輸送艦「おおすみ」のLCAC(エルキャック)

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 「おおすみ」は艦尾のウエルドックに揚陸用エアクッション艇2艇を搭載している。戦車など車両は格納庫からLCACに自走して乗り込む。
 LCACは、「おおすみ」のウエルドックに海水を入れ艦体を後方に傾斜させ、艦尾ランプドアより直接海上に出入りする。
 このLCACは日本では3隻のおおすみ型輸送艦に各2隻づつ搭載して計6隻の保有だが、世界中にドック型揚陸・輸送艦を運用しているアメリカ海軍は91隻も保有している。韓国はフラッグシップである強襲揚陸艦「独島」を持っているがまだ戦車を運べるエアークッション艇は持ってないという。

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排水量:約90t
全長:24.7m
全幅:13.3m
機関:TF40Bガスタービン4基(出力 17600馬力)
最高速力:海上50ノット・陸上25ノット
乗員:搭乗員6名・便乗者24名
搭戴可能重量:約50t 90式戦車(≒50t)1両を搭載できる
(以上はLCACの説明板より)
積載人員:180名/240名(最大)※人員輸送用モジュール搭載時)
航続距離:200マイル
製造:米国・テキストロン社

c0041039_6172026.jpg エアークッション艇「エルキャック」は暗い格納庫に入船で2隻入っている。海上を高速で飛ぶので殆どむき出しのアルミ合金で出来ている。左舷正面から見るとブリッジの上に着岸誘導機器?を除くと航海用レーダー、航海灯、ライフブイなど普通の船舶艤装品がついている。
 車両甲板を除くと両舷にはエンジンブロックとプロペラだけで殆どのスペースを占め、コクピットと乗員室がエンジンブロックの前部についているという感じだ。
 右舷の1段高いコクピットを覗くと航空機用の操縦桿が見える。操縦席以外のシートなど装備もアルミとベルトで構成され軽量化を計っているように見えるし、フネという感じはしないなあ。

 エルキャックの乗組員は6名で、クラフトマスター(C/M)、エンジニア(EMG)、ナビゲーター(NAV)、ロードマスター(L/M)、デッキエンジニア(D/E)と更に艇指揮にあたるOICが乗り込む。ブリッジドアサイドにクルーネームが表示してあったが、L/MとD/Eは各2名の表示があった。彼等クルーの訓練は生産国の米国で行われるという。2ヶ月ほど英会話の訓練を受け、その後8ヶ月も現地で訓練を積む。

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 ↑推進用の可変ピッチプロペラ。ピッチを変え後進でウエルドックから発進する。あの狭いドックで2+2基の大型プロペラとファンが発する轟音を今、想像もできないがすごいもんでしょうね!

 ボクも大分昔、小さい自作のホバークラフトを操縦したことがある。推進用はパブリカの空冷エンジンを載せ、浮揚用は草刈り機のエンジンを転用して使っていた。それでも砂浜から海上に乗り出し結構なスピードで航行し、横滑りしながら旋回するなど飛行機の気分を味わったことがあった。でも背中で結構な爆音を感じていた記憶がある。

 このエルキャックが海上を航走しているのを見たことがあるが4基で17,600PSのガスタービンエンジンが出す音は遠くからでも相当にやかましいのでクルーの皆さんのヘルメットはヘリ用のヘルメットのようだ。

 高い揚陸性能を持つLCACだが、以下のような運用上の制約もある。

■アルミニウム合金構造、ゴム製スカートのため従来型上陸用舟艇に比べ攻撃に弱い。
■騒音が大きく敵に発見されやすい。
■燃料消費が大きく運用費用が高額。
■アルミニウム合金構造のため海水による腐食に弱い。
■波高2mを超える海面では、船体構造に損傷を受ける可能性があり、速度は20ノット以下に制限され、機動性は低下、燃料消費も急増する。

 いまどき大戦時のノルマンデーや硫黄島のような大規模な上陸作戦なんて起こりそうにないので、災害派遣ならゴム製のスカートでも充分だし海浜で波高2mはちょっと問題ですが、岬の影で波の低い場所もあるはずですからなんとかなりそうです。
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by pac3jp | 2010-07-27 06:25 | 特殊船  

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