパスローズといえばチャートのアチコチに印刷されていて真方位と磁針方位の目盛りが打ってあり、装飾性は一切なく機能のみが正確に記入されたチャートの一部分であるという認識である。

 ところが並べられた伊能図では色合い豊かなコンパスローズがたくさん散らばっているのが目につく。ここではコンパスローズが伊能図をつなぐ合いマークとして使われている。

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 今回は大図の内、特に色彩豊かで精巧に描かれた長州藩・平戸藩に献納され伊能図副本と言われる大図の周りから撮影したが、他の地方のものもある。明治に複製した図にはこのコンパスローズを丁寧に書いていない図もあるという。

c0041039_6525161.jpg 左上の画像がやや荒っぽく描かれたコンパスローズ。半分より下はきちんと写されているが、上にくる地図の写本の完成度がやや低いのだろう色合いや方位文字の記入がない。

 左下画像は古いハンドベアリングコンパスを撮影した。文字が反転しているのは方位をプリズムで読むからです。

 この伊能コンパスローズを見ていると、つい最近まで使われていた磁気コンパスカードの北には「N」が入っておらずに特徴ある絵柄が配置されていた。これはブルボン家の百合(Fleur-de-Lys)というが、これとよく似たデザインが北を示す位置に描かれている。

 16世紀、ヨーロッパの大航海時代のコンパスにはブルボン家の紋章が既に使われているが、鎖国の日本にも200年前、19世紀初めにはこの紋章が「北」のマークとして地図に描かれていることが面白いですね。
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by pac3jp | 2010-09-18 06:57 | 歴史・民俗  

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