テレビドラマの時代考証

 4月上旬に放送されたNHKテレビドラマ「大佛開眼」は奈良の「平城遷都1300年祭」の関連番組だろうか、初期の遣唐使船で帰国した吉備真備を主人公に貴族が権力を争うなか国家が大佛を建立する大事業に挑む天平時代の物語だ。その後編を、つい最近になってやっと録画を見た。

c0041039_9231355.jpg 古代ドラマは衣装や建築物など専門家が時代考証をしてから撮影されるのものだと理解しているが、このドラマを見ていてボクは最後の部分の二ヶ所ほど違和感を覚えたシーンがあった。

 それは藤原仲磨呂が戦(惠美押勝の乱)に破れ、傷を負い、ただ一騎で琵琶湖湖岸にたどり着き、岸に舫われた小舟で脱出しようとする。小舟は古びた色合いにしてはあるが、構造は今も使われている棚板つくりの伝馬船だったことだ。

c0041039_9234245.jpg この時代の小型船は刳舟(丸木舟)だった可能性が高い、大型船は刳船の船底部と舷側板を持つ準構造船になっていた。それが刳船部分が航(かわら)になり、棚板つくりになってくるのはずっと時代が下って16世紀中期からで、磯で漁をする小型漁船などは原始の時代から、そう進歩のない丸木舟が昭和の時代まで使われていたという。
 右上の画像は男鹿半島で使われていた「エグリブネ」と呼ばれる丸木舟。

c0041039_9241489.jpg また、最後のシーンはその小舟に真備が乗り、船頭が櫓を押し沖に漕ぎ出してゆく場面がある。これも少し引っかかる。櫓は7世紀中頃に中国から伝わり、平安時代に海船から普及したといわれているので、天平の時代に琵琶湖の小舟が櫓を装備しているのはちょっと早いと思いますね。まだまだ櫂の時代でしょう。しかし、映像では櫓も当然のように江戸時代初期に使われ始めた二材を継いだ継櫓だったが、初期の櫓は棒のような棹櫓だったのに・・・。

 スタッフリストに古代船の時代考証を担当した名前もあったが、多分、荒海を往く遣唐使船のシーンだけをを担当したのだろう。巨大な大佛のセットで予算が食い込み、時代に合った小舟を再現する予算が足らなかったのかもしれないなあ。


【参考Web】:NHKプレマップ「大仏開眼」Ver.2(ユーチューブ動画)
【参考図書】:日本の船 安達裕之 著 
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by pac3jp | 2010-04-28 09:35 | 歴史・民俗  

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