二隻の復元遣唐使船が日中で建造中!
同時期に二隻もの復元遣唐使船が建造されるのは多分初めてだろう。角川財団は中国・蘇州で、奈良・平城京では伊豆・松崎で作られた船体ブロックが平城京跡で組み立て中である。
まず、角川財団の日中文化交流と友好のシンボルとして遣唐使船を再現しようという2億円プロジェクトの遣唐使船から見てみる。
完成予想図の船体は青く塗られ、まさに中国ジャンク船のようである。船体は長さ30m、幅9.6mで、日本で設計し、中国の張家港で建造されている。
船体は確かに船であり、もう外板が張られてデッキに屋形が建築中なのが見えている。工事現場に作業員のバイクや自転車が置いてあるのが中国らしい?
この遣唐使船は今年5月にゆかりの地である大阪で出港式典を行い出港し、瀬戸内海から博多、長崎・福江島へ、ここでデッキ積みされ東シナ海を渡り中国に入る。そして6月11日に上海万博会場に入港する予定。その後13日から18日まで開かれる上海万博「日本ウイーク」のイベントに参加する予定。
一方、平城京跡で建造中の遣唐使船の完成予想図は「吉備大臣入唐絵巻」など当時の様子が描かれた数少ない絵巻物を参考に考察を重ね、設計図を作製したといわれている。そのせいか色合いなども広島・倉橋島の復元遣唐使船によく似ている。しかし、キールがないようので船舶としては設計されていないようである。
船の大きさは木造で排水量約300トン、積載量約150トンと想定し、長さ30m、最大幅9.6m、高さ15mで中国で建造中の船と同じサイズになっている。それにこちらの総工費も2億円だという。
8世紀以降の遣唐使船は東シナ海を通る南路を航海したので準構造船では危険なので朝鮮半島や中国から入ってきたジャンク系の構造船を使ったと思われるが当時の史料がなく、復元遣唐使船を建造するには、やむを得ず、12~13世紀に描かれた法隆寺の「吉備大臣入唐絵巻」などを参考に設計されているが、その絵が2~3世紀も昔の正しい姿を写しているとは決して保障できないという。
いつの日か考古学者が本物の遣唐使船を発掘するかもしれませんが、それまでは手に入る史料を元に想像力をに膨らませられる自由があるのも幸せなのかな・・・。
下の画像は復元遣唐使船の設計者がよく参考にする、《吉備大臣を乗せた遣唐使船》 12世紀末から13世紀初めの作とされる「吉備大臣入唐絵詞」より
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by pac3jp | 2010-02-16 17:58 | 特殊船